ロデニウスという名の大陸を完全制圧した。おおよそ二週間というそれなりに早い速度で制圧できたがそもそも大きさがオーストラリア大陸の半分くらいしかないうえに現地の文明力もそこまで高い物ではなかったという点もある。これがオーストラリアのような国力を持っていればここまで早く制圧は出来なかっただろうなぁ。
「次はこのフィルアデス大陸だな」
まだこの世界の地図は分からないが大陸制圧時に手に入れた家畜達に話を聞いて北に大きな大陸が存在するのが判明した。現在はロデニウス大陸の東西に一つずつハイヴの建設を行うなどの開拓をしつつ人間級を用いての情報収集を行っている。まだまだ始めたばかりだから情報は入ってきていないが次に侵攻するフィルアデス大陸の情報は優先的に欲しいものだ。
ロデニウス大陸の家畜から聞いた話だと文明圏と呼ばれる地域が存在するようで自分達では想像も出来ないほど高度な技術を有しているらしい。そして自分達が属するのは文明圏外と呼ばれる所謂田舎や最果てのような場所らしい。つまり、ロデニウス大陸の文明力がこの世界の文明力というわけではないようだ。最悪の場合、文明圏の国々はBETAを一掃できる戦力や力を持っているかもしれない。充分に気を付ける必要があるだろう。
「とりあえず一度門を閉じて座標を少し変更してフィルアデス大陸に接続する。場所としては大陸南端にしようか。ここからBETAを出して大陸横断レースのごとく北上させて潰す。掃き掃除のようなもんだよ。全てを一か所にまとめて潰す」
とはいえ今回はいつもと違う点が存在する。
「今回、これらBETAの指揮を担当するのはグレーテル、上総、ヴァルターにファムだ。君たちの他にそれぞれ何名かを副官として付けた。侵攻はまだまだ先だがフィルアデス大陸はロデニウス大陸のこの様子から見てそこまで発展している国ではないのだろう。それゆえに多少の失敗があっても問題ないと判断している。まぁ、今回の目的は指揮能力の向上だと思って気楽にやってくれ。たとえ北方から海上に逃げられたとしても今度は対抗策を用意しているからな。安心するといい」
そもそも、この世界をいずれは全て開拓するんだ。多少逃がしてしまったとしても問題はない。まぁ例え返り討ちにあったとしてもそれはそれで構わないと思っている。何しろフィルアデス大陸にはBETAの大群を叩き潰せるだけの戦力を備えていると発覚するのだから。
「それじゃ全員フィルアデス大陸侵攻の準備を始めてくれ。具体的な日時は情報が集まり、実行可能と判断してからになる。おおよそ一月以上はかかると思っていてくれて構わないからなぁ」
ロデニウス大陸が謎の化け物に制圧されたという情報は第三文明圏や文明圏外国家に迅速に広まった。当初こそ魔物か? と思われたがそれにしては敵の数や大きさが違う。実際に漁師や海軍の人間が浜辺に佇む要撃級や突撃級を目にしている。ロデニウス大陸が化け物に制圧された話は真実だと、すでにあそこは人間の土地ではなくなっていると誰もが理解出来てしまった。
「化け物の土地になったか……。であれば我らパーパルディア皇国が
しかし、だからと言って化け物、BETAの脅威をはっきりと理解できているか? と問われれば否定しかできない状態にある。何しろBETAと戦った人間の大半は死体すらこの世に残っていない者が多いのだから。もしくは家畜としてこの世界とは別の世界に連れ去られている。
とはいえ例えBETAの実力を正確に把握していたとしてもこの国、パーパルディア皇国はロデニウス大陸に侵攻しようとしただろう。この国は対外拡張政策によってフィルアデス大陸南部をたった10年で統一するに至った大国であり、この世界で5国存在する列強の第4位に数えられる実力を持っていた。
「フェン王国やアルタラス王国に侵攻する予定であったが先にロデニウス大陸にいくぞ。両国に向かわせるはずだったすべての戦力をロデニウス大陸に向けて出発させるのだ!」
一番最初にロデニウス大陸に上陸し、開放するべく皇帝ルディアスは軍を急かしてロデニウス大陸遠征軍を組織。大小さまざまな戦列艦を向かわせることとなった。
「……化け物の正体も分からないのにも関わらず侵攻するとは、皇帝陛下も少し焦り過ぎだ……」
ロデニウス大陸遠征軍の旗艦である超フィシャヌス級戦列艦パールに搭乗するシウスは遠征を急がせた皇帝が焦り過ぎたとため息をついた。ただでさえフェン王国やアルタラス王国への侵攻計画を一度白紙に戻して行われている遠征なのだ。各方面において大小さまざまな混乱が発生しており、最低でも浜辺の確保と言った橋頭堡を作らないとわりに合わなかった。しかし、それを成功させるためにも化け物の情報が必要なのだが化け物と戦闘した者たちは発見出来ていなかった。そもそもロデニウス大陸から逃げてきた者の大半が文明圏外国に逃げている為でもあるのだが。
「シウス提督。そう苦言を申されるな。化け物がどれだけの実力があるのかは分からないが皇国が誇る魔導砲によるアウトレンジ攻撃を受ければ討伐が容易でしょう」
「ベルトラン陸将……」
不安というよりも不満と言った様子のシウスを察してかベルトラン陸将がなだめるように声をかける。シウスは遠征軍の海軍における総司令官であり、一方のベルトラン陸将は陸軍の総司令官に任命されている人物であった。
「まずは浜辺にいる敵に砲撃を行い、敵の強さを測りましょう。魔導砲の砲撃で倒せると思いますが万が一の場合は追加砲撃をするかワイバーンロードによる空からの攻撃や歩兵を繰り出して止めを刺しましょう」
「それでも死なないようなら?」
「残念ですがその場合は少しでも情報を集めて撤退をするべきです。弱点や習性などが分かれば殺すことも出来るでしょうからね」
「……そうですな。確かにそれなら化け物相手に迅速に対応が可能か……」
ベルトラン陸将の言葉にシウスも賛同する。急遽決まったこの遠征において綿密な作戦計画はない。陸海総司令が臨機応変に計画を立てるように言われており、実際に二人は皇帝並みの権力を遠征軍相手に得ていた。
「とはいえ我ら栄えあるパーパルディア皇国軍が化け物ごときに負けるとは思えませんがな。何ならリンドヴルムと同じように飼いならしてしまえば面白いかもしれないですな」
「果たして化け物が飼いならす事が出来る生物なのか。それ次第でしょうが最初は安全のために殲滅します。ではそろそろ準備を行いましょう」
シウスはうっすらと見えてきたロデニウス大陸を見て気を引き締める。ロデニウス大陸は化け物の巣窟となってから二月近くが経過しているがその間に海岸付近に草木は全く確認できない死の大地と化していた。
シウスは化け物はイナゴのように食い尽くすのか? と考えつつマイハークが存在した廃墟にたどり着くと戦列艦を横並びにして砲撃準備を整えていった。
超フィシャヌス級すら含まれる1000門を超える砲門が旧マイハークに向けられている。これほどの砲が放たれれば格上のムーや神聖ミリシアル帝国でさえただでは済まないだろう。
「撃てぇぇぇっ!!!! ……え?」
しかし、それも相手がBETAではないのならである。シウスは砲撃開始の命令をしようとした時、マイハークから光の線が伸びている事に気付いたがそれが何なのかを理解する間もなく彼の乗っていたパールはレーザー級のレーザー照射を受けて爆沈。マイハークに砲を向けていた戦列艦はたった一度の攻撃ですべて撃沈されたのだった。
そして、これがパーパルディア皇国の遠征軍を地獄に叩き落す最初の一撃だった。
次話は2023/01/18 23:15投稿予定です。
あ号君の名前に関して
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名前なんていらねぇ!
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呼びづらいからさっさとつけろや!
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てめぇに任せられねぇ!変わりにつけてやる
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あ号君が本名でしょ?何言ってるの?