お 守 り く れ る 怪 し い 老 人   作:老人というだけで怪しい(偏見

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18.ロールプレイ含有率99%

 無論、その程度を読んでいないはずがない。

 一番の隙がどこなのか、なんてわかりきっているから、対策はしてあった。

 

 それはさっき俺がアニータに持たせていたもの。その片割れ。

 人形──『身代わり』のエンチャントの施された人形は、ウィルの代わりに黒の極光へと貫かれる。

 

 そうして、そうして。

 俺達一行は、ロビー空間から脱することができた。

 

 ……ロビー空間からは、だけれど。

 

「なんじゃぁ、ここは」

「謎空間です」

「謎……空間?」

 

 体力継続回復(リジェネレイト)で少しずつ再生していく肉体を感じながら、この……真っ黒な何かが迸る空間を見上げる。

 まぁ、なんとか、生き残ったか。

 

「魔界とロビー空間の間にある謎空間。あるいはロード中の暗闇のあそこ。そんな感じでしょうね。……さて、セギ。このまま帰ったらあなたは全てをはぐらかすでしょうから、全員がいて、且つ逃げられないこの場で聞きます」

 

 ベンカストが──いや、まおうまでもが、俺に冷たい目を向けてくる。

 おや。

 なんだろう、この。

 

「あなた、()()()()H()P()()()()()()()()()()か?」

「……ほほ」

 

 身体が癒えていく中で、それらに目をやって。

 ベンカストは厳しい声色を出す。これはいつもの善意の嘘とかではなく、本当に問い質している声。

 疑っている声だ。

 

「たとえ、本人がどれだけ強い意思を持っていようと、僕たちはHPバーが全損すれば、死にます。腕を千切られても、足を折られても、それがなんだと不屈の精神で居続けることは勿論できるのでしょう。ですが、それとは一切関係なく僕らの命はHPバーに依存しています」

 

 それは、その通り。

 そして俺のHPなんざたかが知れている。

 

「あそこ、地上付近。スキルが使えませんでしたね。能力付与術師(スキルエンチャンター)にとってスキルが使えない状態は死も同然。あなたの身体に仕込まれたいくつもの生存系エンチャントは使えなかったはず」

「……」

「そんな中、あれだけボロボロになって……あなたのHPが全損していないわけがないんです。その怪我のどれであろうと、あなたは死んでいるはず」

 

 正面に光が見えてくる。

 暗闇を抜けるのだろう。

 

「話す気無さそうなので質問を変えます。あなた、()()()()?」

 

 そうして、ようやく。

 暗闇から脱したその場所は──。

 

「セギ。お願いします。──僕にあなたを殺させないでください」

 

 空。赤黒い魔界の空。

 その高度は凄まじく、だからそこが、本来の黒曜山のてっぺんであることが分かった。

 

「ほほ……異なことを言う。儂は単なる」

「ベンカスト、その聞き方だとこいつは口を割らんぞ。どれ、セギ。今のお前にはオバンシー殺害、あるいはその殺害者へ加担したのではないか、という容疑がかかっている。否定材料はあるか?」

「は?」

 

 思わず素が出る。

 肩を竦めるまおう。ベンカストも、はぁ、なんて溜め息を吐いた。

 何が起きているのかわかっていないアニータ嬢、未だ意気消沈しているラクサスを蚊帳の外に、あとユティとウィルも放ったままプレイヤー同士の会話を続ける。

 

「俺が……儂がそんなことをするわけないじゃろ」

「確かにそうです。あなたはプレイヤーを何よりも大事にする。そんなあなたがプレイヤーを殺したり、それに加担するなどということはありえない」

 

 ただし、と。

 ベンカストはいくつかのスクショを取り出す。

 それはメールの文面であったり、あるいは写真であったりと様々。そしてそこには必ず俺がいた。俺の名前か、俺の姿があった。

 

「ただし、例外があります。プレイヤーを殺したくないあなたは、殺したくないがあまり、()()という道を選ぶことがある。誰にも見つからない場所で、完全な人払いをして相手を呼び出し──停止させる。この千年で三件、あなたはそれをプレイヤーに対して行った」

「ほほほ……儂にそんなことができるとでも?」

「知りません。僧兵からの報告書には何らかの方法で行った、としか書かれていませんでしたので。ただし、行った対象には共通点がありました。殺人です。それも()()()()。あなたにとって最も禁忌である行いをした三人は、セギ、あなたとひと気のない場所に行った後、姿を消しています」

「それは些か……決めつけが過ぎるんじゃないかのぅ。現場を見たわけじゃないんじゃろ? この写真とて、儂が森に入る後ろ姿だとか、誰とどこへ行ったが見失った、とか……ほほ、決定打にはなりえん」

 

 肉体機能はほとんどが回復した。

 魔力ばかりはまだまだだけど、どの道魔力なんて滅多に使わないからな。どうでもいい。

 

 問題は……アニータ嬢か。

 さっき言っちゃったのはマズかった。そこまでがっちりつかまなくても。

 

「ええ、だから容疑です。セギ。法国にいる連絡役が、ガナデ村の住民から証言を聞きだしたとメールをくれたんです。内容は単純。『オバンシーさんがいなくなる前に、セギという老人が村を訪ねてきた』──と」

「……」

 

 どうにか逃げようとしていた思考を止める。

 あんだって?

 というか、だから、オバンシーさんの殺害の加担? やるわけねーだろ。なんで俺がオバンシー殺さなきゃなんねえんだよ。アイツ良い奴だぞ。

 

「どうしてガナデ村に行ったんですか?」

「行ってないのぅ。儂は国でずっとお守り配っとったから……人違いじゃないかのぅ」

「成程。では、あなたの疑いは晴れました。どうやって死なないようにしているかについては話したくなったら話してください」

「ほ? ……そんなので信じるのかの?」

「あはは、僕と違って後ろめたいことに関する嘘は苦手でしょう、あなた。顔と声色とその糸目の瞳孔の開きと首筋の脈拍で嘘かどうかくらいはわかりますよ」

「怖いって」

「セギ。我らはオバンシー殺害の下手人が此度の事件の黒幕であると睨んでいる。初めはラクサスかと思ったが違った。血のルクレツィアでもない。そしてそれらを遣わした魔神めの手口とも少し違うように思う。つまり、一連の事件の中でオバンシー殺害およびガナデ村呪毒フィールド化だけが全く別の事件なのだ」

 

 それは。

 言われてみれば、確かに。

 

「あぁ、イベント聖霊の件とオブシディアンドラゴン……ウィルの件は本人たちから聞いた。JJJ達を謀ったことはあまり褒められたことではないが、最終的に誰も死ななかったのだから問題は無い。我はそういうトコきっちりしなくてもいい性格故な」

「ご、ごめんなさい、助けてくれたことを話したら、話しちゃいけないことだったみたいで……」

 

 ちょっとだけユティの方を見れば、彼女はそれはもう焦って焦って弁明をしてきた。

 ……ベンカストが詰めたんだろうなぁ。

 

「血のルクレツィア、ヴォルケインの件は全く終わっていないが、魔神とラクサスの件については大体の全貌が掴めた。だからこれはもう後で良い。問題はその黒幕の方で、だからこそ死んでも死なないお前が疑われた。そういうことだ」

「あー……と?」

「シリアスは終わり、ということだ。そろそろ気付け。おぉい、ウィル! そろそろ降りてくれ!」

 

 まおうの言葉に、ウィルがゆっくりと降下を始める。

 

 えーと。

 なんだ。

 つまり、俺への容疑は晴れたけど、正体不明の黒幕がまだ残ってて、これからはそれについて考えなきゃいけない、ってことだな。

 ラクサスは犯人じゃなかった。魔神も……まぁ多分違う。オバンシーさん殺害事件においては、不幸にも今回色々な事件が重なってしまっただけで、何の情報も得られていない、と。

 

 ずぅん、と音を立ててウィルが黒曜山のてっぺんに着陸する。

 

「む? なんじゃ、魔法陣……ってアレは」

「あ、はい。時間はあったんで、全部スクショ撮ってこっちに圧縮しました」

「いやそれより、あそこで倒れとるのは」

「ルクリーシャさんですよ。血のルクレツィア。魔力供給の人柱になってもらった後、ラクサスさんの時間停止魔法で固めて放置してたんです」

「……ベンカスト。お主倫理とかって知ってる?」

「あはは、あなたに問われる筋合いはないですね」

 

 まったく、可哀想に。

 ……ルクリーシャ嬢もヴォルケインもプレイヤーの子孫ではないことが分かった。

 だからもう過保護になるつもりはないし、積極的に解決してやろうという気も起きない。相手があの魔神だからな、呪いを解くってのは難しいだろう。

 

 が。

 

「ベンカスト、ラクサス、まおう、アニータ嬢。ちょいと話があるんじゃがの。あ、ユティとウィルは、快癒したようで何よりじゃ。助けに来てくれてありがとうのぅ」

「いえ……こちらこそです。あ、うん。そうだね、ウィル。えーと、この山で渡せるもので、何か欲しいものがあったら言ってください」

「ほほほ、要らん要らん。この山で採れるものなど腐るほど持ってるおるしの」

「え?」

「なーんでもないわい」

 

 まぁこちとら生産ジョブなんで。

 メインでしこたま集めた素材が倉庫に死ぬほど眠っていますよ。エンチャント関連だけだけど。

 

「話、ですか?」

「あたしも……?」

「……」

「セギ、流石にラクサスは置いてった方がよいのではないか? こいつ、この状態のままで意気消沈の欄に掲載できるぞ」

「あ……いや、大丈夫、だ。今オレに何が残ったのかを……確認していただけだから」

 

 帰ってきて初めて喋ったラクサス。 

 うん、その目には生気が戻っている。圧倒的な魔神ぱぅわーは奪われたみたいだけど、コイツ自身の元ステータスがあるんだろう。それを見込んで声をかけたわけだが。

 

「まず、まおう。──すまん」

「ん?」

「"雨の"シリーズ、全部使ってしまったわい。ロストじゃロスト」

「あぁ、構わんさ。お前が生き残り、出るために消費したのだろう? 今回我はお前を死地に送った──その代価と考えれば何も問題ない」

「懐広いのぅ。今ので永遠エンチャントいくつか要求されるかと思ったわい」

「あ、やっぱヤメで。要求する要求する」

「ほほほっ、良いのか? 娘が見とる前で、その態度」

「うむ、アニータ。目を白黒させているところ悪いが、普段のかっこいい母はたまにこうなる。何故ならこの二人は旧友。我にも若い頃があった、ということだ」

「え……あ、はい」

 

 "雨の"装備群は失った。

 けれど、得たものと持ち帰ってきたものがある。

 

「これは、覚えているな?」

「覚えているも何も我が渡したものだ。『血の杯』。なんだ、使わなかったのか」

「へぇ、これが。噂には聞いてましたが」

「綺麗……」

 

 ワインが少量入ったそのグラスは、赤色が混じっていて、アニータ嬢の言う通りとてもきれいなものだ。

 それをまおうに見せる。

 

「……」

「……」

「……」

「……え、いやなんだ? なんだこの間は」

「ほほ、気付かぬか、と思っての」

「気付く? 何にだ」

 

 ふぅ。

 よし、安心した。いや最近なんかまおうが頭良いムーブしまくってるからさ。ここらでアホ晒しておくとバランス取れていいわ。

 

「思い出してみろ。お主がこれを儂に渡した時と、今の違いを」

「……」

「……セギ、セギ。時間の無駄ですよ。こういう時絶対思い出さないのがまおうなので」

「うるさいぞベンカスト。少しくらい我にも考えさせろ」

 

 何かをまだぶつぶつと呟いているラクサスにも見せてみる。

 

「ラクサス、ラクサス。ほれ、これを見よ」

「ん……あ……いや、そうだな。よかった。お前が無事でよかったよ、セギ。オレは……オレのせいでお前が魔神の贄にされてしまったのかと……いや、そんな話はどうでもいいか。流石だ、世界最高にして最古の能力付与術師(スキルエンチャンター)。あの死の瀬戸際からこんな短時間で復活するなんて」

「助けに来てくれてありがとう、と言っておこう。それでラクサス、こいつを見てほしいんじゃが」

「ん? それは……血の杯か? しかしおかしいな、血の杯はなみなみとワインが入っているアイテムのはず……え、あ、いや、無印の時にあったかどうか知らない……じゃない、そうじゃなくて、ええとええと!」

 

 ま、ちょっと前まで違うゲーム出身だと思っていたラクサスだけど、このゲームの運営から遣わされた、って時点で気付くべきだったな。

 彼は。

 

「良い良い。この場にいる全員……アニータ嬢以外が気づいておる。お主、未来から来たんじゃろ?」

「あ……あー、いや、未来というか……未来、ではないか、な? 確かにお前たちの物語は知っているが、別にオレはその世界にいたわけじゃないというか……説明が難しいな」

「2の世界からいらした、ということでいいんですよね?」

「あー……2、とはナンバリングされてないけど、そうだな。えーと、あーと。それじゃあまずオレの自己紹介から始め、」

「ほほっ、それは今度にしてほしいのう。さて、まおう。今言われた通りじゃ。血の杯ははじめ、なみなみとワインが入った状態だった。それが減っておる。何故かの?」

「お前が飲んだのではないか?」

「不正解じゃ。誤答罰で解答権剥奪。ではアニータ嬢」

「ほへっ!? あ、あたしですか?」

「先ほどは色々とありがとうじゃ。では問題。最初はなみなみ入っていたワインが減っていた。儂が飲んだわけではない。ついでに零したわけでもない。ではなぜ減ったのか、わかるかの?」

 

 アニータ嬢は、ちらちらと周りを見る。

 まぁそうだよな。自分だけ知らない知識があることに彼女は気づいている。その上で、それでも頑張ろうという気概が見受けられる。

 

「わ……わかりました!」

「ほう。では、なんじゃ」

「蒸発したんですね?」

「不正解じゃ。誤答罰で解答権剥奪」

「連動している、ということですか。恐らく初めはプレイヤーが集め集めた赤の結晶。それでなみなみまで行って、さらにプレイヤーの魂を供物として捧げることでワインは溢れ……それが魔神との契約履行になる」

「履行になるかどうかはわからんがの。呪いの方も、奴がかけたというよりは運営が作ったフレーバーテキストっぽいし。まぁ、やってみる価値はある、ということじゃ」

 

 問題形式とかガン無視で答えを出してきたベンカスト。

 そうだよ、お前は昔からそういう奴だ。この局面でクイズ出してる俺も相当ウザいとは思ってる。

 

「やってみる、というのは?」

「逆を、じゃ。ほほほ、儂はあの地であの世界をぶっ壊すエンチャントを使ってきた。ゆえにこれほど減ったのだと考えれば、このワインを一滴も無くし、なんならグラスまでもを壊したらどうなるか気になりはせんか?」

「……ふむ。あの魔法陣が赤の結晶とワイン、それぞれと連動していたとすれば……減らすには、命を減らすことが条件になりそうですね。赤の結晶とはそのまま血の結晶、命そのものでしたから」

 

 そう、だから。

 

 第一段階は、ヴォルケインを殺すところから、だ。

 

 

 ☆

 

 

「なるほど、それで僕たちを。いいんじゃないですか? 死なないならあなたが最前線に行けば」

「ほほほ、こっちにも色々条件があってのう」

「水魔法なぁ。火力ないから好きじゃないんだがな……」

「ハイドロカリプス!!」

 

 なんだか懐かしくさえある炎魔窟を行く。

 今回はまおうとイステア少年だけじゃない、フルパもフルパな一行だ。いやぁ楽ちん楽ちん。

 

 ちなみに未だ時間停止されているルクリーシャ嬢はラクサスが担いでいる。時間なのか範囲なのか知らないけど、随分と長いこと効果が保つものだ。つか時間停止は魔神の力じゃないのな。こーわ。

 

 張り切っているのはアニータ嬢。水魔法は火力がないから嫌だ、雷魔法がいい、という母親まおうと違い、高圧水流や水流チェーンソーを用いて魔物をズッバズッバと切り裂いている。彼女のもう一人の親、つまりまおうと番った魔族が水の扱いに長ける種族だったらしい。

 ベンカストは完全に防御姿勢。俺はマージで何にもしてない。

 

 仲間の後ろに隠れる卑怯者。大いに結構!

 

「しかし、ホントに爆炎フィールドになってますねぇ。その時からヴォルケインがずっと『大爆発』をしている……とか、あんまり考えられないんですけど」

「事実そうなんじゃから仕方ないじゃろ」

「セギ、お前フィールドを強制上書きするエンチャントとか使えないのか?」

「そんなもの使えたら世話無い……ふむ」

 

 あの時。

 あの時魔神が使ってきた、『能力無効』というフィールド。あれは100%グリッチだ。

 無論『能力無効』というスキルは存在する。魔物の使うスキルだけど、存在自体はある。にしたってパッシブの、つまりソイツ自身にしか効果を為さないスキルだけど。

 ……それを、フィールド化。

 だから……えーと。

 

「何フィールドがお好みじゃ?」

「ほう、できるのか?」

「やってみる、というだけじゃ。できなかったらゴリ押しで進め」

「流水フィールドだ。アニータの水も、我の雷も通りやすくなる」

「ほいほい」

 

 考える。

 ……いや待てよ?

 

能力付与(スキルエンチャント):Enc(ID:MuddyStreamPyramid_MaintainSplashtField.Ob(ID:……あー。無理じゃな」

「行けそうな空気だったじゃないですか。何がダメなんですか」

「炎魔窟のIDがわからん」

「炎魔窟のID? ……あぁ、そういう風にスキルを使っているんですね」

「頭良いのも大概にしろよ」

「あはは、何度か見せてもらいましたから」

 

 考え方を変えよう。

 今俺は、炎魔窟が火傷フィールドを使っているからここは火傷フィールドになっている、と考えた。炎魔窟に火傷フィールドが能力として付与されていて、それをパッシブで使用している、という考え方。

 それをヴォルケインが爆熱フィールドに上書きしたわけだな。

 だけど、そうではないとしたら。

 それは、たとえばそう──イベントフィールドを作ったあの時みたいに。

 

 イベントフィールド。あの時作ったあのフィールドは紛い物だ。ただ光を柱状に立たせただけの、囲いを作っただけの場所。

 でも、ホントはそれでいいんじゃないか?

 

「ラクサス。このダンジョン、土か氷で覆えるかの?」

「……可能だ、とは思う。ただ、オレにはかつてのような無尽蔵な魔力が無い。全体を、となると……少なくとも三倍の魔力が必要だ」

「そんじゃコレ付けるとよいぞ。魔力増強系+++セットじゃ」

「あ、じゃあコレあげます。魔力の即時回復ポーションです。今となっては貴重ですからね、ありがたく飲んでくださいよ。売れば城が建ちます」

「ふむ。なら我はこれをやろう。魔法有効射程距離+3の指輪だ。ふ、装備品だからな。エンチャントにはないだろうこういうのは。なぁ、セギ」

「……ほかで代用できるわい」

 

 得意そうに言ってくるまおうに鼻を鳴らして。

 

 三人が三人、それをラクサスに渡した。

 

 ……なんか。アレだな。

 別にそんな感動する局面でもないんだけど……旧世代が新世代に物を託している、みたいな。

 

 いやまだ死ぬ気は無いんだけど。

 

「……ありがとう。必ず成功させて見せる」

 

 ちょい、ラクサスまで真剣な顔をするな。

 ホントに俺達いなくなるみてえじゃねえか。

 

「これで……思い残すことは無いな……」

「ええ。これからは若い世代の時代です」

「そんでもってノリがいいんだよお前らは」

 

 ……いや怪しい老人ロールプレイヤーとして、ここは俺もノっておくべきだったか。

 

 失敗した……。

 

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