5人兄弟とセカイの関わり方 夢見る少女編 作:エビデンス海老天むす
「なんで私達がアンタの練習を見なきゃいけないのよ。」
「それは……そうなんですけど……」
みのり……一体何を考えてるんだろう……
「私、ダンスも歌も上手にならなくて……厚かましいことはわかってます!先輩たちみたいな凄いアイドルに教えてもらえたら、もっとアイドルに近づけると思ったんです。それに、入学してからずっと教えてくれてる紫乃実ちゃんにもアイドルになって恩返ししたいんです。私もっともっとアイドルに近づけるように頑張りたいんです!だから……」
「みのり……」
そこまで考えてくれたなんて…
「………わかったわ。」
そこで声を出したのは日野森さんだった。
「雫!?」
「みのりちゃん…だったかしら、お仕事があるから、オフの日だけになっちゃうけどそれでもいい?」
「も……もちろんです。ありがとうございます。」
「ちょっと、どうゆうつもり?アンタ、自分の仕事。」
「愛莉ちゃん、昔言ってたでしょ?アイドルならアイドルを目指す子は絶対に放っておかないものよ。って」
「日野森さん、本当にいいの?自分の仕事があるのに…」
「紫乃実ちゃん……だったわね。大丈夫よ。無理はしないから。」
「はぁ…わかったわよ。私も見てあげればいいんでしょ。ただし、次のオーディションに落ちたらそこでおしまい。いい!?」
「……!!はい!ありがとうございます。」
「愛莉ちゃん…ありがとう。」
帰り道
私は屋上で少し時間を潰してから兄、一也(かずや)の車で帰ることになった。兄が運転席、私は助手席に座っている。
「また今日も花里にダンス教えてたのか?」
「うーん、今日はね、遥ちゃんがきたよ〜」
「遥……ああ、桐谷か、あの子…芸能人オーラすごいよな…」
「うーん、そうだね〜」
私は空返事をする。やっぱり初音ミクが私に話しかけてきた方が気になる。
「紫乃実どうした?いつもなら咲希の時みたいに興味津々に聞いてくるのに…」
「いや……うーん」
「悩みか?俺でよければ話聞こうか?兄妹だろ?」
ちょうど赤信号で止まった。兄はお茶を飲んでる。
「じゃあさ、お兄ちゃんはさ、初音ミクと話せると思う?」
「ガハッッッゲホゲホ」
その話をするとなぜか兄は飲んでいたお茶を無理やり飲み込んでしまい、むせていた。
「わ!大丈夫!?」
「そそ、そんなことあるわけないだろ?初音ミクはバーチャルシンガーだぞ?」
「そうだよね〜、やっぱありえないかよね〜。」
「この話はやめよう。ほら、今日の晩御飯は母さんが腕を振るってくれているらしいぞ?」
「本当?やったー。あ!そうだ。お兄ちゃんに相談があるんだけど…」
兄は心の底から安心するのであった。
翌日
「日野森先輩!桃井先輩!今日はよろしくお願いします!!」
「ふふっよろしくね、みのりちゃん。力になれるように頑張るわ。」
「ストレッチは済ませてあるでしょうね?」
「はい!教えてもらう時間は全部練習に使いたいので。」
「いいねみのり、やる気満々じゃん。」
「ふふん!いい心がけじゃない。……ところで、なんであそこで桐谷遥が本を読んでるわけ?」
「私が呼んだのよ。」
「紫乃実ちゃんが?」
「これ見て、」
「これは……屋上使用許可証??」
「そう。今までなんとなくこの屋上を使ってたけど、使う人も増えたし、許可証を貰っておこうと思って。」
昨日のうちに兄に相談しておいて、今日の昼に許可証を取りに行った。
「え?じゃあ今持ってきたマットと椅子になにか関係あるの?」
そう。私はここにからまでに体育倉庫からマットを1枚と椅子を一脚パクっ………借りてきたのだ。
「いや、これは単に私がアクロバットをやりたいと思ったからよ。」
「じゃあ関係があるのは遥ちゃんの方?」
「いや、遥には私のアクロバットの先生になってもらうために来てもらったの。」
「まぁ、アクロバットなんてすごいわね〜」
「まぁ、いいわ。そういえばアンタ、自己PRと面接の対策はできてるの?」
早速、愛莉ちゃんの熱血指導が始まった。みのり、頑張れ!
「じゃあ遥私たちはあっちに行きましょうか。」
「……」
私はみのりたちが練習している反対側にいた。椅子には遥が座って私はマットでくつろいでいる。
「ねぇ、紫乃実。アクロバットやらないの?私は静かだから問題ないけど…」
「?アクロバットねーまぁ、やってもいいけどーまだ乗り気じゃないって感じー」
気づけば夕方になり、みのりたちの練習は終わる頃だった。
「紫乃実ちゃーーん、遥ちゃーん。」
「あれ?みのり、どうしたの?もう練習終わり?」
「うん!あ!そうだ。紫乃実ちゃんも今日練習してたんでしょ?ちょっと見せてほしいなぁー」
「オッケー。いっくよー」
私は立ち上がり、助走をつけてロンダードからバク宙を決めた。
むむ…少し着地ミスっちゃった。やっぱ準備運動は必要だな、反省反省。
「わぁーーーーすごーーーい」
「ちょっと着地ミスっちゃった。ありがとう遥。おかげで上達できたよ。」
「あ、う、うん。」
遥は唖然としていたが、私の言葉でハッとしたのか返事をした。そんなにびっくりしたのかな。
「じゃあ、私もう帰るねー、じゃーねー」
私は屋上を後にした。