今回は、護の戦闘と新組織についてです
護の能力についても触れます
敵の組織の名前が宗教っぽいのは気にしないでください
それは異様とも言えるような光景だった
目の前で繰り広げられているのは生身の人間と
以前、文さんから聞いた話では
『ドーパントは非常に強く、メモリの力がなければ対抗できないんですよ。
椛にはわからないし、知らない世界かもですがねー』
と聞かされた
その後、胃袋の怪物に襲われてその恐ろしさを知った
それなのに
目の前の男はドライバーも着けずに生身で怪物と戦っている
怪物の振るう剣は音速とまではいかないだろうがかなり速い速度で振るわれている
それを紙一重で回避し、切り付ける男の技術もなかなかに高い
(これが、私の知らない世界…)
心に生まれたある種の憧れを胸に、私はその戦いを眺めていることしかできなかった
ーー見切りーー
『なかなかにやるな、少年』
「そいつはどうも…!」
剣を交えてわかったが、こいつはなかなかにできるやつだった
飛行しながら切り付けてくるのもそうだが、振るう剣の速さもなかなかだ
ちょっと油断したらそれだけで致命傷になりかねない
普通ならば
俺は自身の能力である「あらゆるものを目に捉える程度の能力」で剣の動きを見切る事ができる
多対一ならまだしも、タイマンなら負けない
『生身でここまで戦える人間がいるとは思わなかった』
「そうか?俺はもう一人心当たりがあるがな」
『まあいい、これで終わりにさせてもらおう!』
「それはこっちの台詞だ!」
ナスカドーパントは距離をとり、剣を構えこちらに向かってくる
俺は閻魔刀を納刀し、腰を低くして待つ
「待て、まだ早い」
限界まで奴を引きつける
そして…
「今だ!」
俺はすれ違いざまに抜刀し、刀を振るった
『見事だ…少…年』
男は崩れ落ち、変身が解除される
俺はそいつの近くに落ちていたメモリを回収する
「本当に勝ってしまったんですか…?」
声のする方を見れば、先ほどの少女が立っていた
「その、怪物相手に、生身で?」
「まあ、大したことじゃない。俺も純粋な人間じゃないからな」
「それはどうゆう…」
椛の問いが最後まで出ることはなかった
なぜなら
「椛様!お急ぎください!」
「! どうしたんですか?」
やってきたのは少女と同じ制服を着ている若い少年だった
「飯綱丸様がお呼びです!至急会議に参加せよよのことです!」
「わかりました、すぐに行きます!」
そう言って2人は走っていってしまった
「はぁ、俺も行くか」
先ほどの少年がドーパントの男を連れて行ってしまったので1人になった
ここにいるのも退屈なので、妖怪の山を登ることにした
「新組織、ですか?」
治安維持隊本部の会議室にて、会議が行われていた
奥の席には飯綱丸龍が座りその横の席を他の者が埋めている
「ついさっきこんなものが送られてきた」
飯綱丸が見せたのは一枚の紙
そこに書かれていた内容は
「『貴様らが違法に保持している神のメモリを速やかに引き渡せ、さもなくば武力行使に出る』だそうだ。随分と沸点の低そうな連中だな」
飯綱丸はそう言って紙を机に放る
「はたて、神のメモリってなんだ?」
「おそらく『エクストラ』のメモリのことかと」
飯綱丸の問いかけにはたてが答える
「エクストラねぇ、持ってるやついるか?」
誰も手を挙げない
そこへ
バンッ「遅くなりました!」
椛が入ってきた
「遅かったな、椛」
「申し訳ありません、飯綱丸様。侵入者の対処をしておりまして…」
「後ろの彼か?」
「え?!」
飯綱丸が指差す先には、護がいた
「いつの間に?!」
「お邪魔させてもらうぜ?」
「護さん!どうしてこちらに?」
「お、文さん。ども」
「あ、どーも。じゃなくて!」
「知り合いか?」
「はい、最近幻想入りされた方で、凱さんのご友人です」
「ほう、そうか。護といったか?」
「そうだが、なんかようか?」
「お前にはこいつがわかるか?」
飯綱丸はそう言って机の上の紙を見せる
「それは『文字読めるか?』か、それとも『意味がわかるか?』のどっちだ?」
「後者だ」
「なら『YES』だ。内容は理解できるし、俺が幻想入りしてきた理由でもある組織の連中だろう」
「その『神のメモリ』ってものはわかるか」
「ああ、おそらく凱の持ってるやつだろうな」
「渡すように説得は…」
「無理無理、ってか渡したら殺されるぞ」
護は冗談を言うように笑い返す
「エクストラを神なんぞという連中だ。それにこいつらがやろうとしてるのは独裁政治だ」
「…その根拠は?」
「ほら、最後に書いてあるだろ?」
そこに書いてあったのは『glorious chemical society』の文字
「これは?」
「『栄光の化学結社』。そいつらは自分の利益のためなら手段を問わない屑連中さ」
護はそう言って会議室を出る
「そいつらに従うか争うかは、任せるぜ」
ーー化学結社ーー
「栄光の化学結社?」
「ああそうだ」
妖怪の山を登っている最中のことだった
紫さんの式神である八雲藍と出会い共に登っている時の話だ
「その連中が、例の新組織か?」
「間違いない。連中はどうやらエクストラメモリを使って自分達の世界を創るつもりらしい」
「それを防ぎたい、と」
「そういうことだ。相変わらず話が早くて助かるよ」
藍とは幼い頃からの知り合いだ
保育園児くらいの頃から俺を知っている
「敵の詳細は?」
「そこはまだだ。だが、幹部はそれぞれ強力なメモリを持っているとしか」
「それで十分だ」
「そうか。気を付けろよ」
「りょーかい。凱には俺から伝えておく」
「助かるよ」
「まさかこんなにも早いとはな」
先ほどの回想を頭の中で繰り返しながら、護は下山していた
早めに戻って凱に伝えよう
そう思っていた時だった
「待ってください!」
後ろから呼び止められ、振り返る
そこには先ほどの狼の少女がいた
「あれ?確か…椛だっけ?」
「は、はい!その、感謝を伝えたくて」
「感謝?ああ、さっきの」
「はい、助けてくださってありがとうございます!」
「いいのいいの。それでどうすんの?」
「私たちは、戦います」
「そうか。じゃあ、これからもよろしくな」
「は、はい!」
護が差し出した手を、椛がとる
この時、椛の顔は真っ赤になっていたが、夕日に照らされたお陰で護に悟られることはなかった
続く
ここまで読んでいただきありがとうございました
次回は凱の方のことを書く予定です
それではまた次回お会いしましょう
凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……
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簡単にまとめてほしい
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詳しく別々でほしい
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いらない