幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

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どうも、フォーウルムです
今回は護が凱の心の壁をぶち壊します
今後の人間関係のために凱を勇気づける回となります
一応最後に女性陣も登場します



教えていただいたのですが、既存のメモリに『ドラゴン』があるらしいですね
今作のドラゴンと原作のドラゴンは別ですのでよろしくお願いします


第28話 誰かを守るために

 

 

「いい星空だ…」

適合者探しで疲れた俺は、バルコニーにの椅子に座っていた

最近は夜でも室内にこもっていたためか、その星空はとても美しく見えた

このまま、何もせずに座っていようか

そう思った矢先

「ここにいたのか」

護がやってきた

「少し休ませてくれよ」

「それはすまないが、ちょっと気になったことがあってな」

「なんだ?」

一呼吸置いて、護の口から出た言葉は

俺を動揺させるには十分であった

 

「お前、()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 

 

 

 

数分前

 

 

 

 

「あんたが頼みなんて、珍しいな」

「しょうがないじゃない、貴方くらいにしか頼めないんだから」

凱に会う少し前、俺は博麗霊夢に相談を受けていた

「にしても、あいつがあんたらをどう思ってるか聞いて、なんになるってんだ?」

「それは…その」

霊夢が赤面するのをみて、そういうこと(恋愛について)だと納得する

「わかった。聞くだけ聞いてやるよ」

「…!ありがとう、助か…」

「ただし」

「?…何?」

「聞き方は俺なりにする。あと、おそらく期待してる言葉は出ないぞ?」

 

 

 

現在

 

 

 

「どうって。それはしっかりとしてて…」

「そうじゃねえよ」

護は核心をつく

おそらく凱が一番聴かれたくないことを訊ねる

 

「お前、あいつらのこと心の中では避けてんだろ?」

「……」

凱は押黙る

いつもなら優しい光を宿す眼は、彼本来の、闇に染まった瞳に戻る

「いつから気づいていた?」

いつもよりも一層冷たい声に、緊張しながらも護は答える

「なんとなくだ。明らかに対応がおかしいからな」

「そうか。隠しているつもりだったのだがな」

凱が心の中で壁を作り、ほんの一握りの人間にしか心を許さないのを、俺は知っている

人前では比較的明るく振る舞っているが、本来は違う

深く、暗い闇。まるで深淵を覗き込んでいるような、そんな威圧感を漂わせているのが本来の凱だ

それを知っているのは俺を含めても十人に満たないはずだ

「あいつらに話したのか?」

「いや。だが、勘づいてる奴はいるだろうな」

以前、フランドールには本性を見せたらしいが、それ以降はないらしい

なら、なおさらだ

「じゃあ、なんでそれをあいつらに話さないんだ?」

たちが悪い質問だと、心の中で思う

俺はその理由を知っているのに

「あいつらを、巻き込みたくはない」

「死んでしまうからか?」

「…ああ」

 

巻き込みたくない

それは立て続けに家族を失ったあいつが出した結論

子供の頃、昔からの親友だった俺ともう数人にのみ、あいつが話したこと

『自分と関わった人達は必ず死んでしまう』

小学校に通ってる時期の時点で既に身内や家族を何人も失ったあいつは次第におかしくなっていった

なんとか食い止めようとした俺たちは、どうにかあいつを説得した

今考えれば、呪いだったのかもしれない

『俺たちは何があっても、凱の親友だよ!』

俺たちがそう言って無理矢理にあいつを宥めた

それが正しいとは今も思ってはいない

でも、あれ以外に選択肢はなかった

 

「今も引きずってるのか?」

「当たり前だろう…怖いんだよ、あいつらが大切に思ってる奴らが死ぬのが!」

凱は声を荒げる

「何度も何度も何度も!あいつらが、霊夢やフラン、咲夜や文たちが死ぬのを見た!ガキの頃の、家族の死を目の当たりにする瞬間だって!護、お前やあいつらが死ぬ所だって!」

凱の口から溢れ出る、今までの苦悩と絶望

いつものこいつが絶対にしないであろう泣き言を、俺はただ聞いていた

「今じゃ、ろくに寝ることもできない。寝れば、あいつらが、お前らがまた俺の知らないところで…!」

「馬鹿野郎っ!」

「!!」

俺は凱の胸ぐらを掴み、怒鳴りつける

急なことに凱は驚いている

「お前がそんなんでどうする!お前が、そんなにくよくよしていれば、守りたいものも守れないぞ!」

凱に言葉を叩きつける

「いいか、よく聞け!俺たちは人間だ。あいつらは妖怪や魔物かもしれないがな、()()()()()()()!生きてれば必ず死は訪れる!」

「…だが」

「ああ、死の瞬間は誰にもわからん。寿命、病、事故。何で死ぬかは俺たちにはわからない、分かりようも無いんだ!

でもな、強くなきゃ何も守れないんだよ!どれだけ力が強くても、どれだけ賢かろうと、心が弱けりゃ何も守れやしないんだよ!」

「…それは」

「お前は、それでいいのか?」

「…」

凱は項垂れてしまった

「確かにお前は強い、おそらくメモリの扱いも含めて最強だろう」

「…」

「でもな、それだけじゃ守れねえんだよ」

「…」

「どうすればいいか、わかるか?」

「…わからない。教えてくれ。俺は。俺はどうすればいい?」

顔を上げた凱の眼には、覚悟の光が灯っている

「簡単だ、『頼れ』」

「頼る…?」

「そうだ、思いっきり頼れ。周りがお前を信頼して頼るように、お前も周りを信頼して頼れ」

「いいのか?」

「ん?」

「頼っても、いいのか?」

「もちろんだ、お前は、一人じゃないんだからな」

「ああ、そんな、そんなことだったのか。俺が、長い間、求めていたものは…」

「気づくのが、遅えんだよ」

笑いながらそういう俺を見て、凱もつられて笑う

 

凱は気づかなかったが、俺たちの会話は、盗み聞きしている他の連中に筒抜けだった

 

 

 

 

「いやー、久々に語ったな」

「はは、そうかもしれんな」

疲れた俺たちは椅子にもたれ、星空を眺めていた

さて、俺が聞きたいことは終わったし、あいつの壁も壊れたところで

 

本題に入ろうか

 

「さて、凱君」

「あ?なんだよ?」

訝しむ凱に俺は最大限の笑顔で訊ねる

「あいつらの中で誰が好きなんだ?」

霊夢に頼まれたのでしっかり聞く

別に俺が知りたい訳ではなくもない

俺の質問を凱は笑いながら答える

その目にはあの頃の、幼い頃の優しい光が灯っていた

 

が、奴の口から放たれたのは核爆弾にも等しかった

 

「全員好きだ」

「……?」

「聞こえなかったのか?」

「いや、え?…E?」

「だから、全員好きだと…」

「はあぁぁ?!!」

「そんなに驚くか?」

「当たり前だバカやろう!お前はどこぞの一夫多妻制度の貴族か?!」

「ダメか?」

「いや、ダメってことは…無いのか?」

そもそも日本かどうかも怪しいこの世界で、一夫多妻制度が存在するかはわからないが、ハーレムでもいいのかもしれない

「ったく、この女誑しめ」

「お前に言えたことでは無いだろう?」

「ちげえねえな」

俺たちは腹の底から笑った

こんなのは、いつぶりだろうか?

こいつと、こんなふうに笑い合うのは…

 

 

 

 

 

バルコニーから出て、館内に戻る

出入り口の近くには、霊夢や咲夜、フランといった凱に好意を寄せる少女たちがいた

ちなみに凱はバルコニーの椅子にまだ座っており、膝の上にペット(ナイトメア)を乗せて星を眺めている

「どうだ?あいつの言葉を聞いて」

「…素直に嬉しいわよ」

「あいつがお前らをどう思ってるかはわかったんだ。あとはお前ら次第だ」

「そうね、ありがと」

俺は手を振りながら、その場を後にする

 

凱が今後どうなるか、とても楽しみだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました
次回から、女性陣が凱に猛アタックするストーリーが…描けたらいいな
本編と混ぜながら出す予定ですのでお楽しみに

それではまた次回、お会いしましょう!

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

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