幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

49 / 101
どうも、フォーウルムです!
今回から日常と言うか幕間のお話です
魔界組の事を書きたかったので書きます


第38話 魔王と鎮魂歌と食べ放題

 

 

 

 

 

ーー魔王と鎮魂歌と食べ放題ーー

 

 

 

 

 

 

「……終わった」

フォルトゥナ城の執務室にて、ギルバは椅子にもたれ掛かっていた

彼の机の上には大量の書類が

内容は外交、地域調査、予算案など仕事関係のものばかりだった

今までは外交なんてしてこなかったので非常につらく感じている

「…もっと早く気づければな」

外交相手には幻想郷はもちろん、他の国や次元のところとも交易も結んでいた

お陰で今の魔界は以前よりも活気に溢れている

「これも何とかしないとな」

手にとったのは戦闘報告書

内容は先日の『カラミティ討伐』に関するものだった

死者はでなかったものの重軽傷者は非常に多かった

特にモナとルクスの怪我は酷かった

「頭痛が酷いな。休むか」

そう言って彼はソファに横になって眠りにつこうとした

そこへ

ガチャッ

ノックも無しに扉が開けられた

「ん?ああ、ファスか」

「…起きてた?ギルバ様」

入ってきたのはファス

新生幹部のメンバーの1人で、唯一自由に執務室に出入り出来る

他のメンバーはノックするし許可をとる

そう言った意味で自由に出入りするのはファスだけであった

彼女はソファに寝転ぶ俺の隣に来て膝立ちになる

「どうした、なんか用か?」

「……ん」ペラッ

「これは…ケーキ食べ放題?」

「…うん。嫌?」

ファスが持っていたのは人里の店で開かれるケーキ食べ放題のチラシだった

「嫌じゃ無いが…ジーナやモナと行けばいいだろう?」

「…ジーナにはジンがいるし、モナは今はダメ」

「ダメって……ああ、そうだったな」

モナは先日の討伐戦で傷を負い、さらに精神的にも参ってしまったのだ

今はデスクワークを淡々とこなしている

非常に心配だ(保護者目線)

「わかったよ、それでいつ行くんだ?」

「…今がいい」

「はぁ、わかった。すぐに行くから待っててくれ」

「!……うん」

俺がそう伝えるとファスは嬉しそうに部屋から出ていった

 

 

 

人里 南エリア

 

 

 

 

「このお店か?」

「…そう」

2人が来ていたのはチラシのお店

時間も三時とお茶の時間なだけあって混んでいた

ファスは店に入り、店員に注文する

「…すいません」

「いらっしゃいませ!ご注文は?」

「…この食べ放題ってまだやってますか?」

「はい、大丈夫ですよ!」

「…じゃあそれで」

「わかりました!こちらへどうぞ!」

そのまま席に通され、すぐにケーキが運ばれて来る

「……すごい」

「これは、なんともな」

そのケーキはどれも美しく、美味しそうだった

「…!このショートケーキ美味しい…」

「このモンブランも旨いな」

「……」ジー

「ん?どうした?」

「…私もそれ食べたい」

「そうか、ほれ」

ギルバはモンブランを切り、フォークで刺して差し出した

「!?…えっと、その」

「なんだ?食わんのか?」

「…食べます」

そう言ってファスはギルバが差し出したケーキを食べる

その姿はまるで

「……恋人みたい」

「ん?……!」

赤くなるファスの言葉でやっと自分がしたことにことに気づくギルバ

「嫌だったか?」

「……ううん、良かった」

そんなふうにしながらケーキを堪能した

 

 

 

 

 

「いや、思ったより多かったな」

「…でも美味しかった。満足」

「俺も気分転換になって良かったぞ」

フォルトゥナ城に帰る途中、2人は並んで歩いていた

「……ねえ、ギルバ様」

「どうした?」

「……なんでもない」

ファスは言えないでいた

自分がギルバの事を愛していることを

相手は自分よりも上の立場でしかも自分は元奴隷

叶わぬ恋だった

今まで気軽に話せていたのはギルバの優しさがあってこそだった

だからこそ、ファスはギルバの事を慕い、愛してしまった

「……」

「なんだ、急に黙って」

「……なんでもない」

「そうか、なら俺から一ついいか」

その言葉に、ファスは一瞬震える

何を言われるのだろうか、嫌われたのだろうかという考えが頭のなかをぐるぐるとめぐる

「今日は楽しかった」

「…え?」

「お前と共にこうやって出掛けられて、ケーキも食えて俺は嬉しかった」

その言葉は想像とは真逆の暖かい言葉だった

「これからも、お前とこういう風に色々出掛けたりしたい」

「…それって」

「ファス、俺と付き合ってくれ」

「!」

それは、ファスが言えずにいたことであり、もっとも待ち望んだ言葉だった

「……いいの?」

「何がだ?」

「……私なんかで、いいの?」

「馬鹿なやつだな、お前だからこそいいんじゃないか」

そう言ってギルバに抱き締められる

彼の体はとても暖かかった

「お前がいいんだ。俺と一緒に居てくれ」

「…うん。……うん!」

ファスは強くギルバを抱き返した

 

 

 

次の日

 

 

 

「そう言うわけだから、俺、ファスと付き合う」

「……ええー?!」

ギルバはリーナにその事を伝えていた

「いや、昨日のうちにいえば良かったんだがな、すまん」

「…そっか。お兄ちゃん、ファスさんと付き合うんだぁ…」

リーナを見ればこの上ないくらい嬉しそうである

「嬉しそうだな」

「だって!あのお兄ちゃんがだよ?前までなら『戦いだー!』なんて言ってたのにさ」

「本人の前で言うか普通?!」

焦るギルバに対しリーナは腹を抱えて笑う

「でも、良かった。お兄ちゃん楽しそう」

「ああ、楽しいさ。前よりはな」

そう言ってギルバは窓の外を眺める

その景色は晴れ渡り、雲一つ無い快晴であった

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました!
今回はギルバ×ファスでした
次回も魔界組を書こうと思います

それではまた次回お会いしましょう!

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

  • 簡単にまとめてほしい
  • 詳しく別々でほしい
  • いらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。