幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

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どうも、フォーウルムです!
今回は魔界組のラストになります
慣れない恋愛系を書いたので精神的に疲れました…
まあ、楽しくもあったので問題なしです!






第41話 互いを想う気持ち

 

 

 

 

「完治したはいいけど無理は禁物だからね?あと、しばらく左腕は使えないから」

「わかりました、ありがとうございます」

「お大事にね」

ルクスが居るのは永遠亭

カラミティとの戦いのあと、彼はここに入院していた

3日ほどであの怪我が治ったのは八意というあの医者の実力なのだろう

そう思いながら永遠亭から出る

そこに居たのは

「よぉ、退院おめでとう」

「五十嵐、凱さん」

 

 

 

 

 

 

ルクスSide

 

 

「そうか、なかなかにすごい怪我だったんだな」

「ええ、自分でも驚いてます」

凱とルクスはFDLでコーヒーを飲んでいた

「でもいいのか?こんなところに居て」

「……はい」

「なんか、あったみたいだな。話してみろよ」

「…怖いんです」

「怖い?戦いがか?」

「それもありますが、彼女が、モナが傷ついてしまうのが怖いんです」

「何故?」

「今回の戦いで、俺は彼女を守りきれませんでした。ボロボロで、無茶しても歯が立たないような相手に、ただやられてしまう。そんな事に二度としたくないんです」

「ふむ…続けろ」

「はい。俺はもっと強くなりたい。強くなって、彼女を守りたい」

「あー、ちょっといいか?」

ルクスの話を凱は止める

「どうしました?」

「さっきから守るだのなんだの言ってるが、それじゃあ強くはなれんよ」

「でも」

「お前なぁ、いくら強くたって組織で戦う以上お前だけ強くても意味ねえんだよ」

「じゃあ、どうしろと!」

「例えば、だ。お前、モナの事好きか?」

「!?…今それ関係あります?」

「いいから」

「…好きですよ」

「そうか。じゃあ、今、ここでモナと一緒に戦えって言われたら、お前は戦えるか?」

「…それは」

「迷ってんならお前には覚悟と、もう一つ足りないものがある」

「覚悟と、もう一つ?」

「信頼だ。いかに相手を頼ろうとも、協力しようとも、相手を信頼してなければいけない」

「それが、足りないと」

「まあ、俺はそう思うが。詳しくは()()に聞いたらどうだ?」

「え?」

そう言われたルクスが振り向くと、店の扉が勢いよく開かれた瞬間だった

そこに居たのは、モナだった

 

 

 

モナSide

 

 

 

「今日はこれくらいにしなさい」

盤城様から言われた一言は私をひどく動揺させた

あの事件以来、ろくに寝ることもできなかった

寝てしまえば頭に浮かんでしまう

口ではああ言っていたが、心の中では「捨てられてしまうんじゃないか」という考えが離れない

次会った時になんて言われるのだろうか?

罵詈雑言、罵り、いや、それもなくただ無視されるのだろうか?

まるで、最初から居なかったかのように、私は(ルクス)の世界から排除されるのではないか?

それは、それだけは嫌だ!

気がついた時には、私は城内のお手洗いの洗面台の前にいた

鏡に映る私の顔はあまりに酷いものだった

 

顔を洗い、さっぱりしたところで盤城様に声をかけられた

「探したよ、モナ」

「どうか、されたんですか?」

「今日、ルクスが退院なんだ。迎えに行ってあげてもらえないかな?」

「私が、ですか?」

「うん。今は凱くんと一緒にいるみたいだから、多分FDLにいると思うんだ」

「…でも」

「『嫌われた』。そう思っているのかい?」

「?!……わかるんですか?」

「見てればわかるよ」

盤城は右手でモナの髪を撫でる

「彼、言ってたんだ。『モナのことを守れなかった』って。もしモナのことを嫌いになってたら、そんなことは言わないと思うんだ」

「………」

「だから、行ってあげなよ。モナのこと待ってると思うよ」

「…はい!」

盤城の言葉に勇気づけられ、モナは立ち上がる

「すぐ近くのゲートがFDLの前に繋がってる」

「ありがとうございます!」

そう言って彼女はゲートに向かっていく

そしてゲートをくぐった先には『Fallener Don‘t Laugh』の看板が

彼女は勢いよく扉を開ける

彼女の目に入ったのは、驚きの表情でこちらを見るルクスの姿だった

 

 

 

魔界に戻った二人はルクスの部屋にきた

ここにくるまでにかなりの時間があったが、互いに何も話せずにいた

「「あ、あの」」

2人の声が重なる

「モナから言ってくれ」

「う、うん。怪我は、大丈夫なの?」

「まあな、しばらく前線には出れそうに無いけど」

「そ、そっか」

モナは彼の右腕に触れる

自分を庇ってくれた際に負傷した腕はすっかり治っていた

「なあ、モナ」

「…何?」

「…ごめん」

「なんで、謝るの?」

「俺がもっと強ければ、モナを守れたのに、もっとしっかりしてれば、君を危険に晒すことはなかったのに」

「そんな、そんなことないよ」

泣きそうなルクスの顔をモナは見つめる

彼のことを好きになったのは、彼のその表情だった

怒ってる時も、嬉しい時も、悲しい時も

何があっても彼の表情には彼の心が映る

自分の気持ちを隠せない彼に、心の底から惹かれていた

「私は、ルクスが生きてる。それだけで十分だよ」

「モナ…」

ルクスは震える手でモナの頬に触れる

「ねえ、ルクス」

「なんだ?」

「もし、一緒にいたい、って言ったら。私と一緒にいてくれる?」

彼女のその表情は、今まで見てきた中で一番綺麗だった

「もちろん。次こそは俺が守ってみせるよ」

「うん、期待してるよ?」

そして、どちらともなく互いの唇を合わせる

その味は、今まで味わったものの何よりも

甘く、そして刺激的だった

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
今回で魔界組は終了、そして5章中編も終了となります
次回からまた本編になりますのでお楽しみに!

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

  • 簡単にまとめてほしい
  • 詳しく別々でほしい
  • いらない

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