今回は異様に長いです
ーー雪と嵐ーー
謎の鎧に音速で連れて行かれた先は紅魔館だった
「死ぬかと思った…」
「やあ、お前が雪華か?」
「ああ、そうだが」
館から男が現れる
「はじめまして、五十嵐凱だ。どうだった?音速の旅は」
「殺す気なんじゃないかと思ったよ」
ジト目で彼を見つめる。
「その程度では死なないだろう?半人半妖」
「…うるさい」
なぜ知っていると疑問に思うが、瑣末な問題だ。
「随分とまともそうじゃないか。彼女が惚れ込むのも納得だ」
「これでも悪酔いする霊夢達の相手をしてるんだ。自然とそうなる」
額を押さえてそう言った。
「君の世界でもそうなのか」
凱は溜め息を吐く
「ということはそっちでもか…」
こちらもため息を吐きながら彼についていく
「まあね、今じゃすっかり仲はいい。っと、ついたな」
凱は紅魔館の一室の前で立ち止まる
「失礼する」
入るとそこには、姫乃と桜がいた
「桜!」
にわかに顔が明るくなる。
「雪華様!」
私は、雪華様に抱きついた。雪華様も、優しい顔で私を抱き締め返す。
「無事で良かった…」
「無事…、ですかね?」
「どういうこと?」
「いや、えっと、その…」
凱を見る
「ああ、早とちりした俺が脅した挙げ句首を締め上げたな」
「凱君!」
姫乃ちゃんが怒鳴る
「…君、遭遇したばかりの女の人の首締め上げるとかどんな了見?」
まずい。雪華様は本気で怒ってる。
「悪いがこちらは戦争中でね。形振り構ってはいられないのさ」
「本当に、勘違いみたいなものですから!落ち着いてください!」
「…君がそう言うなら」
なんとか収めてくれたみたい。
「反省してる?」
「してる。だから怒んないでくれ」
姫乃に怒られ肩を竦める凱
「まあ、それは水に流そう。戦争中と言ったね?何が起こってるんだ?」
「その前に、色々話すことがある」
そう言って凱は二人にメモリやこの幻想郷のことを話した
「ふむ…、まさか、そんなことになってるとはね」
軽い口調だが、顔は真剣そのものだ。
「ああ、一応2体は倒したんだが、3体目がな」
「聞こう。どんな奴だ?」
「申し訳ないが、こちらでも把握できていない」
「そうなのか…、遭遇はしたのか?」
「そもそもで出現場所が幻想郷じゃねえんだ」
凱は腕を組んで考える
「情報が無い以上、こちらは下手に動けん。護達の情報待ちになる」
「なるほど。護とやらはさっきのあいつだな。あいつは大丈夫か?母…、幽香さんとパチュリーは安心できるが」
「アイツは大丈夫だ。なんなら俺は他のやつが心配だな」
「そうか。あいつはそんなに強かったのか。お前が言うなら安心できる」
「とりあえず、今は休むしかねえな。ん?すまんが席を外すぞ」
そう言って凱は部屋の外に出た
「ああ。了解した」
後に残されたのは雪華に桜、そして姫乃であった
「姫乃さん、だね?」
「ええ、はじめまして」
姫乃は微笑む
「貴方が雪華さんね。桜ちゃんから聞いてるわ」
「紫さんから聞いてる。桜を…、妻を、守ってくれてありがとう。感謝するよ」
そう言って、頭を下げた。
「いいのよ、気にしないで」
姫乃はそう言って顔を上げさせた
「貴方達は、別世界の幻想郷出身なの?」
「そうなるね」
「そう、羨ましいわ」
彼女はそう言いながら紫の瞳で二人を見つめる
「羨ましい、のかい?」
「私は、いや私たちはこの世界の外から来たの」
そう言いながら傍らにあるパンドラを見つめる
「パンドラと一緒に、この世界に来た。彼を追ってね」
「なるほどねぇ」
「今でも考えるの。彼がこの世界の生まれなら、私たちが最初から彼と幻想郷に居られたら、ってね」
「そうすれば、彼を救えたかもしれないのに」
「私だって、同じだよ」
「え?」
「私だって、雪華様を追って幻想郷に来て、その時には雪華様は記憶を無くしてた」
「違う、違うの」
姫乃は横に顔を振る
その目からは涙が溢れる
「彼が傷を負ったのじは、あっちの、私達が生まれた世界なの。気づけなかった。彼の優しさに甘えて、彼の心の傷に気が付かなかったの」
「姫乃ちゃん…」
「僕も、同じようなものさ」
「……そう、なの?」
「ああ、僕だって、父さんを、戦争で亡くしてる」
「そう…だったの。お母さんは?」
「母さんは、今護と居るかな」
「え?お母さんと?」
姫乃は疑問符を頭に浮かべる
「まあ、いいわ。戦争が終わったら、凱君と話してあげて。貴方達なら、きっと」
姫乃はそこで言葉を一度きり、そして
「家族を失った辛さを知る貴方なら彼を助けられるはず」
「わかった。話してみるよ」
「お話中失礼」
入ってきたのは凱だった
「凱。どうした?」
「ちょっとな。姫乃、復帰して早々で悪いが人里のマジェスト狩りに行ってくれ」
「わかったわ」
「気を付けろよ」
「ええ」
そう言って姫乃は部屋の外へ行ってしまった
「どうだ?護からの情報は来た?」
「ああ、大まかな正体も判明した」
「教えてくれるか?」
彼は首を傾げた。白銀の髪が揺れる。
「……駄目だ」
凱は首を横に振る
「なぜだ?僕だって戦える」
「そういう問題じゃない。相手はそんじょそこらの妖怪とは訳が違う」
「…とりあえず聞くだけ聞かせてくれ。ヤバそうなら手を引く」
「相手の名前は『サクリファイス』。攻撃手段が今でも判明していないが、少なくとも生身でやり合える奴ではない」
「それでも、ただ見ているだけなんてできない!」
「………」
凱はあの日を思い出してしまっていた
家族を失った、あの恐怖を
そのせいか、彼の顔は青ざめかけている
「大体のことは、姫乃さんから聞いている。だからこそ言おう。思い上がるな。1人にできることなんて限られている。全てを背負おうとするな」
「…お前に何がわかる?」
凱は声を振り絞る
「俺は、家族を失った。力が無かったゆえに守れず、誰一人救えなかった俺の気持ちの、何がわかる!!」
「僕だって、父親を喪ってるんだよ!!ああわかるとも!同じだったからな!だからこそ強くなって、『手の届く』全てを守ると誓った!!」
「いや、何もわかっちゃいない!」
凱はさらに怒鳴る
「家族は全員、味方であるはずの身内によって殺された!自分は弱く、誰かに助けを求めることも出来ない!」
凱は涙を流し、雪華の胸ぐらを掴む
「わかってくれ、君達を……君達に傷付いてほしくないんだ…!」
「だから、自分が傷つくってのか?とんだ美談だな」
嘲笑うかのように微笑む
「なんだと……!」
「言ったろ、誰だって限界がある。お前はそのラインが人よりほんの少しだけ高いだけ。もう一度言おう。思い上がるなよ」
鋭い眼差しで彼は言い放つ。
「………そうかよ」
凱は手を離す
「……相手は妖怪や化物を優に超える『神』に等しいやつだ」
部屋の出口に向かいつつ言い放つ
「俺が危険だと思ったら退いてもらう。構わないな?」
「ああそれでいい。もっとも、危険にはさせない。僕と君が居るんだ。出来ないとは言わせないぜ?」
「俺に付いてこれるか、楽しみにしてるぜ?」
凱は不敵に笑う
「そいつはこっちのセリフだな!」
雪華ニヤリと、だが信頼できる笑顔を作って言った。
ーー彼らのメモリーー
その日の夜
夜風を浴びに外に出ていた雪華は考え事をしていた
「どうした、悩み事か?」
そこへ凱がやってくる
「いや、生身で行くのが危険ならなんとかしなきゃだろ、と思ってな」
「なんだ、案外ちっぽけな悩みだな」
凱は鼻で笑う
「なら、君には考えがあるとでも?」
「まあ、考えがないこともない」
「教えてくれるか?」
「簡単な話さ」
凱は立ち上がる
「お前らもメモリを使えばいい」
「そういうのは、大抵適合が必要だろう?」
「ほう?知ってんのか。って、今日話したな」
凱はそう言いながら懐を探る
「お、あったあった」
彼が取り出したのは『C』のイニシャルのメモリだった
「『サイクロン』…、か?」
「そんな綺麗なもんじゃねえよ、これは『コックローチだ』」
「げ、ゴキブリかよ」
「コイツはドーパントどものメモリのなかでも流通が多いから簡単に手に入るんだよ」
「1匹見たら30匹ってか。本物と変わらないな…」
「まあな、本題はこっからよ」
凱は雪華の肩を掴む
「ふむ、水色か。案外珍しいな」
「…?」
何のことか分からず、首を傾げている。
「水色……あれ行けるか」
すると凱の手の中のメモリが粒子のように分解される
「へぇ…」
感心しきった様子でそれを見ている。
「よし。ほれ出来たぞ」
そう言って凱は手を開く
そこには水色のメモリが
イニシャルは『S』
「不思議と分かる。『スノー』だな?」
「御名答。さて、彼女のも作るか」
そう言って辺りを見回す
が、そこに桜は居なかった
「居ねえな。部屋か?」
「ああ、疲れたって言ってな。誰かさんが締め上げたせいで」
そう言って笑うが、目が笑っていない。
「……あれはすまなかったな」
凱はそう言う
なんとも思ってないような素振りだが、声のトーン落ちる
「いや、まあ…、事情聞けば疑っても仕方ない。だがやりすぎたな?」
「そうだな、まあ以前似たようなときは20人くらい殺したから、その時よりはましかもな」
「さすがにやりすぎだろう…、まあ、元兵士の僕が言えたことじゃないが」
思わず半眼になり苦笑する
「……あん時は制御が効かなかった」
凱は自身の右手を見る
「親父の仇を逃した上に、思い出したくもねえ事があったからな」
「まあ、それは置いといてだ。ドライバーが必要なんじゃないか?」
雪華は話を切り替える
「あー、直挿しは無理か」
「さすがに躊躇するな」
「安心しろ、駄目だったから」
そう言いながら凱は自身のベルトをつけ、メモリを挿す
《ヘファイストス》
「仮面ライダー….ではないのか」
「ああ、こっちでは《ガイアナイト》と呼ばれるんだ」
凱はそう言いつつ左腕から光を放つ
数秒後、その手には2本のドライバーが
「…凄いな」
雪華興味深そうに見ている。
「《ヘファイストス》は何でも作れっからな、ほれ」
そう言ってドライバーを渡す
すると
「凱君、何してるの?」
姫乃がやってきた
後ろには桜もいる
「姫乃さん、桜。丁度いいところに」
「何ですか?」
「……………はぁ?」
凱は桜を見ながら疑問の声をあげる
「どうした?」
「……いや、俺の眼にはソイツに適合するメモリの色が見えるんだが…」
「ピンクって何だよ」
「ふむふむ」
「わ、私が、何か?」
1人だけ話に付いて行けない桜だ。
「そんなに珍しいの?」
姫乃の言葉に凱は頷く
「みたことねえわ。まあ、物は試しだ」
凱は桜の肩を掴む
「ふぇ?」
いきなり掴まれたので驚く。
凱の手に光が集まるが、しばらくしてもメモリは出来上がらない
「……出来るかなぁ?」
「まあ、珍しいらしいしな。桜、もう少し待ってて」
「え?は、はい…?」
「待ってろ、直ぐに……お?」
光がやっと1つになりメモリが出来上がる
その色は赤が強めのピンクだった
「完成した。さてさて……あぁ?」
凱はメモリを見て再び疑問の声をあげる
イニシャルは『L』だ
「…なんだそりゃ?」
「…『リコリス』」
そう呟く。
「彼岸花か。あ、なるほどな」
凱はそこにはメモリを見て納得する
「確かに彼岸から連れ戻したからな」
「…あんなこと、二度としないでください」
「無茶しやがる。ほら、アンタのメモリだ」
そう言って凱は桜にリコリスを渡す
その時だった
偶然、雪華の指がスノーメモリのスイッチを押した
《スノー》
瞬間地面が凍りつく
「…これ、こんなに強いメモリなのか?」
地面を見て驚きながら呟く。
「いや、本来は押した程度じゃ何にもなんねえよ」
凱は周りを見る
「おそらく《過剰適合》だな」
「…マジか……」
心底驚愕したようだ。声が少し震えている。
「直で挿さなきゃ問題ねえよ」
凱は笑う
「明日の朝に魔界に行く。しっかり休んどけ」
「了解した。さて、行こうか」
「はいっ!」
2人は笑い合いながら自分達の部屋へ戻っていった。
続く
ここまで読んでいただきありがとうございました!
今回は凱の葛藤などもあって長くなりました
次回はもう少し短い……予定です
それではまた次回、お会いしましょう
凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……
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簡単にまとめてほしい
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詳しく別々でほしい
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いらない