幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

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「今度の訓練に参加してほしい?」
「ああ」
FDLの店内には三人の男女が
1人は五十嵐凱
全身を黒一色の制服で包んでいる。その制服はどこの組織のものでもない。凱が独自に考案し、作ったものだ
「地底の闘技場で行われる治安維持隊という組織の訓練に出てもらいたい」
「そこで僕たちはどうすればいいんですか?」
2人目はそこそこ背の高い少年だ
その身には凱と同じデザインの制服を纏っている
カラーリングは黒に赤や青、黄色だ
「そこでコイツと戦って、データを取ってきてほしい」
凱が差し出すのは一枚の写真
「コイツは?」
「臨時で参加することになったやつだ。名前は『ルクス』だ」
「わかったわ。任せなさい」
そう言って写真を受け取ったのは、凱と同じくらいの背の女性だ
2人と同じような制服だが、デザインは女性用に変えられており、黒と青紫色のカラーリングだ
「来たばかりの2人に任せてしまって申し訳ない」
「いいんですよ!()()()!」
「私らも、この世界に慣れなければいけないからな」






第59話

 

 

 

 

ーー拭えぬ違和感ーー

 

 

 

 

地底 闘技場

 

「そこまで!勝者、ルクス!」

『おおー!』

 

ここは地底にある闘技場

今日、そこでは治安維持隊地底支部の訓練が行われていた

訓練といっても内容は組み手で勝ったほうが残り、そのまま負けるまで戦い続けるというものだった

そんな維持隊の訓練になぜルクスが参加しているのかというと、それは数日前に遡る

 

 

 

 

数日前

フォルトゥナ城 軍部執務室

 

「なんで呼ばれたのか、わかるかな?」

「はい」

ルクスは机の前に立っている

机には盤城が座っており、ルクスを見ながら微笑んでいる

結果表(スコア)、見させてもらったよ」

スコア、正式名称は《戦闘適性試験結果表》という

魔界の自治組織となったDevil Castleの幹部であるジンやモナ、ファス等が受ける試験のようなもだ

検査方法は検査装置をつけた状態で変身し、3回試験官と戦い、その得点の平均値が結果となる

100点満点のこのテスト。いつもルクスは90点台を叩き出しているのだが……

「今回の君のスコアは平均50程度。何があったんだ?」

「………」

そう、彼の今回の結果は散々だったのである

ただ、直前の検査やその後の経過観察でも異常は見られなかった

「……すいません」

「謝ることはないよ」

頭を下げるルクスに盤城は声をかける

「最近、色々あったからね」

カラミティの討伐や魔界に現れた大量の魔製生物の対処

忙しかったのも事実なのだ

「そこで、ちょっと提案なんだが」

盤城は声を抑えつつ話す

「今度、地底の闘技場で維持隊の訓練があるらしいんだが、そこに行ってみてはどうだろうか?」

「訓練に、ですか?」

「ああ、たまには息抜きも重要だろう?」

「……わかりました」

「よし、時間は後々伝えるよ」

「それでは、失礼します」

そういってルクスは部屋を後にした

 

 

 

 

現在

 

 

「これで、12連勝目か」

ルクスは訓練に参加し、今まで危なげなく勝ち抜いてきた

相手は地底の住人で鬼や妖怪などが多いが、メモリを使った戦いならば彼の方に分がある

しかし

(なんだ、この違和感は?)

ルクスは自身の違和感に気がついていた

体が動かしにくい。今までよりも能力が発揮できていない、そんな気がしている

「まだ戦えるかい?少年」

話しかけてきたのは彼ら維持隊をまとめている赤髪の女性だ

「いけます、燐さん」

「あたいのことは燐でいいよ、っていってるのに」

そう言いながら彼女は伸びをする

「さて、次は……」

「ちょっといいですか?」

「おや?」

二人に近づいてくるのは背の高い少年だった

黒に赤と青、黄色で彩られた制服に身を包んでいる

「何方ですか?」

「はじめまして、三首(みくび) 猟介(りょうすけ)って言います」

「ああ、そうでしたか。待ってましたよ」

燐は彼と握手をかわす

「あの、この人は?」

「君と一緒で外部の人間さ」

「はじめまして。よかったら一戦どうかな?」

猟介はルクスを誘う

「わかった」

 

 

 

「これより、ルクスさん対猟介さんの訓練を始めます!」

二人はメモリを取り出し、ベルトに挿し込む

「「変身!」」

《パラディン》《トライセラトプス》

ルクスはパラディン・ガイアナイトに、猟介はトライセラトプス・ガイアナイトに変身する

「はじめ!」

その言葉を合図に二人は戦いを開始する

 

 

 

「なかなかにやるな」

「そちらこそ」

2人の使うメモリはどちらも近接型戦のメモリだった

《パラディン》は剣と盾による攻防一体の戦い方、《トライセラトプス》は棍棒(メイス)を用いた一撃必殺の戦い方

違いはあれど、近接戦では五分五分だった

決着が着かず、十数分ほど打ち合っていた2人だったが

「今だ!」

ルクスは一瞬の隙を付き、メイスを弾き飛ばす

「!!」

トライセラトプスは武器を失った

そこへルクスは一撃を叩き込み、勝てる

 

 

 

はずだったのだが

ゴスッ

「が?!」

彼の胸に衝撃が加わり弾き飛ばされる

空中へ打ち上げられた彼は体勢を立て直し、彼のほうを見る

「……なんだ、その武器は…?」

彼の手にあったのは、見たこともない武器だった

腕の太さくらいの穴が開いたリングにまるでキーホルダーのように40センチほどの棒が3本ぶら下がっている

「これの一撃受けてまだ動けるなんて、上手いですね」

「…どうも(どういうことだ?)」

彼の頭には一つの疑問が残っている

それは

 

(先程の一撃は()()()()ような一撃だった。だがあれはどう見ても『突き』ではなく『打つ』武器だ)

彼は武器を注視する

「これで戦うのはあまり慣れてませんが、なんとかなるでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らが戦っている所から隠れた場所に四人の男女がいた

「最終確認をするぞ」

眼鏡を掛けた男が他の3人に言う

「今回の目的は『他部署との戦闘時の連携の実戦演習』だ」

「殲滅が目的ではない、と」

「ああ」

眼鏡の男は話を続ける

「よって、万が一演習が不可能だと判断した場合、即座に撤退する」

「了解です、武田(たけだ)さん」

帽子をかぶった青年が頷く

野芝(のしば)、貴方はバックアップにまわってくれ」

「あいよ。元からそのつもりさ」

野芝と呼ばれた男は腕を組んで壁にもたれ掛かっている

逢坂(おうさか)さん、相手の情報は?」

「維持隊の雑兵が十数人、それと部外者がいます。数はおそらく2です」

逢坂は武田の問いにてきぱきと答える

「ふむ、部外者が気になるが、問題は無いだろう」

武田はメモリを取り出す

それに合わせ他の3人もメモリを持つ

「よし、始めるぞ」

 

男達は動き出す

「手始めに、我らの力を見せつけようじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました
どうも、フォーウルムです!
今回から形式を変えて、前書きにはプロローグみたいなのを入れることにし、話数の所から題名を無くしました

次回はついに組織《栄光の科学結社》のメンバーが登場します!
お楽しみに!

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

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