人里 北エリア
この区域は他の三区画よりも少し大きく作られている。冬の大雪に備えてだ。西、東、南とは水路や建物の造りも異なる。そんな里を歩く二人の女性がいた。
「相変わらず、冬は冷えるわね。」
暗い色のコートに身を包み歩くのは
「ほんとですね。指冷えちゃいます。」
隣を歩くのは薄い緑色のコートを羽織っているアザリア・シロッコだ。
「今日は何本売れたんです?」
「13ね。思ったよりも売れたみたいでよかったわ。」
二人はメモリを取引した帰り道だった。
「あら?ちょっと待ってね」
凛は震える端末を開き、確認をとる。
「……!」
「ど、どうしたんですか?」
アザリアは凛に尋ねる
「……貴女にお話があるようよ」
そう言って見せてきた内容は
『本日22:00に指定された座標にアザリア・シロッコと共に来るように』というものだった
第61話
ーー星の狼ーー
「…………ハズレか」
「た、頼む!命だけは!」
「もういい。さっさと失せろ」
「はっはひいいいぃぃぃ!」
里の路地裏で1人の青年が中年男からメモリを奪っていた。だがそれは彼の求めていたメモリとは違ったようで溜め息を吐く。
「ゴキブリは見飽きたんですが」
「仕方がないだろう、此が一番簡単に手に入るのだ」
青年の足元にいるのは一匹の狼だ。漆黒の毛並みに白い毛が斑になっている。
「《ゾディアック》、悠長にしてる暇は無いんだ」
《ゾディアック》と呼ばれた狼は鼻を鳴らす
「あの少女にかけられた呪いは今の私には解けん。それに、
「……そうですね。すいません」
「気にすることはない。彼女が心配なのはよくわかる。」
ゾディアックは欠伸をしながら加賀龍に近づく。
「そろそろここから離れよう。余り人の目に付くのはよろしくない」
「ええ、そうしましょう」
そう言って1人と1匹はその場を離れていったのだった。
ーー見下ろす管理者は何を思うかーー
とある建物
栄光の化学結社 工場
白い電灯がいくつも並び、内部を照らす。そこでは何人もの人間が機械を確認し、調整し、時に自身の手を以て作業を進める。彼等は《部門構成員》という立場だ。
この組織には六人の幹部、《幹部六候》が存在する。その六人はそれぞれの部門を持っている。戦闘、支援、売買、情報、執行、そして製造。幹部達は部門内では《部門指揮官》という立場になり、指揮官直属の部下を《部門幹部》という。《部門構成員》はそれの下だ。本来、構成員は幹部に会う事はあっても指揮官に会う事どころか、声を聞く機会など無いに等しい。……
『通告。構成員諸君。よく働いてくれた。本日の業務は終了である。速やかに次の担当グループと交代し、しっかりと休み、後日の業務に支障がでないように。』
天井に備え付けられたスピーカーから声が響き渡り、構成員達は業務から解放され、それぞれの部屋に戻り、次のグループの構成員達が入れ替わりで作業を再開する。
先程の放送の声の主は、作業していた彼等よりも高い位置から見下ろしている男だった。彼はこの工場の管理をする《部門指揮官》であり、幹部六候の1人である
彼は基本的にこの部屋からは出ない。食事をする、書類を確認する等の最低限の生活以外は基本的に仕事の監視だ。
コンコン「失礼しま……また監視ですか?」
「心外。またとはなんだ。『監視』が私の業務だ」
「……はぁ。」
部屋に入ってきた女性、
彼女は書類を机の上に置きながら続ける。
「第一、彼等は只の構成員。替えが利くじゃありませんか?」
「否定。確かに彼等は我々からすれば切り捨てても構わない部品だろう」
機山は机の横の冷蔵庫から烏龍茶を取り出し、飲む。
「当然。我らが目的に向かい歩みを止めないのと同様に、彼等もまた足掻き続けている。私は、そんな彼等を部品等といって切り捨てることは出来ん。」
「……しかし」
「美学ですねぇ」
二人の会話に割って入ったのは緑髪の青年だ
「意外。君がここに来るのは珍しいな、
「そうっすねぇ。俺は基本外回りだからなぁ」
八木は体を伸ばす
「それで、製造はどんな感じっすかぁ?」
「当然。予定通り、いやそれ以上の速さで進んでいる。」
「さすがっすねぇ」
「何か、用事があるんじゃないの?」
柊木が八木に問う
「そーだった。機山さんに連絡っす」
「?」
「
ーー狂った詩を花束にーー
夜22時
凛とアザリアは人里から離れた空き地に来ていた。
「……ここで合ってるんですか、凛さん?」
「そうね、ここのはず…」
そんな2人の前に、
身長は170程で体はモデルのようにスラッとしている。
「「?!」」
急な出来事に2人は警戒するが、次の瞬間に女性は花束を抱えていた。
「先ずは、おめでとう…かしらね」
女性にしては低い声が響く。
「……」
「…あの、おめでとうって?」
アザリアが聞く。
「アザリア・シロッコ。貴女を次の大規模作戦の指揮官に命じます。」
「「!」」
女性の言葉に2人は驚く。
「作戦は後日、詳細を送る。」
「そうですか……よかったわね、アザリア。」
凛はアザリアの肩を優しく抱く。
「これはそのお祝いだ。」
女性は花束をアザリアに手渡す。
「あ、ありがとうございます」
「その花も、
「え?中の物って…?」
アザリアが聞き返したとき、既に女性は消えていた。
「あの方は……一体」
「……? アザリア、そのメモリは?」
「え?」
凛が花束の中を指差す。アザリアがそれを恐る恐る取り出すと……
それは《ラプソディ》と刻まれたメモリだった
続く
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
なんだか久しぶりな気がするフォーウルムです!
今回は加賀龍のメモリの正体、新たな戦いの準備をする組織のお話を書かせて頂きました。
徐々に組織のメンバーが出揃ってきました。あと半分くらいかな?
次回は護関連のストーリーとなります!
お楽しみに!
感想も待ってます
凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……
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簡単にまとめてほしい
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詳しく別々でほしい
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いらない