幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

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「見つけたぜ…」
戦闘音が鳴り響く紅魔館を眺めている1人の影があった。男の顎のは髭が生えており、目つきは悪い。
「長かった…本当に長かった。」
その手には『D』のメモリが握られている。

「今度は、逃さねえぞ。」





第63話

 

 

 

 

 

 

「はぁっ……はぁっ……」

「な…何ですか……あれ!」

華扇と美鈴は肩で呼吸をしている。目の前には白い色をしたドーパントがいる。

そこへ

 

「穿て!グングニル!」

ドーパントの横から深紅の槍が突き刺さり吹き飛ばす。

「お嬢様?!」

「賑やかにやっているじゃないか、美鈴。私達も混ぜてもらおうか。」

レミリアの変身した《オーディン・ガイアナイト》の後ろかさらに2人のガイアナイトが現れる。

武装錬成(ジェネレート)!」「フレイムシュート!」

手から生成された光の槍を投げつけるのは《ヴァルキリー・ガイアナイト》の十六夜咲夜、火炎弾を放っているのは《エンジェル・ガイアナイト》のフランドール・スカーレットだ。

「グルルルル……」

3人からの攻撃を受けたのにドーパントは物ともせずに立ち上がる。

「……獣人型のドーパントか。情報はないのか?」

「……あるわ」

華扇が口を開く。

「…あのドーパントは《ファング・ドーパント》。変身者は……()()()()。」

『!?』

華扇の言葉に全員が絶句する。目の前にいるドーパントは総塚護だというのか?

「……倒し方は?」

「私達には無いわ。」

華扇は悔しそうに唇を噛む。

「クヒヒ、良い具合じゃねえか。」

5人の前に突如として新たなドーパントが現れる。

色は白だが腕が4本生えており、目は1つ。人の形をしてはいるが奇妙だった。

「《デュープ》!」

「んん?おいおい、役立たずの仙人様じゃねえか。」

「貴方は!」

「そこで見てろよ!どうせお前じゃ何もできやしねえからなぁ!」

デュープと呼ばれたドーパントは腕から細い紐のようなものを伸ばす。するとその先端が見る蜜と姿を変えていく。

「な?!《マグマ・ドーパント》!」

紐から出来上がったのはマグマ・ドーパントだった。体の色は薄くなっているものの見た目はほとんど変わらない。

マグマは両手から溶岩を飛ばしつつファングに接近する。

「グルアアァァ!」

しかし、マグマはファングの腕から生えている刀のような牙に一閃され、あっけなく散ってしまう。

「まだまだだぜぇ?」

デュープはさらに腕から紐を伸ばす。造られたのは《ライアー》、《アームズ》、《コックローチ》のドーパントだ。

「シャアァァ!」

流石に数的不利を感じたのか、ファングは霞むほどの速さで移動しその場から居なくなる。

「おいおい、逃げんのかよ。」

造り出したドーパントを紐に戻し回収したデュープは悪態をつく。

「まぁ、見つければいいか。あばよ。」

そう言ってデュープも居なくなる。

残されたのはレミリアにフラン、咲夜、美鈴、そして華扇であった。

「………何があった。」

ボロボロに荒れた紅魔館にやって来たのは五十嵐凱だ。

「ドーパントよ。」

「何?逃がしたのか?」

「……ええ」

「そうか…ところで護はどこにいる?」

そう言いながら凱は左手に持っている閻魔刀を見せる。

「コイツをあいつが手放すのは相当だ。すぐに合流して…」

「居ないわ…」

「…どういう意味だ」

凱が問う。それに応じたのは…

「私から話すわ、凱」

スキマから現れた八雲紫だった。

 

 

 

 

ーー十年前の悲劇  行動開始ーー

 

 

 

 

 

「さて、話してもらおうか。洗いざらい全部。」

動ける者全員で紅魔館の修理を終え、皆はホールに集まっていた。

メンバーは凱や姫乃は勿論。霊夢、魔理沙や妖夢といった面々。

早苗や幽香、アリス達もいる。

「わかっているわ」

八雲紫はそう言って話し始めた。

 

 

 

 

 

今から十年前、私は外の世界に住んでいた旧知の友人とその孫、藍、華扇と一緒に幻想郷を巡っていた。その子はまだ幼くて色々なものに興味を示した。

ある時、そう、地底の世界を見ていた時だった。ふとした瞬間に目を離してしまって子供がどこかへ行ってしまった。何とか探して見つけたのはよかったんだけど、その時、その子は偶然見つけたメモリを持っていて、それを狙うドーパントに襲われていたの。

何とかドーパントを追い払おうとしたのだけれど、私達にはどうすることも出来なかった。

その時だった。その子は、彼は持っていたメモリを自分に挿してドーパントになった。私達が追い払おうとしてたドーパントは退けられたのだけれど、その子は暴れ始めてしまった。メモリを切り離そうにも、まだ幼い彼から無理に引き剥がせば何が起こるかわからない。だから私は彼の中に封印したの。彼が成長し、引き剥がすことができる、その時まで。

 

 

 

紫はそう言って言葉を切った。

「その孫ってのが護なんだな?」

「ええ」

「なんで…何で言ってくれなかったんですか!?」

今まで黙っていた早苗が紫に掴みかかる。

「早く、もっと早く言ってくれていれば!」

「落ち着け、早苗。」

「凱さん!あなただって!」

「黙ってろ。お前以外にも頭に来てる連中は少なからずいるんだ。」

声を荒げる早苗に凱は冷静に、しかし怒りがこもった声で言う。その雰囲気に早苗は思わず黙ってしまった。

「助ける方法はあるんだな?」

「あるわ」

紫ははっきりと告げる。それを聞いた凱は全員に聞こえるように言う。

「二手に別れるぞ。俺と姫乃、あと他に来たい奴がいればそいつ含めて護を救う方法を用意、それ以外は……」

「凱君?」

言葉が途切れた凱を姫乃が気遣う。しばらく躊躇っていた凱は意を決して口を開く。

「他は俺らが戻るまでデュープ・ドーパント、及び護の捜索。最悪の場合は()()()()。」

凱が放った言葉に真っ先に反応したのは華扇だ。

「始末って、助けないのですか?!」

「里に被害が出ないことが最優先だ。いくら親しい仲間だといっても、敵は敵だからな。」

「……」

「倒せなくてもいい。時間を稼げ。その間に俺らが方法を見つける。」

「………ですが」

「殺す気で来るやつを助けようなんて気持ちで相手したらすぐに死ぬ。全力で当たるのが一番だ。」

「……分かりました。」

華扇はそう言うとホールを後にする。それに続いて早苗や霊夢達も各々動き出す。

残ったのは凱と姫乃、妖夢、そして幽香だった。

「私も護捜索に行くわ」

幽香はそう言った。

「メモリの調子は?」

「大丈夫、安定してる。」

「ならいい。任せたぞ。」

「ええ、そっちも早くしなさいね?」

「わかっている」

 

 

幽香が去った後、三人は考えていた。事前に紫から方法は聞いている

「さて、どうするかなぁ」

「『真護』さんを探せって言われても、どこにいるのかしら?」

そう、方法は『先代の閻魔刀の使い手である総塚真護(ソウヅカシンゴ)を見つける』と言うものである。

「あの人は俺らが幻想入りした時はまだ生きてたろ?」

「私がこっちに来るひと月前に亡くなったけどね。」

「まじ?じゃあ詰みじゃねえか」

頭を抱える凱。

「あの〜」

「ん?」「どうしたの、妖夢ちゃん?」

悩む2人に妖夢が声をかける。

「私、多分真護さんの居場所わかりますよ?」

 

妖夢の言葉に凱は目を輝かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 





ここまで読んでいただきありがとうございます。
どうも、フォーウルムです。
今回は前回のドーパント、ファングと新たな敵のデュープが登場しました。今回登場のファングは擬似メモリではなく普通のメモリとしての登場です。
ファング・ドーパントについての設定とデュープ・ドーパントはルオンさんからいただきました。ありがとうございます。
次回は凱、姫乃、妖夢のお話となります。お楽しみに!

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

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