幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

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「少しいいかな?」
「はい?どうかされたんですか?」
私が部屋で準備していると、里崎さんが声をかけてきた。
「今日は君を他の部門のメンバーに紹介しようと思ってね。」
里崎さんは笑顔で言うけれど、その目には別の何かが映っている。
「……いや、話しておこう。」
「?」
「僕の部下達は気が短いのが多いんだ。恐らく難癖言われるだろうけどなんとかやり過ごして欲しい。」
「は、はぁ……」
「じゃあ、行こうか。」






第68話

 

 

 

ーー新たなる仲間ーー

 

 

化学結社 戦闘部門管理棟

 

「今日からうちの戦闘部門に配属されることになったアザリア君だ。」

「はじめまして、よろしくお願いします。」

アザリアはそう言って礼をする。彼女の前にはもとから戦闘部門に配属されていた部門内幹部達が立っている。彼等は横一列に並んでおり特徴は左端から『厳つい軍人のような男』『チャラチャラした男』『銀髪でアクセサリーを身につけた女性』『真っ赤な髪の女の子』『黒髪長身の女性』の五人だ。

「彼女は今度の『幻想郷制圧戦』にも参加する。皆仲良くする事。僕はこの後用事があるから、武田君よろしくね。」

「はっ!」

武田と呼ばれた軍人のような男はビシリと敬礼をする。それを見て里崎は施設を後にした。

 

 

里崎が居なくなり、戦闘部門内で自己紹介が始まった。

「俺は武田(タケダ)海治(カイジ)だ。基本的に現場での指示出す。よろしく。」

竹岡(タケオカ)光成(ミツナリ)。ま、よろしくな。」

チャラチャラした男はどうやら喋り方もチャラチャラしているようだ。

Elizabeth Paula Clover(エリザベート ポーラ クローバー)デス。ヨロシク。」

銀髪の女性は片言混じりに喋る。

「私は櫛木(クシギ)王林(オウリン)だよ!よろしくね!」

真っ赤な髪の女の子は元気ハツラツだ。

「……」

最後の一人はアザリアを睨み付け、何も話さない。

折村(オリムラ)、自己紹介をしろ。」

武田に言われるが、折村は睨み付けたままだ。

「……認めないわ。」

「え?」

アザリアは首を傾げる。

「あんたみたいなぽっと出が今度の制圧戦に参加?あり得ないわ。」

「折村、何を言っている。」

「だってそうでしょ?こんな()()()()の方が私たちより優遇されるなんてあり得ないわ!」

折村はアザリアの耳を指差す。その耳は普通の人間より尖っている。それは彼女のの種族であるシルフの特徴だ。

「納得しろ。上からの指示だ。」

「ふーん。ねぇ、それってこいつが私たちより優秀だからってこと?」

「……何が言いたい?」

「こいつをここで負かせば、私の方が優秀ってことになるわよね?」

折村はアザリアに一歩、歩み寄る。

「あんたに決闘を申し込むわ。受けるわよね?」

「折村さん、それは不味いですって。」

竹岡が諌めようとするが、睨まれてたじろく。

「で、どうなのよ?受けるの?」

「アザリア、受ける必要はないぞ。」

武田はそう言った。

 

「わかりました、受けて立ちます!」

アザリアのその一言に、武田は深いため息を吐いた。

 

 

「いいんすか?武田さん。」

「サスガニシンパイデス。」

「…………仕方あるまい。」

訓練施設の真ん中で戦闘態勢に入るアザリア達を武田達は離れて見ている。

「こうなることは解っていたはずだ。里崎さんは何を考えているんだ……?」

 

 

 

 

 

ーーその炎は紅く、鋭くーー

 

 

「ルールは単純。どんな手段でも構わないから相手を再起不能にする。いいわね?」

「わかりました。」

折村とアザリアは互いに距離をとり、メモリを構える。

《ラプソディ》

アザリアは新しくもらっていたラプソディメモリを使いドーパントに変身する。

ラプソディ・ドーパントは薄赤色の体に赤のマフラーをつけている人型のドーパントだ。

「叩き潰してあげるわ。」

《バット》

折村が使ったのは蝙蝠の記憶を内包するメモリ、バットメモリだった。

蝙蝠のような姿をしたバット・ドーパントはラプソディに襲い掛かる。

「はあぁ!」

ラプソディは正拳突きをバットに繰り出す。

「甘いわね。」

バットは体を小型の蝙蝠に分解させ攻撃を回避し、ラプソディを回転しながら包み込む。

「しまった!」

蝙蝠達はラプソディに攻撃を繰り出す。その攻撃は本来、生身の人間に対して使い切り刻むための攻撃だがドーパント相手でも効果は絶大だ。

「くうぅぅ……」

蝙蝠達の拘束から解放されたラプソディは荒い息をしながら膝をつく。

「なんだ、この程度なのね。」

バットは人型に戻りため息をつく。

「こんなんじゃ、前居たとこも雑魚しかいなかったようね。」

「な……!」

「こんなに弱いくせに、調子乗ってんじゃないわよ!」

バットは思いっきりラプソディを蹴り飛ばす。

「うぐっ?!」

「ほら、さっさと死になさいよ。」

バットは地面に伏しているラプソディを執拗に踏みつけ、蹴る。

「はぁ……はぁ…」

「シルフってのも中々に頑丈ね。ほらっ!」

最後に思いっきり力を入れた蹴りがラプソディに突き刺さる。それを受けたラプソディは力無く項垂れる。

「こんなものね。」

バットはそう言ってラプソディに背を向け、武田達に向かって歩き出す。

「解ったでしょ?あんなやつは要らないのよ。」

「だからと言って、殺すことはないだろう!?」

「あーあ、どうするんすか?」

「………アブナイ!」

「は……?」

エリザベートが警告を発するが、それがバットに届く前に、彼女の腕は空高く弾き飛んでいた。

 

 

 

ーー覚醒ーー

 

 

 

「倒したはずよ、どういうこと?!」

バットはなんとか腕を再生しようとするが、うまく回復できない。

「一体なんなのよ、あんたは?!」

ラプソディは先ほどと姿が異なっていた。

体は黒く変色し、首のスカーフも赤黒くなっている。さらに腰には一本づつレイピアが装備されており、顔には仮面がつけられその目は紅く光っている。

「あんたなんかに!あんt

バットの言葉は最後まで続かなかった。何故ならばありえない速さで動いたラプソディによって切り裂かれ、細切れにされたからである。

「これが、ラプソディ………。」

「く………うぁ……。」

力を使い切ったのか、ラプソディの変身は解除されアザリアに戻る。

「エリザ、王林はアザリアの介抱を。

「ハ、ハイ!」「わかった。」

武田は指示を出し、アザリアを施設から移動させる。

「さて、死体をどうするか。」

「ですね、どうしましょうか。」

「美味しかったですよー。」

「「?!」」

折村だったものの処理を考えていた武田達の前には変な魚のような形をした怪物がいた。その魚の口には折村の腕が加えられている。

声の主は後ろからやってきていた。

「……死体処理ありがとうございます。(アズマ)さん。」

「いーのいーの。私もこれ使いたかったからさー」

東が手を伸ばすと魚は光に包まれ、手に収まる。その手には魚の形をしたフィギュアスロットとDのメモリがあった。

「それは?」

「ジルヴィスからもらったんだー。お魚さんのメモリもねー。」

「魚………魚か?」

竹岡は首を傾げる。

「じゃ、私は帰るねー。あとはよろしくー。」

「あと……報告書………うぐぁ………。」

「俺も手伝いますんで、頑張りましょっか。」

武田は、今後の自分の処遇を考えつつ、絶望するのであった。

 

 

 

 

 

 

数日後

「今回の制圧戦に志願した同志諸君、決戦の日だ。」

里崎の声が放送で鳴り渡る。構成員達や幹部は静かに聞いている。

「我々の望む世界を邪魔する反逆者どもを倒す日だ。各々、一層努力せよ!」

それと同時に大量の光が発生し、聞いていた構成員がドーパントに変身する。

「さあ、戦いの始まりだ!」

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました!
なんだか久々ですね、どうもフォーウルムです。
金曜日に捻挫して病院行ったり松葉杖生活になったりと色々あって遅れました。小説は書けるんで、今後も活動は続けます。

次回からは最後の演説の《数日後》の部分で何があったかを描きます。
同時にコラボ回でもあるので長くなる……かも?
お楽しみに!

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

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