幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

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第73話

 

 

 

 

桜と姫乃が戦った日の翌朝、雪華達は凱から借りた空き部屋で過ごしていた。雪華は普段から早起きらしく、隣で眠っていた桜を優しく撫でる。

「……可愛いな。」

「ん…、雪華様ぁ」

「はいはい」

「えへへ〜…♪」

寝惚けた桜が抱き着いてくる。彼らにとっては、最早モーニングルーティンとなっている光景だ。凱辺りが見たら絶好のイジりネタになりそうな光景である。そんな時、雪華はふと布団の上に何かが乗っていることに気が付いた。

「…ん?何か重い?」

「…あ。ご、ごめんなさいっ!」

「大丈夫大丈夫」

これも含めワンセットである。

 

さて、そんな雪華達の布団の上に乗っているもの。それは黒いスライムのようなものであった。

「なんだこれ?」

「な、なんでしょう…、ぷにぷに」

コンコン、ガチャッ「雪華君、桜ちゃん入るわよー、ってそれは。」

2人の部屋に姫乃がやってきた。

「何なんだ、これ?」

「すっごいぷるぷるしてるけど」

なんか気持ちよかった、と桜は笑った。

「それは……秘密。それより、凱君のとこに行ってきてくれるかしら?」

「わかった、行くよ、桜」

「はい!」

起き出して雪華はクローゼットに入った。

 

 

 

ーー可愛さと真実のギャップーー

 

 

 

準備を済ませた雪華達は姫乃に開いてもらったゲートでアンダー・パレスの59層に来ていた。彼らの足元には先ほどのスライムもいる。

「これはさっきの…」

「モンスターだったってこと?」

スライムはぴょんぴょん跳ねながら扉の前まで行く。どうやら自力では開けられないらしい。

「開けていいのか?」

「可愛いな……♪」

一見無害そうではあるが、どうなのかは分からない。

当のスライムは扉を開けてくださいと言わんばかりにこちらを見ている。

「開けてあげましょう?」

「でも、大挙して襲いかかってくるかもだしな」

しかし、何故か扉が勢いよく開け開かれた。原因は、部屋の中から投げつけられた蜥蜴人間であった。

「うお!?」

「きゃあ!?」

とっさに横に退く。

「危ないぞ、凱!」

思わず喚く雪華だ。

確かに、急に開いた扉から蜥蜴人間が出てくれば驚くだろう。

「Year!Foooooooooooo!」

そんな雪華を他所に凱は中で大量の蜥蜴人間を相手に暴れまわる。彼の装備は見たこと無い籠手と機械のブーツのようなものだ。

「お?来てたのか、お前ら。」

「来てたのかじゃない!桜が怪我したらどうする!!」

「びっくりしました…!」

ちなみに雪華が無意識に桜を庇う位置取りをしているのは秘密だ。

「ソイツがいれば大丈夫だろう?」

蜥蜴人間達を一掃した凱は2人に歩み寄る。スライムは凱に向かって飛び付く。

「おーよしよし、良い子にしてて偉いなぁ。」

「…ペットかよ」

雪華は思わずツッコミを入れる。

「紹介しよう。俺のメモリの1つでエクストラランクの《エクリプス》だ。」

「はあ!?そいつが!?」

「エクリプスって、凱さんのメモリの…?」

「そうだが?」

「なんでそんなスライムに……」

「こんなに可愛いのに……?」

それぞれ頭を抱える。

無理もない。凱の話では「サイキョウ」のエクストラメモリなのだ。こんな愛らしいスライムだとは思わない。

「以前、ウォーズやヴォイドに会ったろ?そん時は多分ウォーズは人間の姿、ヴォイドが光の珠だったと思うが、こいつも平常時の姿があるんだ。…………本来の姿が見たいって言うなら見せてやるが?」

悪そうな笑顔を浮かべて凱は言った。

「…遠慮しておく。」

「なんか、まずいことになりそうですし……」

「それもそうだな。それはさておき、そろそろ時間だな。」

凱はエクリプスを肩にのせて出口へ歩いていく。

「時間?」

「なんの時間です?」

気になるが、とりあえずついて行く

「聞いて驚け、今日はな?」

凱は一呼吸置いて言う。

「決戦前の、全体会議だ。」

 

 

ーー命の重さーー

 

 

紅魔館ホール

 

紅魔館には数多くの有名人がいた。八雲紫は勿論。維持隊の飯綱丸や文、椛。地霊殿のさとりやこいし。霊夢達も居るし、凱の幼馴染み達も勢揃いしている。

「自己紹介したほうがいいだろうか。」

凱に近づき、小さく問い掛ける。

「まあ待て。」

凱は彼を下がらせ、張りのある声で話し始めた。

「お集まりいただいた貴殿方に最大限の感謝を。さて、今日の会議は来る決戦についてだ。」

凱はそのまま話し続ける。

「作戦は単純。人里の各区画に戦力を分け、その中心に本部を設置し防衛する。敵は巨大な船も使うとの情報もあるが、そちらにはこちらで対処をする。詳細は後程資料で配る。何か質問がある人は?」

「ふむ…。」

「…1つだけ、よろしいでしょうか」

手をあげたのは桜だ。

「どうぞ。」

凱の言葉でその場にいる全員が桜を見る。凱や姫乃は別だが、ほぼ全員が彼女達のことを知らないので当然の反応ではある。

「敵戦力の全容は如何程でしょうか?詳細は資料と仰いましたが、どうしても我慢できず聞いてしまいした。」

「敵の戦力か……?」

「どうなのでしょうか」

「確かに重要ではあるが……。」

凱は少し考えて

「おそらくは国家クラスの軍隊程度だろうなぁ。」

「それならまだ何とかなるか…?」

名も知らぬ青年の、何気ない発言に彼らと凱達を除いた皆がざわつく。

何人かは落ち着いているが、それは幽香や霊夢等、彼等の実力を知っている者だけだ。

「まあ、正直敵がどうだろうと知ったこっちゃねえ。事前情報はほぼ信じてねえからな。」

「お前が居れば大抵のことは大丈夫だろ。」

「ありがとうございました」

ぺこりとお辞儀をして再び座る。

「さて、他に居ねえか?」

「少しいいか?」

そう言って手を挙げたのは飯綱丸だ。

「なんだ?」

「その二人、本当にいいのか?」

真剣な表情で問う。

「こればかりは信じてくれとしか言い様が無いんだが…。霜月 雪華。まあ凱の友人と思ってくれ」

「妻の、霜月 桜です」

「………そうじゃ無いのだが…。」

「心配すんな。いざとなったらなんとかする。」

「わかった。」

微妙な表情をする飯綱丸に凱は言う。それを聞いた飯綱丸は納得したのか席に着く。

「よし、じゃあこれで会議は終わりだ。詳細は後程。解散!」

凱の言葉で全員がそれぞれホールを出始める。

 

 

「なんか、すまなかったな。悪戯に騒がせた。」

謝ったのは雪華だ。

「問題ねえよ。俺らも戻るか。」

「分かった。行こう」

「は、はい」

凱と姫乃、雪華達はもホールを後にしたのだった。

 

 

FDL店内

 

「さーて、何すっかなぁ」

「何するって、撃沈するんじゃないのか?」

「来てもいねえ敵をどう落とせと?」

「来たらの話だったんだが…、まあいい。何する、とは?」

「いや、暇じゃん?」

「……寝るのは無しだからね?」

「地下は?」

「駄目。」

「えー」

「地下…、また凄いもん作ってんな?」

「いや、101層以降の攻略進めてえんだが……。」

「そう言って100層の時は3日間籠ってたじゃない!」

「……すまん。」

「そりゃ怒られるわ。」

「3日も…、凱さん」

責めるような目を向ける。

「やること……あ!」

凱は思い付いたように地下エレベーターに入り、下へ降りる。数分後何かの箱を3つ持って戻ってきた。

 

 

 

「その箱は?」

「何なんですそれ?」

揃って首を傾げた。

「んー、まあ。はいよ、姫乃。」

凱が箱を姫乃に手渡す。

「?」

「中のはプレゼントだ。」

「?……!」

首を傾げつつ中身を確認した姫乃は笑顔になる。

「桜、それに雪華、これはお前らのだ。」

「これは……」

「何だそれ?」

「困ったときに使え。何が起こるかはおたのしみだ。」

凱はそう言って雪華にも手渡す。

「アップグレードツールとも違うな?」

「お楽しみ…?」

「よし、渡すもん渡したしお前らに言っておくことがある。」

凱は改めて三人に向き直る。

「言っておくこと?」

「ああ。今回の戦闘では俺は別行動だ。」

「別行動?ということは姫乃さんも?」

「どういうことです?」

「いや、姫乃はお前らと一緒だ。今回俺は本部防衛だがお前らには別で敵を潰してもらう。」

「ふむ」

「その時に、これを使え、と……」

「ああ、そうだ。」

「私達で敵を倒すとして、勝算は?」

「有ると思うか?」

「……。」

凱の言葉に姫乃は絶句する。

「おい、負け戦かよ」

「そんなのって……」

「負け戦にするつもりはない。」

「でも勝算無いんでしょ?」

「……まあ、事前情報元にすると、な。」

「でも、勝算を0ではなくす方法、あるんじゃないのか?」

「……有るにはあるが、デメリットがでかい。」

「デメリット?」

「……こっちの保持戦力は恐らく敵の2~4倍くらいだろうな。」

「そんなに戦力差があるのに、ですか?」

桜が不思議そうに聞く。

「この2~4倍ってのは、限界まで出しきったときだ。例えば……エクストラメモリでマキシマムを乱用する、とかな。」

「…無理だろそんなの」

顔をしかめる。スノーでさえ意外と負荷がかかるのだ。エクストラを乱発などしたら死ぬ程度ではすまないだろう。

「まあそういうわけで戦力は相手と同等かそれ以下。正直言って楽じゃない。」

「…ひっくり返せるんだろ。早いとこ教えてくれよ。」

焦れったいのか、雪華が凱に先を促す。

「……俺が死ぬ気で殺し回る。」

 

 

ーーハイリスク、ハイリターンーー

 

 

 

「…ふざけないでください。」

「桜……。」

珍しいこともあるものだ。普段温厚で優しい桜が、本気で怒っている。

「ふざける?どこが?」

「あなたがそれをして、悲しむ人がいるんです。何ですか?死ぬ気で殺し回る?妄言も大概にしてください。あなたが傷ついて、姫乃ちゃん達はどうするんです?」

珍しく声を荒らげて捲し立てる。

「………。」

凱は静かに聞いている。

「桜ちゃん……。」

姫乃も、どこか心配そうだ。

「あなたも雪華様も、何で自分を蔑ろにするのかなぁ……!!?」

「………1ついいこと教えてやるよ、桜。」

「…お聞きしておきます。」

「殺し回るのは、俺…………と()()だ。」

凱の言葉の途中から喋り方が変わり、目が緑色になる。

「ヴォイドさん…。なら、凱さんを止めてください。」

「やめとけ。言うだけ無駄だよ。」

「でも…!」

「これが効率的なんだぜ?」

再び喋り方が変わり、彼の髪の色と目が紅くなる。

「私は、たとえ非効率でも、みんなに傷ついてほしくない!そのために、誰かを護るために、『熾天会』に入隊したんです!以前雪華様が私を護ってくれたように!」

熾天会というのは雪華達の世界の軍隊のようなものだったな、と姫乃は思い出す。

なんでも兵士の技量で階級がつけられているらしい。

「解ってねえなぁ……ただ悪戯に自傷するだけじゃねえんだよ、これは。」

「自傷するなら同じです!」

「桜、落ち着いて。」

「説明した方がいいわよ、プロミネンス。」

「………めんど。代わってくれヴォイド。」

凱の眼が緑になり、髪はいつものように色に戻る。

「……。」

「全く、ちゃんと話は聞こうか。」

文句ありげな桜を雪華が宥める。

「ふん。まず以前凱がデビルトリガーなるものを使っていたのは覚えているな?」

「あー、あったなそんなの。」

「……。」

桜は不服そうに聞いている。

「あれは凱が使うと1分で体が持たん。最悪死ぬ。」

「…ヤバいやつじゃねえか。」

「……やっぱり。」

「それをし続けては凱が死ぬ上にそれよりもヤバイやつが出てくるから、それは採用せん。そこで我々を使う。」

ヴォイドは自分の胸の辺りを指差す。

「エクストラなら大丈夫なのか?」

「…宿体は凱さんですよね。」

「まあな。だが我々のメモリを補助スロットに挿すことで擬似的にデビルトリガーを使えることは確認できておる。本人に負荷を掛けることなくな。」

「……。」

桜は露骨に不快な顔をする。

「なんだ、不満があるのか?」

「…いいえ。」

「不満を全面に出すなよ……」

「まあ、死ぬような事がないだけで別の意味で負荷は掛かるがな。」

「…やっぱり。」

「ヴォイド、その辺にしてくれ。桜が荒れる。」

「………どこまで話したんだ、アイツ。」

凱の眼がいつも通りに戻った。

「死なない程度の負荷が掛かるってとこまでよ。」

「ああ、船酔いの事か。」

「船酔い…?」

「船酔いってどういうことだ?」

「厳密には違うんだが。以前実験で人里をヴォイド使って飛び回ったことがあったんだ。そのときに勢い良すぎで内臓ガンガンに揺らして吐いたことがある。」

「そりゃ吐くわ。」

「……。」

ツッコミを入れる雪華に、冷たく見つめる桜。

「…心配して損した。」

「ははは。ま、気楽に行こうぜ?」

凱は立ち上がる。

「連中が来るなら明日だ。今日は早く寝とけ。」

凱はそのままエレベーターの方へ向かっていく。

「じゃあ、行こう、桜。」

「…はい。」

桜は雪華の腕に抱きついた。

「全く、お熱いのね。」

姫乃はそんな2人を見ながらあとに続く。

 

 

 

 

ーー開戦ーー

 

 

 

次の日

 

姫乃、雪華、そして桜は人里の西エリアに来ていた。辺りには武装した維持隊の隊員達がそれぞれの武器や動きの確認をしている。

「…いよいよか。」

雪華は雪銀(ゆきがね)を腰に携え、桜は対物ライフルのメンテをしていた。

「少しいい?」

雪華達に話しかけてきたのは十六夜咲夜だ。その服装はメイド服ではなく、黒に白と青の装飾をあしらった制服で、デザインは姫乃の物と一緒だった。

「咲夜か。どうしたんだ?」

「これから戦う御仲間の様子を見に、ね。その様子だと大丈夫みたいだけど。」

「背中は任せろ、と言えるほど信用されてはいないだろうが、安心してくれていい。」

「……信じるわ。貴方からは彼と同じ雰囲気を感じるから。」

そう言ったとき、辺りに警報が響き渡る。

「来たか。桜!」

「はい!」

「じゃあな、健闘を祈る!」

そう言い置いて、人間離れした速度で駆ける、

「あ、ちょっと!!……もう!」

雪華を見ながら姫乃はため息を吐く。

そして

「全員、戦闘態勢!一匹たりとも後ろに逃すな!」

姫乃の号令と共に戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

雪華達とドーパント軍の戦いが始まった頃、同時に他でも戦の火蓋が切られた。

 

 

東エリア

 

「ッ!」

鋭く吐いた息がと共に辺りのドーパントが切り捨てられる。前線を1人で暴れ、駆けるのは総塚護だ。迷いの無い太刀筋はあらゆる障壁を切り裂く。

彼の背後、50メートル後方にはブラッドの弓を構える風見幽香とサイクロンガイアナイトに変身した東風谷早苗が援護射撃をしている。

「…………!」

護の死角からドーパントが抜け出し、進む。

がそのドーパントの頭に轟音と共に弾丸が炸裂する。

その射撃は護から80メートル離れた建物の屋根から狙撃銃を構える犬走椛が行ったものだ。自身の能力を最大限に活かした射撃はドーパントからすれば、致命的な一撃となる。

そこへ。

「随分とやってるじゃねえか?」

「……誰だ、お前。」

護の前に1人の男が現れる。

「俺の名は雨水(アマミ)雷砂(ライサ)。その刀、お前が総塚護だな。」

「俺の名をこれで見極めるってことは、敵か。」

「ああ。その首、貰い受ける!」

男は腕にブレスレットを嵌める。すると体が紫色に輝き、ドーパントになった。その体は銀色で腕や足にコイルのようなものが巻き付いている。

「メモリ使ってねぇのに変身できんのか!?」

「俺を()と一緒にすんじゃねえぞ!」

 

 

 

 

 

 

北エリア

 

 

「Show down!」

北エリアで戦っているのは三首猟介だ。キング・ケルベロスを巧みに操りドーパントを蹴散らしていく。

「なんか、手応え無いっすね。」

先程から感じていたが、コイツらは恐らく外身だけの偽物だ。複製されているからそこまで強くない分、数が多い。

「魔理沙さん、文さん、そっちはどうですか?」

「こっちは問題ないぜ!」「私の方も順調ですよ!」

三首の上空ではスターダスト・ガイアナイトに変身した魔理沙とアクセル・ガイアナイトに変身した文が支援している。

三首が討ち損じた敵を上空の2人が撃破するという効率重視の立ち回りだ。

(このまま数を確実に…………?!)

考え事をしていた三首を狙って、透明な破片が降り注ぐ。

「一体どこから?!」

「よく避けましたね。」

声のする方を見れば、そこに立っていたのは1体のドーパント。その見た目は教会の聖女のようだが、その身を包む衣と装飾は悪魔を彷彿とさせる。

「……ドーパント。なら、敵ってことでいいっすね?」

「どうぞご自由に。私はあなたの首さえあればそれでいいので。」

三首はドライバーを巻き、変身する。

「変身!」《トライセラトプス》

変身した三首は強化された剛腕を使い、キング・ケルベロスを振るう。

 

ガシャン

 

「?!」

さっきまでドーパントが立っていたところには透明な結晶のようなものがあり、それに攻撃が当たる。脆く砕けた破片が三首を襲う。

「くっそ?!」

なんとか破片を叩き落とす。その間にドーパントは背後に移動している。

「さあ、存分に足掻いてください。私が使う《ミラー》の前には、あなたは何も出来ないのですから。」

 

 

 

南エリア

 

 

「さあ、派手に行くよ!」

南エリアを守っているのは妖夢と鈴仙を前衛におき、後衛に音川を置いたどちらかと言えばバランスが取れた構成のチームだ。

「外さないよ!」「せやぁ!」

妖夢は《エッジ》を。鈴仙は《アームズ》を使ってドーパント達を切り裂く。彼女らが使う武器は紫色のオーラを纏っている。これは音川のネヴァンによる支援だ。

「このまま一気に行くよ!」

そう言って前線を押し上げようとしたときだった。

「はっはっは!そこまでだ!」

「!?」

いきなり大声をあげたのは筋肉質のドーパント。明らかに他のとは違い、強者の風格をしている。その見た目が筋肉ムキムキで、肩や膝、肘には人の手が覆い被さるようにくっついていて、顔は………四角く、黄色い眼が目立っていた。

「お前らはここで終わりだ。私が来たからなぁ!」

「何ですかアイツ?!」「わからないねぇ。」「へ、変態だみょん!?」

ドーパントに対して鈴仙、音川、妖夢がそれぞれの反応を示す。

「おまえ達はこの私、大元(オオモト)(ケン)と《ハンド》メモリが粛清する!」

 

 

 

中央エリア 防衛本部

 

 

「西、東、それに北と南からドーパント多数!」

「全部じゃねえか。」

報告を聞いた凱は顔をしかめる。

「どうするんだ、このまま見てるわけでもあるまい。」

凱のとなりに立つ飯綱丸が聞いてくる。

「さっき行った通りだ。俺がヴォイドとプロミネンスを使ってエリアのドーパントを一掃していく。」

「かなりキツいんじゃないの?」

そう言ってきたのは霊夢だ。

「他の連中が死ぬよりもマシだ。」

「それもそうだな。」

それを聞いた飯綱丸はメモリを起動させる。

《ドラグーン》

飯綱丸が使うのは竜騎兵(ドラグーン)のガイアメモリだ。長槍とマスケット銃が一体化したような武器に、楕円形の盾を武装しており、黒い鎧を纏っている。背中には鎧と同色の二枚の羽がついている。

「相変わらず、派手な姿ね。」

そう言う霊夢も《セイクリッド》で変身している。こちらは天使のような羽を持っている他、手には普段の彼女が持たないようなダブルライフルが装備されている。

「お前、それ使えるのか?」

「見くびらないでね飯綱丸。これでも練習したのよ?」

「喧嘩すんな。じゃあここは任せる。俺はそろっと…」

 

ドズン

 

作戦を始める、と言う寸前、何かが地面を揺らして着地した。

「何だ!何があった!」

砂煙が上がった場所を見る凱達。そこにいたのは、異常に発達した筋肉、浮き出る無数の血管、充血した眼を持つドーパント。

「何よアイツ!」「明らかに他とは違う!」

見たこと無いドーパントに警戒する霊夢と飯綱丸。

だが、凱はそいつを知っていた。

「見ぃつけたぁ、もう逃がさない!」

「てめぇ、今度こそ叩き潰す!」

そのドーパントは以前、凱の腕を消し飛ばし、倒し損なったインサニティ・ドーパントだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

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