幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

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どうも、フォーウルムです。

なんか前回の完結宣言を小説の完結と勘違いした方がいらっしゃいましたねぇ。
今更ながらそう受け取られても仕方なかったですね、あれは。
まあ、修正しませんが。
それでは、第78話、どうぞ!


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「くそぅ……くそくそくそクッッソ!」
とある一室にて、1人の男が怒鳴り散らしていた。
「言葉が汚いですよ、大元さん。」
怒鳴っていた大元に金宮晶可(カナミヤショウカ)が怠そうに言う。
「何故、我々が勝てんのだ!メモリだって最新の物なんだろう!!」
「一々言っても無駄だろ、相手が悪かっただけだ。」
「死ぬところだったんだぞ!!文句を言わずにいられるか!」
雨水の言葉にも、大元は反発する。
「あのお嬢さん…アザリアだっけか?彼女も中々の手練れでありながらこの前ICU 出たばっかだろ。そうならなかっただけでも幸運だったんだよ。」
そう、ここにいない4人目、アザリア・シロッコは最近までICU におり、最近になってようやく普通の病棟に移されたのだ。
「これがあれば最強になれると言っていたのは嘘だったのか、このペテン師どもが!」
そういった時だった。
「あらあらあらぁ?ソイツは俺等に対する敵対宣言で良いのかなぁ?」
『?!』
急な声に3人が振り向く。
そこにいたのは、SFアニメに出てきそうに機械の体を持つ人型の男だった。その声は男にしては高い声……というかテンションの高そうな感じである。
「貴様、何者だ?」
「あー、名前は何でも良い。お前さんに名乗るつもりはない。」
男はそう言って大元を見る。
「お前さん、強くなりたいんだっけか?」
「……それがなんだ?」
「一回、実践してみないか?」
「それで強くなれるのか?!」
「それはお前さん次第だ。」
男は両手を広げて見せる。
「何事も実践が一番だからなぁ、どうだ?やるか?」
「くくく、良いだろう!」
そう言って大元は鼻息を荒くして部屋を出て、訓練場に向かった。

「……少し良いですか?」
「んん~?どったのお嬢さん?」
機械男に金宮が話しかける。
「何が目的なのですか?」
「いやいや、ちょっとお手伝いをね?」
機械男は嬉しそうに言う。
「手伝い?」
「そそ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」
「……置いて…?」
「仲間に置いていかれた、ということか?」
雨水が話しに加わる。
「……残念だけど、俺たちには味方なんていないんだ。」
急に声のトーンが下がる。
「いない?」「どういう事です?」
雨水が聞き返し、金宮が首を傾げる。
「そう、居ないんだよ。味方も……敵も…ね。」
そう言って機械男は部屋を後にした。

数分後、訓練場に向かった二人が目にしたのは、重装備の機械男とグチャグチャになった赤黒い肉の塊だった。













第78話

 

 

 

 

 

ーー少女の悩みーー

 

 

 

今は夕方を少し過ぎたくらいだろうか。すでに月は昇っており、気温も下がりつつある。そんな中、俺は姫乃に呼ばれたので彼女の部屋に来たのだが………。

 

「凱君……。」

「ん?どした?」

俺は姫乃を抱き抱えている。

「その………えっと……」

姫乃にしては珍しく視線を泳がせている。普段の彼女ならば思ってることをはっきりと言ってくるはずだ。

「あのさ、この前の事なんだけど……。」

「この前?」

「ほら、祝勝会の時の。」

「ああ、姫乃がめちゃくちゃに酔ったあの日か。」

「そ、そうだけど。そんなこと言わないでよ?!」

「事実じゃん。」

あのときの姫乃は本当に泥酔していた。普段の彼女からは想像も出来ない。

「で、それがどうした?」

「その…嫌いになって無い?」

「はぁ?」

「凱君って、酔っ払った女性が嫌いとか、嫌だって思わないの?」

何を言っているんだろうか?

「んな訳あるか。それだったら霊夢とか咲夜とか…彼女らはどうなる?」

「えっと…それは…」

考えてないのか。

「全く。ほら。」

「え?…あ………」

心配そうにする姫乃の唇に優しくキスをする。最初は戸惑っていた姫乃だったが、直ぐに身を任せてくる。

「………。」

「安心しろ。あの程度で嫌いになったりしねぇから。」

そう言いながら姫乃の髪を優しく指ですく。

その時、ドアをノックする者がいた。

「どうぞー。」

「姫乃ちゃん、今、良い…?…あ。その、お楽しみ中だった?」

入ってきた桜は慌ててドアを閉めようとする。

「いいよー、どしたの?」

俺は溜め息を吐く。まあ、姫乃は軽いのでそこまで苦じゃないが、足が痺れないか心配ではある。

「まあ、その……、押しが、足りないかなと。」

「押し……?」

「雪華様って、かなり格好良いでしょ?だからその、まわりにいっぱい女の子が居るわけで……。だから、いつか取られちゃうんじゃないかって……。」

桜は不安そうに語る。

「……そうなの?」

それを聴きながら俺は頭の中で思い浮かべる。

なるほど、確かに雪華の周りには女性が多いと感じる。

こっちの世界では知っている限りだと女性達は凱か護に好意を向けるだろうが、あっちの世界では雪華1人に向けられるのだ。それこそ、目の前の桜がアイツを想っているように。

だが、いやだとするならば。

「桜、相談相手間違えてるぞ?」

「どういうことですか…?」

桜は首を傾げた。

「こいつら、誰かに取られる心配がないからな。」

姫乃や霊夢、その他にもいるだろうが俺に好意を寄せる連中は俺を『共有物』みたいにしている。だから仕事がなければデートのように人里に遊びに行っている。相手が毎回違うので、「幻想郷の有名人相手にそういった依頼も受けてるのか」と思われているらしい。(射命丸からの情報)

「…そうでしたね。」

瞬きした後、堪えきれなくなったかのように笑う。

「だが、わからんでもない。あの男は自分の容姿を忘れて誰にでも優しくするからなぁ。」

「本当にその通りなんです!早苗さんにレミリアさんに咲夜さんに椛さんに天狗の総領娘の方にフランさん、終いには紅魔館の一部メイドさん達にも想いを寄せられているんです!」

ばん、とその辺にあったテーブルを叩いた。

「……護君が居る分、凱君はそうでもないよね。」

「だな。」

「…あと言い忘れていましたが妖夢さんも追加です。」

「なんとなくわかるわ。アイツの太刀捌きすげぇもん。」

「そうね、凱君よりも上手いかもね。」

雪華の太刀の動きは洗練されている。事実、同じ動きを真似ろと言われても出きる気が起きない。

「…あれで本気じゃないって言ったらどうします?」

桜は真剣な面持ちで小さく言う。

「雪華様の本気は、二刀流なんです。一度だけ、皇帝からの命令でその力を振るったんですが…。あの方は3万の軍勢を、1人で全滅させました。」

皇帝というのは雪華や桜が以前に言っていた軍隊の司令官か何かだろう。

「…すまん、すごい話なんだろうが……なんと言うか。」

「なんというか?」

「……そこまで特別に感じねえ。」

「凱君はマジェスト相手に5万とかやってたもんね。」

「うわぁ……。でも何故でしょう、凱さんだからと納得している私がいます。」

おい、俺をなんだと思っているんだ?

「話を戻そう。アイツを取られないようにする方法だったか?」

「そうですそうです!咲夜さんや妖夢さんに料理が上手なわけじゃないし、早苗さんやフランさん、レミリアさんのような可愛さもなくて、椛さんのような強さもなくて…。本当に、いつか離れてしまうんじゃ、って……。」

桜は泣きそうになる。

料理の腕は知らないが容姿に関してはそこら辺にいる有象無象とは比べ物にならないし、戦闘力も他よりも高いはずだ。

もし足りないとしたら……それは恐らく()()だろう。

(荒療治だが、やってみるか。)

 

 

 

ーー荒療治ーー

 

 

 

………それに、多分正面から戦ったら私は上から七、八番目くらいの強さだよ。」

「強いね……。真っ正面からだったら勝てる気しないや。それに銃も無効化するんでしょ?」

まあ私は狙撃手だから真っ正面なんてやらないけど、と彼女は笑う。

よく言うぜ、自分だって短剣で近接をこなせるくせに。

いつか戦ってみたいものだ。

と言うかいつの間にか話が進んでいる。

「それに桜ちゃんは弱くなんて無いと思うよ?」

「私なんてまだまだだよ。私より強い人も何人かいるし。雪華様はその筆頭。」

アイツと比べちゃいかんだろ。だってアイツは凡人の皮被った超人やん。

「違いないな。」

俺はとりあえず笑う。

「……桜、何故おまえは周りよりも劣っていると思うんだ?」

桜に問う。

「…それは、ただ単に私単体での戦闘力が低いからです。私は元狙撃手なので、一発が必殺の攻撃でなくてはならない。それを外せば……。というわけですよ。なんとか、第三階梯までは上り詰めましたけど……。」

「なるほどな。………で?」

かいてい……?軍の階級だっけ?でも上から三番目ってことなら十分ではないだろうか?

「要するに、雪華様や凱さん達のような、圧倒的な戦力には無力、ということです。」

「つまり『無力だから自分は弱い』、と諦めるのか?」

凱は鋭く言い放つ。ってか俺と比べんなよ。俺もう七割位人間じゃないぜ?

「接近され、体勢を立て直すことも出来ず、相手の格の違いに怖じ気づく。狙撃手からしたらテンプレとも言える状況だな。」

キツい言葉を桜にぶつける。

「……分かってます、そんなこと。」

桜は泣きそうになった。だよな、急にそう言われたらそうなるよな。もう少し我慢してくれ。

「例えば……今俺がお前の敵だったとしよう。」

俺は姫乃をベットに降ろし立ち上がる。

「…はい。」

「お前の手には狙撃銃が握られている。が、狙撃直後で弾はリロードされてはいない。」

そう言って俺は懐から拳銃を取り出す。

「それなら…。」

桜は鞘ごとダガーを取り出した。

「相手はお前の情報を知り尽くし、能力の対策も万全だ。相手は半秒後に引き金を引き、お前を射殺する。」

俺は銃を桜に向ける。安全装置は既に解除されている。弾丸は入ってないがイメージには充分のはずだ。

「距離はちょうど今みたいに3メートル弱だ。どうする?」

「当然、こうです。」

腕を振り、ダガーを投擲する。

「なるほど。」

凱はそれを銃を持つ手とは逆の手で叩き落とす。

「……。」

桜は能力で俺の側面に移動、ダガーを回収して投擲し、さらに反対側に移動、投擲、別の場所に移動、投擲を繰り返した。普通に厄介な動きだ。

「甘い。」

俺は桜が移動する先を予測し、組伏せて無力化する。

「……着眼点はいいが、まだ足りないな。」

「いてて……。」

その時だった。突然窓ガラスがガタガタと揺れた。

「なんだろ?」

姫乃が首を傾げる。

「あ、多分これ……。」

そう言って桜は窓の外を覗いた。

「…やっぱり。」

桜が微笑む。

「……誰か居るのか?」

解りきってはいるが、一応聞く。

「雪華様ですよ。」

「………。」

俺はしばらく考えたあと、拳銃の弾を入れ換える。

準備は終わった。これからが本番だ。

「え、何するつもりですか?」

そんなことはつゆ知らず、雪華は庭で剣を振っていた。アイツが振った風圧で窓が揺れていたのだ。やはり超人だな、と思う。

「……。」

窓から顔を出し、雪華を狙う。

しかし、アイツは変わらず剣を振り、その度に強風が吹き荒れている。

「………!」

俺は間髪入れずに3回引き金を引き発砲した。

「……。」

雪華の手元がピクリと動く。その瞬間、3発の弾丸は全て真っ二つ。その断面は滑らかだ。

「そうこなくちゃな。」

俺は姫乃にあるものを投げ渡しつつ窓から飛び降りる。ちなみにここは4階だ。

さあ、最後の一仕事だ。

 

 

 

ーー悪趣味な悪戯ーー

 

 

 

「お前何しやがる?僕に銃パナしたのはまだいい。あの程度対処は簡単だからな。だが桜泣かせた上に組み伏せる?覚悟は出来てんだろうね?」

降りてきた凱に開口一番これである。

「だったら何だ病み上がり野郎。寸止め風圧で3時間ものた打ち回る様な弱り様で何ができるってんだぁ?」

凱は悪びれることもなく言い放つ。火に油を注ぐことも忘れない。

「あれ寸止めなのかよ……。ま、いいや。」

突如として凱の足元にスキマが発現。

「ん?」

凱はその上に何事もないように浮かんでいる。

「当然の帰結だわな。」

雪華が指を鳴らすと凱が居る場所だけ局地的に重力が数十倍に強くなる。

「遅ぇんだよ!」

凱は地面を蹴り飛ばし弾丸のように接近する。

「はい残念。」

凱の眼前数ミリの場所にスキマを生成。

「甘い!」

凱はドラグニスを地面に突き刺し、棒高跳びのように雪華を飛び越える。

「全く、他人のコピペじゃなくって雪銀使えよ。それとも、それができないほど弱ってるのか?」

「あれなぁ、ワンチャン紅魔館全壊させかねないんだよなぁ。レミィとフラン達の家壊すわけにもいかないし。」

雪華は考え込む素振りを見せた。

「ほーん、一応正気なのな。てかさぁ……」

凱はドラグニスをペン回しでもするかのようにクルクルともて遊ぶ。

「どこまで知ってんの?俺らの会話。」

「着眼点がどうとかのとこ。聞くともなしに聞こえるんだよなぁ。魔力に乗って。」

「んじゃ、その前の会話は?」

「姫乃さんの料理がどうとかの所だな。外に出たのがその時だし。」

凱は姫乃の料理の話は知らなかった。その時は考えに耽っていたので聞いてなかったのである。

「なるほどなるほど。じゃあ遠回りは無しだ。どう思ってんだ?アイツの事。」

「どうって……。自慢の妻だよ。桜は優しいし、細やかな気配りも出来る。僕みたいな殺戮人形なんかとは不釣り合いなほどにな。あんなに可愛いのに、どうして僕なんかのとこに来たんだか。」

しかし、その声には隠しきれない喜びと愛情があった。

聞いてるだけで口の中が甘くなりそうな状況をこらえつつ、凱は再び聞く。

「他には?」

「他?」

「ああ。そうだな…………他と比べてどうよ?」

「他って……、霊夢達と比べて、ということか?」

「そうそう、実際のとこどうなん?」

我ながら質の悪い質問だと思う。

「…文字通り最高の女性だよ。」

夜月をみて、仄かに笑う。

「なるほどねぇ〜。ところで雪華君。」

「はいはい何かね凱君。」

ここでネタバラシと行こうか。

「これ、なーんだ?」

凱は懐から小型の機械を取り出した。

「てめ、それ…、盗聴器じゃねえか!?………まさか!!」

「お察しの通り。さっき姫乃にスピーカー渡してるんだぁ。」

凱はこの上なくニヤニヤしている。

「…………そこに直れぇぇぇぇぇぇ!!!!」

みるみるうちに赤くなり、制裁を加えんと雪銀を抜刀。

「やーなこった!………聞いてるか、桜。」

凱は機械に優しく話しかける。

「こいつはお前が想っている以上にお前の事を愛してるんだ。だから他のやつに取られるんじゃないかなんて考えんなよ。」

「…はい!」

桜は元気に返事をした。

「桜!忘れろ!忘れてくれ!」

外で叫ぶ雪華に桜は窓を開け、

「嫌です!一生忘れません!!」

と言った。

尚、その後叫び散らかし雪華とその原因を作った凱はレミリア直々に呼びだされ、鬼説教をくらった。

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 




は~い、フォーウルムで~す。
珍しく後書きにも書かせていただきます。

今回は前置きに以前のT3使用者と組織の幹部出しました。
解る方は解るキャラですね。
彼については今後のストーリーで登場します。
今は最新話と凱達の紹介文書いてるのですが、紹介文で書いて欲しいこととかってありますかね?感想でもDMでも良いので案があるかたはお願いします。


それではまた次回、お会いしましょう!

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

  • 簡単にまとめてほしい
  • 詳しく別々でほしい
  • いらない
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