本編数日前…
太陽が輝くある日、店の窓辺の椅子にもたれ掛かり、五十嵐凱は昼寝をしていた。
今日は仕事もやるべき事も無い完全な休日である。
そこへ…
「おっ届け物でーす!!」
突如としてスキマが現れ、そこからくらんもちが現れる。
「ん?くらんもちじゃねえか。どうした?」
「凱さん、これを。よーーうやく決まったので!!」
くらんもちがが出したのは1枚のカード。
「んー?……ああ、なるほどな。」
それを見て凱は微笑む。………端から見れば悪魔の笑みだが。
「当日は姫乃さんも呼んでいただければ。あいつらも喜びます。」
凱の表情に気付きながらもくらんもちは敢えて無視して話を進める。
「そうさせてもらおう。」
「あれ?何の話してるのー?」
そこへ丁度よく姫乃がやってきた。
「あ、姫乃さん。ようやく日取りが決まったので、招待状を。」
「招待状?」
「ほら、雪華と桜の式。」
「…ええー!?」
驚く姫乃。
無理もないだろう。俺が雪華から結婚式の言質を取ったのはほんの数日前。想像よりも早く日が決まったのだ。
「あいつ真面目ですからねぇ、あの時の約束を実行しようとしてるんですよ。」
「…こんなことしてる場合じゃないよ凱君!すぐ準備しないと!」
「あ、ちょ、おい!……行っちまった。」
張り切りすぎたのだろうか。姫乃は走って店の奥…居住区に行ってしまった。
「あー…、なるほど、そういう人だったか。変なことだけはさせないでくださいね、ホント。」
くらんもちは苦笑した。
「それはないな。俺じゃあるまいし。」
「なら良いんですけど。」
あの張り切り様、心配にもなる。
「まあ、大丈夫だろう。当日にはしっかり行く。」
「では、宜しくお願いします。」
それだけ言いおいてスキマへ戻っていった。
ーー雨に拾うは孤独な影ーー
「雨…か。」
里へ買い出しに行っていた男、総塚護は溜息を吐きつつ空を見上げた。
早苗に頼まれ夕食の買い物をしに来たところまではよかったのだが天気が急変し土砂降りになってしまった。
雨宿りしていても止みそうにはない。
一瞬、高速で走ればいけるか?等とという考えがよぎるが、あれはいろいろとリスクがある。特に今日の買い物の中には鶏の卵が入っているのでできるだけ慎重に帰りたいというのも事実だ。
「……あいつ、上手くやってんだろうなぁ?」
あいつ、というのは彼の親友兼ライバルである五十嵐凱だ。
なんでも以前こちらの世界に来ていた霜月雪華の結婚式に呼ばれた、といって数日留守にしている。
「下手におちょくったりはしてないといいが……。」
凱は明るく、頼りがいのある男であり競い合えるライバル(戦いでのみ)だが、性格があれなので雪華はかなり苦労しているだろうと苦笑する。
そんなことを考えていると、
「いた!護さーん!」
「ん?早苗!どうしたんだ?」
守谷神社にいるはずの東風谷早苗が傘をさしてこちらに向かってきた。
「どうしたじゃないですよ!いつになっても帰ってこないので心配して探しに来たんですよ!」
「そ、そうか。それはすまないことをしたな。」
「いいんです。帰りましょう?」
「ああ、助かる。」
早苗がさしてくれた傘の中に入り、寄り添って帰路につく。
「最近はどうです?地下の探索は?」
「順調だ。凱の奴は新しいのを見つけたらしい。」
新しいの、とは結晶で出来た華である。結晶華(凱命名)と呼ばれたそれは茎、葉、花が水晶のようなもので構成されている植物だった。最初に現物を見せてもらったときは心の底から驚いた。
その時に凱が見せてくれたのは紅葉の枝だったのだが、それに触れた際に誤って葉を一枚折ってしまった。
凱は笑って許してくれたが、とても申し訳ない気持ちになった。
「そんな花、よく見つけましたね。」
「なんでも110層の下の洞窟に咲いてたんだと。」
「へ~。」
早苗とそんな他愛無い話をしていると
「ミー、ミー」
「ん?あれは……?」
「猫ですね。どうしたんでしょうか?」
そこにいたのは一匹の黒猫だった。
毛はボロボロで、体も痩せ細っている。
「野良猫でしょうか?」
「恐らくな。どうする?」
「親猫と離れちゃってるみたいですし…引き取りましょうか。」
そう言って早苗は黒猫を持ち上げる。
「こうして見るととても可愛いですよ。」
「連れて帰るのはいいが、世話できるのか?」
「もちろんです!任せてください!」
そう意気込んだ早苗と俺は、談笑を続けながら神社に帰った。
諏訪子と神奈子からの許可も貰えたので正式に守谷神社で飼うこととなった。
続く
凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……
-
簡単にまとめてほしい
-
詳しく別々でほしい
-
いらない