幻想地憶譚 《とある少年の幻想入り》   作:フォーウルム

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第85話 悪魔の騎士と月の花嫁

 

 

別次元 雪月花にて

 

 

凱達からの招待状が来た次の日、雪華達もいつも以上にお洒落をしていた。

 

「そろそろだな。」

「そうですね。ふふ、早いなぁ。」

「だな。あと桜、敬語はもういいって言ったろう?」

「……あ。そうで……、そうだったね。」

「ま、いいさ。」

 

異界の友人も、存外早かったようだ。少しくらいイジっても罰はあたらないだろう。

そんな中、店の扉を叩く者がいた。

 

「お、来たか。」

「はいはーい!」

 

桜がドアを開けると、全身に黒い鎧を着た人物が立っていた。

 

「ど、どなたですか……??」

 

思わず首を傾げてしまう。

 

「桜様、雪華様。お迎えに上がりました。」

 

その騎士は膝をつき、頭を垂れた。

 

「あ、はい……。」

「迎えか?ということは、凱の関係者だろうが………。名と、所属は?」

「自分は魔界統治組織、Devil Castle二番隊隊長、ルクス・ハーヴェルクであります。」

「……ふむ。紡ぎ手。」

「間違いないよ。ついていくといい。」

「疑ってしまいすまなかった。では、頼む。」

「どうぞこちらへ。」

 

青年に連れられて外へ出ると、かなり大きめの馬車と、それを護衛する複数の騎士達がいた。

 

「じゃあ、行こうか。」

「はい!」

 

雪華は桜の手を取り、馬車へ乗り込んだ。

 

「…よし。全体、進め!」

 

馬車に乗った青年の号令で、全員が進み始めた。

 

「しばらくはこのままとなります。どうぞ、リラックスなさってください。」

「楽しみだなぁ……。」

「こりゃ僕をダシにしてくれたな。ま、悪くないか。」

 

自分のプロポーズに感化されたか、元々計画していたのを丁度いい機会だと思ったのか……。まあ、どちらにせよめでたいことだ。存分に祝福してやろう。

 

「零殿は、おそらく雪華様に感化されたかと。」

「やはりか。ま、あいつも姫乃さんも幸せなら、それでもいいか。」

「でしょうね。」

 

兜を深く被っている青年も、雪華に同意した。

 

「あの!どんな風にプロポーズしたんですか!?」

 

やはり桜はそこが気になるようだ。女の子だし、当然か。

 

「それは……話さぬようにと言われてまして。」

 

ルクスは申し訳なさそうに頭をかく。

 

「そうですか……、むぅ。」

「あとで本人達に聞けばいいだろ、な?」

「………はい。」

 

頷いたが、渋々なのは一目瞭然だった。

 

「……可愛いだろ?うちの妻も。」

「はい、とても可愛らしい御方ですね。」

「も、もうっ!」

「はははっ!」

照れてそっぽ向く桜と、楽しげに笑う雪華。どこでもどこまでも、平和な夫婦だ。

 

「……?」

 

外を見た桜はふと疑問に思った。馬車の窓の外から見える騎士たちは、兜を被っているものの眼や鼻は見えている。

それに比べて目の前の彼は完全に兜で隠れているのだ。

 

「……そういえば、ルクスさんの兜って、変わってますね。」

「確かに、フルフェイスだな。」

「これですか?まあ、専用の特注品ですから。」

 

彼は兜を撫でる。

 

「以前、とある任務で怪我を負いまして。そのときの傷を隠すものです。私は構わないのですが、中には不

快に思われる方々もいらっしゃるようで。」

「そういうことか。」

「お顔を見てみたかったのですが、それなら仕方ありませんね。」

「治せないのか?」

「治せないのではなく、治さないのです。」

 

そう言って彼は兜を脱ぐ。

彼の顔は整っており、雰囲気から育ちの良さを感じることが出来るが、その顔には右目から唇の左端にかけ

て大きな傷がついていた。

 

「……理由を聞いてもいいですか?」

「…………それは…。」

「私を守ってくれたのよ。」

 

何処からか女性の声が聞こえる。見れば窓の外に一人のガイアナイトが並走するように飛んでいた。

 

「なるほど。大いに分かるぞ、その気持ち。」

「私からしてみれば、大好きな人が自分のために傷つくなんて気が気じゃ、……ないけれど。」

 

ジト目で雪華を見つめる。しかし雪華は涼やかにそれを受け流していた。

 

「も、モナ?!」

「やっほー、来ちゃった。」

 

モナと呼ばれたガイアナイトは馬車に負荷がかからないようゆっくりと近づき、器用にドアを開けて入ってきた。

 

「初めまして、3番隊隊長のモナです。」

「霜月 雪華、よろしく。」

「妻の桜です。」

 

正直不要だとは思うが一応自己紹介。

 

「御二人のことは先生からよく御伺いしてます。」

「先生?」

「リーナ嬢だろうか。」

「五十嵐先生ですよ。」

「凱が!?」

「あの人先生なんて出来たんだ……。」

 

本人が居たら俺のことを何だと思っているんだと呟く様子が目に浮かぶ。脳内再生余裕である。

 

「週に一回、訓練に参加してくださるんです。」

「時間が勿体ないからまとめてかかってこい、と言われたときは驚きましたがね。」

「そうだったよね。しかも私たち五人同時相手で得意不得意や改善点まで見極められるんだもん。」

 

二人から凱に対する事がどんどん出てくる。

 

「地味に凄いなおい。」

「雪華さ、………雪華なら、余裕なんじゃないの?」

「……出来なくはない。100人くらいまでならギリギリ捌けるだろうな。」

「……類は友を呼ぶとはこの事か。」

 

ルクスが溜め息を吐くと同時に、馬車が止まった。

 

「どうやら着いたようです。」

 

ルクスとモナが先に降り、雪華たちを降ろす。

二人の目の前にはあまりにも大きい城が建っていた。

 

「サラッと失礼なこと言わなかったか。……まあいいか。」

「妥当だと思いますよ。うわあ、おっきい!」

「私たちはこれで。」

 

そういった瞬間、辺りの空気を震わせる振動が起こる。

 

「きゃあ!?」

「何が起こった!?」

「……まだやってるのですか?」

「…あ、あはは。」

 

ルクスの溜息に、モナは苦笑いを返した。

 

「凱が手合わせでもしてんのか…。」

「確かにあの人ならこれくらいやりそうですけど!」

「……お察しの通りです。」

 

ルクスに連れられて二人が来たのは広い闘技場だった。

そこに見たことがある姿の悪魔_リーナがいた。

が、以前とは違い、どこか焦っているように見える。

 

「全てを察した。」

「同じくです……。」

 

雪華は思った。お前主役だろ、なんで戦ってんだよ。と。

砂煙の中から現れたのは凱…というかルシフェルガイアナイトだった。

雪華たちを見つけるとリーナに何かを伝えこちらにやってきた。

 

「凱、ひとつ言わせろ。」

 

と、いきなり全力で凱を殴りつけた。人間どころか、トップクラスのガイアナイト並の腕力で殴られ、当然吹き飛ばされた。

 

「……なんだよ?」

 

しかし凱は変身を解きつつ受け身をとったようで平然としている。

 

「何やってんだお前ぇぇぇぇぇえ!!結婚式の直前だろうが!!それなのに姫乃さんほっぽり出して手合わせ!?ふざけるのも大概にしろ!!!!」

「……何かおかしいか?」

 

凱の一言でルクスやモナ、その他大勢が溜め息を吐いた。

 

「おかしいところしかないだろうが!!さっさと泥落として戻りやがれ馬鹿野郎!!!」

「いや、ちょっと予定が変わってな。式が三時間遅れるんだよ。」

 

凱は肩を回しつつ言う。

 

「だったら久々に手合わせしようってリーナにせがまれてな。」

「リーナ嬢!!君のせいか!!」

 

物凄い剣幕で、2人を怒鳴りつける。いつもの飄々とした彼はどこへやら、今は1人の人間として、彼らに怒っている。

 

「リーナちゃん、さすがに、ね?」

 

桜もまたリーナの元へ歩み寄り、しゃがみこんで笑っていない微笑を浮かべた。

 

「……はい。」

 

流石のリーナもショボくれている。

 

「まあそれぐらいにしてやれよ。」

 

凱が雪華に声をかける。

 

「僕を怒らせた原因が何を言う?」

 

本気で冷たい目を凱へと向けた。

 

「悪い悪い。」

 

凱は笑っている。

 

「そんなことより姫乃に会いに行ってやってくれ。」

「お前もな。土下座してこい。行くよ、桜。」

「はい!」

 

がしっと凱の首根っこを引っ掴み、そのままズルズルと引き摺っていくのだった……。

 

 

城内に入りしばらく行くと

一人の男が壁を背に立っていた。

身長はかなり高く、体もかなり鍛えられているように見える。

何よりもその金髪がかなり目立っていた。

 

「こんにちは。」

 

にこやかに挨拶をするも、凱を掴む腕は変わらず力が篭っていた。

 

「ふん。小僧に引き摺られるとは、地に落ちたな。凱。」

「うっせーよ鳴神。」

「……鳴神ってあの時の?本当にありがとうございました。」

 

あの時、というのは人里防衛戦でのことだ。

 

「礼を言う必要はない。」

 

鳴神はそう言って雪華を見る。

 

「それにしても、なんで凱を引き摺っている?」

 

「ああ、この馬鹿が当日だってのにリーナ嬢と戦りあってたので無理やり連れてきました。」

 

顔は笑っているが、目はマジギレしていた。

 

「ん?それは姫乃がそう言ってなかったか?」

「………それはどういう?」

「ああ。少し前だったか。式が先延ばしになった時に姫乃が退屈そうにしてる凱に『久々に凱君が戦ってるところ見たいなぁ。』って言っててな。じゃあせっかくだしリーナと殺り合おうっていうことになったはずだが?」

「先に言えよ凱!!」

「全く………、じゃ、戻すぞ。」

 

 

雪華は凱を掴む腕に力を込める。

 

 

「サンキュー。だが俺は行かんぞ。」

 

 

凱はスルリと抜け出す。

 

「楽しみは最後までとっておくもんだ。」

「はぁ…………。聞いてたら少しは加減してやったのに。すまんな。」

「言わなかった俺も悪い。とりあえず姫乃に会いに行ってやってくれ。」

「ああ。」

「はい!」

 

異界の夫婦は姫乃の部屋へ向かうのだった。

 

 

姫乃の控え室前

 

 

 

3回、ノックをする。

 

「雪華だ。姫乃さん、今良いかい?」

「はーい。どうぞ~。」

「開けるよ。」

「姫乃ちゃん!」

 

雪華が扉を開けるや否や桜は部屋に飛び込んだ。

そこにいたのはお揃いの、しかし色違いのドレスを着ている霊夢達と、純白のドレスを身に纏う姫乃だった。

 

「わぁ………!!」

「綺麗だな。」

 

桜は美しさに嘆息し、雪華は率直な感想を述べる。雪華に関しては居心地悪いのを頑張って隠しているのだが。

 

「ふふっ。ありがと。」

 

姫乃は恥ずかしそうに頬を赤らめる。

 

「凄い綺麗…!霊夢さん達も!!」

 

桜は大興奮だった。親友と異界とはいえ友人の晴れ姿、するなというほうが無理である。

 

「雪華ー、お届けもので…………、失礼しました。」

 

そこに狐面の少年(紡ぎ手)がやってきた。

 

「あ、おい待て紡ぎ手。」

「待てねぇよこんな女性ばかりで気まずい空間におれるか。」

「そうね、あんたら少し出なさい」

 

部屋にいた霊夢に押される。

 

「少し待ってください。ほら紅葉。」

「うん!姫乃おねえさん!」

 

スキマから出てきたのは紅葉だ。

 

「紅葉ちゃ~~ん!!」

 

姫乃は紅葉を抱き上げる。

 

「えへへ!おねえさんすごくきれい!」

 

ドレス姿の姫乃に抱き上げられ、紅葉はご満悦だった。

 

「ありがとー!」

「ほら、あんたらはさっさと出る!」

 

霊夢は雪華と紡ぎ手を部屋から出そうとする。

 

「あっすまない。」

「とと!ちょ霊夢さん!転ぶ転ぶ!!」

 

部屋から押し出され、紡ぎ手は顔面からいった。

 

「痛い……。」

「……大丈夫かよ。」

「大丈夫じゃない……、けど仕方ない………。」

 

 

数分後

 

 

「いいわよ、入ってきなさい。」

「じゃあ失礼するよ。」

おじゃまひまふ(おじゃまします)。」

 

二人が入ると……

そこには淡い桜色のドレスに着替えた桜が立っていた。

 

うわふご(うわすご)。」

「……!」

 

紡ぎ手も雪華も見とれていた。それ程までに綺麗だったからだ。紡ぎ手は鼻を覆うティッシュを離すと、

 

「主役並みに目立ってどうするんですかこれ。普通にめっちゃ綺麗なんですけど。」

「凱君が作ったの。『色変えただけの手抜きだが貰ってくれると嬉しい。雪華なら気に入るだろうしな。』だってさ。」

 

そこへ

 

「皆様。お時間です。」

 

ノックの後、ルクスが皆を呼びに来た。

 

「分かった。じゃあお先に、姫乃さん。………行こうか。」

「………うん。」

うん、やっはりひひえふね(うん、やっぱりいいですね)。」

 

少し顔を赤くして雪華が手を差し出すと、微笑んで桜が取る。異界の紡ぎ手はそれを見て愉悦を感じていた。

 

 

その後

 

 

式本番。雪華と桜、紡ぎ手は席についた。そこでふと疑問にができた。

自分達の席がある場所のとなりにレッドカーペットで道があるのはわかる。だが新郎新婦が立つであろう場所が席からかなり離れているのだ。

 

「あれ、遠くね?」

「確かに……、私達のときでももっと近かったと思うのですが。」

「だな。あ、紡ぎ手鼻血大丈夫かよ。」

「ん、何とか止まった。」

 

しばらくした後、凱がカーペットを歩いてやって来た。真っ白なタキシードは……なんと言うかイメージとは少し違っていて新鮮だった。

 

「……意外だけど、しっくりくるな。」

「ですね。かっこいいです。」

 

そして、霊夢に手を引かれ、姫乃が入場してきた。

その姿を凱は優しい笑みを浮かべて見ている。

 

「分かるぞ、その気持ち。」

「雪華s……も、同じような顔してたしね。」

「桜、無理やり敬語直そうとしても不自然すぎるぞおい。」

「い、いいじゃないですか。」

「まあまあ。とにかく見てよう。」

 

そう言って、雪華はビデオカメラを取り出した。奇しくも、彼らの時に凱がやっていたように。

壇の上で、護が恒例の文章を読み上げる。

 

「新郎五十嵐凱、新婦姫乃禍月、二人は健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、互いを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「何があっても守り抜く。」

「凱君を…支え続けます。」

 

二人はそれぞれの誓いを口にし、互いの唇を重ねた。

 

「良いもんだねぇ。」

「恥ずかしがってキスしてくれなかったから私がやりました。」

「驚いたんだからね?」

 

彼らの時を思い出して、微笑んだ。まだそれほど経っていないというのに、なんだかちょっぴり懐かしい。

そして式は終わる………はずだった。

 

「お集まりの皆様。本日はありがとうございます。このような日を迎えられたのは祝ってくださる方々のおかげです。」

 

凱がマイクをとって喋り始めた。

 

「あいつが、敬語……!?」

「お前失礼にも程がある。」

「でも、イメージはあまりない、かな………??」

 

突然の感謝、凱の敬語に雪月花トリオは困惑していた、

 

「しかし、皆さんはこう思っているでしょう。『この男にしては平和すぎる』、と。」

「それはそう。」

「おい紡ぎ手。」

「ブーメランですよ……。」

「私は、感謝しているのです。祝いに場にこの城を借りられて、さらに多くの方に祝っていただける。」

 

凱はマイクを持っていない手で壇の上にあった酒瓶を拾い上げる。

 

「何するつもりだあいつ。」

「野球のあれですかね……?」

「あのシャンパンのやつ?さすがにそれはないだろ。女性だって多いし。」

とかいいつつちょっと怖くなっているのは内緒。

「これだけ盛り上がるイベント。主役としてもっと盛り上げなければなりません。」

 

凱は瓶を高々と掲げる。

 

「これが、俺からのサプライズです。」

 

そう言って凱は瓶を地面に叩きつける。

酒瓶は粉々に割れ、中の液体が飛び……凱と姫乃を包むような火柱となった。

「何やってんだあいつ!!」

「凱さんったらもーっ!」

 

2人が協力して耐熱結界を構築した。

しかし、火は雪華達の方へは来ず、赤い火から徐々に青くなり、弾けとんだ。

そしてその中から現れたのは、まるで騎士の鎧のような装飾があしらわれたタキシードを着る凱と、深い紫色の美しいドレスを身に纏う姫乃だった。

 

 

宴会にて

 

 

凱と姫乃はそれぞれの席で、友人達と話ながら食事を楽しんでいた。もちろん、雪華達もだ。

 

「何やってんだお前。」

「びっくりしました!」

「すみません弾け飛んだ火の粉のせいで袖焼け落ちたんですけど。」

「サプライズだよ。」

「あれのためだけに席の位置や壇の距離変えるの大変だったんだからな?」

 

凱と護がそれぞれ酒を煽りながら言う。

 

「だからあんなに離れてたのか……。」

「というかあれのためだけだったんですね……。」

(あ、僕は無視ですかさいですか。)

 

呆れる2人と悲しくなった紡ぎ手であった。

 

「せっかく映像も撮って貰ってたみたいだし、丁度いいだろ?」

「確かに派手ではあったけどな。」

「青い炎って、炎色反応でも使ったんですか?」

「それか完全燃焼?でもいきなり完全燃焼って有り得るのか?」

「あの瓶は実は中身が特殊構造でな。第一層には可燃性の液が、第二層にはプロミネンスの火種が入ってたんだ。」

「あーなるほど?物理法則ガン無視できるからああなったっつーことですか。」

「まあな。あと壇周辺の床と壁、天井はヴォイドの時空操作で燃えないように細工してある。」

「わーお準備バッチシ。じゃあ僕の袖が火の粉で焼け落ちたことについて何か弁明等あります?」

「紡ぎ手さん!ステイ!ステイです!」

「それは単純にお前らが座ってる席には本来二人しか来ない想定だったからな。」

「くそ!認知されてなかった!」

「哀れ紡ぎ手……。」

「てか、あんたを数に入れ忘れてた。雪華に桜。紅葉は膝に乗るだろうとは思ってたが、追加が来るとは想定外だった。」

「そもお前が着物なんて着てるからだろ。」

「良いじゃないか!かっこいいだろ和服って!」

「わかる。めっちゃわかる。」

 

うんうんと頷いているのは護だ。

 

「ですよね。雪華も着てみたら?」

「遠慮しておく。ガラじゃない。」

「雪華君、似合うと思うけどな~。」

 

姫乃はそう言いながらグラスの液体を飲み干す。

中身は珍しく烏龍茶だ。

 

「そうなんだよ。雪華さ………、雪華の和服姿凄くかっこいいのに、あんまり着てくれなくて。」

「確か年始に1回だけだったはずよな?」

「折角だし着たら?」

「分かったよ、ちょっと待ってて。紡ぎ手、身長は?」

「175。」

「OK、ほぼ同じだな。お前の予備借りるぞ?」

「了解。ほらよ。」

 

取り出したのは、今紡ぎ手が着ているものと同じ、蒼い着物だった。

 

「着替えはあっちの部屋でやってくれ。」

 

凱は部屋の奥の扉を指差す。

 

「分かった。じゃあ着替えてくる。」

 

そして彼は指定の部屋へ入っていった。

 

「ふふっ、どんな風になるのかな〜♪」

「楽しみにしてるのな、桜。」

「当然じゃないですか!雪華様の着物ですから!」

「おとうさん、どうなるのかな?」

「かっこいいのは保証できるかな。お父さん顔が良いから。」

「おかおだけじゃないもん!」

「そうだったな、ごめんごめん。」

 

数分後

 

「まあ、こんなもんかな。」

「わあ!おとうさんかっこいい!」

「そうか?なら良いんだけど。」

「ね?言った通りでしょ?」

「確かに似合ってるな。」

「そうだよねー。」

 

雪華の和服姿に皆が賞賛を送る。

 

「何でも着こなすよな。すげえよ。」

「お前は無頓着すぎるんだよ、紡ぎ手。」

む、と紡ぎ手は押し黙る。

「さて…もっと盛り上げていくぞ!」

凱の一言で、さらに会場は大盛り上がりとなった。

 

 

宴会の後

 

「流石に飲みすぎたかな。」

 

自宅であるFDLに戻ってきた

 

「盛り上がったもんねー。」

 

すでに私服に着替えた姫乃が凱の隣に座る。

 

「ドレスも綺麗だったが、私服も可愛いぞ。」

「は、恥ずかしい……!」

 

姫乃が顔を赤くする。

 

「それで、部屋に戻るか?」

「んー、今日はせっかくだし一緒に居たいな。」

 

姫乃が凱に抱きつき、上目遣いで凱を見つめる。

 

「………わかったよ。」

 

 

この後、二人をおちょくろうとした護は部屋の前に陣取っているナイトメアに追い掛け回されることになり、二人がどうなったかは分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 





どうも、フォーウルムです
更新が滞っておりましたがついに出せました!
今回は長らくやろうと思っていた「結婚式」でした。
期間が長くなってしまった分、本編も7000字を越えるというね、うん
そしてそして、今回は凱達の親友である雪華君達もお招きしてという中々に登場人物が多い回となりました。


次回から新章突入となりますのでおたのしみに!

凱、姫乃、護、三首、音川の五人の紹介は……

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