第0章ー1ー1話ー入学式
七耀暦1205・1月初頭…エレボニア帝国西部、ラマール州・ジュノー海上要塞にて、貴族連合軍と帝国の若き皇女の軍が両軍入り交じって戦っていた。 貴族連合軍は、大将を失い、帝都ヘイムダルを奪われ、海都オルディスまでもが陥落した。
敗走した貴族連合軍は、オーレリア将軍がいるジュノー海上要塞へ逃げ落ちる。 若き皇女の軍もジュノー海上要塞を囲むように部隊が配置される。 そして両軍が入り交じって戦いが始まった。 海上要塞に立て籠る貴族連合軍は、若き皇女の軍を退ける。
そんな中、白馬にまたがった若き皇女が戦場をかける。ただひたすら前に、前にと。 オーレリア将軍がいる場所へひたすら前に。そして
ユフィ「オーレリア将軍、貴女に一騎打ちを申し込みますわ!」
オーレリア「ユーフェミア皇女殿下…殿下自らがこの私に…一騎打ちを…」
オーレリアはそう言ってしばし考えて、そしてユフィを見据えながら喋り出す。
オーレリア「ふっ、面白いことを申される…。良いでしょう、皇女殿下。皇女殿下の八葉の腕前を見せてもらうとしましょう!」
オーレリアは、大剣を構える。ユフィも緋の鞘から太刀を取り出して構える。
ユフィ「わたくしの太刀がどこまで通じるのか分かりませんわ。でもわたくしには支えてくれる仲間がいますわ!わたくしをここまで送り届けてくれた人達のためにも負けられません!」
オーレリア将軍とユーフェミア皇女は、ジュノー海上要塞にてぶつかることになった。
これは、若き皇女ユーフェミアが、帝国の英雄、西ゼムリアの英雄となっていく物語。 劣等生の軌跡外伝~緋の皇女の軌跡~ 閃の軌跡1のop【明日への鼓動】 物語は、七耀暦1204年3月31日へ。
帝都発ペキン着の横断鉄道の列車が、春に染まりかけている風景の中を駆け抜けていく。今、この貨客列車には、学生が多く乗っている。学生が列車に乗ることは別に珍しいことではない。ただ、帝都から東側へ向かう学生はいない。学校があるわけでもない。
普通なら、帝都の東に向かう学生はいない。だがこの日の帝都中央駅から東へ向かう学生で駅は混雑していた。 白の制服を着ている者達。 緑の制服を着ている者達。 真紅の制服を着ている者達。 白と緑の制服を着ている者達は、同じぐらいだ。
だが、真紅のを着ている者達は明らかに少ない。白や緑の制服を着ている者達から、ある意味注目されていた。
???「おい、あの制服見たことないぞ」
??「ああ、でもさあの紋章?俺らと同じだよな?」
ヒソヒソと話している
そんな話を不快に思った、緑色の髪で、メガネをはめた少年が
??「僕は…僕は見せ物じゃないんだぞ」
メガネの少年はそう言って、列車に乗り込んでいく。しかし列車の座席はどこも埋まっている。緑の少年は、キョロキョロと探していると、金髪の少女から
??「あの…もしかしたらお席をお探しですか?よろしければ、どうぞ」
??「え!?」
金髪の少女から思いもよらない申し入れに、メガネの少年は驚いた。
??「どうしたんですの?」
??「あ、ありがとうございます」
そう言ってメガネの少年は、荷物を荷物入れに置き、金髪の少女の横に座る。
??「まぁ、なんて綺麗な方。でも何処かで見たような」
メガネの少年は、ついつい見とれてしまう。すぐに我に返り、金髪の少女の横に座る。
??[この女性どこかで見たはずなんだか?]
と思いながら 女性を直視出来ない 。2人の間に妙な間があくのである。
メガネの少年は、金髪の少女を直視できないが、少女の匂いや2つの膨らみを見ていた。
??「あの~貴方も同じ制服ですわね」
少年はビクッとして声が出なかったが、すぐに答えた。
??「そういえば君も同じ色の制服?」
話すことにより、少しオチツイタヨウナだ
メガネの少年は、白や緑を着た人間達のかっこうの的になっていたが、目の前の金髪の少女も同じ真紅の色の制服を着てるのを見て、ちょっと安心した。 メガネの少年は、これから通うトールズ士官学院のことはちゃんと調べたはずだと思った。パンフレットも何度も隅々まで見た。
なのに、真紅の制服のことはどこにも書いてはいなかった。メガネの少年は、トールズ士官学院に問い合わせしてみようとも思った。制服が今年から変わったのではないかと、思ったりもしたが帝都中央駅でその思い込みも崩れさった。だが今、微かな希望を持ち始めた。
横に座っている金髪の少女は、自分と同じ真紅の制服を着ていると。自分だけの仲間外れではないのだと少し安堵したメガネの少年。すると横に座っている金髪の少女が、彼に話しかける。
??「帝都中央駅の混雑は凄かったですね」
??「確かに…いつもならこんなんじゃないんだが」
??「そうですの?」
??「今日は特別じゃないかな。この列車に乗ってるほとんどがトールズ士官学院行きだと思うし」
??「そうなのですか」
??「ええ」
メガネの少年の言ったことに金髪の少女は納得したようだった。改めて金髪の少女は、メガネの少年を見据えて
??「自己紹介がまだでしたわ。わたくしの名前は、ユフィ・レンハイムと申しますわ」
??「ぼ、僕の名前はマキアス・レーグニッツだ」
ユフィは、レーグニッツと聞いて驚いた。カール・レーグニッツ、帝都で彼の名前を聞いたことはいないほどの人物。
カール・レーグニッツ帝都知事。革新派の有力人物である人物である。ギリアス・オズボーン宰相と共に帝都ヘイムダル改革を推し進めてきた実績がある。ユフィもそんな彼とこんなところで会うとは思わなかった。
そして列車のアナウンスが流れる。
【本日は、帝都発、ケルディック経由、バリアハート行き旅客列車をご利用頂きありがとうございます。次はトリスタ、トリスタ。1分程の停車となりますので、お降りになる方は、お忘れのないようご注意ください】
アナウンスが鳴り終えると、列車に乗っている学生達がそわそわガヤガヤとしはじめた。トールズ士官学院があるトリスタ駅はすぐそこまで来ている。 マキアスもユフィも緊張感が出てきた。
ユフィ「なんだか、緊張してきましたね」
マキアス「これから学院生活が始まると思うと緊張してくるな」
ユフィ「そうですわね。あ、あのマキアスさん」
マキアス「ユフィさん、何かな?」
ユフィは、少しモジモジしながらマキアスにこう頼んだ。
ユフィ「あ、あのマキアスさん。宜しければ、わたくしと入学式がとり行われる講堂まで御一緒にいきませんか?わたくし、1人だと心細くて」
マキアス「ご、御一緒にですか!?」
ユフィ「あのー御迷惑なら…わたくし1人で…」
マキアス「御迷惑なんかじゃない。むしろ…僕は…」
マキアスは、ユフィを見据えてそう言った。マキアス自身もなぜそう言ったのかは、自分自身でも分からなかった。ただマキアスの中で何かが目覚めたのは言うまでもない。
ユフィとマキアスは、列車から降りて、トリスタの地に下り立った。 帝都近郊都市トリスタ、かの獅子心皇帝ドライゲルスが晩年にこの地で教鞭をとっていた。その学院こそが、トールズ士官学院である。トールズ士官学院は、彼が設立した学院なのである。
トリスタ駅から出ると、ライノの花が2人の入学を祝ってるかの如く花びらが舞っている。ユフィとマキアスはその光景を見て感動する。
マキアス「ライノの花が綺麗に舞っているな」
ユフィ「そうですわね」
緑の制服を着た学生は足を止めて、ライノの花を見ているが、白の制服を着た学生達は見向きもせずに通り過ぎていく。
ユフィ「貴族生徒の方々は、ライノの花が興味がないのでしょうか?」
マキアス「貴族生徒は、ライノの花どころか、平民だって興味がないのだろう…」
ユフィ「そうですか…」
ユフィがマキアスの言葉を聞いて表情を曇らせる。それを見たマキアスは
マキアス「どうかしたのかい?」
ユフィ「い、いえなんでもないですわ」
ユフィは思った 自分も貴族といえば貴族になる 。しかしマキアスを見てて その事を閉ざすのであった。
しばらく、ライノの花を見ていた2人は、トールズ士官学院がある方向へ歩き出す。トリスタの街には、最低限度のお店があるし、住民もトリスタの街に住んでいる。トリスタの住民は、温かな目で学院生を見ていた。
ユフィが教会でお祈りをしたいとマキアスに言って、2人トリスタ礼拝堂でお祈りをやった。 お祈りを上げた後、トールズ士官学院の方へ歩いて門をくぐったところで、ユフィとマキアスは不意に言葉をかけられた。
小柄な緑の制服を着た女子生徒と、黄色い作業着を着たふくよかな男子生徒がユフィとマキアスに話しかけてきた。
?? 「ご入学おめでとうございます。うんうん君たちが最後みたいだねユフィ・レンハイムさんとマキアス・レーグニッツ君でいいんだよね?」
ユフィ「は、はい、初めまして」
マキアス「ええ、合ってますが、しかし何故僕達の名前を?」
マキアスがそう尋ねたら、小柄な緑の制服を着た女子生徒は、今は話せないと言った。今度は黄色い作業着をきたふくよかな男子生徒がユフィとマキアスに話しかけてきた。
??「これが2人の申請した品かい?」
マキアス「ええ。パンフレット通りですね」
ユフィ「はい、わたくしのはこれですね」
マキアスとユフィは、己の得物をふくよかな男子生徒に預けた。
??「それじゃ二人とも 体育館へ急いでね」
緑の制服の少女は微笑んだ
ユフィとマキアスは、自分達が最後だと聞いたから急いで講堂まで来たが、緑の制服を着た生徒や白の制服を着た生徒達が来てるのを見て
ユフィ「さっきの方、わたくし達が最後だと仰られましたよね?」
マキアス「ああ、確かにそう聞いた。何が最後なのか…」
ユフィとマキアスは、何が最後なのか分からないまま、入学式がとり行われている講堂へ足を踏み入れる。 講堂の中は、結構の人数が集まっており、緑と白の制服を着た生徒がほとんどだった。だがちらほらと真紅の制服を着た生徒達もいた。ユフィとマキアスは、互いに安堵した。
安堵した後は、2つ席が空いてるところに座る。
マキアス「それにしても、この制服が僕達だけじゃなくてよかった」
ユフィ「そうですね」
ユフィとマキアスがしゃべっていると、トールズ士官学院の教官とおぼしき人物達が講堂の前に集まってくる。
教官の中にヴァンダイク学院長がいる。教頭が入学式の進行役を努める。そして、今年のトールズ士官学院の入学式が始まった。 新入生の学生達は、緊張の表情をしている。そしてヴァンダイク学院長が
オリヴァルト理事長からの祝電なのが読み上げられる。ユフィはちょっと嬉しい気持ちになる。形式な祝電であっても、妹の立場ならではの嬉しさがあるのだろう。 そしてヴァンダイク学院長が、ある言葉から力をいれ始める。
ヴァンダイク学院長「ーー最後に君たちに1つの言葉を贈らせてもらおう。本学院が設立されたのは、およそ220年前のことである。創立者はかの、【ドライケルス大帝】ー【獅子戦役】を終結させた、エレボニア帝国、中興の祖である」
ヴァンダイク学院長「即位から30年あまり、晩年の大帝は、帝都から程近いこの地に兵学や砲術を教える士官学校を開いた。近年軍の機甲化と共に本学校の役割りも大きく変わっており
ヴァンダイク学院長「軍以外の道に進む者も多くなったが…それでも大帝が遺した“ある言葉”は今でも学院の理念として息づいておる。 【若者よ、ーーー世の礎たれ。】
ヴァンダイク学院長「“世”という言葉をどう捉えるのか。何を持って“礎”たる資格を持つのか。これからの2年間で自分なりに考え、切磋琢磨する手ががりにして欲しい。ワシの方からは以上である」
ヴァンダイク学院長のお言葉が終わり、盛大な拍手が鳴り響くなか入学式は終わった。
ヴァンダイク学院長が壇上から去り、教頭が変わりにしゃべり始める。
教頭「これから、各自記されたクラスへと移動してもらう。クラスにて、オリエンテーションを行う。では解散」
教頭の解散の合図で、緑の制服を着た生徒、白の制服を着た生徒は次々と立ちあがり、自分達のクラスへと歩きだした。
マキアス「クラスを記したものなんか無かったぞ!?」
ユフィ「わたくしもですわ」
マキアス、ユフィ以外の真紅の制服を着た生徒も文句を言い出した。
??「ハイハイ!!静かに。赤の制服の皆はここに残ってね」
と大きな声が響きわたった
ユフィやマキアス、その他の真紅の制服の着た学生達は、声を発した教官の方へ視線を向けた。その女性教官は、とても士官学院の教官とは思えない格好をしていた。
マキアス「ユフィさん、あれは!?教官なのか?格好から見てそんな風には見えないな」
マキアスは疑問を持ちながら周りを見渡したのだ。
するとユフィから ユフィ
「変わった格好の教官さんですね」
マキアス「変わった格好って問題だけじゃないだろ…」
マキアスは、ユフィの問いに戸惑いながらも、女の教官の話を聞いていた。
??「どうやらクラスが分からなくて、戸惑ってるみたいね。実はちょっと事情があってね。君達にはこれから【特別オリエンテーリング】に参加してもらいます」
??「へぇ?」
??「特別オリエンテーリング?」
??「ふむ…?」
??「ちぃ…また厄介な事を……」
??「……」
真紅の制服を着た生徒達はそれぞれの反応を見せた。それは当然の反応であろう。パンフレットに書かれていないことをさせられそうになっているのだから。
そして女の教官は、ユフィ達についてくるように言った。真紅の制服を着た生徒達は戸惑いながらも彼女に付いていく。
ユフィ「わたくし達も行きましょうか」
マキアス「そうだな。いちいち考えていても仕方がない」
ユフィとマキアスは、最後尾から付いていくことした。
ユフィとマキアスや他の者達がたどり着いた先は、随分と古びた校舎があるところだった。女の教官は、その古びた校舎の扉を鍵で開けると中へ入っていく。 真紅の制服を着た生徒達は、渋々と文句を言いながら入っていく。ユフィとマキアスも古びた校舎へ足を踏み入れる。
古びた校舎の中はカビ臭く、長年使っていないことがわかるような状態の有様だった。真紅を着た生徒達は、ますます怪訝な表情になっていく。一体こんなところで何をさせられるのかと。 すると女の教官が1つの柱の場所に移動した。
??「ふふんまぁあんた達なら大丈夫だとは思うけど気を抜かないでね」
女性教官はそっとボタンを押したのである
すると床が突然傾き地下へ真っ逆さまな状態になる。不意を疲れた生徒達は下へ落ちていった。ユフィは武道の心得があるから、何とか踏ん張ろうとしたが、女の教官からの妨害に合い地下へと落ちていった。
旧校舎地下に落とされた生徒達は、カビ臭い匂いとホコリが舞って咳き込んでいた。
落ちてきた場所は、ほとんど最近は使われていないような部屋であった。達也はすぐに気がつきアリサに駆け寄る。アリサが倒れていた場所は、達也の近くだった。
達也「アリサ、大丈夫か?」
アリサ「ええ、大丈夫よ…」
アリサはスカートがめくれていないかチェックを入れる。めくれてないことを確認すると安堵した。念のためにアリサは、達也に聞いてみる。
アリサ「達也、見てないよね?」
達也「見てないが」
アリサ「別にあっさり、見てないって言わなくても…」
アリサは、達也が照れながら見てないって言ってほしかった。他の男に見られるのは嫌だが、達也になら見てほしかった。新しく下ろしたニューのピンクのパンツ。望みが無くても僅かな可能性に掛けたが、あっさりと潰えた。色々と思考が回ってるアリサに達也が話しかける。
達也「アリサ?」
アリサ「た、達也!?」
達也「先ほどからずっと黙りこんでいたからな。やはりどこかぶつけたか?」
アリサ「どこもぶつけてないわよ」
達也とアリサはこんなものである。ユフィとマキアス達はどうなったのか…。
マキアスは、ふと目を開けると暗闇に包まれた場所だった。
さっきまで薄暗いとはいえ旧校舎にいたのだ。そして地下に落とされたとしても真っ暗になることがあるのかと考えていた。
そして無意識に鼻を突き出した。すると
ユフィ「あ、アン……や、やめてください…!」
マキアスは、気づいてはいないのだが、彼がいる場所はユフィのスカートの中。そして鼻を突き出した場所は、ユフィの大事な場所。
あろうことかマキアスは、さらに突き出す。
ユフィ「、ア、アン、い、いい加減にやめてください!!!」
ユフィは、スカートの中からマキアスの顔を引っ張り出してから、往復ビンタをやった。何が何だかわからないマキアスは、往復ビンタをくらい尻もちをついた。ユフィが真っ赤にしてスカートを押さえる姿を見て、マキアスはようやく自分が何をやったのか気づいた。
一気にマキアスは青ざめた表情になる。そしてユフィに
マキアス「…あ、あれはわざとじゃないんだ。信じてくれ、ユフィさん!」
ユフィ「…………」
ユフィは、ジト目でマキアスを見て、プイと反対方向を向いた。
女子生徒達からは、ユフィと同じジト目で見られ、男子生徒達(ガイウスを除く)からは、憐れんだ目で見られた。
マキアスがユフィにラッキースケベなイベントを起こし、女性陣から冷ややかな目と男性陣からは、複雑な視線を受けていた。
マキアス「言っておくがわざとじゃないからな」
アリサ「いくらわざとじゃないと言ってもアレは…私も同じくひっぱたいてやるわ」
達也「アリサ…まあ確かにな」
達也も過去にアリサとラッキースケベイベントを起こした事がある。その後、1週間は口も聞いてくれなかった苦い思い出がある。だから達也は、苦笑を浮かべるしか出来なかった。
微妙な空気が流れた後、ユフィもちょっとマキアスに対する仕打ちに後悔の念もあった。なにも往復ビンタをする必要はなかったのではないかと。せっかくマキアスと出会えたのに、これで疎遠になるんじゃないかと。
ユフィがそう悩んでいたら、突然あの女性教官の聞こえた。
??「マキアス…ちょっと問題を起こさないでくれる?」
マキアス「ぼ、僕は別に問題は起こしてないですよ!」
マキアスは必死に違うと弁明したが聞き入れてはもらえなかった。 そんな中で、入学案内書、パンフレットや制服以外に贈られてきたものから聞こえてきたのだった。マキアスや他の者達はそれを手に取る。
??「それは特注の《戦術オーブメント》よ」
それから女性教官による【戦術オーブメント】の説明があり
??「これはエプスタイン財団とラインフォルト社が共同で開発した次世代の戦術オーブメントの1つ。第5世代戦術オーブメント、【ARCUS】よ」
達也「ARCUS……そういうことか」
アリサ「みたいね…」
エマ「戦術オーブメント……魔法(アーツ)が使えるいう特別な導力器のことですね」
??「そう結晶回路(クオーツ)をセットすることで魔法(アーツ)が使えるようになるわ。というわけで各自受け取りなさい」
しかし完成させて既に学院に持ち込むとは 流石に噂以上の会社というわけか、 心の中で達也は思っていた。 しかし達也だけでなくアリサも同じ事を考えていたのである。
だが、達也やアリサの知らぬところで、日本の四葉の技術も入ってるのである。四葉は前々からラインフォルト社と提携を結ぶことを考えていた。だがグエンは四葉と組むことをよしとしなかったが、娘のイリーナは、提携を結ぶ事を決定していた。
帝国正規軍は密かに日本の四葉家から新しい戦車を購入することも決められていた。そしてそれをラインフォルト社が大量に生産できるようにも計らっている。 全ては鉄血宰相と四葉深夜による決定から進み始めていた。
帝国の革新派と日本の四葉の同盟が、帝国の貴族派、日本の十師族同士の争いが加速していくことに。そしてG∴D教団の事件で混乱していたクロスベルも両者の争いに巻き込まれていく。
それはカルバード共和国でも両者と同じようになりつつあった。ロックスミス大統領派と反対勢力の対立は目にみるようにわかってしまうほど悪化していた。帝国ほどにまでいってはいないが、いつ同じになるかわからないところまできているのは確かなのだ。
そんな激動の時代の中、作られたのが、クロスベルの特務支援課であり、オリヴァルトとミサキの提唱でトールズ士官学院の中に新たに設立された特科クラスⅦ組であった。
と、横道にそれてしまったが話を戻そう。ユフィや達也達は、自分達の得物が置かれてる台座の場所までやってきた。得物と色んな色に輝くクオーツがそこにあった。みんな、クオーツを手に取りARCUSの中心に、はめ込んだその瞬間に輝き出した。
??「君たち自身とARCUSが共鳴・同期した証拠よ。これでめでたく魔法(アーツ)が使用可能になったわ。他にも面白い機能が隠されているんだけど……まっそれは追々って所ね。それじゃあさっそく始めるとしますか」
ここから奥にダンジョンが広がっている。
??「そこから先のエリアはダンジョン区画になってるわ。割と広めで入り組んでいるから少し迷うかもしれないけど無事、終点までたどり着けたら旧校舎1階に戻ることが出来るわ。まっちよっとした魔獣なんかも徘徊してるんだけどね」
女性教官がそう言った後、批判の言葉が飛びまくることなる。
??「……みんなで協力しあって進めば何とかなるはずよ。まずは行動するのみよ」
女性教官は批判の言葉をかえし、ユフィ達にそう言った。 互いに協力しあえば、おのずと道は開けると女性教官は言いたかったのだろう。
ユフィ達は、地下通路の奥の方を見据える。その中でユーシスが1人で先に歩き出す。
マキアス「待ちたまえ、君は1人で行くつもりか?」
ユーシスはマキアスの方を向き
ユーシス「馴れ合うつもりはない。それでも《貴族風情》と連れ立って歩きたいのか?」
マキアス「ぐぅ………」
ユーシス「まぁ魔獣が怖いのであれば同行を認めなくもないが。武を尊ぶ帝国貴族としてそれなりに剣は使えるつもりだ。貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)
として、力なき民草を保護してやってもいいが?」
貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)は間違ってはいないが、今のマキアスなら激昂させかねない状況になってしまうだろう。やはり…マキアスの表情はみるみるうちに怒りに染まり
マキアス「だ、誰が貴族ごときの助けを借りるものか。もういい!だったら先に行くまでだ!旧態依然とした貴族などより上であることを証明してやる!」
そう言ってマキアスは先に歩いて行ってしまった。ユフィはそれを見て、マキアスの後を追う。
ユフィは、みんなが何か言っているのを気にしながらマキアスの後を追う。ほとんど使われた形跡が無い中、マキアスの足跡を見て
ユフィ「マキアスさん、そんなに急がなくても…」
ユフィは、マキアスに追い付くため走り出す。
旧校舎の地下迷宮は、楽々なものではなかった。すぐに分かれ道が現れる。ユフィは2つの分かれ道の真ん中で
ユフィ「マキアスさんは、どちらの道にいかれたのでしょう?」
ユフィは2つの分かれ道を交互に見て
ユフィ「こちらですわ」
ユフィは、そう言って左の方へ走って行く。
ユフィは、中々追い付けないので、五感の神経を全集中させた。
マキアス「き、君も1人で来てたのか?」
ユフィは、マキアスから話しかけられたが、気づかなかった。彼女は神経を全集中させると周りが見えなくなる場合がある。だからマキアスから話しかけられてもわからなかったのだ。
マキアスは、ユフィの肩に手を置いた途端、刀で斬られそうになり、後ろに後退しながら尻もちを付く。
マキアス「……!あ、危ないじゃないか!」
ユフィ「…!!マキアスさん!」
ユフィは慌てて刀を鞘に直しマキアスに駆け寄る。
マキアス「ぼ、僕は君に話しかけようとしただけだ!」
ユフィ「マキアスさん、ごめんなさい」
ユフィは、マキアスに謝罪をする。マキアスはやれやれと思いながら
マキアス「不意に話しかけた事は謝るよ」
ユフィ「ごめんなさい、マキアスさん。わたくし、集中すると周りが見えなくなるんです」
マキアス「まあ、僕も集中したら周りが見えなくなるかな」 マキアスは、何気にユフィにフォローを入れた。マキアスも勉強に集中しすぎて、飲みかけのコーヒーに入ったコップをこぼしたことも多々あるのだ。
ユフィ「マキアスさんもそうなのですか?」
マキアス「うん、まあね」
マキアスの答えにユフィはクスクスと笑った。ユーシスと対峙していた時のマキアスの表情は、なんだか怖いと思っていたが、こうやって冗談を言うマキアスの表情は怖くないと感じていた。
ユフィ「それじゃあ、探索を再開しましょうか、マキアスさん」
マキアス「そうだな」
ユフィとマキアスは、そう言うと探索を再開した。 歩き出して、すぐにわかったことだが、この辺りに人の出入りはほとんど無いくらいに埃やカビが舞っていた。
マキアス「しかし学園にこのような場所があるとは」
マキアスは辺りを見ながら 呟いた
ユフィ「トールズ士官学院の旧校舎にこのような場所があるなんて聞いてませんわ」
マキアス「本当にここは旧校舎なのか?」
ユフィは内心驚きを隠せないでいた。父親、兄オリヴァルトからトールズ士官学院の旧校舎の事は聞かされてはいた。
だが今いるような場所は聞いたことがない。
ユフィは戸惑いながらも、探索をすることを決意し
ユフィ「マキアスさん、ここは進むしかないですよ」
マキアス「ユフィ君はこういうところは平気なのかい?」
ユフィ「わたくしは平気ですよ」
マキアス「この娘 は 一体何者なんだ?普通ならこのような場所慣れてるとは言わないだろう」
マキアスは 疑問に思いながらも 前に進むのであった
しばらく進んでいくと、魔物が徘徊しているので、ユフィは太刀で、マキアスは導力銃で応戦する。
マキアス「たぁ!!」
ユフィ「紅葉斬り!!」
マキアスの援護射撃で魔物がひるんでいるうちに、ユフィは太刀で仕留める。
マキアス「お疲れ ユフィ。しかし君のその武器は東方の物なのかい?」
ユフィ「エエ そうですわ 帝国では珍しいのかしら」
ふと微笑んでいた。
東方の武器、主に昔は大亜や日本あたりを指していた。今の時代では日本系の刀が東方の武器の主流になっていた。 エレボニア帝国では珍しい武器だが、カルバード共和国より東の国々では、有名な武器の1つと数えられている。
太刀を一躍有名にしたのは、ユン・カーファイ。彼は大亜の国の人間だったが、日本に亡命し八葉一刀流の道場を日本に開く。カシウスや九島烈など弟子などに恵まれる。
そこから色々と派生した流儀も存在する。例えば日本の千葉家も八葉の流れを組み込んだ一族でもある。
ユフィは、自らの太刀をマキアスに見せる。
マキアス「帝国の剣より小さいが、重さは…ある!」
ユフィ「初心者では、太刀を持ち上げることも出来ませんわ」
マキアス「…そ、そうなのか!?」
そんなことを喋りながら、2人は歩みだした。そして地下迷宮を歩いて進んでいると、どこからかカタカタと音がしてくる。
マキアス「何の音だ?」
ユフィ「近づいてきますね」
2人は背中合わせでお互いの得物に手をおく。 カタカタ、カタカタどこからか近づいているのは間違いない。距離が縮まってるのは確かなのだ。
お互い気を配りながら警戒していると、マキアスの肩にポタッと何かが落ちてくる。
マキアス「つ、冷めたっ…何だ…?」
マキアスが真上を見上げると、何かが落ちてくる。それもマキアスをめがけて。ユフィはそれに気付き太刀を振るう。 しかし肝心なところでかわされる。
ユフィ「は、早い!」
マキアスを襲おうとした何かは、次なる目標をユフィに定めていた。マキアスは導力銃で、何かを狙い撃つ。しかし寸前のところでかわされる。
マキアス「スピードが早い。何なんだアレは…ユフィ君!君にさっきのが…」
ユフィ「ええ、わたくし達の背後の天井から近づいてきた魔物だと思いますわ!」
マキアス「な、なんであんな魔物が旧校舎に!?」
魔物の姿は、蜘蛛の巨大化したようなものだ。ユフィは、太刀で巨大蜘蛛に斬りかかるが前脚で弾かれる。
マキアスもユフィの援護射撃を行い、なんとかしようとしたが、弾は硬い皮膚にはばかれる。
マキアス「何だ、あの巨大蜘蛛の硬い皮膚は!」
ユフィ「…通常の攻撃は…おそらく効かないでしょうね…」
マキアス「通常の攻撃が効かないならどうすれば…?」
ユフィ「…やるしかないですわね」
マキアス「ユフィ君…!?」
ユフィはそう言うと太刀を鞘にしまう。しまったことにマキアスが驚く。 ユフィは巨大蜘蛛を見据えながら呼吸を整える。太刀の鞘を左手に太刀を右手に持つ。
ユフィ「八葉一刀流…弐の型…裏疾風…焔!」
高速なスピードで巨大蜘蛛を斬り付けて背後に回って螺旋擊のような攻撃を加えた。
ユフィの攻撃を食らった巨大蜘蛛は、よろめきその場に倒れ込んでパチパチと燃えて異様な匂いを発していた。マキアスはユフィの攻撃を見て腰を抜かしそうになったが、何とか踏ん張っていた。
ユフィ「…?マキアスさん大丈夫ですか?」
マキアス「だ、大丈夫だ…」
ユフィ「…さっきのアレを見て驚かれているんですね…」
ユフィはパチパチと燃えている巨大蜘蛛を見ながらそう言った。 ユフィは、マキアスに自分が怖いイメージを印象付けてしまったと思ってしまった。
たがユフィの思いとは逆にマキアスは
マキアス「正直言えば驚いたさ。でも恐怖とかの気持ちではないんだ。そ、そのなんと言うか、カッコいいと言うかなんと言うか」
マキアスは、ちょっと自分で何を言ってるのかわからない状態になっていた。そんなマキアスを見てユフィは
ユフィ「……カッコいいですか……ウフフ、初めてそんなこと言われましたわ…」
マキアス「そ、そうなのかい?」
ユフィ「そうですわ」
過去、兄であるオリヴァルトと冒険してるときは、可憐だとか綺麗だとか、凄いとは言われてきたが、カッコいいとは言われた事がないのだ。だからマキアスから言われたことは新鮮味であった。
ユフィ「…巨大蜘蛛は倒しましたが、ここは早く抜けることが先決ですわね」
マキアス「そうだな。こんな巨大蜘蛛に何回も襲われていては、身が持たないからな」
マキアスがそう言うと、こちらへ向かってくる足音が聞こえてきた。