【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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第1章11話です。


第1章ー13ー11話ー暗躍、闇に蠢く者達。

ーー1204・4・22ー深夜ー帝国・サザーラント州パルム郊外

 

深夜、サザーラント州紡績街パルムの近郊にある、とある工場に数台のトラックが運び込まれてきた。

 

工場内にトラックが運び込まれたのを確認すると、工場の主である工場長が姿を表す。ただ工場長は、不満げな表情をして

 

工場長「今回は、納品が遅れているようだが?」

 

運び屋「すいません、クロスベル経由の仲間がクロスベル警察に捕まりまして…それで迂回ルートを使って来たんですよ」

 

工場長「クロスベル警察に捕まっただと?」

 

運び屋「ええ、そう情報が入って来たんで迂回をしたんですよ」

 

工場長「クロスベル警察の署長やクロスベル警備隊のあの司令に賄賂を渡してるはず…まさか裏切るつもりじゃないだろうな」

 

工場長と運び屋が慌てていると、1人の少年がやってきた。どす黒い雰囲気を醸し出した黒々しいスーツを着た男である。

 

??「別に裏切ったわけじゃないみたいだけどね」

 

工場長「あ、明智さん。裏切ったわけじゃないとは、どういう?」

 

彼の名前は明智吾郎。日本に置いては、名探偵明智として、事件解決をしている。日本のマスコミや国民の間では、探偵王子だと言われている。だが自分達がやらかしている事件を操作して己の手柄にしているに過ぎないエセ探偵である。裏の仕事を請け負うのが、本来の姿である。そんな明智が日本からわざわざ遠い帝国までやって来たのは、日本のとある人物に頼まれたからである。

 

明智「君達は馬鹿なのかい?」

 

明智に馬鹿と言われて運び屋の男はすぐに気がつく。

 

運び屋「まさか…特務支援課の連中が!?」

 

明智「御明察…その特務支援課がとあるアジトに踏み込んだんだ。まあ、これからクロスベルでは騒乱が起きそうみたいだからね」

 

ニヤリと悪党の笑みを浮かべる。

 

工場長「クロスベルの騒乱と我々の仕事がどういう関係が?」

 

明智「クロスベルが混乱に陥れば、帝国、共和国に入り込みやすくなる。やつらは、国境に目を向けなくてはならなくなる。通常よりも人員を増やさなくてはならない…これ以上は言わなくてもわかるだろう?」

 

運び屋「なるほど」

 

明智の言い分はこうだ。クロスベルが混乱に陥ることによって、帝国も共和国も互いに国境の門の方へ目を向ける。国境の門に集中が向き、隙が出来る場所が出来ると。

 

明智「それと君達が活動しやすいように帝国の貴族や領邦軍のトップの連中には、買収しておいた」

 

工場長「ありがとうございます、明智さん」

 

明智「…安心はするな、油断もするな…。日本の行方不明事件、帝国軍情報局、鉄道憲兵隊、遊撃士、日本の千葉家の連中もかぎ回っている。金城やあの方も気をつけろと言われている…」

 

工場長「はっ、」

 

運び屋「はっ、」

 

工場長「お前達、吟味をしろ!上玉は貴族への贈り物だ。そうでは無いものは、この工場の労働力にする。男達は、猟兵団に売却する」

 

工場長の発令と共に、工場から人員が出動し、荷物を確認し始めた。

 

 

ーーパルム郊外の丘

 

パルム郊外の丘から、とある工場の内部を見ていた人物がいた。紫色の帝国の婦人服を身に纏った女性である。麦野沈利をモデルにしたような女性と言った方がいいか。

 

名前は麦野静江。七草弘一の娘であり、真由美達の異母兄妹でもある。七草家のエージェントであり、真由美の付き人でもある。彼女は、日本の第1高校を主席で入学して、主席で卒業している。もちろん生徒会長も努めていた。今年から国立魔法大学に入学している。そんな彼女がこんな帝国のサザーラント州南部のパルム郊外にいるのかというのは、真由美からある指令を受けている。

 

【高校生連続失踪事件】

 

失踪している高校生達の保護者達が、警察に被害届けを出して受理をしているのに、全く捜査をしているようには見えない。マスコミに訴えかけてるが、真剣に取り合ってはもらえない。

 

嘆く悲しむ保護者を見て、真由美は心を痛めていた。だから父親であり七草家当主である七草弘一に黙って、静江を帝国に派遣する。静江の調べによって失踪した高校生達が帝国に連行されている情報を得たからである。

 

しかしそもそもとある工場から離れたパルムの丘から見えるのかと言う話になるだろう。しかし静江には見えるのである。

 

彼女は、真由美と同じ【マルチスコープ】が使えるからである。それともう1つ先天的な能力が使える。【原子崩し(メルトダウナー)】という能力だ。【マルチスコープ】と【原子崩し(メルトダウナー)】と組み合わせるなら、ある意味最強かもしれない。

 

静江「なるほどね。まさかの明智吾郎…貴方がそっち側の人間なのね。どうりで警察組織が動かないはずだし、マスコミも取り上げないわけか」

 

静江は、胸の下で腕を組み考えていた。明智吾郎は、警察組織に事件解決のために協力し、マスコミのコメントにも素直に応じている。その明智は、マスコミの前でこの高校生達の失踪を事件性は無いと発言している。

 

静江「国民的な明智の意見なら、事件性無しと片付けられてもおかしくはないか。でもそれは権力で…金城とあの方…?」

 

【金城潤矢】

 

金城潤矢とは、渋谷を拠点にする人身売買グループ。日本の警察、遊撃士達が血まなこになって捜しているが、尻尾すら掴めない。

 

以前日本の警察が、金城の部下を確保したのだが、取り調べ中の留置場の中で自殺していたのだ。最初は、金城潤矢への突破口だと警察やマスコミは騒いでいたが、自殺されたことの批判は上がらなかった。普通なら批判の矢先に警察が晒されるはずだが、マスコミはそれをほとんど報じなかった。報じても罪の意識に悩ませての自殺で片付けた。疑惑や疑問を持った人達も少なからずいた。

 

だが、そこに明智が自殺って発言し、疑惑を持っていた人間達も納得してしまった。そして今に至る。

 

静江「今すぐ、潰してあげたいけど、証拠を固めないとね。まずはパルムでの情報収集かしらね」

 

静江はそう言うと、パルムの街の方へ歩いて行った。

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