ーー1204・4・25・朝・紡績の街パルムー
ーー宿酒場(白の小道亭)
いろんなところで、いろんな思惑がある中、ユフィ達はレポートを書き上げて寝ることしたのだった。トリスタからパルムまで、約8時間。昨日の場合は、アクシデントもあって、8時間+αもかかってしまい心身共に疲れはてていた。
そしていつもの鳥のさえずりで、目が覚めてしまうユフィであるが、今日はまだ眠ったままである。
先にエマが起き、身支度を始めた音で目が覚めてしまうユフィであった。
エマ「あ、ユフィさん、おはようございます。今日もいい天気みたいですよ」
ユフィは、エマに言われるがまま、窓の外から入ってくる太陽の日射しを見て
ユフィ「ま、眩しいですわ」
エマ「ユフィさん、完全に目が覚めましたか?」
ユフィ「ええ、覚めましたわ」
ここは、パルムの宿酒場(白い小道亭)の宿の部分である。男子(4人)と女子(2人)と分かれて、泊まったのだ。女子の方が広々としているのは、4人部屋に2人しかいないのもある。
ユフィもベッドから出て身支度をし始める。
太陽の日射しで、エマの黒の下着が照らされて、妖艶に見える。それに対して、ユフィの下着は白であり、よりよく白を輝やかせている。マキアスが今のユフィを見れば、鼻血を出すのは確定だろう。
そんな身支度の一部だった。
身支度が終わったユフィとエマが、酒場の方に来たら、リィン達がすでに来ていた。
リィン「ユフィ、エマ、こっちだ」
ユフィ「すいません、みなさん」
エマ「遅れました」
スハルト「別に謝らなくていい。女子は時間がかかるのは当たり前だから」
マキアス「スハルト、そんなことを口でいちいち言わなくても…」
ユフィ達が、そんな話をしていたら、オーナーのマケインさんから朝食を頂くことに。帝国の代表的な朝食である。
マケイン「すまないね、本当はもっと豪華な朝食にしたかったけど」
リィン「構いませんよ」
マキアス「そんな特別扱いしなくていいですから」
スハルト「あまり豪華な朝食を食べたら、このあとに控えている“特別実習”に差し支えるだろ?」
リィン「差し支える?」
ユフィ「マキアスさん、アレを?」
マキアス「わかった、ユフィ君」
ユフィに言われて、マキアスは昨日マケインからもらった学院の封筒から1枚の紙を取り出す。
取り出した紙には、学院長と理事長の判が押してあり、サラのサインもあった。そして内容はこう書かれていた。
【・日本人移民街へある物を届けてほしい《必至》】
【・魚釣りを教えてほしい《必至》】
【・迷子の捜索】
【・とある薬草をもらって来て欲しい】
【・南サザーランド街道の魔物退治《必至》】
【パルムの東にある日本人移民街に住むヤマシタという人に渡したいものがある。本来なら自分で渡したいのが、足を怪我をして渡しにいけない。どうかこの私の話を聞いてもらえないだろうか。自分の家は、東側の門の近く民家です。(パルムの住民ーバース)】
【子供達に魚釣りを教えてほしい。魚釣りができる人に来てもらいたい。自分はパルムの中を流れる川の側にいます。(パルムの住民ートラスト)】
【私は、日本から来た観光客ですか、今朝から子供の行方がわかりません。パルムの街の中を探しましたが、見つかりません。どうかみなさんの力を貸してもらえませんか?私は、宿酒場(白の小道亭)にいます。(日本からの観光客・鷹山実理)
】
【パルム礼拝堂のシスターのマルチナです。とある薬草を切らしてしまいました。本当ならセントアークからの商人さんが持ってきてくれるのですが、生憎その商人さんは、別の場所に行ってらっしゃるみたいです。詳しい事は、パルム礼拝堂のマルチナまで訪ねて来てください。礼拝堂にてお話します。(パルム礼拝堂ーマルチナ)】
【南サザーランド街道の人気の無いところに狂暴な魔物が住み着いています。ほっとけば、旅人や観光客に危害を加える可能性があり、即時に退治をお願いする。(サザーランド州領邦軍、パルム詰所)】
これを昨日マキアスと一緒に見たユフィは、生徒会の依頼の仕事と同じであり、遊撃士の仕事と同じであること気づいた。スハルトも昨日、ユフィとマキアスがその紙を見ていたのをチラ見しただけだが、遊撃士の依頼の仕事みたいなのをさせるのではないのかと気づいた。マキアスもユフィから聞かなければ、まだわかっていなかっただろう。
他のメンバーはまだポカーンとしていたのだった。
ーーー
この後、ユフィがサラから聞いた話をした。自由行動日の日にユフィと達也が、特別実習のために、先に経験させてたこと。
ユフィと達也を別の班にして、その経験を生かす事など説明した。
リィン「そういう事だったのか。どうりであの日、達也もユフィもウロウロしてたわけか」
ユーシス「その事はわかった。だが俺達 でそんなことをしなくてはならないんだ?」
スハルト「それがⅦ組の育成方法なんだろ?」
マキアス「与えれた実習内容ならやるしか無いだろう?君は、やりたくないならやらなきゃいいだろ?お貴族様は、こんなことやりたくはないらしい」
ユーシス「な、何だと?」
リィン「マキアス、ちょっと言い過ぎだろ!」
スハルト「大丈夫なのか…こんなんでやれるのかよ…」
ユフィ「ここで言い争っても何も解決しませんわ!マキアスさんもユーシスさんもお分かりでしょ?」
ユフィに怒られたマキアスは、申し訳ないような表情をした。ユーシスも何やらばつが悪そうな表情になった。リィンもスハルトもエマも感心していた。
ユーシス「ユフィに言われたら仕方がない…やるしかないだろ」
マキアス「ユフィ君、すまない。大人げないところを見せてしまったな」
ユフィ「わかって下されば良いですから」
ユフィがニコニコしながらマキアスとユーシスを見ていた。リィンとスハルトは、互いに顔を合わせてユフィをマジで怒らせてはダメだと思ったのだった。
そしてユフィの提案で、B班を2班に分けることに。なぜ2班に分けるのかと言うと、全員が依頼に関われるようにするためだと。
班分けはこうなる。ユフィとリィン班に分かれることに。
【ユフィ班ーユフィ・マキアス・スハルト】
【リィン班ーリィン・ユーシス・エマ】
ユフィとリィンは、上手く班分けにした。つまりマキアスとユーシスを一緒の班にするのは外した。
ちなみに魔物退治の依頼は、全員でやることにして、他の依頼(必至)は、別々にやることに。
そして何の依頼をするかコイントスで決めた。
ユフィ班ー【魚釣りを教えてほしい】【とある薬草を取って来て欲しい】
リィン班ー【日本人移民街へある物を届けて下さい】【迷子の捜索】
【魔物退治】は全員で当たることに。そう取り決めを決めた。全て終えたら宿酒場(白い小道亭)のマケインに報告すること。
そしてユフィ達B班は、初めての特別実習を開始することになった。
ーー白亜の旧都セントアークー侯爵家にて。
ユフィ達がパルムの街で特別実習を始めた頃、旧都セントアークでは、静江とハイアームズ侯爵家の二男が侯爵家で会談をしていた。
静江「ありがとうございます、フデレリック卿。こんな小娘ごときの話を聞いて下さって」
フデレリック「そうかしこまれなくても結構だよ。リラックスして構わない。日本の七草家にエージェント…いや七草家現当主の御息女と言った方が良いかな?」
静江「……アハハ…やはりご存知でしたか…私のことも」
フデレリック「ああ、君の父君の弘一氏とも何度か話したことがあってね。その時に娘さんが何人もいるが、静江は出来た娘だと自慢してらっしゃったからね。それで覚えていたのだよ」
静江「アハハ…フデレリック卿にお褒め頂き光栄であります」
フデレリック「静江さんが、直接私のところに来ると言うことは、やはり例の少年の事かな?」
静江「やはり…日本人移民街から逃げてきた少年は、セントアークに?」
フデレリック「ああ、セントアークの大聖堂で保護してもらっている。私達も色々と手を尽くしたが、彼は何かに怯えているのだよ」
少年は、一度パルムの元締めに預けられ、その後領邦軍が保護しセントアークまで連れてきた。だが、何かに怯えているようで、話をできる状態ではなかった。それを見たフデレリックが、セントアーク大聖堂の大司教に報告し大聖堂の方で保護してもらうことにした。
フデレリック「今は、大司教の話では、大分彼も落ち着いてるらしい」
静江「そうですか…。すいませんね、日本の問題を帝国まで持ち込んでしまって」
フデレリック「構わないよ。むしろ帝国が日本の方に問題を持っていってないか心配であるがね」
静江「まあ、えーとそれは…」
静江は解答に困った。帝国の問題に首を突っ込んでるのは、七草弘一や獅童正義…。帝国側が日本に関与してるのは、貴族派の中心人物のカイエン公であるが、目の前のフデレリックも貴族の中でもキレる人物の1人なのだから。フデレリックもそれはわかったようで
フデレリック「私は貴族派には属していないよ。属してたら、貴族と平民の融和政策なんてしないよ。かといって革新派でもないのだかね。私はオリヴァルト皇子の考えに賛同してるのさ」
静江「オリヴァルト・ライゼ・アルノール…リベールの異変を解決した人間の1人…皇族の人間でありながら、民と寄り添ってる方なんですよね」
フデレリック「リベールから帰ってきたオリヴァルト皇子は、顔つきが違ってね、帝国を変えるんだってね」
静江「そうですか。それでフデレリック卿もそういう政策を?」
フデレリック「そうだね。私もオリヴァルト皇子の理念を聞いて、手助けがしたくてね…。せめてサザーランド州から変わっていこうって考えてね」
静江「ハイアームズ侯爵閣下は、それを?」
フデレリック「父上からは、承諾は頂いてるからね」
二男フデレリックの改革を、父上であるハイアームズ侯爵は、認めている。他の州からの移民者も増えているのは間違いない。ハイアームズ侯爵家も貴族派に所属はしてるものの、貴族派の中でも穏健派であり、貴族派と改革派の仲を取り持とうとしているが、中々と上手くはいかないのも事実である。
静江「フデレリック卿のなされてることは、是非応援したいですね。七草家としてはなく、麦野静江としてですけど」
フデレリック「なるほどね、七草家は、密かに貴族派と繋がりを持ってたね」
十師族の中で、帝国との関係を持っているのが、七草家と貴族派。四葉家の改革派。後は獅童正義一派と繋がりを持つ七草家。獅童正義一派も貴族派が繋がっている。
静江「恥ずかしながら…」
フデレリック「失礼した。話が逸れてしまったね。少年の事だが、大司教から勧められたのだが、日本に帰国させようと思う。本人も帰国したがってるようだしね」
静江「わかりました、少年に会わせてもらえませんか?」
フデレリック「わかった。静江さん、会わせよう」
静江は、フデレリックと共に侯爵家から少年が保護されているセントアーク大聖堂へ向かうことに。
ーー宿酒場(白い小道亭)→パルム礼拝堂
ユフィとマキアスとスハルトは、先にパルム礼拝堂から来た依頼を済ませることにした。
魚釣りの依頼は、パルム内から出る必要もないので、先に薬草の依頼を先に片付けた方がいいだろうと、スハルトが言ったためだ。ユフィもマキアスも異論はなかった。
すぐにパルム礼拝堂に着いたユフィ達は、礼拝堂に入りシスターマルチナを探す。するとマルチナの方からやって来た。
マルチナ「あのすいませんが貴女方は、もしかしてトールズ士官学院の方達でしょうか?」
ユフィ「はい、そうですが、貴女がシスターマルチナさんでしょうか?」
マルチナ「はい、マケインさんから聞いて依頼を出したのですが、大丈夫だったでしょうか?」
マキアス「はい、大丈夫です。それで依頼の方は、いつも来る商人の方が別件で来られないと言うことでしたが、僕達でも大丈夫なのでしょうか?」
マルチナ「大丈夫ですよ、貴女方にはパルムの丘ってところにエリン草が植えてあるんです。万が一のために我々はパルムの丘にエリン草を植えてるんです」
パルムの丘。パルムと日本人移民街との間にある人工的な丘である。そこは丘ということもあり、パルムの街と日本人移民街も見下ろす事もできる絶景でもある。パルムの丘の中腹には、イストミア大森林から持って来た木々もあり、小さなイストミア森林もあり、そこの一部にパルム礼拝堂の畑があり、そこで薬草であるエリン草を栽培している。
スハルト「つまり、そのエリン草を採って来れば良いのか?」
マルチナ「はい」
マキアス「エリン草とはどのような?」
ユフィ「確か青白い色をした薬草ですよね?」
マルチナ「ええ、そうですけど。えーとご存じの方がいらっしゃるので、大丈夫ですよね。エリン草を5束くらい持って来てください」
ユフィ「わかりましたわ」
スハルト「じゃあ、早速行こうぜ」
マキアス「そうだな」
ユフィ達は、パルムの東から東日本街街道を東へ歩き出した。
ーーパルム→東日本街街道→パルムの丘
パルムの東の街道、昔は別名で呼ばれていた。今は東に日本人移民街が出来て名称が変わったのだ。その街道沿いには、田んぼや畑も広がっている。田んぼや畑には、人が結構いて農作業をしている。
ユフィ「あの方々達はみなさん日本人なのでしょうか?」
スハルト「だろうな」
マキアス「彼らは、東方では真面目で勤勉な民族と聞くが、なぜそんな人達が帝国に移民を…」
スハルト「話によれば、今の日本もこの帝国や隣の共和国と同じさ。貴族派だの、革新派、移民推進、反対、親帝国、反帝国など分かれてるんだよ」
ユフィ「…やはりどこの国々も…」
ユフィが複雑な表情をしたため、スハルトは
スハルト「まあ、俺達がいくら考えても変わるわけではないし、今は実習課題に集中しようぜ」
スハルトはそう言うと街道を歩き出す。マキアスもスハルトの言ってることに同感してしまう。自分達がいくら考えても国の役職に就いてない限りは、変えることいや変えることのチャンスすらないことを痛感してしまう。
それはユフィとて同じであった。
ユフィ達は、パルムの丘に着いた。確かにマルチナさんが言っていたように人工的に作られた感のある丘である。パルムの丘の方からの風がとても気持ちがいい。
ユフィ「パルムの丘から吹いてくる風が気持ち良いですわ」
ユフィが風に吹かれて髪やスカートが揺れているのを見てマキアスはちょっと見とれてしまった。
スハルト「確かに風は気持ち良いが、無防備になるなよ」
ユフィ「えっ!?」
スハルトから言われ、ユフィは風でスカートがヒラヒラとしていたのを慌てて押さえる。そしてマキアスを見る。
マキアス「ぼ、僕は何も見てないぞ!」
ユフィ「……」
スハルト「遊びはここまでして、さっさと行くぞ」
スハルトはそう言うとパルムの丘の方へ歩き出した。
マキアス「僕は何も見てないぞ、信じてくれ、ユフィ君!」
ユフィ「……わかってますわ。マキアスさんはそんな人ではないですから」
ユフィはそう言ってパルムの丘へ歩き出した。マキアスもため息をはいてパルムの丘へ歩き出した。
ーーパルムの丘・イストミア森林エリア
パルムの丘の一部を人工の森林エリアにしている場所が、イストミア森林エリアである。セントアークの西に広がるイストミア大森林の一部の木々を許可をもらい植えさせてもらったのだ。
人工の森林エリアだが、神秘的な雰囲気が漂っている。そんな中をユフィ、スハルト、マキアスは歩いている。
ユフィ「何だか、不思議な感じな場所ですわね…」
マキアス「そうだな。何だかお伽噺に出てきそうな場所たわよな…」
スハルト「まあ、本体のイストミア大森林はもっとすごいぜここよりもな」
ユフィ「セントアークの西に広がるイストミア大森林ですか…」
スハルト「A班、達也達か行っているケルディックの近くにあるルナリア自然公園は人工的な場所だが、イストミア大森林はマジで手付かずの自然な場所だ」
マキアス「なるほど…」
ユフィ「スハルトさんって意外に物知りなんですね」
スハルト「別に、ただ知ってるだけさ。とにかくエリン草が栽培されている場所に行くぞ」
ユフィ達は、エリン草が栽培されている畑の前までやって来た。そこには見事なほどにエリン草が育っている。
パルムのシスターマルチナが密かにここで栽培しているようだ。セントアークからの商人がこれないときは、ここのエリン草を使ってなんとかしているようだ。
ユフィ「エリン草を5束でしたよね?」
マキアス「5束のはずだ」
スハルト「エリン草は5束で良いぞ。だがその前に……」
スハルトは回りを見て自分の得物を取り出す。それを見たユフィとマキアスも自分の得物を取り出す。
ユフィ「マキアスさん、スハルトさん、どうやら囲まれてますね!」
マキアス「ああ、どうやら僕達がエリン草に夢中になってる時に囲まれたか」
スハルト「まあ、そうだろうな」
ユフィ、マキアス、スハルトは互いに背中を合わせた。
ユフィ達を取り囲んでいる魔物は、パルムの丘でしか見ない魔物のようだ。
大カタツムリが3体、大ナメクジが4体、大蝶々が3体いる。
ユフィ「見たことがない魔物ですわ」
スハルト「こんなデカイヤツは見たことがないが…小さいヤツならあるだろ」
マキアス「……カタツムリとナメクジと蝶々か?」
スハルト「だろうな…小さい奴らなら良かったがこんなデカイやつをほっとくわけにはいかないだろ!」
マキアス「スハルト、そうだな」
ユフィ「わかりましたわ。近くにパルムや日本人移民街がありますもの。ほっとくわけにはいきませんわ!」
ユフィ達は、街に被害を出させるわけにはいかないと魔物達と戦うことに。
ーー
何とか魔物達を倒したユフィ達。周りには先程倒した魔物達が転がっている。
ちょっと魔物の匂いが臭いような感じがする中、ユフィ達はエリン草を5束を根本から取り出した。
取り出した後、パルムの丘からパルムの街や日本人移民街を見下ろすユフィ、マキアス、スハルト。
スハルト「あっちに見えるのが日本人移民街だな」
マキアス「へぇー、結構な街だな」
ユフィ「そうですわね」
スハルト「結構な日本人が移民して来てるのだから当たり前だろうが…」
スハルトは日本人移民街の方に視線を向けている。それに気づいたユフィが
ユフィ「スハルトさん、どうかしましたの?」
スハルト「い…いやなんか違和感があったのだが」
マキアス「違和感?」
スハルト「ああ…日本人移民街の方向でだが…」
ユフィ「日本人移民街の方って、リィン達が依頼で訪れるものがあったはずでは?」
スハルト「確かに届ける依頼があったな…」
マキアス「とにかく今は、エリン草をパルム礼拝堂のマルチナさんに届けるのが先決だろう」
ユフィ「そうですわ」
スハルト「わるいな、ユフィ、マキアス」
ユフィ達はそう言うと、パルムの丘のイストミア森林エリアから出て東日本街街道をパルムの方へ歩く。3人は色々な事を考えている。1日目の移動の時から何か怪しい動きはあった。日本人移民街から西トウキョウ駅への犯人逃走事件…そんな事があったのだから。
その事件を帝国軍情報局、鉄道憲兵隊、領邦軍が当たっている。その事が異常さを醸し出している。
だが、ユーシスから言われたこと。
ただの士官生がどうにかできる状況ではないのは、ユフィ達もわかっている。
だがユフィは胸のあたりにモヤモヤがしていたのだった。そしてパルムの方へ歩き出した。
ーー日本人移民街
一方スハルトから見られていた日本人移民街の方の連中は……
日本人移民街の自警団。パルムの東にある日本人移民街の治安維持組織。サザーラント州にありながら、自治が認められている。州の治安維持組織の領邦軍ですら立ち入りすら出来ない。
そんな連中の見張り台の1人が、パルムの丘から視線に気づいた。
見張り1「なんか視線を感じたんだが?」
見張り2「視線?どこから?」
見張り1「パルムの丘の辺りからだが…?」
見張り2「パルムの丘から?バカを言え。あの辺りには、明智様より与えられた魔物を放ったはずだろ?」
見張り1「確かにそうだが…。人影を見たんだよ…」
見張り2「パルムの丘にうっかり迷いこんだ住民が喰われるのをみたんじゃねーのか?」
見張り1「やめろよ、そういうのは」
見張りの男の1人は人間が食べられるのを想像してしまった。もう1人の見張りの男も
見張り2「まあ、気持ちの良いものではないな」
見張り1「そういや、トールズ士官学院の学院生が特別実習の課題の一件で日本人移民街に来てるらしいな」
見張り2「トールズ士官学院…日本の魔法大学みたいなところか」
見張り1「ちょっと違うだろうが、まあ大体は合ってるだろう」
見張り2「で、その士官学院の学院生が遊撃士みたいな事をしてるんだ?」
見張り1「しらねーよ」
見張り2「とにかく、俺達の任務は、日本人移民街の警備だ。別に帝国人が入って行けないわけではないしな」
見張り1「そうだな…平和が一番だな」
見張り台の2人は、呑気に鼻歌を歌い出した。この2人の思惑とは違う方向に物事は動きだそうとしていた。