【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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第1章19話です。


第1章ー21ー19話ーリィン達の救出。

ーーー

 

入り口の方から1枚の紙のようなものが飛んできた。おそらくただの紙ではない。術者が生み出した紙みたいな式神みたいなものか。この術者は連絡手段として使っているようだ。

 

??「待ちな、ステイル」

 

ステイル「…!?…その声はハ、ハチマンか?」

 

ハチマン・ヒキガヤ。元はステイルと同じく、日本人であった。容姿は普通だが目が濁っているような、魚が死んだようにしているため、キモがられていた。日本の総武中学校の文化祭以降、学校中からいじめられ、教師や家族からも見捨てられ、自殺をしようとしていたところに、先代ステイルに拾われて、アルテリア法国に連れてこられた。

 

修業時代は、ステイルや桜子と3人ペアでやっていたが、ハチマンの才能を見出だしたトマス副長の試練を乗り越え、従騎士を飛び越え、正騎士に成り上がった実力を持つ。彼の2つ名は【雷神のハチマン】や【雷神ヴォルト】とも言われている。作戦時には、ハチマンの名を使わずエイトと名乗る。雷神と名前にあるように雷を自由自在に操れる。とあるシリーズの御坂美琴みたいなあんな感じである。

 

ハチマンは、先代ステイル、トマス以外で、ステイル(カズヤ)、ケビン、ワジやオリビエ、ロイドの事を認めている。4人はハチマンのしたことを褒めている。でも褒め称えた後にとあることも説明している。みんなを救うために、ハチマンが傷つくのはもっとダメだと。

 

でも何もしない連中よりは、百倍も千倍もハチマンの方がいいと言っている。これはステイルが行った言葉である。

 

ハチマンは、自分のために泣いたり笑ったり怒ったりしてくれる人物がいてくれたのかと涙を流した。ステイルはハチマンの頭を撫でている。これに対しては、ステイルに女子にしろと言っている。

 

そうは言ってもハチマンは、そんなステイルに感謝している。もちろんオリビエやワジ、ケビン、ロイドにも。

 

過去話は、今は良いとして

 

 

ハチマン「ああ、ハチマンだが、ステイル、拉致されていた日本人を保護したんだろ?」

 

ステイル「ああ、なんとか保護したが?」

 

ハチマン「さすがだな、ステイル」

 

ステイル「まあ、俺だけではないがな。で何かあるんだろ、ハチマン?」

 

ハチマン「ああ。副長からの報告だが、保護した日本人をすぐに返さないで欲しいってさ」

 

ステイル「どういう意味だ?」

 

ハチマン「…どうやら、帝国政府と日本政府の代表が密かに会談するらしいな。それの交渉材料ってとこか」

 

ステイル「ちっ…交渉の材料って…何考えてやがる!」

 

ハチマン「俺もステイルと同感さ。上の考えることはわからん」

 

ステイル「副長が待ったをかけてるなら、従うしかないだろう」

 

ハチマン「済まない、ステイル。こっちも色々やっているから、帝国と日本の極秘会談の情報収集が遅れてしまった」

 

ステイル「そう言えば、ハチマン、お前確か副長とロジーヌと一緒にあの学院に通ってるよな?」

 

ハチマン「まあな。別に好きで言ったわけではない。副長が来て欲しいと頼んだからな。学校はあのトラウマを思い出すから嫌なんだよ」

 

ステイル「済まないな、ハチマン」

 

ハチマン「別にお前に謝れてもな」

 

そしてハチマンが情報収集で得たことを話し出した。

 

帝国政府と日本政府代表は、極秘会談を紡績町パルムで行う。

 

帝国政府代表は、ミサキ・カミジョウ。

 

日本政府代表は、司波深夏。

 

会談の内容は、おそらく日本人拉致事件、武器大量の密輸。

 

この2点が争点になるだろうと、ハチマンの考えのようだ。もちろんステイルも同じ考えである。

 

もちろん秘密裏の会談であるため、首脳会議のような大規模な警備などは敷かない。警備を敷いたら何かをやってることがバレるので、警備は敷かない。

 

ただ一般客のように、景色に溶け込むように会談は行われるだろう。

 

ステイルは、この会談に教会も1枚絡んでるのではないかと思っていた。

 

ハチマンとの通信が終わると、桜子、クラレット、静江が近づいてきた。ステイルは軽くハチマンからもらった情報を教えた。静江が

 

静江「日本政府代表に司波深夏…」

 

ステイル「知ってるのか、静江さん?」

 

静江「ええ、知ってると言ってもリベール王国との交渉で全権を任されてたとしか」

 

ステイル「そうか」

 

桜子「で、帝国政府代表が、ミサキさん」

 

クラレット「今回のミサキさんの立場は、鉄血の子供達でしょうね」

 

ステイル「そうだな。さてと俺達は、日本人の高校生達をメルカパに連れ出す事が先決だな」

 

ステイルがそう言って、桜子、クラレット、静江は拉致されていた日本の高校生、25名をメルカパへと連れていく。

 

日本の高校生達は、不安そうにしている。無理もないだろう、あんなところに閉じ込まれていたのだから。あんなところとは、コンクリートの壁に囲まれた明かりもほとんど無いような空間。扉が閉まれば、何もわからなくなるような空間である。

 

そして高校生達の1人がある事実を口にした。

 

【帝国の真紅の制服を着た学生さんが、工場の幹部らしき人物達に連れて行かれたと】

 

静江はあの連中が言っていた事は、本当だったと軽く舌打ちをした。

 

静江「その学生さん達はどこに連れて行かれたかわからない?」

 

女子高校生「わかりません」

 

静江「そうね…ごめんね。思い出させるようなこと言ってごめんね」

 

静江はそう言うと、不安がる女子高生を抱き締める。女子高生も静江に抱き締められ安心したのか気持ちが落ち着いたようだった。

 

すると1人の女子高生がステイル達に話しかけてきた。

 

 

 

 

 

ーーーー

 

ステイル達に話しかけてきた女子高生は、モブカットの茶っ毛の女性で日本のとある高校の制服を着ている。

 

ステイル「えーと何かな?」

 

???「真紅の制服を着た人達を探してるんですか?」

 

ステイル「ああ、そうだね。まさかその真紅の制服を着た子達の行方を知ってるのかい?」

 

???「はい、ゴールド・マウンテンの帝国支社の幹部の方々が、真紅の制服を着た人達を連れてきたかと思ったら、また別の場所へ連れて行きました」

 

桜子「別の場所ね。一体どこへ連れて行かれたのか」

 

クラレット「また違う工場へ?」

 

???「はい、なんか帝国政府と良い取引ができるとかなんとか言っていました」

 

ステイル「帝国政府と良い取引…」

 

ゴールド・マウンテン帝国支社の連中が、日本かあるいは第3国に逃げるために、真紅の制服の生徒達を人質に取って、帝国政府と優位に交渉を持っていく可能性もある。だがそれは真紅の制服を着た生徒達が身分が高い場合のみ。庶民なら帝国政府は交渉のテーブルにすら付かないだろう。帝国政府が交渉のテーブルについただけでも真紅の制服の生徒達の中に身分が高い生徒がいることになる。

 

???「あの、私の意見は役に立ちましたか?」

 

ステイル「ああ、大いに役に立ちそうだ。君、ありがとう…えーと」

 

真「真、新島真です」

 

ステイル「新島真さん、ありがとう。クラレット、みんなを頼む」

 

クラレット「わかりました。ステイル卿はどうするんですか?」

 

ステイルは、静江さんの方を見て何かを頷いた。

 

ステイル「ちょっと気になることがあるんだ」

 

静江「私もね」

 

桜子「気になること?」

 

ステイル「どうやら、真紅の制服を着た生徒達は、あの隠し扉の向こうに連れて行かれたのだろう」

 

静江「そう考えるのが妥当ね」

 

桜子はポカーンとしている。ステイルの目と静江の目は、特殊な目である。隠し扉なんか簡単に見つけることも出来る。

 

ステイル「桜子、お前はクラレットの方を頼む。奴らが簡単に逃がしてくれるかわからない」

 

桜子「……わかったわ。人質の子達は無事にメルカパまで連れていくわ!ステイル、無茶をしないで!」

 

ステイル「わかった」

 

桜子「静江さん、ステイルの事を宜しくお願いします」

 

静江「わかったわ。終わったらちゃんと無事に桜子さんのところに送り届けるわ」

 

ステイル「…俺はモノかよ」

 

桜子は、ステイルと静江にそう言って元の道を戻っていく。

 

それを見届けたステイルと静江は、隠し扉の方を見る。そして隠し扉の前までやって来た。

 

ステイル「…隠し扉を開ける装置は無いのか」

 

ステイルが隠し扉を開ける装置がないか調べていると

 

静江「隠し扉の装置を探してる時間も惜しいわ!」

 

静江はそう言って自身の特殊能力である【原子崩し(メルトダウナー)】を発動させる。すると静江さんの回りに球状のものが現れる。彼女が右手を向こうに向けると、球状のようなものが一斉に隠し扉へ向かって爆発する。

 

物凄い地響きや爆発音がしたが、建物にはなんのダメージはないようだ。

 

ステイル「静江さん、ちょっとやり過ぎなんでは?」

 

静江「そうかしら?これぐらいは許されるでしょ」

 

ステイル「アハハ…静江さんは大胆ですね」

 

静江「和也君…それ褒めてるのかしら?」

 

ステイル「えーとどうでしょうか…。って先を急ぎましょう!」

 

ステイルは、壊れた扉の向こうへかけていく。

 

静江「ちょっと待ちなさい、和也君!」

 

先に行ったステイルを追っかける静江であった。

 

 

 

ーーー

 

隠し扉を抜けて奥へと続く通路をひたすら走るステイルと静江。

 

これまでに何回か敵に遭遇している。猟兵というよりは、ヤクザのような連中だった。そんな連中もステイルと静江の連携プレイですぐに片付けられた。

 

奥へと走り続けるステイルと静江であった。

 

 

 

ーーー

 

ゴールド・マウンテン帝国支部の秘密工場最奥

 

ゴールド・マウンテン帝国支部の秘密工場最奥まで連れてこられていたリィン、ユーシス、エマであった。

 

最奥には、帝国支部の幹部だけではなく、本社の幹部らしき人物がいた。帝国支部の幹部の何人かはミサキや静江が工場襲撃の際に逃げ出している。本社の幹部である多村がリィン達に話しかける。容姿は魔法科高校のブランシュの日本支部の司一みたいな感じだ。

 

多村「君達が我々の計画を邪魔してくれた連中かね?」

 

リィン「人さらいや武器の不正な横流しの事か!」

 

多村「やはり知られたか…。帝国支部の支部長の山中は使えん奴だったか」

 

ユーシス「ふっ、部下を使えん呼ばわりとはな」

 

多村「使えんから使えんと言ったまでだよ、帝国の貴族のぼっちゃんさんよ」

 

エマ「貴方方は、日本の高校生を使って何をしてるんですか!武器もあんなに集めるなんて」

 

多村「それは言ったでしょう…我々の計画のためだとね」

 

リィン「その計画とはなんだ!」

 

ユーシス「是非、教えてもらいたいものだな」

 

多村「なぜ、君達に教えなきゃならない?君達は賛同者でもゴールド・マウンテン社の社員でもない…君達に!!」

 

リィン達は、多村達の雰囲気がさっきまでと違うことを感じ取った。

 

多村「君達は、邪魔した罪で素材になるのは決定しているのだよ。帝国政府との交渉材料?何を言ってるんだ?そんなのは無能者がするものだろう!」

 

多村は、突然として体が膨らみ始める。すでにその時点で、人間の姿は保てていなかった。人間と獣を合わせたような姿をしているのだ。帝国支部の幹部達は、それを見て恐れて逃げ出そうとしている。

 

しかし多村はそれを見逃すつもりはなく、帝国支部の幹部達を衝撃波で凪ぎ払う。

 

その衝撃波は凄まじく、リィン達は吹き飛ばされないようにするのが精一杯だった。

 

リィン「くそっ武器さえあれば!」

 

ユーシス「そうだな」

 

エマ「……」

 

エマは、この状況をどう打開するか考えていた。今は魔導杖がない。魔導杖やARCUSが無いと導力魔法が使えない。だがエマは、奥の手を隠している。

 

それは、とある人間にもらった銀色のCADと呼ばれるものである。その人物は、エマのお婆ちゃんと知り合いである。そういうことで、その人物とも仲良くしてもらったのだ。

 

???【この銀色のCADは、エマが危険な状況に置かれた時に使うのだよ。そうじゃないときは、何の意味もないからね】

 

エマの頭の中に響くその人物の言葉が。今がその状況だとエマは固く決意する。

 

懐にしまっている銀色のCADを出そうとした時、頑丈な扉が爆発と共に吹き飛ばされていた。

 

リィン「なんだ?」

 

ユーシス「今度はなんだ?」

 

エマ「……え?」

 

ステイル「待たせたな、学生さん達!」

 

静江「あれは何なの!」

 

ステイル「グノーシスを使った成り果てか…そんなもので力を得ても化けモノになるだけだろ!」

 

多村「グノーシスを知っているか…これは最高だ!何者にも勝てる気がするぜ!」

 

再び化けモノになった多村は、衝撃波を繰り出してくる。しかしステイルは太刀を取り出して、同じ衝撃波で返す。衝撃波同士がぶつかり合って爆発を起こす。爆発のせいで、地面が揺れる。

 

リィン「貴方は…八葉の方ですか?」

 

ステイル「ああ、俺は八葉一刀流…九島流派…最終的にはユン老師に指南を頂いたが…君も八葉の者か?」

 

リィン「ええ!老師の最強の弟子の1人のレツ、クドウのお弟子さんと出会えるとは…」

 

ステイル「まさか兄弟弟子にこんなところで、出会えるとは夢にも思わなかったが…」

 

多村「何をごちゃごちゃと言ってやがる!」

 

再び多村は、衝撃波を放とうとするが

 

静江「させるわけがないでしょう!!」

 

静江の周りに原子崩し(メルトダウナー)の球体が何個もあり、彼女が多村の方へ右腕を向けると、一斉に球体は多村へ向かっていき、身体を貫通し爆発を起こす。それだけではない、日本のCADを取り出して、魔弾の射手を使う。多村の身体を無数のドライアイスの刃が降り注ぐ。

 

ステイル「まだ続くぞ!」

 

ステイルが指をパチンと叩くと炎の刃が雨のように多村へと降り注ぐ。静江の攻撃でダメージを食らっていて、ステイルの炎の刃の雨は、致命傷のダメージを与えていた。ステイルはリィンに対して

 

ステイル「君、八葉の技…使えるな?」

 

リィン「は、はい!」

 

ステイル・リィン「八葉一刀流、弐の型…W疾風!!」

 

ステイルとリィンのコンビネーションが決まり、化けモノになった多村は、脚から崩れ去った。

 

崩れ去った中に多村の生身の身体があった。

 

静江「ステイル君、アレ生きてるの?」

 

ステイル「生きてますよ。あくまで俺の炎は、浄化の炎ですから。悪魔に堕ちた多村を炎で浄化したことになりますが…」

 

ステイルはリィンの側までやってくる。

 

ステイル「即席だったけど、上手く合わせてくれて感謝する」

 

リィン「いえ、貴方が上手く合わせられるようにしてもらえたから」

 

ステイル「そう言って貰うと嬉しいが、君も中々なものだった。自己紹介がまだだったな、ステイル・アレフガルトだ」

 

リィン「リィン・シュバルツァーです、ステイルさん」

 

ステイル「ステイルで構わない、歳もそんなに変わらないだろうし、八葉の兄弟弟子だし。呼び捨てで構わないよ」

 

リィン「わかりました、ステイル」

 

ステイル「ああ、これから宜しく頼む」

 

ステイルとリィンは互いに握手をかわした。

 

静江「八葉の者同士の通じ合いかな」

 

ユーシス「そうかもしれんな」

 

エマ「……」

 

ユーシスは先程からしゃべっていないエマを見た。するとぼぉーとしていたので、ユーシスは話しかけた。

 

ユーシス「うん?どうかしかのか?」

 

エマ「いえ、何でもありません…」

 

エマはステイルを見て何かを感じていたが、ユーシスの問いには答えなかった。エマの知っている彼は、青年であり少年ではない。

 

そうエマが知っているのは、緋色の銃と銀色の銃を持った青年、カズヤ・アレイスターなのだから。このあと、ステイルとリィン以外の自己紹介をするのだった。

 

 

 

 

ーーー

 

ステイルと静江に救われたリィン達。リィン達と共にここに連れてこられた日本の高校生達は、助け出したことを説明した。

 

リィン「そうですか、あの学生さん達は先に助け出されたんですね」

 

ステイル「ああ、俺の仲間が救いだした」

 

エマ「そうですか」

 

静江「3人は危害は加えられていないのよね?」

 

ユーシス「そうだな」

 

ステイル「なるほど、ユーシス、君がいたからか」

 

静江「君を交渉材料に帝国政府と交渉しようとしてたわけね」

 

ユーシス「俺を交渉材料に?笑わせてくれる。俺を使っても何の足しにもならないものを」

 

ステイル「ユーシス、君は帝国の四大名門のアルバレア家の御子息だろ?」

 

ユーシス「俺はアルバレア家の二男だ」

 

静江はユーシスの発言からピンときた。何故、四大名門の貴族の家の二男だからと言ってそうは無下にはしない。それでもユーシスは、自分自身を交渉材料にすらならないと。静江はもしかすると、貴族や金持ちにありがちなことを思った。

 

愛人との子供ではないかと。

 

静江は自分自身が愛人の子だから、そういうことには敏感である。だからと言ってそれを指摘するようなことはしない。彼女もそうことを詮索されたくはないのだ。

 

静江「とにかく、ここから出ましょう!」

 

ステイル「そうだな、ここから出て……」

 

ステイルがそう言いかけた時、ARCUSの着信音がなる。先ほどのようなハチマンが使った呪符の印ではない。ちゃんとARCUSの着信音がなっている。

 

ステイル「はい、こちらステイル…」

 

アクアエル「ステイル卿!今私達は襲撃を受けています。メルカパ第漆号機は結界を張り、桜子さんとクラレットさんが、表で襲撃犯と戦ってます!」

 

ステイル「やはり襲撃されたか!桜子とクラレットが……で状況はどうなってる?」

 

アクアエル「なんとかなってる状況でしたが、ハチマンさんが救援に来てくれたようです!」

 

ステイル「あいつが来てくれたのか!ありがたい」

 

アクアエル「それでステイル卿の状況はどうなりましたか?」

 

ステイル「ああ、助け出したよ。これから俺達もメルカパに帰還する」

 

アクアエル「わかりました!」

 

ステイルはARCUSの通話を切る。そして静江、リィン、ユーシス、エマにここから脱出してメルカパ第漆号機に避難することを説明する。それと自分が七耀教会の人間であることも説明した。

 

リィン「ステイルは教会の人間だったんだな」

 

ユーシス「フン、何故教会の人間が助ける?」

 

ステイル「教会の人間が助けちゃいけないルールなんてないだろ?」

 

静江「私は、とある人の命で日本の高校生を救い出すことを言われたからね」

 

ステイル「……俺は2度と誰かが泣いてほしくはない。俺が目の前に見えてる範囲の…誰かが、“助けて”と言ったら必ず俺達…ラリクマは駆け付ける…」

 

ステイルは、真っ直ぐな視線をリィン、ユーシス、エマに向けていた。それを見た静江は、ステイル(和也)は、やっぱり変わっていないと改めて感じた。

 

まだ真由美と一緒にいた頃の和也(ステイル)と同じだと。強くなっても、根っこの部分は、昔の和也(ステイル)と変わってないと。

 

ステイル「本来なら、アクアエルに座標移動(ムーブポイント)で、一気にメルカパって行きたかったが、敵襲でそれが出来ない。悪いが走ってもらうぞ」

 

リィン「はい!」

 

ユーシス「フン、構わん」

 

エマ「ええ、わかりました」

 

静江「それじゃあ、戻りましょうか!」

 

静江は密かにマルチスコープを使い、隠し扉を発見する。

 

静江「みんな、あっちに隠し扉があるみたい。それは日本人移民街の外に繋がる隠し通路みたいね」

 

ステイル「そうみたいだな」

 

リィン「お二人はわかるのですか?隠し扉があるって」

 

ステイル「まあね。俺や静江さんの目は特殊な目なんだ。それで見えるんだ。でリィンも何故隠し扉を?」

 

リィン「なんとなくですが、この部屋風の流れがあるんですよ。扉の無い最奥なら風の流れは止まるはず。なのに風はどこかから流れていると」

 

ステイル「なるほど…」

 

ステイルはリィンをさすが八葉の者だと感心した。

 

静江「急ぎましょう!ただみんな下がっていて!」

 

静江は再び原子崩し(メルトダウナー)を発動させ、隠し扉をぶち抜いた。

 

静江「ほら、みんな行くわよ!」

 

静江は先に走っていく。ステイルは苦笑いするしかなかった。

 

ユーシス「全く騒がしい女だな」

 

エマ「アハハ、みなさん、行きましょうか」

 

ユーシスとエマは、先に歩き始めた。ステイルは行こうとするリィンを止め

 

ステイル「リィン、こいつを運ぶのを手伝ってくれないか?」

 

リィン「ええ、構いませんよ」

 

ステイルとリィンは、気絶して拘束されている多村を抱えて最奥の部屋から脱出する。

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