【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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ユフィ第2章2話です。


第2章ー白亜の旧都編ー27ー2話ー5・ 22(07:20~)ー悩みと新しい仲間。

ユフィside

 

ーー1204・5・22・朝・07:20・第3学生寮・306号室・ユフィの部屋。

 

 

ユフィは、色々考えていたのだった。だが良い考えが浮かんで来る訳でもなかった。自分自身でも正体を隠しているのだから。

 

皇女であることを隠している。

 

マキアスに嫌われたくない。

 

真実を話せば、マキアスに嫌われるのではないか、そんな不安がユフィの心が支配する。

 

ユフィは、モヤモヤの気持ちの中、いつもの帝国時報とクロスベルタイムズ、今回から日本の新聞、東京タイムズの新聞を取り寄せてもらっている。

 

パルムの事件以降、日本の情勢が気になるようになったし、静江や深夏の国が気になるようになったから。

 

帝国時報は、パルムの事件を大きく取り上げている。

 

【紡績町パルムの復興資金、帝国議会により承認される】

 

【ハイアームズ侯爵家、パルム資金援助、パルムの市民1人1人に】

 

パルムの東にある日本人移民街の新トップ、自治権をハイアームズ侯爵家に返上。自警団の解散。日本人移民街、パルムへ編入される。サザーランド州へ編入され、サザーランド州領邦軍が移民街の治安維持にあたる】

 

【東ゼムリアの大国である日本にて、教職員による不祥事が発覚】

 

【第4回世界スポーツヘイムダル大会の金メダリストが、教え子に対してセクハラ、パワハラ、レイプなどをしていた事が発覚】

 

【世界スポーツ協会は、この金メダリストのメダルを剥奪することを決定】

 

 

ユフィは、日本の東京タイムズの記事を読む。帝国のパルムの事も書かれている。【桐条政権の支持率低下、桐条首相の支持率も低下。不支持率は上昇】

 

【精神暴走事件、今年に入って立て続けに6件、警察、解決の見通し立たず。】

 

【秀尽学園の鴨志田教諭、教え子を犯罪組織に売買。他に武器不正密輸にも関与か?】

 

【全員死亡したゴールド・マウンテン帝国支部の人間が乗った護送挺【暁】は、エンジントラブルか?】

 

市民の声

 

【噂によると、心の怪盗団(ウロボロス)が、秀尽学園の鴨志田の悪事をばらしたらしいぜ】

 

【金メダリストだからってやって良いことと悪いことがあるだろうに。鴨志田は、金城と繋がっていて、帝国の犯罪組織に自分の教え子を売買していたみたいだぜ】

 

ユフィは、日本の教職員の不祥事の記事を読む。そこに気になる記事を見つけたのだ。そこにはゴールド・マウンテン社の不祥事の記事が乗っていないことに気づく。

 

ユフィ「おかしいですわ!あれだけの問題を起こして、何も書かれていないなんて。それにこの鴨志田って方に全てを押し付けようとしていますわ!」

 

鴨志田がしたことは、ユフィだって許せない。だがパルムで騒乱を起こそうとしたのは、ゴールド・マウンテン社であり、秀尽学園の教諭鴨志田卓ではない。

 

ユフィ「それにこれもですわ。エンジントラブル?これもおかしいですわ」

 

ミサキ達、帝国軍情報局と静江達七草家主導で、事故原因調査委員会を設置して調べてたはず。

 

ミサキは、ユフィに【あれは事故じゃないわ、何者かが外から襲撃したものかな】と説明していた。だから日本の新聞の東京タイムズの記事を疑った。

 

ユフィ「はぁ~、ケルディック問題、マキアスさん問題、パルム問題…頭が痛いですわ」

 

ユフィは、新聞紙を新聞置きに片付けて、身仕度を始める。

 

まだモヤモヤしているから、顔を叩いて気合いを入れる。

 

ユフィ「明日は、2回目の自由行動日、こんな気持ちじゃ、達也さんに迷惑をかけてしまいますわ!」

 

ユフィは、そう言ってARCUSのホルダーを身につけて、得物の緋い太刀を装備して、自分の部屋から出るのであった。

 

 

ユフィ(ハチマン)side

 

ーー1204・5・22・朝・07:50・トールズ士官学院・本校舎屋上

 

5月の初旬にハチマンは、1ー4組から特科クラスⅦ組に編入することになった。

 

トマス副長の命で編入することになったが、Ⅶ組は良いも悪いも目立つクラスなのだ。ハチマン的には、平穏に暮らしたいだけなのだ。学生生活は、昔のトラウマを思い出してしまうのだ。

 

ハチマン「昔みたいに吐くとか、ジンマシンが出ないだけでもマシになったわけだが」

 

朝日が昇る方を見て、ため息を吐く。春先から夏に向けての風が屋上を吹き抜けて行く。

 

ハチマン「先月は仕事でセントアーク、パルムに向かったが…」

 

今回は、ハチマン自身も特別実習に参加しなければならない。めんどくさいこの上ないのだ。1人で依頼や仕事をこなす分はなんの問題でもないのだ。だが誰かと組んだりすると、その人間と合わせなければならないし、気を使わないといけないのが嫌なのだ。

 

ハチマン「ふぅ~あんな修学旅行や文化祭はごめんだぜ」

 

???「そなたは、何がゴメンなのだ?」

 

ハチマンは、声のした方を向く。朝日に青色の髪でポニーテールが照らされていて、風にスカートがヒラヒラとなびいている真紅の上着を着た女子生徒が屋上のドアの前に立っていた。そうラウラである。

 

ハチマン「ラウラか、何の用だ?」

 

ラウラ「別に用は無いが、用がないとそなたに話しかけてはダメなのか?」

 

ハチマン「ダメでは無いが…ラウラ、こんな俺と話していて楽しいか?」

 

ラウラ「そなたが、以前話してくれた話は楽しかったぞ」

 

ハチマンは、トマスの修業で色んな場所を訪れいる。ラウラの故郷である、レグラムも訪れている。レグラムのローエングリン城は修業に手っ取り早かったのだ。

 

ハチマンは、雷撃の大剣を振り回す。だが法剣は普通は使わず、ただの大剣にカモフラージュしているだけだ。

 

ラウラの父親のヴィクターから指南も受けている。ヴィクターは、ハチマンの剣の筋は良いと判断している。ただ本人はお世辞としか受け取っていない。

 

そんなハチマンにラウラは、付いて回っていたのだった。最初は避けていたが、ハチマンもラウラに根負けして話すようになった。

 

ハチマンが体験したことを面白可笑しく話したのだ。それをラウラは笑ってくれたのだ。ラウラにとって初めて興味を持った異性でもあった。他の男達とハチマンは、何かが違うと感じとっていたのだ。それが恋と気づくのは、そう時間もかからないだろう。

 

ユフィやアリサ、アンジェリナやカトリーナが恋ばなをしているのをラウラも聞いている。

 

ハチマン「まったく、俺の話を真面目に聞くなんて、ラウラが初めてだよ」

 

ハチマンは、修学旅行以来不仲になった小町でさえも、ラウラのようには聞いてはもらえなかった。だから変わった女子だと思った。

 

ラウラは、自分の胸にある感情が恋であることを自覚する。だがそれをどう表して良いのかわからない。なにせ色事よりも剣の修行に明け暮れていたのだから。それでもラウラは、少しずつ努力している。

 

ラウラ「私は、ハチマンと一緒のクラスになって嬉しいぞ。ハチマンはどうなんだ?」

 

ハチマン「まあ…俺もラウラと一緒になって嬉しいかな…」

 

ハチマンも何を言ってるのかと思っていた。自分自身でもそんなことを言って恥ずかしいと思った。

 

ラウラ「そうだ、今日の午後Ⅶ組女子は、調理学、栄養学でクッキーを作るのだが、ハチマン食べてくれるか?」

 

ハチマン「ああ、それぐらいなら良いぞ」

 

ハチマンは、ラウラが作ったクッキーを食べる約束をした。下の方から登校してくる学生達の声がしてくる。それくらい時間が経過しているのだろう。

 

ハチマン「そろそろ、教室へ戻ろうぜ」

 

ラウラ「そうだな」

 

ハチマンとラウラは、教室へ戻って行った。

 

 

ユフィside

 

ーー1204・5・22・朝・07:55・第3学生寮→トールズ士官学院へ。

 

第3学生寮から学院の方へ歩くユフィ。モヤモヤした気持ちは、そう簡単にはとれるはずもない。下を向きながら歩いていると、とある人物から後ろから胸を鷲掴みされる。

 

カトリーナ「ユフィ、おはよう!背中が寂しそうだよ?」

 

ユフィの胸を鷲掴みしたのは、カトリーナである。カトリーナとは、クラスが違う時からの友達である。

 

ユフィ「か、カトリーナさんですわね。背中ではなく、胸を揉んでますわよ?」

 

カトリーナ「だって、ユフィの胸が一番あたしの手に合うと言うか…揉み応えがあると言うか…アハハ…そういうこと?」

 

ユフィ「そ、そういうことではありませんわ!」

 

カトリーナは、ユフィの胸から手を退ける。

 

カトリーナ「あたし、特別実習って楽しみにしてるんだ」

 

ユフィ「別に遊びに行くわけではないですわ」

 

カトリーナ「わかってるわよ。達也君達は、ケルディックでユフィ達はパルムで活躍したんでしょ?世界のニュースで取り上げられてたし」

 

ユフィ「わたくし達だけで解決したわけじゃありません。協力者の方々もいらっしゃいましたし」

 

帝国時報、クロスベルタイムズ、東京タイムズにⅦ組は取材を申し込まれたが、学院側が学生ということもあり、断っている。

 

それで色々と憶測も飛び交っているのだ。

 

カトリーナ「今日の午後の調理学、栄養学でクッキー作るみたいだよ!」

 

ユフィ「クッキーですか」

 

カトリーナ「ユフィ、もしかして!?」

 

ユフィ「な、何なんですのその表情は?」

 

カトリーナは、ちょっと馬鹿にした表情でそう言った。ユフィが不安そうな表情をしたからであるが。カトリーナは実家では、料理をしていたわけだから、クッキー作りも朝飯前なのだ。

 

ユフィ「カトリーナさん、わたくしもクッキーぐらい作れますわ!」

 

カトリーナ「ふふっ、ムキになっちゃって…」

 

ユフィ「ほらっ、カトリーナさん、行きますわよ」

 

ユフィは、先を歩き始め、カトリーナはその後ろを追っかけて行った。

 

 

5月下旬、ライノの花が完全に散り新緑薫る風がトリスタの街を吹き抜ける季節の中、ユフィ達の運命は少しずつ動き出していた。

 

 

そしてユフィ達の今日が始まる訳である。あの4月の特別実習を終えたユフィ達は、再び忙しい学院生活に追われていた。

 

武術訓練に加え高等学校の一般授業も本格化する中、士官学院ならではの専門的な授業も始まっていた。

 

 

 

ーー1204・5・22・午前中・10:25・2時限目ー

 

今ナイトハルト教官による軍事学の授業中である。今日の授業の範囲は導力革命によって、戦場が兵器群がどのように変化していったかの授業である。

 

ナイトハルト「……50年前の導力革命以降戦場の常識は根本的から変わっていった。変化をもたらした代表例は4つある。まずは導力銃、導力砲に代表される。【導力兵器】の発明だ」

 

それよりも以前は火薬式なるものがあったのだが【生産性】・【命中精度】・【整備】の面にて導力兵器に比べて劣るので取って変わっていった。

 

ナイトハルト教官の話しはまだ続いている。Ⅶ組の中でもそれぞれの特徴はある。この授業を興奮して聞いてるのは、達也、アリサくらいか。カトリーナやエリオットは眠そうにしている。ハチマンは、窓の外を見ていて、ラウラがそれを見ている。ユフィはマキアスが気になりチラチラ見ている。

 

ナイトハルト「2つ目─それに関連する【軍の機甲化】だ。戦車や装甲車に代表される導力車両で編成された【機甲師団】─【高い機動力】─【防御力】と三拍子揃ったこの戦術単位は正に戦場に“革命”をもたらした」

 

こう言う専門用語を覚えるのはよほどな好きな人間しか覚えない。達也やアリサのような感じではないと、覚えないだろう。あの2人は、よくARCUSの話をしている。ナイトハルト教官はまだまだ話しは続いている。

 

ナイトハルト「3つ目は、飛行船─飛翔機関による重力制御によって空を翔ける艦艇の発明だ。それは空中をも視野に入れた立体的な戦術、戦略を可能にした」

 

飛行船─飛行船のおかげで鉄道よりも早く目的地まで着くことができるようなった。西ゼムリア、東ゼムリアを簡単に行き来もできるようになった。便利なことになったが、それだけではない。戦争の兵器とされることにも繋がる。

 

ナイトハルト「4つ目。導力技術の進歩によって戦場に大きな革新をもたらした新たな分野が存在する。達也・シュバルツァー─それが何であるか分かるか?」

 

ナイトハルトが達也を指名した。達也は直ぐに立ち上がり

 

達也「導力通信です。ナイトハルト教官」

 

ナイトハルト「正解だ、達也・シュバルツァー」

 

達也にとっては、朝飯前の問題である。

 

ナイトハルト「達也・シュバルツァーが答えた通りに【導力通信】だ。導力波を使った無線通信技術だ。これによって、指揮官は戦場において、正確な情報を得ることが可能となり、的確に部隊に動かせるようになった。もっとも通信傍受や通信妨害などの、対抗技術も生み出されたのだが」

 

達也とアリサの話し声がする。

 

アリサ「(良かった~正解で…)」

 

達也「当たり前だ。アリサのおかげで専門の言葉も覚えられたな)」

 

アリサ「(お互いに頑張っていきましょう達也)」

 

達也「(そうだな。互いに頑張っていこう)」

 

達也やアリサの言う通りに、クラスのみんなが、お互いに頑張っていくしかない。

 

何だか達也とアリサの距離が更に縮まったような気もするユフィでもあった。

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