ユフィside
ーー1204・5・22・夕方・16:50・本校舎→キムナジウム
ユフィ「日も暮れてきた事ですし、ギムナジウムに向いましょうか」
ユフィは、旧校舎方面から出て、ギムナジウムへ向かおうとしたら、誰かに後ろから呼ばれた。
クロウ「よっ…後輩ちゃん!」
ユフィ「貴方はスケベ賭け事大好き先輩さんですね」
クロウ「えらい…言われようだな…おい…。で…Ⅶ組は中々の活躍をしたそうじゃねーか」
クロウは、ケルディックやパルムの件の事を言っているのだろう。別にユフィだけが活躍したわけではない。みんなが活躍したおかげであるのは変わらない。
クロウ「Ⅶ組が活躍してくれれば…よ。俺達も苦労したかいがあるってものだぜ」
ユフィ「俺達の苦労、ですか?」
クロウ「いやいやこれは気にしないでくれ…」
???「──また君は幼気な後輩ちゃんからたかろうとしてるのかい?」
背後の方から聞き覚えの声が聞こえてた。ライダースーツを着た紫色の髪の女性がやって来た。
クロウ「おっと。現れやがったな」
その女性はアンゼリカ・ログナー。現ログナー侯の長女であり、アンジェリナのお姉さんでもある人物である。
アンゼリカ「ユフィ君…先月の【特別実習】でも見事活躍したそうじゃないか」
ユフィ「あれはみんなの力があっての事ですから。わたくし1人の力ではありませんわ」
アンゼリカ「全く…謙遜しなくてもいいのに。まあそこがユフィ君の良いところだろうけどね」
アンゼリカ先輩に言われると何かと嬉しい気持ちになってくるユフィ。
アンゼリカ「本当ならもっとユフィ君とは話したいことがあるが、そうも言ってられないからね。帝都にいかないとね。行くと言ってもこの導力バイクでだけどね。ジョルジュに頼んでいた【導力エンジン】の強化が終えてね。帝都辺りまで走らせるつもりだがね」
アンゼリカは、気ままに生きているだと、バルムフレイム宮にいるときも、風の噂で聞こえてきていた。ユフィ自身も人のことは言えないが。そのアンゼリカ先輩が、押して持ってきた自転車みたいのは、導力バイクと言う乗り物である。日本の大型二輪みたいな姿をしているが、エロ先輩ことクロウやトワも、製作は手伝ったようだ。肝心な資金は、アンゼリカ先輩が提供したようだ。元々はルーレ工業科大学の試作品だったが、アンゼリカ達が引き取った。
アンゼリカ「それとユフィ君…以前も言ったと思うが、君と私の仲ではないか~先輩はつけなくても良いってね。知らない仲ではないからさ」
ユフィ「アハハ…わかりましたわ。アンゼリカさん」
アンゼリカ「フフ…それでは、いずれ依頼を出すから、ぜひ応えてくれると嬉しいな、それと達也君にもよろしく言ってくれ」
それだけを言うとアンゼリカは、導力バイクに跨がって行ってしまった。やはり大型二輪のようなものである。そしてもう1人の先輩であるクロウが自己紹介を始める。
クロウ「…さてと俺も思い出したが…もう一度言わないといけないかな。2ーⅤ組─クロウ・アームブラストだ。じゃーなユフィ後輩ちゃん。じゃ~な。お先に~」
エロ先輩ことクロウ先輩は、ユフィに挨拶してから第2学生寮へと帰っていった。彼女もギムナジウムの方へ歩いて行った。
ギムナジウムに到着すると、女子更衣室で水着に着替えると、プールサイドへ向かった。
ーー1204・5・23・朝・07:15・第3学生寮・306号室にてーーー
ユフィはいつものとおりに起きて、ラウラ達と鍛練をやって、シャワーを浴びてから自室に戻っている。
今日は5月に入ってからの自由行動日である。他の人間はクラブ活動に励んでいるだろうが、ユフィと達也は今月から正式に生徒会の仕事(依頼)をする事に決まったのだ。誰からも言われたことではない、自分達の意志で決めたことなのだから。
昨日の夜にユフィは、シャワーを浴びて自室に戻るとき、リィンが明日の方角を見ながら沈んだ表情をしていたのを見た。彼女には直ぐにわかった。【マキアスとユーシス】の問題ではなく【リィン・達也とマキアス】の問題が原因だと思った。その問題には自身も含まれるだろうとユフィも考えている。
決して【マキアスとユーシス】が問題ないわけではなく、自分の問題も解決してないのに人の問題が、解決できるわけがないと考えている達也もいる。それはそうなんだとユフィも思っている。
見て分かるとおり、マキアスから言われたこと、達也よりリィン自身は結構こたえてる。みんなの前では元気に振る舞ってるように見えても、ユフィには無理やり笑顔を作ってるようにしか見えない。彼女が、リィンに何かしてやれないかどうか言ってみたが、自分で解決すると言われたのだ。
ユフィ自身も、マキアスとの問題を解決できていないのに、リィンやタツヤの事まで、手が回らないのだ。
ユフィ「つまり、時間の経過を待つしかありませんわね」
とにかく今は生徒会からの依頼をこなすことに専念するユフィであった。
ユフィが準備を整えて、1階の郵便ポストまで来てみたら、既に達也は来ていて依頼書を見ているようだ。ユフィは達也に
ユフィ「おはよう達也。相変わらず早いのですね。鍛練もしていらっしゃるのに」
達也「ユフィか、おはよう。鍛練はいつものことだからな。それとリィンから言付けをもらっている」
ユフィ「リィンからの言付けですか?」
達也「ああ、ユフィ、心配してくれてありがとうって」
ユフィ「そう、リィンが…ねえ、達也、貴方は気にしてないのですか?」
達也「…俺はリィンほど気にはしていない。俺もリィンも生まれを偽りを言ったから、マキアスに嫌われたのだからな」
ユフィ「嫌ってるって…」
達也「こういうのは、時間の経過がなんとかしてくれるのを祈るしかない。俺もアリサやエマにそう言われた。何かきっかけがあれば…」
ユフィ「時間の経過ですか…」
達也「ユフィ、今は生徒会からの依頼をかたすのが先だ」
ユフィ「そうですわね」
ユフィは達也から依頼の紙を渡してもらい依頼の内容を見る。
───────依頼の紙の内容────────
【旧校舎地下の調査②】
【代理教師の要請】
【教官用図書の配達】
【1】
【件名─旧校舎の調査②─必至】
【依頼者─ヴァンダイク学院長】
先月に引き続き、旧校舎地下の調査を特科クラスⅦ組に依頼する。かの場所で起きている、多くの不可思議な現象について調べてほしい。万全に準備を整えて上で諸君らの判断で始めてくれたまえ。
──────《ヴァンダイク学院長》─────
【2】
【件名─代理教師の要請】
【依頼者─クレイン】
急用ができたので、できれば家庭教師の仕事を代わってもらいたい。第2学生寮に待っているので詳しくはそちらまで───
【2─Ⅴ組、クレイン】
【3】
【件名─教官用図書の配達】
【依頼者─ケインズ】
士官学院の方から注文を受けた教官用図書を入荷したのでそれぞれの個別の配達をお願いします。詳しくは《ケインズ書房》のケインズまで。
──────────ケインズ───────
ユフィと達也は、5月の依頼を開始することにした。
ーー1204・5・23・朝・07:25・第3学生寮→第2学生寮
ユフィは、達也と第3学生寮から出て、依頼主の水泳部部長のクレイン先輩がいる第2学生寮の前までやって来た。ここは平民の生徒達が住んでいる寮である。そして、あちちの高台に見えるのが第1学生寮、貴族専用学生寮ってことになる。
ユフィ「クレイン先輩は、家庭教師の代役を努めてほしいと仰ってますわ」
ユフィはセドリックやアルフィンに勉強は教えてたからなんとかなると思っているが、期待と不安がある中で第2学生寮に入った。
ユフィが第2学生寮に入ると、周りの一般の生徒達まで見てくる。やはり特科クラスⅦ組は注目の的であると、彼女は再認識させられた。ユフィはクライン部長が、第2学生寮の2階へ上がる階段横の掲示板が立っているのを見て、さっそくクライン部長に話しかけることした。
ユフィ「クライン部長、ちょっとよろしいでしょうか?」
クライン「うん…?ユフィ君…キミがきてくれたのだな」
ユフィ「はい。依頼内容は確か家庭教師のお仕事を変わってほしいと聞いて参りましたが?」
クライン「ああ、普段俺がやっているアルバイトになるんだが─」
クライン部長は、ユフィにワケを話してくれたのだ。昨日の夜に御実家から、導力通信で連絡があり、お母様が突然倒れられたと。急遽午後の列車で田舎に帰郷するということだ。クライン部長のお母さんに何事もなければいいなと思うユフィ。
ユフィ「…クライン部長…お母様を…大切になさって下さいね」
クライン「もちろんだとも。で家庭教師の仕事の場所はこの第2学生寮のすぐ南にある川沿いの邸宅だ」
教える相手はエミール君で、窓口になるお母様の名前はメリッサさんである。後はユフィが、やるかどうかの判断は任せるとクライン部長が言ってくれた。今回の事情のことはメリッサさんにも、話しはつけてくれたみたいである。さっそくユフィは、川沿いの邸宅に向かうことにした。教えるところは【導力学】。ユフィ自身もなんとか教えられるところでほっとしていた。
川沿いの邸宅にたどり着き、玄関のチャイムを鳴らした。中からお母さんと思われる女の人、メリッサさんが出て来られた。
ユフィ「すいません、クラインぶ、クライン先輩の御紹介で伺ったのですが?」
メリッサ「まぁ、それじゃ貴女が代理で教えて頂けるのね。クラインさんには気を遣わせちゃったけど、本当にありがたく思ってるわ。まさか女の子が来てくれるなんて考えてもいなかったわ。本当にありがとう。ではすぐに始めてもらって構いませんか?」
ユフィ「ええ、よろこんで」
ユフィはメリッサさんに連れられ、エミール君のお部屋まで案内される。ユフィは深呼吸を一回してからエミール君の部屋に入る。
ユフィ「エミール君、こんにちは。自己紹介をさせてもらいますね。わたくしはトールズ士官学院1年Ⅶ組のユーフェミア・レンハイムです。エミール君、今日はよろしくね。後、わたくしのことは、ユフィで構いませんわ」
エミールは、ユフィを見てソワソワしている。男子特有の思春期である。自分の部屋に女性が来たから緊張しているのだ。
ユフィ「エミール君、どこか具合でも悪いのかな?」
エミール「たたか…い、いえ…何でもありません。あの女性の方が来てくれるなんて、思ってもみなかったので驚いてるだけです」
ユフィ「…そうなのですか…?」
やはりそうである。男子特有の思春期で間違いないのだ。しかしこればっかりは、深く追及してはならない。
エミール「先生、ごめんなさい。始めてもらって結構です」
ユフィはエミール君に言われて、我に返り家庭教師の授業を始めることにした。
ユフィ「──参考書の40ページ…なるほどですわね。この辺りは技術というよりかは、歴史関係ですわね」
エミール「はい、ちなみに前回の【導力革命】の起源について勉強したんです。それまでの人々の生活を瞬く間に変えてしまった。まさに革命と呼ぶべき技術革新…その始まりについてはユフィさんも知ってますよね?」
ユフィ「それはもちろん約50年前のことですね」
エミール「えへへ、何だか常識って感じですね。流石に士官学院に通ってる方は違いますね」
ユフィ「うふふ、別にそこは関係ないと思いますよ」
エミール「ちなみに導力器を最初に発明した人についてもご存知ですよね?」
それはもちろんあの方しかいないだろう。
ユフィ「エプスタイン社ですわね。博士が亡くなった七耀暦1155年─あとに遺されたお弟子さんのみなさんで、エプスタイン財団を設立されたのですよ」
エミール「わわっ、博士の名前から一気にそんな情報まで─えへへ、やっぱりユフィさんはすごいですね」
ユフィ「…あっごめんなさい。今のじゃあ説明がわかりづらいですよね。とりあえず、今日のこの辺りまでの知識を改めておさらいするとしましょうか」
ユフィとエミール君はおさらいをやった後に、1170年代まで進めることにした。
ユフィ「─というわけですね。ここまでは理解できましたか?」
エミール「そうですね。一応大丈夫です。…ですが驚きました。あの巨大重工業メーカーラインフォルト社が昔はひとつの工房だったなんて」
ユフィ「そうですわね。中盤で触れた【ラインフォルト工房】ですね。導力革命というものがもたらした様々な変化…その中では最も大きなものの一つと言えるでしょうか」
エミール「確かに色んなところに影響を及ぼしていますからね。ちなみにこの参考書には書かれていないようですがちなみに、【ラインフォルト工房】は元々どういう物を専門に作っていた工房でしょうか?」
ラインフォルト工房、火薬式の銃や大砲などを製造してたのが最初の頃である。
ユフィ「そうですね。火薬式の銃や大砲を製造してたのですよ。武器を作ってるのよ。歴史はかなり古くて、中世時代まで遡りますね」
エミール「へぇ…そうなんですか。どうもありがとうございます。ユフィさんは物知りですね」
ユフィ「ありがとうエミール君。わたくしなんかでもお役に立てて」
ユフィがそう言った途端に、時計のアラームがなり、家庭教師の時間が、終了を告げられた。少し名残惜しいかもとユフィは思った。
エミール君の部屋から、玄関までやってきて、ユフィとエミール君とメリッサさん。メリッサさんはユフィに労いの言葉をかけ、彼女も正直ほっと安心したのだった。エミール君にもクライン部長と同じように教えるのが上手いと逆に褒められてしまったユフィであった。
メリッサ「…ふふ息子も喜んでいるようで何よりです。それでは、こちらが今日の謝礼となりますわ」
ユフィは謝礼のミラを受け取る事はできないと、言ったが、エミール君に御仕事なんだから、当たり前だと言われたので素直に受け取ることにしたのだった。
ユフィ「ふふっ、どういたしまして」
エミール「改めて、今日は本当にありがとうございました」
ユフィは、二人に挨拶を交わして邸宅を後にしたのだった。