ーー1204・5・08ー13:25・東ゼムリア海海上
昼過ぎの東ゼムリア海海上に、ミサキ・カミジョウ(バニングス)に姿はあった。バニングスとはまだ名乗りたくはないのだ。帝国以外なら名乗っても良いかなと思っているが、帝国軍情報局の人間として来ているからそこはわきまえている。
何故、帝国からかなり離れた東ゼムリア海にミサキ達帝国軍情報局が、こんなところに来ているのかと言うと、先週ゴールド・マウンテン帝国支部の人間を乗せた飛行船がこのあたりに粉々になって墜落したのだ。
世間では、エンジントラブルによって墜落したことになっている。だが帝国も日本側も納得できるものではない。
獅童一派の警察や検察庁が事故と発表している。七草家も獅童一派のこの発表に不信に思っている。だから七草家主導の捜索班も派遣された。その捜索班のリーダーは、静江である。
帝国軍情報局と七草家は、密かに協力してこの件の事件解決のために動くことになった。
今現在、ミサキと静江は、海に潜るために準備をしている。
正式に言えば、帝国軍情報局の海上挺【ミラディ】の中にミサキと静江がいる。ミサキが静江をミラディに呼んだのだ。色々と話がしたかったのもあるが、四葉家以外にも七草家ともパイプを持つ必要があるのだ。
静江「…あのタヌキジジイには、ちゃんとお灸は据えたわ。ちょっとは反省してくれると良いんだけど」
ミサキ「アハハ、タヌキジジイなのね、ミスター弘一は」
静江「良いのよ、タヌキジジイで。ミサキもタヌキって言って良いのに」
ミサキ「それは流石に…七草家の当主様に呼び捨てはできないでしょ」
ミサキと静江が、名前で呼び合うようになったのは、ゴールド・マウンテン帝国支部やゴールド・マウンテン本社のことについて、七草弘一と話し合った時、色々とミサキは静江に手助けをしてもらったわけだ。
だからこうやって、合同の捜索することになったのだ。
今は、ミラディ内の女子更衣室で潜水するために、着替えている。
ミサキは、静江の着替えを見ていた。OLスーツから、下着姿になった時に驚いた。彼女が身につけたことの無い黒色のブラジャーと同じ色のパンツだった。
ミサキは黒など身につけたことはない。白系統しか持ってないのだ。色気ものよりも動きやすさとかを重点にしているためである。
静江「何?ミサキ、さっきからずっと見て?」
ミサキ「いや~静江って黒の下着とか身につけるというか…」
静江「ミサキは…何だか色気の無いものを身につけてるわね?」
ミサキ「私は動きやすさを重視するんで…一応…白のレースとか持ってますよ!」
静江「白のレースか…。彼氏とかに見せるのかしら?」
ミサキは顔が真っ赤になっていく。今までに彼氏が出来たことはない。告白は今までにされたことはある。でも全て断った。誰かと付き合うにしても、ガイを殺した犯人を捕まえるまでは、色恋沙汰はしないと墓標の前で決意したから。
ランディからロイドはどうだと言われたこともあるが、ミサキはロイドのことは弟としてしか見れない。からかいの対象ではあるが、異性としての恋愛対象にはならないのだ。
ミサキ「彼氏とか、私にはいませんよ!そういう静江はどうなの?」
静江「ちょっと前までいたわね」
ミサキ「ちょっと前まで?ってことは別れたの?」
静江「そうね、こっちから振ってやったわ」
ミサキ「別れたのにはワケがあるんですよね?」
静江「ええ、最低なヤツだったわ」
静江には元々彼氏と言われていた人物がいたのだ。
元カレの名前は、雪ノ下隆信。雪ノ下家とは、千葉県では有名な一族あり、七草家の裏を守っている一族。雪ノ下隆信は、雪ノ下家の分家の嫡男である。そもそも雪ノ下分家が七草家へ持ち込んだ縁談であり、雪ノ下本家よりも権力を持ちたいのが見え見えであった。
静江と真由美の父親である七草弘一は、この縁談を断るつもりだった。
愛人の子とはいえ、弘一は静江を突き放すことはしなかった。むしろ余計に愛情を注いだのだ。
しかし弘一が反対しても、周りがそれを覆し雪ノ下分家の雪ノ下隆信との縁談を決めた。弘一も拒否できなかったのだ。静江がダメなら真由美を差し出せみたいになったからだ。
弘一は苦汁の決断、断腸の思いで静江と隆信の婚約を認めた。
だが、光井和也が死んだとされた辺りから雪ノ下隆信が豹変したのだ。
静江が密かに和也を思ってたことがわかり、性の捌け口としか見なくなったのだ。抵抗すれば、妹分の真由美にまで手を出すと言われ、我慢していた。
そんなことになっても、静江は七草家のエージェントとして、不安や悲しみを表情に出すことはなかった。
今年の2月、雪ノ下隆信は、自身の経営する会社のお金を不正に流失させたり、不正に個人情報を流失させたりして、逮捕されている。
七草弘一が裏で動いて、雪ノ下隆信を逮捕に持っていった。静江を傷物にしたことは、雪ノ下家を潰してもおかしくなかったが、雪ノ下分家が、雪ノ下隆信を勘当しその父親が雪ノ下分家の当主を辞めた。雪ノ下本家も七草家に謝罪している。
ミサキ「うわっ…最低な男ですね。私なら一発や二発じゃすまないかも」
静江「私も雪ノ下の息子じゃなかったら、吹き飛ばしてるわよ。真由美や後の事を考えてね…」
ミサキ「そうですよね、人質を取られてるようなものだったんですよね…」
静江「今は、恋人作るよりかエージェントとして活動してる方が楽しいし」
ミサキ「確かに私もそうですね」
そんなことを話しながら、静江は袋から紫の競泳水着を取り出す。ミサキも袋から取り出す。普通の競泳水着を入れていたはずなのに何故かトールズ士官学院のスクール水着に変わっていた。ミサキは、目を疑った。自分は、紺のスクール水着なんか持っていないのに何故、この袋に入っているのかと。
ミサキ「(あの時か…レクターめ!!)」
ミサキは、一度日本、朝鮮釜山市でレクターと会っている。その時にミサキは、レクターも袋を持っていたのを知っている。その時にミサキの袋とレクターの袋が入れ替わった。それしかない。そうミサキは思った。帰ったらレクターを締め上げようと考えたのだった。
ミサキが悶えていた間に静江は既に紫の競泳水着に着替えていた。出るところは出て引き締まるところは引き締まっている。つまりボンキュンボンスタイルである。
静江「ミサキ…まだ着替えてなかったの?」
ミサキ「あ、いや、すぐに着替えます!」
ミサキは、すぐにスクール水着を取り出して、着替えることにした。ミサキは、レクターに対して、怒り心頭であった。
ミサキは、スクール水着を着たのはいいが、サイズがちょっと小さいときた。
ミサキ「(ち、ちょっと本当にありえないんですけど!)」
胸やお尻がキツキツビチビチで、油断すると、ある部分が食い込みそうでたまらない。頭の中では、レクターに対しての怒りで何とか平然を保つ事にしたのだ。先に外へ出ていた静江が、ミサキに声をかけた。
静江「ミサキ?大丈夫?船酔いとかしたの?」
ミサキ「船酔いとかはしてません。すぐにいきますから!」
ミサキは、一回気合いを入れてから外へ出た。
その後、静江と共に海底まで潜り、ゴールド・マウンテン帝国支部の人間を乗せたFLT社製の護送挺の残骸を拾うことに。
静江の目とミサキの計算された数字を元に海底を隅々まで調べていく。
それから3日でほぼ全ての部品や貴重品を拾い上げた。それらは、帝国軍情報局と七草家を主体とする原因究明班とで共同で扱う案件となった。
帝国軍情報局の男の局員と静江の部下達は、ミサキの紺スクール水着と静江の紫の競泳水着を目に焼き付けたことだろう。そのうちの何人かは…夜な夜な…。