ミサキside
ーー1204・5・16・15:40・秀尽学園の掲示板にて
掲示板の前にミサキ、左京、徹の3人がいる。
左京「ここが…予告状が張られた現場ですか」
徹「ここが…ですか」
ミサキ「資料のとおりなら、ここですね」
左京「なるほど。正門からここまでの距離でしたら外部の人間でも可能ですね」
ミサキ「確かに、朝早くなら誰にも気づかれずに予告状を張ることが出来るでしょうが…」
ミサキは、生徒達の教室の方を見ている。
左京「ミサキさん、どうかしましたか?」
徹「教室の方を見てどうしたんですか?」
ミサキ「外部犯なら、逃走経路の安全までの多少のリスクはありますが、もし内部犯なら怪しまれずに校舎内に残っていても不自然じゃないですよね?」
左京「ミサキさんは、怪盗団のメンバーは、秀尽学園の生徒だと?」
ミサキ「断定はしませんよ。ただ…その可能性があるってだけですのでぇ」
徹「怪盗団のメンバーが高校生?ミサキさん、それって考えすぎじゃ?」
左京「亀山君、ミサキさんが言っていることも間違えではありませんよ。我々日本にいてはわからないこともあります。この僕がカルバードに留学していた時でしたか。高校生よりも年下な子供達が導力銃を持って戦ってましたからね」
ミサキ「カルバードの反移民体制派のテロですね。反移民体制派の連中が、達の悪い猟兵団にテロの依頼を出し、依頼を承諾した猟兵団がテロを行う。なかには、12~13歳の子供達がそれを行います……」
徹「……そんな……」
左京「それが現状のカルバード共和国ですか。我々の祖先が多く関わってますからね」
ミサキ「日本は、帝国よりも共和国との付き合いが長いんですよね。歴史的にですけどねぇ」
左京「そうですね…まあ共和国との深い繋がりがあったのは、徳川幕府というべきでしょうかね」
ミサキ「でしょうね。徳川幕府の人々は、日本からカルバードに亡命されてるみたいですしねぇ。当時はまだ王国ですが」
左京「女性革命家シーナ・ディルクによる民主化革命、いわゆるカルバード革命ですね。彼女らは、日本の十師族維新をモデルにしたとも言われてますね」
ミサキ「日本の十師族維新が約150年前、カルバードの革命が約100年前」
徹「あの~その話と怪盗団と何か関係でも?」
左京「亀山君、カルバード革命は有名どこですよ。日本の十師族維新がモデルになっていると」
ミサキ「亀山さんは、歴史系とか苦手ですか?」
徹「いやぁ…苦手とかじゃないんですがね…」
ミサキ「話は戻しますが、西ゼムリアでは、少年少女を猟兵として訓練し実戦投入するのは、ざらりとありますから。東ゼムリアでは、そんなことはあまりないでしょうが」
西ゼムリアは、エレボニア帝国とカルバード共和国との対立により、不安定な部分も多い。それに帝国も共和国も内部にも爆弾を抱えている。それがいつ爆発してもおかしくはない。それに比べて東ゼムリアは、日本を中心に成り立っているため混乱は少ないが、日本国内にも反十師族勢力がいるため、完全な安全とは言えない。ちょっと前にそういう関係の反乱が起きたばかり。
左京「日本国内でも今は爆発を抱えてます。先の反乱分子の生き残りが、テロ活動など犯罪活動を行っていますからね」
徹「そうでしたね」
左京「渋谷のセントラル街の裏は、外国から入ってきた者達が取り仕切っていると聞きます。そのような者を取り締まるのが警視庁特務課ですね」
ミサキ「警視庁特務課…」
左京「一説に言えば、クロスベルの特務支援課をモデルに作ったらしいですが」
ミサキ「特務支援課…ロイド達の」
徹「どうかしましたか、ミサキさん?」
ミサキ「え…いえ…ちょっと昔を思い出してて…」
ミサキは特務支援課と聞いてちょっとウルッときてしまったのだ。特務支援課は今は亡きガイの思いと意志が詰まったものなのだから。だからこそガイの思いと意志が日本でも根付きはじめていることにウルッときてしまった。
そんな感じでやっていたら秀尽学園の校長がやってきた。
校長「警視庁の皆様、よくぞおいでになされました。ここで立ち話をなんですから、会議室へどうぞ」
校長は、ミサキ達を会議室へ連れていく。なるべく人気の無いところへ彼女達を連れて出したかったのだ。そんなことはミサキも左京も気づいてるのである。
ミサキside
ーー1204・5・16・17:20・秀尽学園→渋谷セントラル街→斑目邸(付近導力車の中)
ミサキ達は、徹が運転する導力車で渋谷セントラル街の先にある斑目邸を目指していた。だが渋谷セントラル街の入り口付近で、交通事故が起き大渋滞を起こしたため、遠回りをして斑目邸にやってきた。
斑目邸…回りの近代的に建物に対して、斑目邸はあばら家という風貌である。
ミサキ「…盗作をしているにしては、あばら家ってどうなのかなって思いますが…」
徹「イメージとしては、大豪邸って感じですよね」
左京「そんな画家ばかりではないと思いますがね」
ミサキ「さて、どうしましょうかねぇ。令状なんか持ってないから、いきなり踏み込むのも問題だらけですし…」
ミサキ達は、斑目邸の玄関を見ながら会話をしている。玄関先は何も変化があるわけではない。するとミサキの目には、男女の4人組が突然現れたように見えた。
ミサキ「え…!?」
左京「ミサキさん、どうかしましたか?」
ミサキ「あの男女の4人組、突然現れませんでした?」
徹「え?普通に向こうから歩いて来てましたよ?」
ミサキ「……そうですか……杉下さんは?」
左京「…ええ、突然のような揺らぎのようなものが一瞬や見えたような…そんな感じが見えましたが…」
ミサキ「私もそのようなものが…それにあの4人、秀尽学園の生徒ですよねぇ」
左京「確かに秀尽学園の生徒ですね」
徹「秀尽学園の生徒は、この辺りにも来るんですかね、あまり治安は良くないと聞きますけど」
左京「ええ、昨日も渋谷のセントラル街で秀尽学園の生徒を狙った事件も起きてるようですよ」
ミサキ「昨日、そのような事件が…。あの校長…そんな事件が起きてるのに、注意換気も生徒達に言わないなんて…」
左京「…秀尽学園、思っていたよりも闇が深そうですね。ちなみに昨日の秀尽学園の生徒を襲ったとされる被疑者は特務課が取り調べてるはずですね」
ミサキ「特務課がですか…」
するとミサキのARCUSに着信が入る。日本では普通に帝国製が使えるのも、RF社とFLT社が導力通信網を急速に進めたからである。通信してきた人物は、静江である。
ミサキ「静江さん」
静江「ミサキ、貴女、また日本に来てるのね」
ミサキ「静江さん、東ゼムリア海での捜索以来ですね」
静江「ミサキ、鴨志田の事を調べてるのよね。警視庁の特命係と一緒に」
ミサキ「…やはりあの校長、帝国に抗議を?」
静江「帝国には抗議をしていないみたい。ただ警察の上層部には抗議をしたみたいね。それでとある議員から警視庁のお偉いさん達がお叱りを受けて、イライラがつのっているみたいだし…」
ミサキ「とある議員ってのは、獅童正義…ですよね?」
静江「ええ、そうね。あの男はどういう手を使って警視庁に圧力を加えてきたのか、わからないわ」
ミサキ「…獅童は、帝国でも貴族派に接近していて、帝国でも勢力を伸ばそうとしてるみたいですね」
静江「今は獅童は置いといて、まだ鴨志田を調べているの?」
ミサキ「いえ、今は鴨志田じゃなく斑目を調べてるんです」
静江「斑目画伯を?……うーん、ミサキ、ARCUSでは話しづらいわね、警視庁特務課が来てくれないかな」
ミサキ「警視庁特務課にですか?」
静江「特命係と一緒に来ていいから。私は特務課で待ってるから」
そう言うと静江はARCUSの通信は終わり、ミサキも通信を切り左京と徹にいま話した内容を説明した。
左京「なるほど、麦野静江、七草家のエージェント…」
徹「彼女って大学生なんじゃ…」
左京「十師族となると、高校生、早くては中学生でエージェントで活動してるようですよ」
ミサキ「そうみたいですよね」
徹「今度は特務課に行くんでしたね。特務課は同じセントラル街にありますしね」
ミサキ「そうだったですね」
左京「それでは、警視庁特務課にいきましょうか」
ミサキ達は渋谷セントラル街にあるという警視庁特務課を目指すことになる。
ミサキside
ーー1204・5・16・18:00・斑目邸→警視庁特務課が入るビル
警視庁特務課、本来なら警視庁の内部に作られるはずの部署。だが警視庁の上層部は、外部に警視庁特務課を設立したのだ。つまり自分達に逆らうような人間を警視庁内部に置きたくはないのだろう。ただでさえ杉下達特命係があるのだから。
ミサキ達は、警視庁特務課があるビルに到着した。警察の組織のビルだけあってものものしい感じはする。導力車から降りて特務課と書かれたビルを見上げる。
ミサキ「ここが、特務課が入ってるビルなんですねぇ」
左京「本来なら警視庁内部に設立されるはずだった部署ですね」
ミサキ「やはり警察上層部や警視庁の上層部が嫌がったってことですよねぇ?」
左京「そうですね」
ミサキ「警察内部で争ってる場合じゃないないと思いますけどねぇ」
左京「ごもっともですね」
3人はそんな話をしながら警視庁特務課の入るビルへ入る。
入って受付より課長室まで行くように言われ課長室へ。課長室の扉をノックした。
御坂「入りたまえ」
ミサキ「初めまして。御坂雅孝警視庁特務課課長」
御坂雅孝の隣には、もう1人いたのだ。それは麦野静江である。
御坂「帝国軍情報局所属ミサキ・カミジョウ特務少尉殿と警視庁特命係の杉下左京警部と亀山徹巡査部長」
静江「ふふっ来たわね」
左京「御坂特務課課長、初めましてでしょうか」
徹「初めまして、御坂特務課課長!」
御坂「形式はここまでにしてと。そう固くなる必要はないかな。ミサキさん君の活躍は耳にしてるよ。もちろん杉下さんや亀山さんの事もね」
ミサキ「ありがとうございます」
左京「恐縮です」
徹「ありがとうございます」
静江「本題に入る前に聞くけど、鴨志田から聞けたかしら?」
ミサキ「ええ、まあ…そうですね、わかったことと言えば、鴨志田は、武器不正輸出や人身売買には関わっていないって事がわかったくらいかな」
静江「やはりね」
左京「やはりとは、一体どういう事でしょうか?」
静江「七草家でも鴨志田事件は扱っているのよ。鴨志田の住んでる場所、実家、秀尽学園の彼の使っていた部屋なんかを調べたけど、武器不正輸出や人身売買に関する証拠はなに1つ出てこなかったのよ…」
ミサキ「静江は、流石は七草家のエージェントですね」
静江「まあ、エージェントとして小さい時から育って来たからね」
左京「麦野さんの話しと鴨志田の話を合わせると、彼は武器不正輸出や人身売買には関わっていない…他の誰かが彼に罪を押し付けようとしているってことですかね」
徹「それが、斑目ってことですかね?」
ミサキ「まだ斑目がそう言うことに関わってるかはわからない。ただカルバードで彼が贋作や盗作しているのではという密告があったみたい。カルバードもCIDが動きだしてるみたいだし」
御坂「カルバードの中央情報省…CID」
ミサキ「自分達帝国軍情報局が動いてることもあちらさんはわかってるでしょうしねぇ」
徹「カルバードも動いてるなんですか?」
左京「そうでしょうね。斑目画伯の事を密告したのは、カルバード人、斑目の弟子だった1人みたいですね」
ミサキ「杉下さん、知ってたんですか?」
左京「ええ、カルバードに留学してたことから縁がありましてね、それからカルバードの情勢が載っている新聞も購入してますね。いつかの新聞にて告発状が載っていたのを思い出しましてね。そのカルバード人のお弟子さんは、日本の警察、裁判所に訴えを起こしたらしいのですが、受理されなかったと書かれてましたね」
徹「警察も裁判所も…司法が握り潰したんですか!」
御坂「残念だがそう言うことになる」
ミサキ「司法の世界まで……斑目は獅童と繋がりがあると見た方が言いかもねぇ、御坂さん」
御坂「私もそう思っている。斑目の件で調べたいが、官邸…の方から斑目よりも秀尽に現れた怪盗団を調べろと御達しが来たんだ」
ミサキ「大神官房長官がですか?」
御坂「副官房長官の方ね。我妻の方…あいつは大神の部下だったくせに、獅童に鞍替えした愚か者だよ」
左京「本来ならミサキさんは、こちらの特務課にだったのでしょうが、我妻副官房長官の横槍で、我々特命係に来てしまったわけですが…」
ミサキ「別に構いませんよ。特命係に回されたお掛けで杉下さん、亀山さんと出会えましたから。結果オーライですよぉ!」
左京「そう仰って下さって、本当に恐縮です」
ミサキ「私は出会いと縁を信じてますからねぇ。えーと話は変わりますが、先日の渋谷セントラル街の事件について話を聞きたいのですか、宜しいでしょうか?」
御坂「渋谷セントラル街の事件、秀尽の生徒が襲われた事件ですよね?」
静江「新聞記者崩れが3人、特務課が逮捕したヤツね」
ミサキ「鴨志田事件、セントラル街の事件って繋がってないように見えるけど、裏では繋がっている可能性があるんじゃないかしらぁ?」
左京「キーになるのは、秀尽学園ですか…」
御坂は、何かの資料を取り出し、ミサキ達に見せた。
御坂「それは、昨日特務課のエース達が新聞記者崩れの3人の取り調べて自供した内容だな」
七耀暦1204・5・15・ の渋谷セントラル街の裏側にて起きた事件
新聞記者崩れ3人が、渋谷セントラル街の裏方で秀尽学園の生徒達を絡んで襲撃していた。助けに入った秀尽学園の生徒2人にも絡んだ模様。
突然コスプレを着た女性が、新聞記者3人を撃退しそのままいなくなった。
コスプレの女性の正体はわからない。
引き続き調査を続行する。
そう書かれた資料をミサキ、左京、徹の順番で見ていく。
静江「それとミサキ、貴女には言って起きたいことがあるわ」
ミサキ「言って起きたいこと?」
静江「カルバードのCIDも日本に来てるわ。斑目の件で来てるわ。出会うかも知れないけど、穏やかにね」
ミサキ「わかりました。私も共和国のCIDと日本で争うつもりはないですよぉ」
こんな感じでこの日のミサキの日本での1日は終わった。