【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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緋里雪奈編4話です。


4ー4ー4・27→5・02ー鴨志田卓の改心。

ーー1204・4・27・ルブラン・ 

 

夜、既にルブランの札は、clauseになっているし、ルブランの主の佐倉惣治郎はすでに自宅へ帰っている。

 

今日の放課後、カモシダパレスにて、そこのキングであるカモシダを倒した。倒して、金メダルというオタカラも手にした。雪奈も鈴井志帆の無念をはらせたのは、良かったと思っている。だが、母親の情報は全く得られなかった。ちょっと遠くを見るような表情をしていたので蓮が話しかけてくる。

 

蓮「大丈夫か、雪奈?」

 

雪奈「うん、なんとかね」

 

蓮「鴨志田は、雪奈の母親の情報は知らなかったようだな」

 

雪奈「そうね…鴨志田何かが関わってるのか半信半疑だったけど、ヤツは違った」

 

モルガナ「確かにな。だが捜査は振り出しに戻ってしまったがな」

 

蓮は、雪奈にルブランコーヒーを淹れて持ってくる。

 

蓮「雪奈、ルブランコーヒー淹れたけど飲む?」

 

雪奈「ありがとう、頂くわ、蓮」

 

雪奈は、蓮が淹れたコーヒーを味わって飲む。コーヒーの味が、口の中に広がる。

 

蓮「どう、美味しい?」

 

雪奈「ええ、中々のものだわ」

 

蓮「佐倉さんにコーヒーの淹れ方を習ったんだ」

 

雪奈「なるほどね、佐倉さんに…か」

 

雪奈は、蓮がここに居候する前から通っている。惣治郎からは、変わった女子高生だと言われている。惣治郎曰く女子高生ならもっと洒落たとこや可愛いとことかに行くものではと。

 

モルガナ「鴨志田の件は、焦っても仕方がねぇ。しばらくは様子見だな」

 

雪奈「それしかないわね」

 

蓮「雪奈のお母さんを殺した犯人はわからずじまいか」

 

雪奈「そうね、だけど鴨志田の言い分だと他に殺した犯人いるってことが確証は得たわね」

 

蓮「鴨志田は、“自分ではない”と言っていたな。雪奈は信じるのか?」

 

雪奈「あの時の鴨志田は、嘘は言っていないと思うの」

 

雪奈は、あの時の鴨志田は本心から言ったと信じている。モルガナもあれは嘘ではないと言っている。

 

蓮「ああ、あの時の鴨志田は、雪奈やモルガナの言ってるとおりだと思ってる」

 

雪奈「まあ、とにかくしばらく鴨志田の様子を見るしかないわね」

 

蓮「そうだな」

 

しばらくは鴨志田の様子を見るしか無さそうだ。

 

ーー1204・5・02・秀尽学園・体育館・昼過ぎ

 

学校の校長から昼休みの後、午後の授業を潰して、全校集会を開くとのアナウンスが流れる。

 

それを聞いた雪奈達は覚悟を決めた表情をしていた。周りの生徒達は、ガヤガヤと騒いでいる。友達と騒いでいるものや、バカふざけをしている生徒達もいる。

 

カモシダパレスでカモシダと決着を付けた後、翌日から自ら自宅謹慎だと言って学校には来なかった。校長や教頭が、鴨志田の自宅を訪れて、出勤するように言ったが、来る日に学園に来て説明すると言って校長、教頭の言うことを拒否。

 

4/28・29・30

 

5/01・02と月日は流れて今に至る。

 

すみれは、1年の方から蓮達を見ていた。普通に怪しくないように。周りのガヤガヤにはうるさく感じながらも時間が過ぎるのを待っている。

 

そしてそんなすみれを見ている人物がいた。新島真である。彼女は、秀尽学園の生徒会長であり、ゴールド・マウンテン帝国支部に囚われていた1人である。

 

特科クラスⅦ組、エルフィン・スナイパー、七耀教会、ミサキ、静江によって囚われていた生徒達は救われた。

 

だが、新島真は、救われ日本に戻って来た後、姉である新島冴にかなり怒られた。

 

“勉強もせずにふらふらとしていたからさらわれるのよ”と言われたのだ。

 

真としては、生徒会長として、生徒の悩み事を聞いての行動だった。友達や先輩、後輩がゴールド・マウンテン社に捕まったと生徒会長である真に訴えて来たからだ。警察もマスコミも動いてくれないから、最後の望みで真にすがってきた者もいた。

 

それから真は、ゴールド・マウンテン社の事を独自に探っていた。

 

そんな真に、とある匿名のメールが入る。

 

【秀尽学園の生徒達を含む高校生達は、ゴールド・マウンテン社の帝国支部の人間達が、帝国へ拉致している。人身売買のために日本の高校生を複数拉致を繰り返している。

 

高校生達は、渋谷で消息を絶っている者が多い。知りたければ、渋谷を探れ】

 

ヴァイオレッド

 

このメールを送ったのは、芳澤すみれである。ヴァイオレッドというのは、芳澤すみれのコードネームである。

 

すみれは、お助けチャンネルの依頼をこなしていた時に、偶然にもゴールド・マウンテン社の話を聞いたのだ。だから生徒会長として動き出した真に情報を提供したのだ。すみれとしては、いざとなった場合、助けに行くつもりだったが、すみれに匿名のメールが入る。

 

【ヴァイオレッド殿、貴殿が彼女達を助けに行く必要は無い。彼女達は、帝国のとある者達とその協力者により助けられる】

 

すみれの話はおいといて、真はその情報を信じ、渋谷を歩いていた所にゴールド・マウンテン社の帝国支部人間に出くわし、そのまま拉致された。そして、渋谷から博多からクロスベルへ運び込まれ、帝国のパルムの近郊の工場に運ばれていた。

 

 

リィンやエマ、ユーシス、ステイル達に救われ出すまで、あの工場の最奥で監禁されていた。

 

監禁されてた数日に起きた事件や拉致される前に起きた鈴井志帆飛び降り自殺未遂事件。

 

真自身も頭がいっぱいだった。副会長に生徒会の運営を任せて真自身は手掛かり探していた。

 

そんな中、真は連れさらわれてしまった流れである。

 

真は、ステイルやカズヤ、深夏から励まされていた。

 

深夏【たまには回りを向く事も大事だからね。助けて欲しいときは、素直に助けてと言っても良いのだから。この2人みたいに突っ張っちゃダメだよ】

 

深夏はウンイクをしながら真にこの事を言っている。

 

カズヤ【手厳しいな、深夏は】

 

ステイル【なんか、反論できないな…】

 

深夏は、女の子に生まれてきて、自分のやってた事を反省し、協調性を持つようにしている。カズヤもステイルもマユミや桜子に言われてるものだから、深夏に言われたことも否定はできなかった。真も深夏やミサキ、静江のように強くなりたいと改めて決意したのだった。

 

真が憧れる伝説の刑事、それは父親でもあるが、その父親も認めていたガイ・バニングスである。真もガイ・バニングスのような刑事になりたいと思っている。だが姉の冴は、父親もガイ・バニングスも良しとはしなかった。

 

冴【真、父さんやガイ・バニングスを目標にするのは、やめなさい。死んだら負けなのよ、わかってる?】

 

真は、姉のその言葉が今でも許せないでいる。死んだら終わり?違うと思っている。父親もガイ・バニングスも最後の最期まで、自分の信じる正義と誇りを貫いたんだと信じているからだ。

 

真は、自然と口は真一文字に手は握りこぶしを作っていた。

 

 

すると、鴨志田がゆっくりと現れたかと思うと、生徒達の前にやって来て、土下座して謝り続けた。額を床に擦り付けながら、ひたすら罪の告白をして洗いざらい自身が犯した罪をしゃべった。

 

雪奈達もすみれ、真も鴨志田の態度には驚いている。今まで謝罪などしたこともない男がひたすら許しを乞うているのだから。

 

鈴井志帆に対して、強姦したこと、それが原因で飛び降り自殺をはかったこと。

 

高巻杏に対してもセクハラやモラハラを繰り返していたことや脅迫をしていたこと。

 

緋里雪奈に対しても列車にて痴漢行為をし彼女を傷つけたこと。

 

バレー部、陸上部の生徒達を複数人を壊したこと。

 

などを告白した。秀尽学園での鴨志田卓の評価は奈落の底へ落ちた。本人は命を持って償うと言い出した。それを見た雪奈と杏の言葉により、鴨志田は罪を認め深く反省することになった。

 

 

本人は警察に通報してほしいといい、他の教職員が警視庁に通報した。

 

そして警視庁の刑事がやって来て、鴨志田卓は、逮捕された。

 

鴨志田卓の逮捕は、瞬く間に日本中へ、そこに留まらずに世界に発信された。

 

蓮や雪奈達、すみれ、真は、それぞれの思惑があり、それが交差するときが必ずやってくる。

 

鴨志田卓の逮捕は、日本という国に風穴が開いた瞬間でもあった。

 

 

 

ーー1204・5・02・秀尽学園屋上・ 

 

鴨志田卓は、警視庁に逮捕された。それは日本中に報道が駆け巡った。

 

それも臨時ニュースとして。

 

【世界大会金メダルリスト、鴨志田卓、逮捕】

 

容疑は、教え子に対してのセクハラ、パワハラ、等などで警視庁が緊急逮捕に至ったとされている。

 

今日は、ほとんど午後の授業はあって無いようなものだった。先生達は緊急の職員会議を開いて、今後の対策を練っていた。

 

雪奈と蓮のクラスも、授業がないことを良いことに好き勝手をやっていた。杏は、志帆のお見舞いのために、一端学園を離れた。

 

職員会議が終わることもなく、放課後を迎えた。

 

放課後になってすぐに竜司からチャットが来た。雪奈と蓮はスマホを取り出した。

 

竜司【放課後、屋上に集まろうぜ】

 

雪奈【別に構わないけど?】

 

蓮【ああ、構わない】

 

竜司【じゃあ、放課後すぐ屋上に来いよ】

 

雪奈と蓮はスマホをなおすと、互いに顔を見合わせると、竜司が待つ屋上へ向かう。

 

やはり教室から出ると、鴨志田の話で持ち切りだ。今まで鴨志田の悪口を聞かなかったが、嘘のようにみんな鴨志田の悪口を叩いている。

 

そんな会話を聞きながら雪奈と蓮は屋上の方の階段を昇る。

 

 

屋上の扉を開けると、夕陽が顔に当たって目をつむる。5月に入ってはいるが、夕方の風は何だかまだ冷たい。

 

雪奈、蓮、竜司、モルガナは、いつもの定位置に座り話をしていた。

 

竜司「マジでビビったわ…マジで改心だったな…運良く廃人化も無かったし、100点満点だぜ!」

 

雪奈「パレスが消えても、廃人化が起きないってことで良いのよね?」

 

モルガナ「ああ、そうだな。シャドウが死んじまう前に説得して、現実の本人の元へ返してやれば、いいってことか」

 

蓮「そうすれば、廃人化は起きないってことか」

 

竜司「つまり、ちゃんと自白だけを狙えるって事だな?」

 

雪奈「そう言うことかしらね」

 

竜司「面白えじゃねえの!」

 

竜司がそう言うと、杏がやって来て

 

杏「声でかいから!」

 

竜司「大丈夫だって」

 

雪奈「杏、鈴井さんの様子はどうだったの?」

 

杏の話だと、鈴井志帆の意識は戻ったようだ。少しだけど、話すことも出来て鴨志田が自分のやったことを認めたってことを言った。

 

杏「志帆、私に『ごめんね』だって。私が志帆の為に媚びてたの、バレちゃってたみたい。謝りたいの私の方なのに」

 

雪奈「杏、悪いのは鴨志田よ」

 

杏「そだね。志帆のお母さんが、回復したら、転校させようと思うって。強姦とか…セクハラとか自殺未遂とか…やっぱりレッテル付いて回るし…志帆もそうしたいって言ったみたい」

 

竜司「寂しくなんな…」

 

杏「でも、私もそれがいいと思った。ここにいたら、きっと辛いし…」

 

雪奈「そうね、鈴井さんのためなら、その方が良いわ」

 

竜司「いつだって会えんだろ…生きてりゃ、さ」

 

杏「私も、変わんなきゃ…雪奈みたいに」

 

雪奈「私みたいに?」

 

杏「うん…。雪奈って大人しそうにしてるけど、芯は強いんだなって」

 

雪奈「そ、そうかな?」

 

竜司「そうだぜ、最初は委員長タイプと思ってたけどさ…全然違うからな」

 

蓮「それは言えてるかも」

 

雪奈「別に私の事はいいでしょう!」

 

竜司「それに、あのときお前、鴨志田によく我慢できたよな?」

 

杏「私は、ただ直接謝らせたかっただけ…」

 

モルガナ「杏殿は優しいんだな…」

 

竜司「クズ相手でも廃人化は目覚めが悪いか…」

 

杏「いや、違うけど…改心させた方が、復讐になるなって思って…」

 

雪奈「そうね…。その方が復讐にはなるわね…。死んだらそれまでだしね…」

 

秀尽学園教諭、鴨志田卓を殺さなかったのは、生かして地獄を見せること。死んでしまったら、それで終わり。

 

それに蓮はともかく、杏や竜司を人殺しの汚名は着せたくないという気持ちが、雪奈にはあった。あの2人は鴨志田卓の被害者ってだけだ。

 

蓮は、雪奈の取り引きしたため、結社の一員と数えている。

 

雪奈も鴨志田には、痴漢をされたという事実もあるから、殺す選択肢もあった。

 

だが、鴨志田を殺せば、杏や竜司、志帆や今まで鴨志田にやられた人間がどう考えるかと思った。怨みの対象が失うことで、生きる意味を失う可能性もあった。

 

だからこそ、鴨志田卓という人間は、生かすことにしたのだ。他の執行者から甘いと言われるかも知れないが、今の雪奈は怪盗団としてやっていくつもりである。

 

竜司には、死より生きて地獄を見せるって事が怖いと言われた、雪奈。

 

竜司「まあ、とにかく、一件落着だけどよ…そういや、1つ気になってんだ。あの『城』のことを。あんな変な異世界が、なんで鴨志田にだけあったんだ?」

 

モルガナ「別にあの鴨志田に限ったことじゃない。欲望に心に歪みが起きてるヤツなら、誰でも持ちえるものさ」

 

杏「誰でも…」

 

モルガナ「確かめてみるか?」

 

竜司「い、今はいい。しばらくは大人しくしてねーと、鴨志田のこと、また騒がれるだろうしな…ま、パレスでやってたこと調べるなんて、ぜってー不可能だろうけどよ…」

 

杏「その事だけど、あんた達、もう変な噂を立てられてるたよ。結託して、鴨志田に暴力まがいの脅迫したって…」

 

雪奈「暴力まがいね…そんな噂を立てる暇な人間がいるのね…」

 

杏「まあでも流石に怪盗が実在するなんて、そうそう信じないでしょ」

 

雪奈「西ゼムリアでは、怪盗Bが存在するけど?」

 

杏「怪盗Bは、宝石とか美しいものしか取らない美学があるとか言ってない?」

 

雪奈「そ、そうだけど…」

 

杏「まあそれは別として、予告状は鴨志田の悪事を知った誰かの悪戯ってことになってるみたい」

 

竜司「そりゃそうか。やった本人でも信じ切れてねえし」

 

蓮「確かに。ひとまずは、今後のことは事態が落ち着いてから相談だな」

 

雪奈「まあ、それが良いわね。今はあまり目立つようなことは控えた方が良いみたい」

 

竜司は懐から鴨志田から得た金メダルを取り出す。

 

竜司「とりあえず、このメダル、いくらで売れるか確認しよーぜ。こんなの、さっさと売っ払っちまった方がいいだろ」

 

竜司はスマホを操作をして金メダルの買い取り価格を見ている。

 

竜司「お、出た!って3万ミラ?金メダルって3万かよ!?」

 

杏がニコニコしながら竜司に話す。

 

杏「覚えてるー?中学の時に貸したミラ」

 

雪奈「竜司って杏にそんなにミラ借りてたの?」

 

竜司「いや、3万も借りてるわけねえだろ!」

 

杏「利子がついてたらこんなもんじゃない?」

 

竜司「お、おい!」

 

杏「誰も全部貰うなんていってないでしょ。てか何年も返さない方が悪いし!借りたものは返すって常識だし!」

 

竜司「く、くそ…」

 

蓮「竜司の負けだな」

 

雪奈「そうね」

 

モルガナ「事態を見守ることには、賛成だ。勝利の記念に祝杯でもあげるか?」

 

雪奈「まあ、モルガナのおかげでもあるし、勝利の祝杯でもあげるのはいいかもね」

 

竜司「こんなキメェ金なんて、パーッと使っちまうのもありだな?」

 

モルガナ「怪盗の相談は美食の席でと決まっている。どうだ?」

 

雪奈「そうね、私は賛成よ」

 

杏「雪奈…!?うーん、雪奈が賛成なら私も賛成かな。それに私、行きたいところがあるんだけど?」

 

竜司「どこだ?」

 

杏「志帆と行きたいって前から言ってたとこ」

 

竜司「俺は借金あるし、文句は言えねえ…」

 

雪奈「私は杏の決めた所で良いわ。私も杏達が行きたかった所に興味があるし」

 

蓮「俺も構わない」

 

モルガナ「ワガハイも杏殿に任せる」

 

杏「うん、じゃあ後で確認しとく」

 

竜司「いつ行くよ?さっそく明日にでも繰り出すか?」

 

杏「連休の最後にしない?次の日からの学校生活に備えて、勢いつけるって意味で」

 

雪奈「5月5日の子供の日って事ね」

 

杏「って換金って誰がやるの?」

 

モルガナ「任せとけ、何でも買い取るお店を知ってる、そうだよな、雪奈、蓮?」

 

杏「へぇー、雪奈、そんなお店を知ってるんだ。じゃあ、お願いね」

 

雪奈「まあ…ね。ふぅーわかったわ、私と蓮で換金してくるわ」

 

蓮「え?俺も?」

 

雪奈「そうよ、蓮は怪盗団のリーダー何だし手伝ってくれるでしょ?」

 

蓮「わかった」

 

そして雪奈達は、5月5日の事を話ながら帰っていく。

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