【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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緋里雪奈編6話です。


6ー6ー5・03→5・04ー金メダルの換金。

ーー1204・5・03・ルブラン・ 

 

朝の陽射しで目が覚めた蓮。蓮は昨日の夜の記憶があまり無い。何か嫌なことを思い出したような気もするが、快適に寝れたと思う。

 

蓮は、手作りベッドから起き上がる。するとすぐにいつもと違う何かに目が行く。

 

ソファーに、何か毛布みたいなものにくるまって寝ている何かがある。そしてその毛布がソファーの下に落ちる。

 

そこには、雪奈が丸まって寝ている。

 

蓮「な、なんで雪奈がここに寝ているんだ?」

 

蓮は昨日の記憶を探っていくが、肝心なところの記憶が無い。

 

再び蓮は、雪奈に視線を向けるとスカートがめくれ、黒いレースのパンツが見えている。

 

蓮「く、黒の…!?」

 

怪盗服も大胆だが、下着も黒だと思い凄いと蓮は思った。

 

ついつい、見とれてしまう蓮だが一階の方からルブランの主である惣治郎の呼ぶ声が聞こえる。

 

惣治郎「お~い、起きてるか?」

 

蓮「…あ、おっ、起きてますよ!」

 

惣治郎「なら、起きてこい!朝飯のカレーを作ったぞ」

 

蓮「わかりました。すぐ行きます」

 

蓮は慌てて1階へ降りていく。

 

 

 

蓮が降りていったのを確認すると、雪奈は、メモ帳を取り出した。

 

【蓮、私は自宅に帰るわね。何かあれば、チャットで連絡して】

 

そう書いて、メモ帳の紙を机に置く。そして転移術を発動させる。

 

モルガナ「戻るんだな。わかった」

 

モルガナは、雪奈の転移術を補佐を行う。ここはルブランの屋根裏だ。あまり派手に転移術を使うわけにはいかないからだ。だからモルガナが補佐に入る。

 

すると屋根裏部屋に転移術の術式が現れ、雪奈とモルガナは転移と共に術式も消えた。

 

 

 

ーー1204・5・03・雪奈のアパート・午前中

 

雪奈は、自宅に帰って来ると、すぐに身支度をし始める。最初にシャワーを浴びることから始める。

 

モルガナは、魔力を使ったため、ソファーに転がって寝る事にする。なぜ寝るのかは、魔力を回復させるためである。

 

 

シャワーを浴びてきてから、スマホが鳴ったのでチャットを見る。

 

蓮【雪奈、今日は出掛けるのは無理だ。佐倉さんに、店の手伝いを言いつけられている。金のメダルの換金は、明日でも良いかな?】

 

雪奈【ええ、明日でも構わないわ。佐倉さんの言いつけなら仕方がないわ。蓮、それじゃあ頑張ってね】

 

蓮【まあ、疲れない程度に頑張るよ】

 

雪奈は苦笑いをしながら、スマホをテーブルに置く。

 

雪奈「今日は、私も部屋の片付けやゴミ捨てなんかしようかな」

 

片付けや掃除がしやすい格好になってから、やり始めるのだった。

 

 

 

掃除や片付けを本格的にやり出したら、すでに夕方に時間がなっていた。

 

雪奈「時間が経つのが早いわね」

 

モルガナ「かなりゴミやらあったな」

 

モルガナも魔力が回復して、雪奈と話していた。

 

雪奈「秀尽学園に入学してきたから、全くして無かったわね」

 

モルガナ「秀尽に入学って…そんなにしてなかったのかよ…まあワガハイも気にはしてなかったが…」

 

雪奈が秀尽学園に入学した頃は、学園内も平和であった。だが春先になって前校長が、病気による急死した。これが秀尽学園がおかしくなるきっかけだった。

 

今の校長は、元は教頭であった。教育委員会から、校長に任命されたのだ。そして彼が教頭を任命している。

 

この校長が、鴨志田卓を連れて来たのだ。他に数名を連れてきている。

 

これから秀尽学園がおかしくなる。まず教育方針に鴨志田卓と対立した複数の教諭が秀尽学園を辞めさせられている。

 

それだけではない、教諭人生まで断たれている。

 

教諭だけではない、生徒達も鴨志田や他の教諭に逆らって退学になった者達も複数いる。だから以前は、竜司みたいな連中もたくさんいた。

 

だが、鴨志田達が恐怖や絶望で支配し、自分達の操り人形のようにしたのだ。みんな退学にはなりたくない、止めさせられたくない、勉強を遅れさせたくない。いい大学、いい会社に入りたいとか考えてる生徒が多かった。

 

だから鴨志田卓のような教諭をつけあがらせる結果になった。

 

モルガナ「明日は、金メダルを換金したいものだぜ」

 

雪奈「そうね。ただ蓮が佐倉さんに言い付けを言われなければ良いけど」

 

モルガナ「そうだな。もし明日も今日と同じなら…」

 

雪奈「本当は使いたくないけど、魔術を使うしかないわね」

 

【邪眼】ー相手をしばらくの間、術者の影響化に置く魔術。

 

雪奈「これは本当に万が一、蓮が今日みたいになった場合だけ」

 

モルガナ「まあ、迂闊に使うわけには、いかないからな」

 

こんな感じで、雪奈達の5月3日は過ぎていく。

 

 

 

ーー1204・5・04・雪奈のアパート 

 

朝の陽射しが雪奈の部屋を照らす。照らしたのを合図に、雪奈はベッドから起き上がる。モルガナも気配で起きる。

 

雪奈「う~ん、昨日は本当に疲れたわ」

 

モルガナ「仕方がない、雪奈自身が溜めたゴミだからな」

 

雪奈「わかってるわよ」

 

雪奈は、部屋の窓を開けると、換気をする。外から涼しい風が入って来る。

 

雪奈「明日は、約束日だからタイムリミットは今日まで。佐倉さんが、蓮に何か言った時点で邪眼を使用しないと…」

 

モルガナ「まあ、敵でもない者に使うのもどうかと思うが」

 

雪奈「わかってるわよ…。私も出来れば使いたくない…でも換金の約束もしたし…」

 

モルガナ「蓮が、オーナーに言い付けをされなければ、良いんだかな」

 

雪奈「そうね…さてと私も準備をしなきゃ…」

 

雪奈は、そう言うと、身支度の準備を始めた。

 

 

準備を整えて、自宅からルブランに向かう途中にとある女性を見かける。

 

雪奈「あ、あれは東京地検の若手のホープと目されてる新島冴…なんでこんなところに?」

 

モルガナ「まさか勘づかれたのか?」

 

雪奈「それはないでしょ。パレスとかあの世界とか証明できないでしょ?まあ新島冴に向こうの事がわかれば別だけどね」

 

モルガナ「どうする、雪奈?」

 

雪奈「ちょっと様子を見てみましょ。それから対応しても遅くはないでしょうし」

 

雪奈とモルガナは、ルブランの前を通るふりして中を伺う。

 

店内では、先月の列車脱線事故のニュースが流れていて、新島冴が佐倉惣治郎に質問をしている。だが惣治郎にかわされたため蓮に何か話しかけている。

 

冴「あなた、どこの学校に通ってるの?」

 

蓮「秀尽学園ですが」

 

冴「へぇー知り合いもそこに通ってるわ。今…大変よね。鴨志田って教師、人が変わったように自分の罪を告白したんですってね…それも…『ある日突然』人間の心理状態って、そう簡単に変わるものかしら」

 

惣治郎「ふぅん」

 

冴「コーヒーまだですか?」

 

惣治郎「はいよ」

 

惣治郎がコーヒーを淹れるため蓮から視線を外す。新島冴も考え込んでいるから、今のうちにと雪奈は、蓮にウインクを送る。蓮が気づいて表に出てくる。

 

雪奈は蓮を駅前の方まで連れていき

 

雪奈「危なかったわね、蓮」

 

蓮「ああ、危なかった。あの女の人が来なかったらまた皿洗いだった…」

 

雪奈「はぁ~結果的に蓮は“あの女の人”のおかけで助かったわけか…」

 

蓮「あの女の人がどうかしたのか?」

 

雪奈「金メダルを換金しに行くんでしょ?あの女の話は行きながら説明してあげる」

 

雪奈と蓮、モルガナは、四軒茶屋から渋谷のセントラル街へ向かう。しかし導力列車の中は、いつも以上に人が多い。当たり前だろう、ゴールデンウィークなのだから。

 

蓮は、導力列車に乗っている間、雪奈をずっと守っていた。雪奈はちょっと蓮のことを感心していた。

 

渋谷に下り立ったら、さらに人々が多かった。ゴールデンウィーク中だからどこに行こうとも人は多い。

 

そそくさに岩井のプラモデルのお店に行こうとしたら、公安とおもしき2人が店の前にいる。雪奈は蓮を呼び止める。

 

雪奈「蓮、ちょっと待って!」

 

蓮「どうしたの、雪奈?」

 

雪奈「岩井のお店の前に、なんか怪しい男の2人組がいるでしょ?」

 

蓮「…確かにいる。あの男の2人組は一体?」

 

雪奈「公安ね…。岩井の店の何かに気がついたのかしら?」

 

蓮「どうする、雪奈?」

 

雪奈「まあ、どうこうするわけにはいかないわ。そうだ、蓮」

 

雪奈はそう言うと、蓮の左手を掴んで恋人繋ぎをやる。

 

蓮「ゆ、雪奈!?」

 

雪奈「怪しまれないようにするだけだから。変な意味はないわよ!」

 

蓮「そ、そうなんだ…」

 

蓮は苦笑いをしながら、雪奈と恋人のフリをして公安の刑事の横を通って岩井のプラモデル屋に入る。

 

岩井「緋里と新入りのヤツじゃねーか。どうしたんだ、今日は補給か?」

 

雪奈「補給はまだ良いわ。それより買って欲しいのがあるの」

 

蓮「これなんですが」

 

蓮は鞄から金メダルを取り出す。

 

岩井「うん?金、金メダルか?なんで緋里達が持ってるんだ?まさか…!」

 

雪奈「出所は…あまり気にしないで」

 

岩井「……お前達が結社の人間では無かったらこんな物、買い取らねーぞ」

 

雪奈「アハハ…」

 

岩井は蓮から金メダルを渡す。

 

岩井「緋里、3万ミラでどうだ?」

 

雪奈「ええ、それでいいわ」

 

岩井「交渉成立だな…」

 

雪奈達は、3万ミラを受けとる。岩井が外の公安の刑事を気にしている。

 

雪奈「やっぱり、表の公安の刑事を気にしてる?」

 

岩井「ああ…まあな。ああ、そうだ…これを持っていけ、緋里」

 

岩井から雪奈は、とある紙袋を渡される。

 

雪奈「これは?」

 

岩井「いつぞの依頼の報酬だ。持ってけ」

 

雪奈「……わかったわ」

 

それだけを言い終えると、公安の刑事達が踏み込んでくる。雪奈と蓮は再び恋人のふりをする。

 

公安刑事1「岩井宗久だな。ちょっと話があるのだが?」

 

岩井「2人共、行け」

 

雪奈「うん」

 

雪奈と蓮は、公安刑事達の横を歩いて行く。

 

公安刑事2「用件は分かるよな?」

 

岩井「証拠でもあるのかい、刑事さん?」

 

公安刑事2「なんだ、その態度は!」

 

若い方の公安刑事がレジのカウンターを叩く。

 

岩井「ガサでも何でも好きにしろ」

 

公安刑事2「何だと!」

 

岩井「警察に協力すんのは、市民の義務だ」

 

公安刑事1「あのタレコミは本当なのか?」

 

公安刑事2「ええ、そのはず…」

 

岩井「…さっさと済ませてくれよ?」

 

公安刑事2「テメェ…おい、そこのカップル!」

 

雪奈「な、何でしょうか?」

 

公安刑事2「何だぁ?その紙袋は?ちょっと中身を見せてみろ?」

 

若い方の公安刑事は、雪奈が持っている紙袋を見せろと言ってきた。

 

雪奈「え…!?」

 

岩井「“ただのカップルのお客さん”だよ。なんなら防犯カメラでも見るかい?カメラならやり取りの一部始終、全部お見通しってね…」

 

雪奈はチラッと蓮と岩井を見る。ここは協力して何とか公安刑事達をやり過ごすしかないと考えた。

 

公安刑事2「とにかく、捜査に協力しろ!」

 

雪奈「はい、わかりました」

 

公安刑事2「その紙袋の中身を見せろ!」

 

雪奈「刑事さん、女の子の買った物を見せろってプライバシーの侵害ですよ?」

 

公安刑事2「何だと!」

 

公安刑事1「おい、やめろ。相手は子供達だ。それに、ここは取り調べ室ではないぞ」

 

公安刑事2「はぁ~」

 

岩井「刑事さん、これ以上うちの客を脅さないでくれよ」

 

公安刑事2「チィ…」

 

岩井「またおいで、気をつけて帰るんだよ?」

 

雪奈「はい、ありがとうございました」

 

蓮「ありがとうございました」

 

雪奈と蓮は、そう言って岩井のプラモデル屋を出るのであった。

 

ーー1204・5・04・ ・雪奈の部屋。

 

岩井のプラモデル屋から、四軒茶屋に戻って来て、ルブランに立ち寄ってから自分のアパートに戻ってきた。戻って来た時は、すでに夜になっていたのだ。

 

雪奈は、岩井から渡された紙袋を自分の机に置く。紙袋の中身は、拳銃でなくCADである。

 

日本では、楽々とCADを買うことは出来ない。魔法師一族(十師族関係)や魔法が使えることを役所に届けている人間達だけに持つことが許されている権利である。

 

非魔法師は、CADを持つ事を許されない。CAD所持法、現実の銃刀法みたいなものだ。

 

雪奈「岩井からもらったCAD、パレス攻略の時に役立たせてもらうとしますか」

 

雪奈は、結社から貰った小型導力パソコンで情報収集をやる。

 

日本の情報は、いつもの当たり障りのない情報が流れている。鴨志田の話が大々的に流れている。

 

雪奈は、特殊な回線で、世界のニュース情報を引き出す。夕刊ニュースにて。

 

【エレボニア帝国】→パルム騒乱の罪で、ゴールド・マウンテン帝国支部の複数幹部、日本へ強制送還。

 

【クロスベル自治州】→クロスベル騒乱の傷痕、中々消えず。クロスベル警備隊の一隊員の話。

 

【カルバード共和国】→移民賛成派の集会で移民反対派のメンバーの何人かが暴徒化し、騒動となる。状況を重く見たカルバード共和国政府が、軍警察を出動させ暴動を鎮圧する。

 

雪奈は、エレボニア帝国のパルム騒乱を詳しく情報を出す。

 

1204・4・25日にパルムにて、ゴールド・マウンテン帝国支部に雇われいた猟兵団、日本人移民街を守る自警団が、パルムを襲撃する。

 

襲撃軍は、トールズ士官学院の学院生や帝国軍情報局、鉄道憲兵隊、領邦軍により鎮圧される。

 

ゴールド・マウンテン帝国支部の複数幹部は、帝国軍情報局により拘束される。

 

帝国政府、日本政府間にて交渉を重ねて、帝国支部幹部を4日日本へ引き渡し。

 

雪奈「私達が、鴨志田と戦いを繰り広げてる時に、ゴールド・マウンテン社の帝国支部が帝国のパルムで…騒動を…」

 

日本では、ゴールド・マウンテン社の負の実態を明らかにするような報道はない。鴨志田の事件だけを長々とやっているだけだ。

 

そんな中、雪奈のスマホに連絡が掛かって来た。掛けてきたのは、杏だった。

 

杏「もしもし、雪奈、私」

 

雪奈「杏、何かあった?」

 

杏「ううん、何もないよ。私、ニュース調べてみたよ。鴨志田のやつ。結構大きく取り上げられてたね」

 

雪奈「そうね、日本だけではなく、西ゼムリアにまで、報道されてるわ」

 

杏「そ、そうなんだ。私が想像してた以上に反応が大きくて…ちょっとびっくりしたかな…でも、間違った事をしたとは思わない。もしかして私達が動いたから、みんなも勇気が出て、話せたのかなって…」

 

雪奈「そうね、私達が動いたから怖くて震えていた人達も勇気を出すことが出来たと思うかな」

 

杏「雪奈もそう思うんだ。でもそれってすごくない?今まで考えた事もなかった!とにかく、成功したんだから、お祝いだよね!明日、渋谷駅に12時に集合ね。遅刻厳禁だよ!雪奈、金メダル、換金した?」

 

雪奈「金メダルは、ちゃんと換金したから、安心して」

 

杏「さっすが。店は期待してて。絶対みんな満足するから。それじゃあ、雪奈、明日ヨロシクね」

 

雪奈「私こそ、ヨロシクね、杏」

 

通話を切ってスマホを机に置く。モルガナは、今はいない。蓮を少し鍛えるために雪奈の部屋にいない。

 

雪奈「しかし、蓮って九重寺に入門したのよね…。強くなるためとはいえ…」

 

九重寺の九重八雲。大昔の忍者の末裔ではないかと言われている。雪奈が懸念しているのは、九重八雲がかなりの切れ者であり、蓮の正体や結社と繋がりを疑われないかと心配している。

 

雪奈「カンパネルラからは、九重八雲は信用たる人物だと聞かされるけど…」

 

雪奈は窓を開けて星空を見る。

 

雪奈「まあ、先の事は、蓮やみんなと考えれば良いかな」

 

雪奈は星空を見ながらそう考えるのだった。

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