【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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緋里雪奈編13話です。


13ー13ー5・15ー斑目の個展。

雪奈side

 

ーー1204・5・15・昼間・斑目展。

 

この日は朝から雨が降り、じめじめした感じな日になっている。そんな中、雪奈、蓮、竜司、杏の4人は、今人気を博している斑目展へやってきた。そしてすぐさまあの佑介はやって来たのだ。

 

佑介「来てくれたんだね!」

 

雪奈「喜多川君…ええ、まあ」

 

佑介は、雪奈と蓮達を見る態度が全然違う。本当に来たのかという態度である。

 

佑介「本当に来たのか?」

 

竜司「テメーで券、置いてったんだろ!」

 

杏「そうよ!」

 

佑介「他のお客様の邪魔にならないようにな。さあ、緋里さん、案内するよ。俺の描きたい絵のことも、色々と話したい」

 

雪奈「みんな、また後で。(蓮、竜司、杏、そっちはそっちで調べておいて)」

 

雪奈は、そっとそう言って佑介に連れられていく。それを見ている3人と蓮の鞄の中にいる1匹。

 

モルガナ「喜多川佑介!雪奈に手を出したら許さないからな!」

 

竜司「ってか出てくんなっての!」

 

蓮「雪奈に言われたとおり、こっちも調べようとするか」

 

杏「そうだね」

 

竜司「マジでゲージツ堪能するのか…。帰る…」

 

竜司がそう言いかけた時、モルガナと杏が

 

モルガナ「雪奈が喜多川佑介と一緒にいるのに、帰るわけがないだろうが!」

 

杏「雪奈1人を置いて帰るわけがないでしょう!ねえ、蓮?」

 

蓮「そうだな、雪奈を1人にするつもりはない」

 

杏「そうだよね」

 

モルガナ「そうだよな、蓮!」

 

蓮達は、時間潰しで斑目展を見て回ることにした。

 

蓮達が見て回っていると、こないだ佑介と一緒にいたじいさんがいた。そのじいさんは、記者達に囲まれている。蓮達はそっとそこへ近づく。

 

インタビュアー「先生のイマジネーションには、いつも驚かされます。全て1人の人間が描きだしたとは当店思えない縦横無尽の作風…いったい、どこからこれほどの着想が?」

 

斑目「そうですな、言葉で伝えるのは、なかなか難しいのですが、泉に1つまた1つと泡が浮かぶように、心のうちから自然と湧き出てくるのですよ」

 

インタビュアー「自然と…ですか…」

 

斑目「重要なのは、ミラや名声などの俗世から離れる事ですな。私のアトリエは質素なあばら家ですが、美の探求には充分なのです」

 

竜司「あばら家……?」

 

インタビュアー「なるほど…無心が内なる美を育ててくれる…と。それにしても巨匠斑目先生から【あばら家】なんて言葉が出るなんて」

 

斑目「ご覧頂ければ、わかりますよ。ハハハ…」

 

竜司「【あばら家】って言葉、確か…」

 

蓮「うーん…確か…」

 

斑目のインタビューに吸い寄せられるように野次馬達が集まって来る。蓮達は野次馬の圧力によりどんどんと端に追いやられるのだった。蓮達は何とか出口を目指すのだった。

 

 

 

一方雪奈と佑介は、日本画を鑑賞していた。

 

雪奈「日本画ってこんなに色々種類あるのね」

 

佑介「普通はもっと作風は限られる。でも先生は全てを……1人で、制作してる。特別なんだ先生は」

 

雪奈は全てをの後、ちょっと間があったのを見逃せなかった。だがそれが気にはなったが、斑目がやって来たからである。

 

斑目「佑介、ここにいたのか?」

 

佑介「先生!」

 

斑目「昨日の子だね。楽しんでもらえているかな?」

 

雪奈「ええ、楽しんでいます。上手くは言えないのですけど」

 

斑目「何かに楽しんでもらえる…。それだけで、我々画家は本望だ。いい絵になるといいな、佑介。では、失礼」

 

斑目はそう言って去っていった。

 

雪奈「芸術家というのは、取っつきにくい感じだけど、斑目先生は違うし、親しみ安いのね」

 

佑介「ああ」

 

雪奈は、近くに展示されている絵の方へ行き

 

雪奈「こ、これだわ。直接来て見たかったのは」

 

佑介「……これが?」

 

雪奈「描いた人の怒り…分からないけど、熱い苛立ちを感じるわ。あんなに気さくで紳士的な人なのに、こんな絵が描けるなんて…」

 

佑介は、何故か不機嫌な表情になり

 

雪奈「どうしたの、喜多川君?」

 

佑介「な、なんでもない。こんな絵より…もっといい絵がある。さあ、こっちだ!」

 

佑介は、その絵の方へ歩き始める。

 

雪奈「喜多川君……」

 

雪奈は佑介のあの言葉に引っかかった。師匠の絵をあんな絵と酷評するだろうかと。尊敬している師匠に対してそんなことを言うだろうか。そんなことを考えながら、佑介に案内されながら絵を見て回った。

 

 

全てを見て回って後、佑介に絵のモデルの事を頼まれまくったが、なんとかかわして彼とは分かれた。

 

雪奈「蓮達、個展の会場にはいなかったし、まさか私を置いて帰ったとか?」

 

巨匠斑目画伯の個展だから人間が多いのはわかっているが、何も言わずに帰られるのは気分が悪かった。不機嫌な感じになりながら、雪奈は帰ることにした。

 

 

 

雪奈side

 

ーー1204・5・15・昼間・渋谷駅内

 

蓮、竜司、杏は、渋谷駅のとある場所にいた。今日は雨だから外で雪奈を待つ事が出来なかったからだ。

 

竜司「オバチャンのヒジがモロ…」

 

杏「私なんかどさくさに紛れてお尻を触られたわ。マジ、最悪…」

 

蓮「2人とも災難だったね…」

 

竜司「けど、おかけで思い出したぜ。お前もわかってるだろ?」

 

蓮「導力ネットの書き込みだろ?」

 

杏「導力ネットの書き込み?」

 

竜司「まあ、聞けって」

 

竜司は、そう言うと自分のスマホを取り出し導力ネットに書かれているものを見せた。

 

竜司「ほら、ここを見てみ」

 

蓮「なになに…」

 

杏「えーと……」

 

蓮と杏が導力ネットの書き込みを読もうとしたら雪奈が現れる。だが雪奈の周りには、どす黒い何かオーラが見える。

 

雪奈「蓮、竜司、杏、先に帰るんだ…。私に一言言ってくれても良いじゃない?」

 

雪奈のオーラに押されながらも

 

杏「ごめん、雪奈。お客さん達から押されて出口まで押されたのよ!」

 

蓮「それでどうしようかと思って、ここで待ってれば雪奈がくるだろうとね」

 

竜司「俺らは悪くないって、な、雪奈?それにこれを見てみろよ」

 

雪奈も導力ネットの書き込みを見る。

 

竜司「この書き込み…斑目のことかも知んねえ」

 

蓮、杏「!!」

 

雪奈「………」

 

竜司「【日本画の大家が弟子の作品を盗作している。導力テレビは表の顔しか報じていない。】だとよ…」

 

雪奈「………」

 

竜司「最初に見た時は、なんとも思わなかったけど、【あばら家】で【斑目】だからな。【住み込みさせている弟子への扱いは酷く、こき使うだけで、絵など教えてもらえない。人を人とも思わない仕打ちは、飼い犬をしつけるかのよう】

 

モルガナ「盗作に加えて、虐待ってとこか」

 

竜司「マジなら大スキャンダルだ」

 

杏「それって、喜多川君が書き込んだのかな?まさに弟子でしょ?」

 

さっきから黙り込んでいた雪奈が声を出す。

 

雪奈「喜多川君じゃないでしょうね。おそらく、斑目に潰され辞めて行ったお弟子さんのだれかでしょう。まあ中野原さん以外でしょうけど」

 

モルガナ「うーむ、雪奈の考えだとメメントスで聞いた【マダラメ】があの【マダラメ】と同一人物かもしれねえ」

 

雪奈「……でしょうね」

 

杏「雪奈、そこまで言える根拠って…?」

 

雪奈「まあね。色々喜多川君と話したり、行動をしてた時にわかったの」

 

蓮「わかった事って?」

 

雪奈は、佑介がとある絵に関してこんな絵だと酷評したこと。師匠の絵を弟子が酷評するのか。その絵に不機嫌な表情を見せたこと。

 

竜司、杏がいることを踏まえ結社の執行者、カンパネルラから貰った情報は伏せた。

 

雪奈は佑介と分かれた後、カンパネルラと斑目の個展博で会ったのだ。

 

カンパネルラ「久しぶりだね、雪奈。リベールの作戦以来だね」

 

雪奈「か、カンパネルラ、なんでこんな場所に?」

 

カンパネルラ「グランドマスターにクロスベルに行くように言われてさ。ちょっと小旅行気分で日本に来たのさ」

 

雪奈「小旅行…日本に?貴方が用も無しにそのエリアには行かないでしょうに」

 

カンパネルラ「まあ…クロスベルの件と両立がどうとかグランドマスターは言ってたかな」

 

雪奈「……クロスベルの件と両立…。まさかあの件と両立で……」

 

カンパネルラ「ご明察。その時には、雪奈とその仲間のみんなには、手伝ってもらうらしいよ」

 

雪奈「わかってるわ。その時は執行者として任務を全うするだけ」

 

カンパネルラ「まあ、それにしても怪盗団ウロボロスね…。結社の名前を怪盗団の名前にするなんてね。グランドマスターは、喜んでいたみたいだけど」

 

雪奈「私は、ウロボロスに誇りを持ってるわ。グランドマスターの為なら…」

 

カンパネルラ「はいはい、雪奈の覚悟は僕も知ってるから。雪奈、今、斑目を調べてるんでしょ?」

 

雪奈「カンパネルラ、何故それを?」

 

カンパネルラ「雪奈が斑目の弟子と話していたし、あのお仲間の子達も斑目の事を調べてたからね。それでピンってきたのさ」

 

雪奈「……カンパネルラ…貴方、斑目の何か情報を知っているの?」

 

カンパネルラ「まあ~ね。雪奈に話すくらいなら良いかな。あの斑目とか言う画家、とんでもない詐欺師だよ。自分自身では何も描いてはいない。弟子の作品を盗作して成り上がったようなものだからね」

 

雪奈「やはり……」

 

カンパネルラ「雪奈は勘づいたかも知れないけど、あの最後の弟子の作品も盗作してるよ」

 

雪奈はあの時に見せた佑介の表情がどうしても忘れられないのだ。あの憎しみというか悲しみとも言える表情を。

 

カンパネルラ「雪奈、気を付けることだね。色んな連中が斑目を狙っているようだからね。結社の立場は雪奈達に任せてるから」

 

そんな話をちょっと前にしていたのだ。その事を思い出していると杏が

 

杏「ねえ、雪奈、あのときのシャドウにも聞いてみようよ?あ、現実の本人に聞いけば…」

 

竜司「どんな風に聞くんだよ?メメントスの事から説明すんのか?」

 

モルガナ「それに現実で表立って動いたらマダラメ本人にバレる可能性もあるぜ」

 

杏「そっか、そうだよね」

 

雪奈「現実では表立つ必要はないからね。蓮は、斑目先生の事をどう思う?」

 

蓮「今までの論理からすれば、限りなく黒に近いな」

 

竜司「だろ。偶然にしては出来すぎている。こいつがクロなら、待ってましたの【大物】だろ?」

 

杏「まあ、そうだけど…ね」

 

竜司「そういや雪奈、モデルの話はどうなってんだ?」

 

雪奈「モデルの話…まあ喜多川君から連絡はもらってるかな。あと斑目先生のアトリエの住所とかね」

 

座り込んでいた竜司がニヤニヤとした表情で立ち上がり

 

竜司「住み込みっつって言ってたな。ちょうどいい。明日、行ってみようぜ。放課後、斑目ん家に行くぞ!」

 

雪奈「ち、ちょっとモデルまさか明日?急に言われても…」

 

杏「明日とか急すぎない?」

 

竜司「はぁ?喜多川に話を聞きに行くんだよ」

 

雪奈「なんだ、話を聞きに行くだけね」

 

雪奈はちょっと胸を撫で下ろした。いきなり明日モデルをと言われても対応しきれないのだ。

 

明日の放課後、雪奈達は佑介に話を聞きに斑目邸を訪れることになった。

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