まだユフィ達、他のみんながまだ寝静まってる頃から起き始める人物がいた。
マイン・サルナード。
ユフィ達の水泳部の先輩で部の副部長である。
クラスは、2ー4組。平民のクラスである。彼女は男女共に人気があり、一部の人間達には、アンゼリカと双璧だとも言われている。彼女はそんなことは気にしてはいない。
第2学生寮(4階建て)の部屋(1階と2階は、今年度は1年生の男女)の一室、405号室がマイン・サルナードに割り与えた部屋である。
そんな彼女の部屋は、身体作りの器具や健康器具なんかもある。
彼女は、下着姿でいる。これは彼女が昔からしていた習慣である。本当は真っ裸でやりたかったが、実家の両親からせめて下着ぐらいは身につけてくれと言われてから、下着姿でいるようにした。
マイン「今日も水泳部に行く前に、いつもの日課をやっておきましょう」
タンスから体操服を取り出す。上着と緑のブルマを取り出した。
上着を着て、ブルマを穿く。
マインは姿見の鏡でハミパンが無いか確かめる。
マインでもハミパンは、恥ずかしいのだ。水着の食い込みは気にしないのだが、ハミパンは恥ずかしい。そんなマインであった。
マイン「さてと、今日は後輩達も初めての自由行動日だし、先輩としてちゃんとしないとね」
マインは、405号室から出て、第2学生寮から出る。トリスタの街の外、東トリスタ街道へ出る。
まだ陽が登らぬ東の空を正面にマインは、ケルディックに向けて走る。
軍人はまず基礎体力作りからだと父親に教えられている。その父親も生粋の帝国軍人であった。
マインもそんな父親を見て育ったので、帝国軍人に道に進むこと決めていた。だが父親は、帝国軍人に娘をしたくはなかった。
軍人とは、どんなに奇麗事を言っても人殺しをするのに変わらない。それが守るための戦いであっても。そんな役目は、父親が全て受けるという意気込みがあったのだ。
父親の名前は、カイン・サルナード。帝国軍第3機甲師団所属、隻眼のゼクスの副官だったのだ。第3機甲師団にカインありと言われたゼクスの片腕だった。
何故過去形なのかと言うと、カインは、帝国の第2次東方戦役(七耀暦1203年・7月)にて大亜の地にて戦死してしまったのだ。
帝国軍第3機甲師団は、東方遠征軍として大亜に派遣されたのだ。大亜国内では、ゼクスの本隊とカイン分隊に分かれて戦っていたのだ。
そんな中、大亜軍が自国民を虐殺してる現場に遭遇したカイン大隊は、民間人を守るために戦った。
そして、民間人の子供を庇って命を落としてしまう。
マインが知ったのは、トールズ士官学院で授業を受けてる時だった。
カインは、マインのトールズ士官学院行きは渋々認めたのだ。トールズは、卒業後も軍人になる以外の職業に付いた卒業生も沢山いる。それで認めたのだ。マインも軍人じゃない道も模索して入学した。
だが東方戦役にて、父親のカインの戦死は、マインの中で何かが弾けた。それはずっと心に封じていた父親と同じ軍人になることの想いが溢れてきた。
細々と執り行われたカインの葬儀の後、母親のリリアは、マインに対して
リリア「マイン、貴女の好きにやりなさい。そのかわり後悔するような決断だけはしないこと、良いわね?」
マイン「ありがとう、お母さん。私は帝国軍人になるわ。お父さんと同じ道を歩むことにする」
母親のリリアは少しの沈黙の後
リリア「ふふっ、あの人の血を引いてるものね。マイン、頑張って帝国軍人になりなさい。あの人を唸らせるような軍人に」
マイン「うん、約束するよお母さん!」
マインは、カインの墓前と母親リリアに立派な帝国軍人になることを決意したのだった。
そして今に至る。
トリスタとケルディックの中間地点から再びトリスタへ向けて走る。
マインは、まだ何もかも発展途上に過ぎない。まだ父親のカインの足元にすら追い付いていない。だけど一度足りとも諦めたつもりはない。
ちゃんと親友でライバルでもある水泳部部長のクラインやラクロス部のテレジアとエミリー、後輩のラウラやユフィもいる。
みんなと競って高めれば、自ずと道は見えてくると思って頑張っているのだ。
東トリスタ街道をトリスタまで走り抜けたマインは、第2学生寮へ戻る。
ようやく東の空から太陽が登り始め、トリスタの街に光を差しこみ始めていた。第2学生寮の平民生徒達が徐々に起き始めている。そんな中、マインはシャワーを浴びて、自室で水泳部副部長としての準備をしていた。もちろん下着姿である。
マイン「水泳部の準備は、こんなものでしょうね」
プールの使用許可書を教頭に出さないといけない。マインはちょっと苦笑いをしながら
マイン「教頭に出さないといけないんだよね」
学院長は良って言われているが、しかし教頭は、平民生徒を馬鹿にしてるんじゃないのかと思われているが、マインは別にそうではないと思っている。
教頭は、口は悪いが生徒達をちゃんと考えてるのだ。
準備を終えたマインは、今は亡きカインの写真を見て
マイン「お父さん、行ってきます。必ず私は立派な軍人になって見せるわ。だから見守っていてね」
そう言うと彼女は、自室から出ていった。
2年生になり最初の自由行動日。悔いのないように過ごして行こうと思って。
ーー1204・4・18ー朝ー第3学生寮ー306号室ーユフィの部屋ー
ユフィはいつもよりも早く起きて、鍛練を済ませて、お風呂で汗を落としから、自分の部屋で支度をしている。
トワ生徒会長の仕事を手伝うのだから、ミスなんかは許されないと意気込む、ユフィ。トワ会長なら許してくれそうだが、甘えてはならない。これからは、厳しい時代にもなりそうだし、そんなことでは生き残れないだろうと、決意を新たにした。
ユフィは自分の得物である太刀を見ながらそう思った。
机に置かれている水泳部の入部届けの紙を見ている。そこにはちゃんと自分の名前は書いている。見落としはないようだ。ユフィは、それと学院指定の水着を取り出さないといけないことに気づく。水着は、確かクローゼットにしまいこんでいた。
クローゼットの中から、学院指定の水着を取り出して、改めて見てみる。普通に学校指定のスクール水着である。別にエロエロのスクール水着ではない。
ユフィ「確か、水着を入れる袋がありましたよね?」
ユフィは水着を入れる袋に水着を入れて、身体を拭くバスタオルも袋に入れ、変えの下着類も入れ、入部届けも懐に入れた。
準備も万端にしてから、最後の身だしなみを確認してから
ユフィ「さてと、行きましょうか」
ユフィは、自分の部屋を出て、1階へ向かうことにした。
確かトワ生徒会長は、依頼書はポストに入れるって言ってた。ユフィはポストの方へ行くと、そこには達也が先に来ていた。達也が早く来ていることは、予想の範囲内だ。彼は時間を指定されたりすると約束の時間より絶対早く来る。
その事がこの2週間でわかった事だ。ユフィは達也に挨拶をする。
ユフィ「お待たせしましたわ、達也さん」
達也「ユフィ、おはよう。俺も今さっき来て、ポストに入っていた依頼書を見てるだけだ。これが依頼書のようだ」
ユフィは達也から封筒の中身を受け取り、依頼が書かれた依頼書を見た。そこにはこう書かれていた。
【・旧校舎地下の調査《必至》】
【・導力器の配達《必至》】
【・落とした生徒手帳】
【学院の裏手にある《旧校舎》の地下での不思議な現象が起こってるらしい。そこで腕のたつ生徒に調査を頼みたい、詳しくは学園長室まで聞きにきてくれたまえ。(ヴァンダイク学院長)】
【技術部の方で修理した各種導力器製品をそれぞれの持ち主配達してほしい。(2ーⅢ組・ジョルジュ)】
【学生手帳をどこかに落としてしまい、いまだに見つからない状況です。どうか捜索に協力してもらえませんか?先に学生会館の1階を探しているので時間があれば話を聞きに来て下さい。(1ーⅣ組・コレット)】
ユフィは、ふと止まる。まるで遊撃士がこなす依頼ではないかと、彼女は思った。トワ生徒会長達、遊撃士の仕事みたいのをやってたのかと感心してしまった。
ユフィ「なるほど……学院長や技術部や新入生からの依頼ですね。ふむふむなるほど……なんだかが燃えてきましたわ!」
ユフィはやる気十分になり、達也からその事で聞かれる。
達也「ずいぶんと張り切ってるな」
ユフィ「そうだね。わたくし遊撃士のお友達がいて…その人達がカッコいいって思ったんです」
ユフィの脳裏には、オリヴァルト、エステル、ヨシュアやアガット、クローゼ達と冒険していたリベールの思い出が浮かんでいた。彼らのようになりたいとも思ったこともある。リベールの思い出に浸っていた時に、達也の声で現実に引き戻される。
達也「ユフィには、遊撃士の知り合いがいるのか?」
ユフィ「ええ、その方々は、わたくしに勇気を与えてくれたのです。前に進めなかったわたくしの背中を押してくださった…最高の友達ですわ」
達也「そうか、最高の友達か…」
ユフィ「達也さんには、そんな方々のはいらっしゃいませんの?」
達也「俺に?……うーむ…。リィンやアリサか…郷のみんなかな」
ユフィは、アリサが入ってることにちょっと羨ましかったりする。アリサの仕草や言動からみて、達也が好きなのはわかっている。そして達也から聞いた今の言葉で確信に変わる。
達也とアリサは、両思いなのだと。達也は照れ隠しに
達也「コホン、そうだ…ユフィには、コレットさんの依頼をやってほしいんだが?」
ユフィ「え!?まあ構わないですが?」
達也「まぁ簡単に言ってしまえば、学院長の依頼は2人で行くとして、コレットさんからの依頼と技術部の配達、コレットさんの依頼は同じ女子が行く方が安心できると思うのだが?それに技術部のジョルジュ先輩は、俺の知り合いだし受けるのは当然だろう」
ユフィ「わかりましたわ、達也さん。女の子の依頼はやはり女がやらなくてはという理由は無いですが、技術部の先輩が達也さんの御知り合いならそれも仕方がないですわ」
達也「済まないな、ユフィ」
ユフィ「別に構いませんわ。遊撃士のお仕事に憧れを持ってたのは事実ですし」
遊撃士は、支える籠手の紋章を旗印に民間人の保護するのを誇りに思っている人達ばかりだとユフィは思ってるし、誇りに思っている。
エステル達は、ユフィをユフィと認めてくれて、ユフィを誇りだと思ってくれるのだから、彼女もエステル達を誇りだと思っている。
達也「とにかくよろしくな、ユフィ」
ユフィ「こちらこそ、よろしくお願いしますわ、達也さん」
ユフィと達也は固く握手を交わした。
達也「コレットさんは、学生会館の1階にいるようだ。頑張ってくれ、ユフィ」
ユフィ「ええ、達也さんもがんばって下さい」
達也「それと、ユフィは水泳部に入部したんだろ?」
ユフィ「ええ、どうしてそれを?」
達也「朝一にサラ教官から聞いたんだ。言っておくが、俺から聞いたのではない。サラ教官がペラペラと話しただけだ」
ユフィ「アハハ、わかってますよ」
達也「それでは始めようか」
ユフィ「はい」
ユフィと達也は、第3学生寮からそれぞれの依頼者の下へ進行方向を向ける。達也は技術部がある技術棟へ、ユフィはコレットが待つ学生会館に向かって歩き出した。
第3学生寮から、学生会館へ目指す途中のトリスタの街にあるライノの花がほとんど散り、緑色の匂いが漂う季節になってきた。
トールズ士官学院の1年生にとっては、初めての自由行動日である。部活動にせいを出すもよし、勉強にせいを出すのもよし、遊ぶのもよし、なんでもできるのが、トールズ士官学院である。だが無計画な事をすれば、身を破滅してまうだろう。
まあそんなアホみたいな事をする生徒はいない。
ユフィがトールズ士官学院の方を歩いて行ってると、シスターロジーヌが礼拝堂前を掃除していた。
ユフィ「ロジーヌさん、おはようございます」
ロジーヌ「ユフィさん、おはようございます。今日から自由行動日ですね。何か部活に入られたのですか?」
ユフィ「水泳部に入ったのですが、生徒会のお仕事も…」
ロジーヌ「えっ!?ユフィさん生徒会のお仕事もされるのですか!?」
ユフィ「はい、まあなんと言いますか…成り行きの部分もありますけど、わたくし1人ではなく、達也さんも手伝ってらっしゃるので」
ロジーヌ「達也さんもですか…。そんなお二人共にエイドスの御加護がありますように」
ユフィ「ロジーヌさん、ありがとうございます」
ユフィはロジーヌに一礼した後、トールズ士官学院の方へ歩いていく。
トールズ士官学院の方から結構な声が聞こえてくる。トールズ士官学院の部活動は大変盛んに行われてるのがわかる。
ユフィ「わたくしも楽しみですわ」
ユフィはそう言ってトールズ士官学院の方へ歩いていった。
まずは、依頼をする前に、水着等が入っている袋をギムナジウム内の女子更衣室に置いてくることにしたのだ。袋を持って依頼をこなすには邪魔になるからだ。
女子更衣室に入ると、マイン副部長がいて着替え中だった。
マイン「あらっ?ユフィさんは、生徒会にお仕事を済ませてからじゃなかったかしら?」
ユフィ「はい。水着の入った袋を更衣室のロッカーに預けに来たんです。それと入部届けを書いて持って来ましたわ」
ユフィは、水着の袋の中に入れていた入部届けの紙をマインに渡す。
マイン「確かに受け取りました。後でクライン君に渡しておくわ」
ユフィ「お願いしますわ」
マイン「ユフィさんのロッカーは、壁側のロッカーの列の3番目ね。2番目はラウラさんだから」
ユフィ「わかりましたわ」
ユフィは壁側の3番目のロッカーの扉を開けて、水着等の入った袋を置く。
そして出ようとしたユフィだったが、マインの2つの膨らみを見て驚いてしまう。
マスクメロンが2つ…
そうユフィは頭の中で思い付いた。それに競泳水着が何だか食い込んでるようにも思えたが、マインはユフィに挨拶してそのまま出ていった。
ユフィ「マイン先輩…大胆な方ですわ…」
ユフィも感心しながら女子更衣室から出てギムナジウムから出た。
ギムナジウムからコレットが待つ学生会館に向かって歩き出した。ギムナジウムに来た頃は、まだ空気がひんやりと冷たかったが、陽に温められてポカポカ陽気な感じになっている。ユフィは、こんな時に野原で寝転んだら気持ち良さそうと考えていた。
そんなことを考えながら、学生会館の1階にやって来た。この1階にいるコレットを探しだした。何かを探してるような女子生徒が1人いたからすぐにわかった。
ユフィ「貴女が1年Ⅳ組のコレットさんでしょうか?生徒会に依頼を出されていませんでした?」
コレット「え~とそうだけど…あなたってⅦ組の人だよね?もしかして生徒会に入ったの?」
ユフィ「い、いえ、わたくしは、生徒会には入っていませんわ。ただお友達が、生徒会のお手伝いをやってらっしゃいますからお手伝いをやらせてもらってるだけです」
コレット「へぇ…そうなんだ~同じ1年なのに…やはり特科クラスの人達てやっぱりすごいんだね」
自分はそんなに凄くないと、ユフィは思っている。凄いと言われたら達也やマキアス達だと思っている。ユフィは、別に謙遜して言ってるわけではない。
ユフィ「そんなにわたくしは凄くないですわ。確かに凄い人もいらっしゃいます。それよりも、コレットさんは学生手帳をさがしているんですよね?」
コレットの話だと朝から心当たりがあるところを探していたようだ。けど未だに見つからないようだ。
コレット「今すぐ依頼を受けてくれると嬉しいけど…都合の方はいいかな?えーとユフィさんだっけ?」
うん?ユフィは疑問に思った。…コレットに、自己紹介をしたのか?いや名乗っていない、なのにどうしてと?
コレット「別に驚かなくてもいいよ。特科クラスの人達みんな注目されてて…有名だから…名前を知っててもおかしくないかな…ハハハ」
自分達Ⅶ組はやはり注目されてる。士官学院の中でも異質の存在である特科クラスⅦ組。
達也、リィンみたいな田舎から出てきた人間や、ユーシスやラウラやアンジェリナのような貴族もいる。マキアス達みたいに都会の平民も一緒にいること自体が、周りから見れば異質に見えるのかもしれない。
ユフィ「ハハハ…わたくし達有名なんですね…。えっと今からわたくしも学生手帳の捜索に協力いたしますわ」
コレット「ありがとう…ユフィさん」
ユフィ「ユフィで構いませんわ」
コレット「じゃあ、私もコレットでいいよ」
ユフィ「わかりましたわ、コレット」
コレット「改めてよろしくね。ユフィ」
そしてコレットが言うには、昨日の放課後に図書館で本を借りようとして、その時に初めて気付いていたようだ。図書館で本を借りる為には、学生手帳が必要になるからだ。無いと本は借りれない。
コレットが最後に学生手帳を確認したのは、放課後が始まったときで、彼女の教室ってことだから、友達としゃべってた時に学生手帳に軽くメモをとったようだ。だからコレットは、覚えてると言った。では図書館までに、立ち寄った場所とかに落としたという可能性が出てくる。
コレット「でも学生会館や本校舎と図書館にしか行ってないしな…」
ユフィ「それならかなり絞れますわね。じゃあ手分けして探してみましょうか」
コレット「と言うのも実は、今朝のうちに図書館は探したんだ。野外の方も用務員さんに聞いてたからね。そしたら学生手帳なんかは落ちていないと言われたの」
ユフィ「だったら…尚更ですわね。本校舎の方は各教室も当たって見るべきでしょうか?」
コレット「ううん…自分達の教室は既に昨日の内に調べたし他の教室には入っていないから」
ユフィは、コレットから廊下は休憩スペースを重点的に探してほしいと頼まれた。
早速、本校舎2階の休憩スペースに行く事にした。