【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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緋里雪奈編14話です。


14ー14ー5・16ー斑目邸へ。

雪奈side

 

ーー1204・5・16・午前中・雪奈達の教室。

 

昨日からの出来事で疲れている雪奈。佑介のモデルを今日やることを決められてしまったから、昨日の夜からソワソワしていた。

 

蓮やモルガナから万が一の時は、佑介をぶちのめす事を買って出てくれたのだ。だがそんなことにはしたくないのも事実である。

 

全ては斑目の事を調べるの事が目的なのだから私情は捨て去るべきなのに、今までやれてきたことが、蓮達と出会って出来なくなっている。そんなモヤモヤした気持ちで学校に来ている雪奈であった。

 

 

そんな中、午前中にカウンセリングの授業が始まっていた。先生はもちろんカウンセリングの丸喜である。クラスメイトの主に女子達が、真剣な眼差しで見つめている。

 

丸喜「こんにちは。スクールカウンセラーの丸喜です。カウンセリング以外でも、時々こうしてお話をさせてもらえるようになりました。話すのは心や精神が個人に与える影響について、なんだけど…あまり肩肘張らずに、気楽に聞いてもらえると嬉しいな。さっそくだけど、みんなは【心】についてどれくらい知っているからな。心って言うのは、身体に大きな影響を与えるものでね。やり方次第では、思い込みで病気も治せるっていうのも実証もあるんだ」

 

確かに病は気からと言われている。思い込みで強くなるような人間もいるのだから。

 

丸喜「じゃあ、雨宮君」

 

丸喜は、蓮を指名してきた。

 

丸喜「心の思い込みが身体に良い影響を及ぼすこの現象。なんて言うか知ってるかな?」

 

蓮「フラシーボ効果です」

 

丸喜「その通り、正解だよ。これは偽薬効果とも言ってね。たとえ実際は効果のない薬でも、本人の気持ち次第で治療薬として効果を発揮するんだ。逆に悪影響だと思い込んで服用すれば、本当にそうなってしまうこともある。これはノーシーボ効果と呼ばれるんだ」

 

蓮が正解を答えたため、クラス内の評価が高まった。

 

丸喜「今のは一例だけど、みんなの思う以上に、僕達の心を体は繋がってる。だから無理をせず心を休めてあげることも大切なんだよ。そしてその手助けを、僕にもさせてほしい。何かあったいつでも保健室においで」

 

こうして、丸喜のカウンセリングの授業は進んでいった。

 

 

 

 

雪奈side

 

ーー1204・5・16・夕方・放課後

 

秀尽学園→あばら家(斑目のアトリエ)

 

学校が終わり、放課後の時間になると雪奈、蓮、モルガナ、竜司、杏の4人と一匹は、導力列車に乗って斑目のあばら家がある場所に向かっている。放課後だけあって、列車内は混み合っている。それでも何とか席を確保した雪奈達。

 

竜司「怪盗が列車に乗って移動とは…」

 

杏「導力列車が一番早いでしょ!ペット乗せても大丈夫だし」

 

モルガナ「おいこら!誰がペットやねん」

 

雪奈「モルガナ、あまり暴れないで」

 

モルガナ「雪奈、しかしだな」

 

雪奈はモルガナをヨシヨシと撫でた。それで気分を良くしたのかおとなしくなる。

 

雪奈「モデルなら、私よりも杏がいいと思うのだけどね」

 

杏「私?喜多川君は私よりも雪奈を選んだんだよ。画家には私達凡人にわからないセンスがあるんだと思う」

 

雪奈「そうかしらね」

 

竜司「俺が喜多川の立場なら、間違いなく雪奈をモデルに選ぶな。杏にない色気ってのが雪奈にはあるし」

 

杏「色気が無くてわるーござんしたね!」

 

蓮「竜司、杏、列車内だから静かにしよう」

 

蓮に言われて、大人しくなった2人。そんな感じで、渋谷駅からセントラル街の中を通って斑目邸を歩いていくことに。

 

 

セントラル街の先には、先の大戦の傷痕が残っているエリアに出てきた。そしてあばら家の斑目邸はすぐに目立つた。周りがコンクリートの建物や洋式の住宅街が広がっている。逆に斑目邸が目立つ形になっている。

 

竜司「もしかして、アレ?」

 

雪奈「住所も合っているけど?表札は、ちゃんと【斑目】になってるし」

 

竜司「チャイム押してみろよ」

 

雪奈「私が?」

 

モルガナ「タライが落ちてくるかもしれない」

 

雪奈「モルガナ、ふざけないでくれる?」

 

雪奈達は、斑目邸の玄関にあるインターホンを雪奈が押す。するとインターホン越しに佑介の声がする。

 

佑介「どちら様でしょうか?先生は今は不在ですが」

 

雪奈「私です、緋里雪奈です」

 

佑介「ひ、緋里さん、いますぐ行きます!」

 

竜司「ひと、住めるんだ、ここ」

 

建物の中から走ってくる足音が聞こえてくる。そして引き戸が開かれる。

 

佑介「緋里さん…ってお前らもか…」

 

竜司「悪いけど、モデルの話じゃねぇんだ。訊きてえ事があってよ。斑目が盗作してるってマジ?虐待もなんだろ?」

 

佑介「正気か?」

 

竜司「導力ネットに出てんだよ!」

 

竜司がスマホを佑介に見せる。

 

佑介「これ…?」

 

佑介は、いきなり笑い出したあと

 

佑介「くだらない!盗作もあり得ないが…虐待だと?虐待するほど子供が嫌いなら、住み込みの弟子なんか取るものか!それに今は、住み込みの門下生は俺1人。俺が無いと言うんだから、疑う余地はない」

 

竜司「お前が嘘ついてっかも知れねえだろ!」

 

佑介「そ、それは…下らない…。身寄りのない俺を引き取ってここまで育ててくれたのは先生だ!!恩人をこれ以上愚弄する気なら許さん!」

 

雪奈「喜多川君、本当にそうなのかしら?」

 

すると奥から斑目が出てきた。

 

斑目「佑介?どうしたんだ?そんなに大声出して」

 

佑介「こいつらが、根も歯もない先生の噂を!」

 

斑目「許してやりなさい。悪い噂を耳にして、彼女の事を心配して来たんだろう」

 

佑介「はい……」

 

斑目「まあ、この偏屈な年寄りが、万人に好かれているとは自分でも思わんさ」

 

雪奈「……」

 

斑目「横からでしゃばって、すまなかったね。げど、ご近所の手前もある。ほどほどに頼めるかね?それじゃあ、失礼」

 

斑目はそれだけ言うと、この場から去っていく。

 

佑介「……非礼だったな、すまん」

 

蓮「いや、俺達の方こそすまなかった」

 

佑介「……そうだ、あの絵を見れば、先生を信じてもらえるかもしれない。先生の処女作であり代表作である【サユリ】だ」

 

雪奈「サユリ…」

 

佑介「俺が画家を志す、きっかけをくれた絵なんだ」

 

雪奈「キレイわね」

 

杏「キレイ…」

 

竜司「ゲージツわかんねえけど、これがすげえのはわかる」

 

蓮「そうだな」

 

佑介「緋里さんを初めて見たとき、この絵と同じ感動があった」

 

雪奈「私が?」

 

佑介「俺はこんな【美】を追求したい。君を描くことも、その一環だと思ってる。どうかモデルの話し…宜しく頼む。せっかく訪ねてもらったんだが、今日はこれから先生の手伝いなんだ。また日を改めて…それじゃあ」

 

そう言って佑介は、玄関の中に入って行った。雪奈達は玄関から離れた位置に

 

竜司「なんか、いいヤツじゃね、2人とも…」

 

杏「メメントスで聞いた【マダラメ】は別人なのかもね」

 

雪奈「……」

 

竜司「せっかく、【大物】見つけたと思ったのによ…」

 

モルガナ「イセカイナビは?あれはどうなっている?」

 

蓮「イセカイナビ…これは」

 

竜司「おい、これ」

 

杏「さっきの会話を拾ったの?」

 

蓮「そうみたいだな」

 

雪奈「あの…斑目にもやはりパレスがある」

 

杏「あの斑目先生にパレスが?何で?」

 

モルガナ「【マダラメ】、【盗作】に【あばら家】か…これがキーワードみたいだな」

 

斑目一流斎のキーワードが、一気に埋まる。

 

竜司「つかこれ、マジで何なんだ!?本当にあのじいさんにもパレスがあんのか!?」

 

モルガナ「入るには、最低限【本人の名前】と【場所】が分かれば良いんだったな?」

 

雪奈「ええ、そうね」

 

モルガナ「あとはマダラメがあばら家を何と勘違いしているかだ」

 

杏「それ、鴨志田の【学校】が【城】的な?」

 

モルガナ「そういうこと。当てずっぽうでもいいから、言っていこうぜ」

 

モルガナがあばら家が何と勘違いしているか言っていこうと言った。だが急に思い付くものでもない。

 

竜司「急にいわれてもよ…」

 

杏「取り敢えず【城】とか?」

 

アナウンス「候補が見つかりません」

 

竜司「じゃあ、【牢獄】は?」

 

アナウンス「候補が見つかりません」

 

竜司「ああっ、めんどくせぇ!【刑務所】、【倉庫】、それと【教育指導室】!ついでに【牧場】!」

 

アナウンス「候補が見つかりません」

 

竜司「か、かすりもしねえ」

 

モルガナ「出直すか」

 

杏「画家に関係する建物…か。素直に考えると…何だろ?」

 

雪奈「シンプルに言えば、美術館よね?」

 

アナウンス「ナビゲーターを開始します」

 

竜司「開始って、これって!」

 

雪奈「鴨志田の城の時と同じね」

 

雪奈達は、ナビゲーターによってパレスに案内されることになった。

 

 

 

雪奈side

 

ーー1204・5・16・夜・ルブランの屋根裏

 

斑目一流斎のパレスにて、少しの真相がわかった。斑目は自らの弟子を弟子とも思わず、盗作のためのだけにいかしていたようなものであった。斑目自身に絵の才能は無く、弟子から奪って栄誉を手にしていたに過ぎない虚飾でしかない人物である事がわかった。

 

これを得られただけでも良しとする。この日はこれでパレスから撤収したのだった。

 

雪奈「喜多川君が真実を語らない理由か」

 

蓮「それは、本人に聞くしかないな」

 

雪奈「だよね…」

 

すると怪盗団のグループチャットからメールが届く。

 

杏「恩人だから何でも許せるもんなのかな?なんかよくわからなくなってきた」

 

竜司「どした?急に」

 

杏「喜多川君の話では、斑目、問題なさけじゃない?」

 

雪奈「喜多川君の話ではだけどね」

 

蓮「祐介が本心で言ってる可能性が低いと俺は考えている」

 

杏「……斑目って悪いヤツとわかってるけど」

 

雪奈「鴨志田のように被害をあってるのを見てないからじゃないかな」

 

竜司「まあ、確かにそこは鴨志田の時とは違うよな」

 

杏「極論かもしれないけど、どんな悪いヤツでも誰にも迷惑をかけてないなら…私達が出ていかなくてもよくない?」

 

竜司「迷惑かどうかは祐介が決めることか?…まあそうだよな」

 

竜司「俺だったら絶対に許さねえけどな!」

 

雪奈「私もそんなヤツは許さない。許してはいけないのよ…」

 

蓮「真相を探ろう…」

 

杏「そうだね、悩むのは後でもいいか。雪奈、また明日モデルの話を頼むね」

 

雪奈「わ、わかったわ」

 

そしてグループチャットを終えて蓮と雪奈はくつろぐのあった。

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