雪奈Side
ーー1204・5・22・夕方・16:45・マダラメパレス内
マダラメパレスにて、自分達のやることを終わらせて、待っている蓮(ジョーカー)と竜司(スカル)と杏(パンサー)。そこへ斑目邸から転移してきた雪奈(フィクサー)と祐介とモルガナ(モナ)がやって来た。
フィクサー「一か八かの転移だったけど、なんとかなったわね」
モナ「なんとかなったけどな」
祐介「うん…な、なんだお前らは!」
フィクサー「落ち着いて聞いて!私だよ、喜多川君!」
祐介「緋里さん?じゃあ、お前らは…その着ぐるみには見覚えが無いが…なんだんだここは?」
フィクサー「斑目の心の中ね」
祐介「先生の心の中…?緋里さん、気は確かかい?」
スカル「嘘じゃねえ、これがヤツの本性で本音なんだよ。欲望まみれのカネの亡者ってこった」
祐介「デタラメを言うな!」
フィクサー「喜多川君だって思ったでしょ?斑目が何かおかしいって!」
祐介「そ、それは…」
フィクサー「信じたくないのはわかるわ…でもね、ここは斑目が見ている【もう1つの現実】…斑目の本性なのよ」
祐介「…こんなおぞましい世界が…お前ら一体なんだんだ!」
スカル「腐った悪党を改心させる集団…てとこか」
祐介「確かにお前らの言うことが本当なら、俺の知る先生など、どこにも…」
スカル「目を、覚ませって!」
祐介「だが、それでも10年置いてもらった。恩義だけは…消えない」
スカル「許すってのかよ!?このままじゃお前…!」
祐介「うっ…うう…」
突然祐介が口を押さえてしゃがみ込む。理想と現実が追いついていないのだろう。普通にそうですかと聞くことができたのなら凄いことになる。祐介もそれに当たるのだろう。
モナ「悪いがノンビリとしてられないぜ!すんごい警戒されてるぜ。さっさとズラかるぞ!」
祐介「はぁ、はぁ、はぁ」
祐介が肩で息をしている。それを見た蓮と竜司が肩を貸し雪奈と杏が先行することになり、索敵をモナがやる。
逃げる傍らにとある部屋に入った時、弟子たちの絵があった場所に来て祐介が
祐介「これが…先生の心のなか…だと言うのか、こんな虚栄にまみれた美術館…が」
フィクサー達が逃げる途中に祐介が知る弟子たちの絵を見て辛そうにしている。斑目は自分の弟子たちをモノ扱いにしかしていないのだ。
出口を目前にした時、マダラメ達が待ち伏せをしていた。
マダラメ「フハハハ!」
フィクサー「マダラメイチリュウサイ、なるほど成り上がりの殿様ってとこかしら
スカル「ふざけたカッコウしやがって、王様の次は殿様かよっ!」
マダラメ「ようこそ斑目画伯の美術館へ…」
祐介「えっ?先生なのですか?そのすがた…」
杏「サイテ!」
祐介「嘘ですよね?」
マダラメ「あんなみすぼらしい格好は【演出】だ。有名になってもあばら屋くらし?別邸があるのだよ、【教団名義】いや今はオンナ名義だがな」
フィクサー「教団?まさかD∴G教団の事かしら?」
マダラメ「そうだ。まあ、席を、置いていたに過ぎないがな。使えない弟子たちを教団に売りつけてもいたが、ある時教団が壊滅してしまった」
フィクサー「各勢力が各地の教団を潰しにきたとある作戦があって、そして壊滅…」
祐介「教団、いったい、先生、何故盗まれたはずのサユリが保管庫に?本物があるのに、何故たくさんの模写を!?聞かせてくれ、あなたが先生というのなら…」
マダラメ「まだ気づかんのか?青二才め!【盗まれた】など、私が流したデマだ!全部計算つくされた【演出】なのだよ!」
祐介「ど、どういうことだ?」
マダラメ「たとえば、こんなのはどうだ?本物は見つかったが、公にはできない事情がある。特別価格で譲りたい。ハハ、どうだ、この【特別感】!俗人どもは、大枚はたいて食いついてくる!」
祐介「そ、そんな…」
マダラメ「絵の価値など所詮は【思い込み】…ならばこれも正当な【経済行為】だ!まあ、ガキには想像できんだろうがな」
スカル「さっきから、ミラ、ミラ、ミラ、どうりでこんな気持ちのワリぃ、美術館ができるわけだぜ!」
パンサー「あんた、芸術家なんでしょ!?盗作とか恥ずかしくないわけ?」
フィクサー「彼に言っても無駄よ。法国の僧兵達に下道認定されかねない行為をペラペラと喋ったしね」
ジョーカー「そうだな」
マダラメ「法国がどうした?芸術など、道具に過ぎぬわ!ミラと名声のためのな!お前にも稼がせてもらったぞ、祐介」
スカル「ムカつくけどよ、あれがお前の師匠だ」
祐介「なら、貴方の才能を信じている者は…天才画家と信じてきた人達は…」
マダラメ「これだけは言っといてやる、祐介。この世界でやっていきたいのなら、私に逆らわないことだ。私に異を挟まれて出世できるとでも思うか?フハハハ!」
祐介「こんな、こんなヤツの…世話になっていたとは…」
マダラメ「ただの善意で引き取ったとでも思っておったのか?有能な弟子を集め、着想を吸い上げれば、才能あるめざわりな新芽も摘み取れる。着想を頂くなら、大人よりも、言い訳せん子供の将来を奪った方が楽だ」
祐介「なんてことを!」
マダラメ「家畜は毛皮も肉も剥ぎ取って殺すだろうが。同じことだ、馬鹿者が!喋り疲れたわ、そろそろ」
祐介「ゆるせん…」
マダラメ「うん?」
祐介「許すものか、お前が誰であろうと!」
マダラメ「長年飼ってやったのに、結局は仇で返すか…クソガキめ!者共!賊を始末しろ!」
パンサー「下がってて!」
祐介「面白い…」
フィクサー「喜多川君、貴方…まさか!」
祐介「ふふっ、事実は小説より奇なり…か。そんなはずはないと、長い間、俺は、自分の瞳を曇らせてきた!人の真贋すら見抜けぬ節穴とは…まさに俺の眼だったか!」
すると祐介の頭の中に声が響く。
【ようやく目が覚めたかい?】
【真実から目を背けるキサマこそが、なにより無様なまがい物。たった今、決別するのだな!】
【いざや契約、ここに結ばん。我は汝、汝は我…人世の美醜の誠のいろは。今度はキサマが教えてやるがいい!】
祐介は、ペルソナ【ゴエモン】を呼び出した。
祐介「絶景かな、まがい物とて、こうも並べば壮観至極…悪の花は栄えども、醜悪、俗悪は滅びる定め…!」
祐介は、氷の冷気でシャドウ達を一撃で倒す。
フィクサー「喜多川君のペルソナ、凄いわね…」
マダラメ「ふっ、いきがりおって!何も知らずに死んでいくがいい!出合え、出合え!」
マダラメが再びシャドウの大群を呼び寄せた。祐介は弟子たちの無念を晴らすために拳と今までの鬱憤をぶちまけた。
フィクサー達とマダラメのシャドウ達の戦いが始まる。
雪奈side
ーー1204・5・22・夕方・17:00・マダラメパレス内
フィクサー達とマダラメのシャドウが戦っている。祐介の気迫にてマダラメのシャドウは次々に片付けられていた。
フィクサー「キューコ!」
ジョーカー「アルセーヌ!」
パンサー「カルメン!」
スカル「キャプテンキッド!」
モナ「ゾロ!」
祐介「ゴエモン!」
あっという間にマダラメの呼び出したシャドウ達は倒されてしまった。しかし覚醒、目覚めたばかりだから力が入り過ぎて、体力消耗してしまう。
マダラメ「祐介、お前はな輝かしい未来をドブに捨てたんだ!キサマの絵描きえの道、あらゆる手段を浸かって刈り取ってくれる!」
祐介「斑目!!」
マダラメ「私に歯向かったことを、一生かけて悔いるがいい」
マダラメはそう言ってこのエリアから出ていく。祐介もそのあとを追おうとしたが、体力消耗で上手く動けなかった。フィクサー達は撤退を決めマダラメパレスから出ることしたのだった。
逃げる途中で走りながら
フィクサー「喜多川君、本当はずっと前から気づいていたんでしょ?」
祐介「俺は、そんなに朴念仁じゃないさ。ずっと前から妙な連中が出入りしてたし、盗作も日常茶番事だった。けど、そんなの、認めたくないじゃないか。世話になった人が、そんな…」
パンサー「どうして喜多川君は、斑目のところから出て行かなかったの?」
祐介「サユリを描いた人だし、それに、特別な恩義もある」
スカル「育ててもらったからか?」
祐介「俺には父がいない。母親が1人で育ててくれたらしいが、その母も俺が3つの時に事故で死んだ。その時俺は、先生に拾われたんだ。母も生前、先生の世話になっていったらしい」
パンサー「らしい?」
祐介「母の事も正直あまり覚えていない。だから先生を親と思って尽くしてきたつもりだったが、先生は変わってしまった。自分の原点である【サユリ】までも、あんなふうに…」
スカル「色々、あったんだな」
フィクサー「………」
祐介「おまえ達が盗作だの言ってきた時、内心じゃ気づいていたんだ。だからこそ拒んでしまった。俺は、逃げてたんだ。すまない」
フィクサー「喜多川君の気持ち、わかるわ」
祐介「自分を誤魔化してきたことと向き合う、きっかけをくれて、感謝している」
スカル「真面目すぎんだよ、お前。そんなんだから行き詰まるんだよ。俺なんかもっとテキトーだぜ?」
パンサー「ホントにそう!」
ジョーカー「だな」
モナ「これからどうするんだ?」
祐介「わからない」
スカル「斑目が変わっちまったもんは、もうしょうがねえ。けどよ、俺達なら、心を変えられるんだ。野郎の罪を、野郎自身に償わすことができる」
祐介「そう言えば、【改心】がどうとか言っていたな」
スカル「聞いたことねえか?【心をを盗む怪盗団の噂】…」
祐介「……!?ま、まさか!?」
祐介がそう言った直後にシャドウがたくさん沸いて出てきた。
スカル「っと、やべえ!」
フィクサー「話の続きは後よ!今は逃げるのが先決よ!」
モナ「フィクサーの言うとおりだ。逃げるぞ!」
祐介「あれ?俺、こんなもの着ていたのか」
スカル「今更かよっ」
パンサー「ボケツッコミは後!早く逃げるよ!」
フィクサー達はシャドウに追われながらも無事にマダラメパレスを脱出した。
それを遠くから見ていた者達がいた。くたびれたスーツを着て、ボサボサな髪型をしてやる気がない表情をしている。もう1人は、白い装束で身を包んでいるが、全体的にエロく見える。
???「あの方から様子を見てこいと言われたけど、僕も暇じゃないんだよね。それにしても気持ちの悪い美術館だよ、ここは。斑目よ、あの方やボスから斬り捨てられるのも時間の問題かねえ」
???「足立、主からウロボロス怪盗団には、接触するなと言われてます」
足立「わかってるさ、【金】のオランピア。昔この僕を捕まえた連中に似てたからさ」
オランピア「自称特別捜査隊ですか」
足立「特別捜査隊とアルフィンとかいう女のおかげで、警察に捕まった。まあ、それでもボスのおかげで強くなれたし自由にもなれたわけだが」
オランピア「!?…!!撤退しますよ!」
足立「どうしたんだ?」
オランピア「探偵の明智吾郎がこの空間へ入ってきた!」
足立「明智吾郎、白鐘直斗の再来とか言われてるんだっけか」
オランピア「獅童正義の息子と言われてますね」
足立「獅童の息子ねえ…まあいいさ。僕が興味があるのは、鳴上悠とアルフィンだけだからな」
オランピア「そうですか」
足立とオランピアはそれだけ言うとマダラメパレスから去っていく。
雪奈side
ーー1204・5・22・夕方・17:15・ファミリーレストラン・サラマンダーにて。
マダラメパレスからファミリーレストラン・サラマンダーにやってきていた雪奈達。
祐介「なるほど。それでその体育教師は心を入れ替わったと…【心を盗む怪盗団】本当に実在したとはな」
蓮「信じられないか?」
祐介「いや、信じるさ。あんな世界を見た後だ。今更常識に遠慮する気も無い。それでお前達、斑目先生…斑目を【改心】させるつもりって事か。俺も加えてくれ、怪盗団に」
雪奈、蓮、竜司、杏は祐介の台詞にビックリする。
祐介「もっと早く現実を見ていれば、こうはならなかったかも知れない。画家としての未来を奪われた多くの門下生のためにも、俺が終わらせなければ。それが…曲がりなりにも親だった男へのせめての礼儀だ」
杏「礼儀か」
竜司「いいんじゃねえの。どうせ斑目やんだしよ」
雪奈「失敗すれば、廃人になるかもしれない。防ぐ方法もわかってるけど、絶対保証なんか無いわ。ここに来るまでに話したでしょ?」
祐介「斑目は、美術界を牛耳る存在だ。あらゆる団体とコネクションを持っている。俺如きが声をあげたって、もみ消されるだけだ。やるしかない」
杏「喜多川君」
雪奈「蓮、モルガナ、喜多川君との取り引きは成功ね」
蓮「ああ、これからよろしくな、祐介!」
杏「怪盗団の仲間が増えたね!宜しく、祐介!」
竜司「足、引っ張んなよ」
雪奈「改めてヨロシクね、祐介!」
ここにてウロボロス怪盗団は、雪奈、蓮、モルガナ、竜司、杏、祐介の5人と1匹になった。
杏「そう言えば、現実の斑目はどうなったの?」
雪奈「あっ、私と祐介は、結構ヤバイ状況になってたけど…」
祐介「それならここに来る前に連絡を取った。俺は、緋里さんを追いかけていたことになってる。それと君らの説明とおりにシャドウの事は、本人は知らないようだ」
雪奈「斑目は何て?」
祐介「女子高生1人を捕まえられないのかと、警備会社に愚痴っていたよ。でも怒りが収まらないようで、【全員告訴してやる】と言っていた」
竜司「そうとう警戒されてんぜ、それ」
杏「告訴とか、必死すぎんでしょ!実はまだなんか隠してるとか?」
雪奈「それはあるかもね」
祐介「うごくとしても個展が終えてからだろう。期間中に醜聞が立つのは向こうが損だ」
雪奈「確かにね」
モルガナ「告訴を回避するためにも、その前に改心だな。やっぱり【作戦期間】は、【個展の会期中】とってことだな」
雪奈「そうね。それしかないね」
雪奈達は互いに見合って、斑目攻略を意を決することになった。
祐介「ところで、これはなんだ?」
竜司「あ?猫だけど」
祐介「喋ってるが」
モルガナ「文句あるのか?」
祐介「そうじゃないが」
竜司「なんで?」
杏「ちょっと人とテンポが違うよね」
雪奈「そうみたいだね」
モルガナ「このワガハイを描こうってのか?ちゃんと素材の良さを引き出せよ?」
祐介「ふむ…」
モルガナ「気安く触んじゃ…」
祐介「黒あんみつを注文しようと思ってな」
竜司「黒猫から連想したな、コイツ」
祐介「ああっ!ミラを持って来なかった!」
杏「やっぱ、この人ヘン…」
雪奈「祐介、私が今回は奢るから食べていいよ」
祐介「すまない、緋里さん」
こんな感じで、祐介を仲間に加えたウロボロス怪盗団は、斑目を改心させるために、マダラメパレスを攻略していくことになる。