【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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芳澤すみれ編5話です。


5ー5ー5・03→5・04ートラウマ。

ーー1204・5・03・朝・東ゼムリア砂漠地帯上空

 

東ゼムリア共和国よりも西側は、もう砂漠地帯。この辺りの砂漠化は、どんどん広がっている。この砂漠化は、ゼムリア各国の共通の課題である。

 

そんな砂漠の上空を飛ぶ十文字分家の飛行船。飛行船と言っても内部はちゃんと生活できる環境も整っている。

 

すみれとアリスは、先ほど簡易シャワーを浴びた後、晩御飯を食べてゆっくりとしている。

 

アリス「どう、外の景色なんかは?」

 

すみれ「そうね、日本国内にいてはわからない景色だよね…」

 

アリス「そうだったよね、すみれは外国に密入国してたんですものね…」

 

アリスは小悪魔的な表情ですみれを見ている。

 

すみれ「うっ…それはなんと言いますか…」

 

アリス「なんてね…。貴女は自分の欲のためじゃなく、困ってる方々のためにやったことですものね」

 

すみれ「まあ、そうだけどね……」

 

砂漠地帯の空に広がる星ぼしを見る、すみれ。いくら人助けのためだからと言っても法を破ってはいけないと思っている。だからすみれは、アリスに感謝しているのだ。

 

下が砂漠地帯ってこともあり、星星が綺麗に見える。日本からは地上が明るすぎて、見えない。アリスは田中と何か話してならすみれに話す。

 

アリス「明日の明け方に着く予定だからもう寝ましょう」

 

すみれ「明日の明け方…わかったわ」

 

アリス「部屋は1つしか無いけど、すみれ、良いわよね?」

 

すみれ「うん、私は構わないですけど」

 

アリス「それじゃあ、明日も早いし寝ましょう」

 

すみれ「ええ」

 

アリスとすみれは、1つの部屋に入る。仮眠室ってだけあってベッド、ソファーや机や導力テレビ、導力パソコンも置かれている。

 

アリス「すみれ、貴女はベッドに寝て良いわよ」

 

すみれ「アリスはどうするの?」

 

アリス「わたしは、ソファーで寝るわ」

 

すみれ「え?良いのアリス?」

 

アリス「構わないわ」

 

すみれ「…アリス、なら半分こして寝よ?」

 

アリス「すみれって意外にさみしがりやさんなのかしら?」

 

すみれ「べ、別にそんなんじゃないわよ…もう良いから」

 

アリス「ごめん、ごめんね。すみれは心配してくれてんでしょ?ありがとう」

 

すみれとアリスは、2人でベッドで寝ることにした。お互いに寝るまでお互いにニヤニヤと笑っていたのだった。

 

 

ーー1204・5・04・朝・帝国・サザーラント州セントアーク

 

朝日が心地よく照らし始めた頃、帝国のサザーラント州の都であるセントアークの空港に着いた。

 

すみれもアリスも、まさかゴールデンウィークを帝国で過ごすことになるなんて予想もしていなかった。

 

山田のお姉さんの依頼を受けて、まさか帝国に行くことになるなんて、受託した時にも思わなかった。

 

あのメールがすみれとアリスを帝国へと誘(いざな)ったのだから。

 

 

すみれは謎の夢を見ていた。街が赤い炎におおわれて、周りには人々が赤い血を流して倒れている。

 

だが街並みが日本ではない。どうやら帝国の街並みのようである。

 

すみれ「な、なんなのこれは…?ってここはどこ?アリス?アリス!どこにいるの?」

 

すみれは、アリスを呼ぶがアリスからの返事はない。すみれはサンドリオンを呼び出す。

 

すみれ「魅せて、サンドリオン!」

 

サンドリオンで第3の眼で回りを見渡す。すみれも日本の街並みではなく、帝国の街並みってことを理解する。しかし次なる疑問が浮かび上がる。

 

何故、自分だけが帝国に降りたっているのか。何故帝国の街並みが焼けて燃えているのか?

 

すみれ「こんなの見せれると、昔のトラウマがよみがえって来るじゃないの……」

 

昔のトラウマ、すみれが言ってるのは、母と姉を奪った精神暴走事故を言っているのか。はたまたすみれとして生まれ変わる前の“光井和也”として生きたときの苦い経験を言っているのかはわからない。だがどちらにしてもすみれを苦しめる出来事であるのは間違いない。トラウマがすみれを苦しめる。

 

すみれ「…う…うぅ…やめて!私の中に入って来ないで!!」

 

すみれは頭を抱えてしゃがみこむ。

 

すみれ「……ごめんなさい、ごめんなさい…私が…!」

 

すみれは、急に謝りだした。トラウマがそうさせてるのだ。するとすみれの前に2人の女性が現れる。1人は、30代後半から40代前半の女性。もう1人が10代半ばの女性。その10代半ばの女性は、すみれのような容姿をしているのだ。

 

すみれ「…!!お母さん、かすみ!」

 

かすみ「すみれ…」

 

母親「すみれ…」

 

かすみ「ゆ、許さない…許さないすみれ…」

 

母親「貴女より優秀なかすみが死に貴女が生き残ったの?」

 

すみれ「……!」

 

かすみ「…貴女が死ねば良かったのに…。私が死ななきゃいけなかったの?」

 

すみれ「……!いやぁ!私の中に…!お母さん…かすみ…!私はそんなつもりじゃ…!」

 

すみれとかすみの母親とかすみと思われる女性達は、すみれにどんどんと畳み掛けてくる。

 

すみれはどんどんと精神と意識を失っていく。

 

すみれ「やはり…私は生きてちゃいけなかったのかな…。ごめんね、お母さん、かすみ…私が生き残ってしまって…」

 

すみれから魔力や精神と意識がどんどんと吸い上げられていく。その時、どこからか声がしてくる。

 

??「芳澤すみれさん!貴女はこんなところで朽ち果てる人ではありません。貴女は、これからの激動の時代に必要な方。こんな精神攻撃を受けてる場合ではありませんわ!」

 

すみれ「貴女は…貴女は誰なの?」

 

??「芳澤すみれさん、貴女とはいずれ会うことになるでしょう。貴女の力はこんなものではないはずです!こんなところで朽ち果てるものではないはずです!」

 

すみれはそう言われると、不思議と力が湧いて出てくる。身体から焔の力が湧いて出てくる感じになっている。

 

すみれ「これって…まさか前世の…!」

 

??「そうです。貴女の本来の力…何者にも消せぬ、熱き焔…貴女自身の力」

 

すみれ「…私自身の力…」

 

??「貴女はもうそんな精神攻撃に惑わせないでしょう?」

 

すみれは、ふと自分の手に何か持っていることに気がつく。それは前世で一番使っていた武器、太刀であった。

 

光井和也の武器とは、銃型CADや銃のイメージが強いが、太刀も使っている。そう八葉一刀流の使い手でもあるのだ。

 

すみれは大きく息を吸うと、精神を統一させた。

 

すみれ「闇を滅せよ!八葉一刀流、三の型、業炎撃!!」

 

八葉一刀流、三の型、業炎撃が決まる。するとすみれを苦しめていた、母親の姿も姉のかすみの姿も消えていた。そしてそこには、母親でも姉でもない者が立っていた。

 

すみれ「貴方が私にあんなものを見せてたの?」

 

??「ふふっ、左様。私の名は、メルキス。まさか精神攻撃が破られるとはおもいませんでしたけどね。あのエレボニアの小娘の仕業か…」

 

すみれ「エレボニアの小娘?私にこんなことを?」

 

メルキス「知れたことよ…。お前はこそこそとゴールド・マウンテン社のことを調べてるだろう?」

 

すみれ「…調べる?何のことかしらね…」

 

メルキス「とぼけても無駄だ。まあいい…どうせお前は精神世界にて死ぬのだからな!」

 

すみれ「私はこんなところで死ぬわけにはいかないのよ!」

 

メルキス「いいや、死ぬんだお前は!」

 

メルキスが、すみれに攻撃を仕掛けてきた。すみれは、メルキスの攻撃を簡単にかわす。

 

すみれ「魅せて、サンドリオン!」

 

サンドリオンで攻撃を仕掛ける。メルキスは、サンドリオンの攻撃をかわす。すみれは、メルキスに対して走り出す。

 

すみれ「サンドリオン!」

 

メルキス「同じ攻撃が通用すると思っているのか?」

 

すみれ「隙を見せたわね。八葉が…無想覇斬!!」

 

メルキス「ぐはっ…な、なんだと…お前…八葉を…物真似では…なかったのか…」

 

すみれ「物真似で八葉を使うわけないでしょう…。八葉一刀流、千葉流派…新体操の他に中学まで千葉流派の道場に通っていた…」

 

メルキス「八葉一刀流…千葉流派か…見事だ…」

 

メルキスはそう言うと、灰のように崩れていく。するとすみれがいる場所もガタガタといって、崩れ始める。

 

すみれ「え?崩れるの?ち、ちょっと待ってよ…」

 

??「芳澤すみれさん、貴女の戦いぶりは見事でした。貴女はわたくしが見込んだとおりでした。さあ、手を伸ばして下さい。貴女の大切な仲間が呼んでますよ」

 

アリス「すみれ!すみれ!」

 

すみれ「アリス!私はここよ!」

 

すみれは、謎の声に言われた通りに手を伸ばす。すみれの精神は現実に戻っていく。

 

 

 

ーー1204・5・04・朝・帝国・サザーラント州セントアーク空港。

 

すみれは精神世界から戻って来ると、アリスに抱きしめられていた。

 

すみれ「アリス…」

 

アリス「すみれ、すみれ良かった…良かったわ…」

 

すみれ「アリス、ありがとう」

 

アリス「本当に良かった…。貴女うなされ始めた時、慌てましたわ…」

 

すみれ「うなされていた?」

 

アリス「ええ…いきなりですわ。貴女がうなされ始めたのは」

 

すみれ「いきなりうなされ始めた…」

 

すみれは考える。メルキスの精神攻撃が始まって、あの惨状を見ることになったのかと。だが本人は倒したのだから、本当がなにかはわからないままである。

 

アリス「そうですわ、わたしどうしたらわからなくて、田中を呼ぼうとしたら、謎の声に言われるように、やってみたの」

 

すみれ「謎の声!それってアリスも!?」

 

アリス「え!?すみれにも聞こえてたんですか?」

 

すみれ「うん…その謎の声のおかげで私は助かったかな」

 

アリス「謎の声!貴女にも聞こえてたのね!」

 

アリスにも謎の声が聞こえたようだ。苦しむすみれを助け出したいのなら、言う通りにしてくれと言ってきたようだ。アリスはその声の言うとおりにやったのだ。精神世界に引き込まれたすみれに呼び戻すように名前を呼び続けたのだ。

 

すみれ「聞こえたよ、アリスが私を呼ぶ声がね」

 

アリス「わたしも必死だったから…。このまま眠り続けるんじゃないかって心配だったんだから!」

 

すみれ「本当にありがとう、アリス」

 

アリス「当たり前でしょ、親友で仲間なんだから!」

 

すみれ「ふふっ、ありがとう。アリスがピンチになったら私がすぐに駆けつけるから!」

 

アリス「ありがとう、すみれ。わたしはそうならないように頑張るわ」

 

すみれとアリスは、互いにそんなことを言い合っていた。

 

 

ーー帝国・帝都ヘイムダル・バルフレイム宮内・???の部屋。

 

すみれとアリスが到着した白亜の旧都セントアークから真北に行ったところにあるのが、帝国の首都であるヘイムダルである。

 

そのヘイムダルでも一際目立つのが、アルノール家である皇帝一族や帝国政府、議会、宰相執務室などもバルフレイム宮に入っている。

 

そのバルフレイム宮のとある部屋の人間は、バルコニーにて、セントアーク方面を見ながら考え事をしていた。

 

??「なんとかなりましたね、大賢者」

 

大賢者「解、当事者の芳澤すみれ、その仲間の十文字アリスも難を逃れています」

 

??「良かったわ。万が一わたくしが自ら出向く必要があったから」

 

大賢者「解、マスターが出向く必要は無いのでは?万が一な場合の時、あのエルフィン・スナイパー…何でも屋に依頼することも出来ましたが?」

 

??「エルフィン・スナイパーの方々に頼むのは簡単よ。でも何故そうなのか説明しなくてはいけないでしょ?」

 

大賢者「解、あのエルフィン・スナイパーの1人、カズヤ・アレイスターは、マスターと転生者の可能性と何かの原因でこの世界へ飛ばされた可能性があります」

 

??「うーん、平行世界のわたくしが転生したってのは、わかるのだけど、何かの原因でこの世界へ飛ばされたってのは、何なのかしら?」

 

大賢者「解、飛ばされる原因、何者かによる召喚、または事故や何かに巻き込まれる形でその世界へ行ってしまうような感じですね」

 

??「巻き込まれる可能性ですか……」

 

??もここ辺りがないわけではない。転生する前に、どこかに飛ばされそうになった事がある。そんなことを考えていると

 

大賢者「解、前世のマスターが“光井和也”だった時、横浜、日本騒乱にて大亜の魔法師が大亜の敗北をを悟って、究極魔法の1つである【ベツレヘム(隕石)】を発動させた。マスターは、緋の騎神テスタ=ロッサに乗り込んで、【ベツレヘム(隕石)】地球の軌道から弾き飛ばしました。あの時、異次元の割れ目も観測していました」

 

??「大賢者、あの時はそんなこと言わなかったじゃないの?」

 

大賢者「解、あの時は必要の無かった情報だったので言いませんでした」

 

??「あの時は、わたくしも余裕が無かったですし、不特定の情報を聞けなかったでしょうね」

 

大賢者「告、これからどうするつもりですか?マスター…アルフィン・ライゼ・アルノールとして?」

 

アルフィン「そうですわね…今のところは様子見かしら。もしすみれさんとアリスさんに何かあれば、わたくしは動きますわ。ですから大賢者、あの2人の動向を見守って下さいね」

 

アルフィンは小悪魔的な表情で大賢者に言う。その大賢者は

 

大賢者「解、わかりました。あの2人の動向に注目します。それにしても貴女は女の子になりましたね」

 

アルフィン「ふふっ、当たり前ですよ、わたくしは女の子ですもの」

 

アルフィンは、セントアークの方向を見ながら、そう言ったのだった。

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