ーー1204・5・04・朝・セントアーク空港→白亜の旧都セントアーク
すみれとアリスは、色々と準備を済ませると、白亜の旧都セントアークへ歩みを進める。
白亜の旧都セントアーク。帝国四大名門の一角であるハイアームズ侯爵家が治める侯都でもある。
かつては帝国の臨時帝都にもなった場所でもある。その説明は、ユフィ編で説明するので、すみれ編では省きます。
すみれ「白亜の旧都セントアーク…綺麗ですね」
アリス「そうね、日本には無い帝国建築がたくさんあるわね」
セントアークの街並みを良く見ていると、何かの式典の準備なのかいろんな物を見る。そう日本の物もあるのだ。物珍しく見ていると、年配の方がすみれ達に話しかけてきた。
お婆ちゃん「貴女達は、日本人移民街から来たのかい?」
すみれ「日本人移民街…?」
アリス「ううん、違うよ、東ゼムリア、日本から来たのよ、お婆ちゃん」
お婆ちゃん「そうかい、日本から来たのかい…懐かしいのぉ」
お婆ちゃんは、すみれとアリスに自分の過去話をしてくれたのだ。お婆ちゃんも昔は、日本に住んでいたと。日本と帝国が国交を樹立し、第1次帝国移民団として両親、一族で帝国へ渡ったそうだ。
渡ったすぐは、帝国貴族による差別意識も酷かった。平民も東ゼムリアから来た野蛮人と揶揄していた。第1次帝国移民団の日本人は苦労を重ねて、帝国に慣れることを必死に頑張ったそうだ。
それを重く見たハイアームズ侯爵も、何とかしようとしていた。だが上手くはいかなかった。
そして、台湾事件が起きる。
台湾にて、帝国のギリアスと日本の十文字正義が、手を取り合って、大漢に立ち向かって行ったこと。四葉真夜とシャルロット・ハイアームズも手を取り合ってか弱き人々を守ったと。
そんな中、フェルナン・ハイアームズが、ハイアームズ侯爵家の家督を継ぐと、日本人移民に対する差別を無くす改革を断行する。
長年の改革の努力が実って、今は帝国人と日本人の差別意識は無くなった。まだ平民と日本人の壁が無くなっただけで、貴族との壁は残っているそうだ。それは日本人だけではなく、平民との確執もまだまだあるそうだ。
平民と貴族の融和政策が去年施行され、改革断行されている最中である。
改革の断行者は、フェルナン・ハイアームズの二男である、フレデリック・T・ハイアームズである。
彼の政策のおかげで、セントアークは、平民も貴族も仲良く暮らせる都市として、帝国内外からも人気は上がっている。
詳しい話は、ユフィ編で説明するので、すみれ編ではこれくらいです。
お婆ちゃんと30分くらい話してから、すみれ達は行動を開始する。
セントアークは、貴族街、平民街、中央区、商業区と分かれているが、昔の名残で残っているだけで、貴族街にも平民は住んでいて、平民街の方にも貴族が住んでいる。セントアークの中央区には、七耀教会の大聖堂がそびえ立っている。
アリス「ゴールド・マウンテン社の帝国支部の情報は遊撃士ギルドで聞いてみましょう」
すみれ「そうだね。一般の方々に聞くより確実性はあるでしょうね」
アリス「まあ遊撃士ギルドは、商業区にあるのが定番だろうから商業区に行ってみましょう」
すみれとアリスは、中央区から商業区へ移動する。
商業区に移動中も日本人観光客を見かける。日本人移民街に住んでいる日本人ではなく、日本本土から来ている日本人のようだ。
気にもせずにすみれとアリスは、遊撃士ギルドであるセントアーク支部に来てみると、ギルドが封鎖されている。普通ではあり得ないがすみれとアリスはまわりの人達に聞いてみた。
おばちゃん「遊撃士ギルド、セントアークに限らず、帝国全土のギルドは封鎖されたわよ」
すみれ「え?帝国全土ですか?」
おばちゃん「貴女達は観光客なのかしら?」
すみれ「はい」
おばちゃん「それじゃあ知らないか。2年前にギルドの帝都支部が襲撃されてから、帝国全土のギルド支部が閉鎖されたんだね」
アリス「閉鎖って遊撃士協会がそんなことをするわけが…」
おばちゃん「あんまり大きな声では言えないけど、帝国政府が閉鎖を決めたそうね」
すみれ「帝国政府がそんなことを…」
アリス「ギリアス・オズボーン宰相が取り決めたってことかしらね…」
おばちゃん「そうね、みんなオズボーン宰相が潰したって噂はしてるわね。帝国でも1ヵ所だけギルドはやってるところはあるわよ」
すみれ「本当ですか?」
おばちゃん「もちろんだよ、レグラムだ」
すみれ「レグラムですね、わかりました」
おばちゃん「レグラムに行くのなら、帝都経由して行くよりもパルムから東の街道を目指してエベル湖を渡った方が早く行けるわ。列車もちゃんとセントアークからパルム行きも通ってるから」
すみれ「わかりました」
アリス「おばさま、ありがとうございます」
すみれとアリスは、おばさんに言われた通り、セントアーク駅に向かう。
すみれ「まずは、パルムに行きましょう!それから東の街道を歩いて行きましょう」
アリス「ええ」
すみれとアリスは、セントアーク駅に着くと、中に入って行った。
ーー1204・5・04・昼過ぎ・東日本街街道の途中にて。
東日本街街道を歩いていると、すみれとアリスは何度か魔物に襲われた。何故襲われたかと言えば、魔物避けの街灯が壊されたままである。
壊れた原因はパルム騒乱の時に、ゴールデン・マウンテン帝国支部が放った人形兵器群や日本街移民街を守っていた自警団や猟兵達が暴れたため、魔物避けの街灯まで倒れてしまったのだ。
今は帝国政府、ハイアームズ侯爵家もパルムや日本人移民街の復旧作業で街道まで手が回っていないのだ。本来なら遊撃士が請け負う依頼でもあるのだが、なんせ帝国には、遊撃士はいないことになっている。ただレグラムを除けば。
すみれは、アリスから渡された太刀で、アリスは腕輪型CADで魔物を倒した。
魔物に警戒しながら、東日本街街道を歩いて行くと、人工的な丘が見えてくる。この丘は、以前ユフィ達が訪れたパルムの丘でもある。
すみれ「あの丘…不思議な感じしない?」
アリス「あの丘…確かに不思議な感じはするけど、特別に何かは感じないわよ?」
すみれ「丘自体に不思議な感じはしないけど、丘の一部のあの森林地帯からは不思議な感じがする」
アリス「……まあ確かにね」
ーパルムの丘・イストミア森林エリア
一度ユフィサイドで説明はしたが、もう一度説明をする。パルムの丘の一部を人工の森林エリアにしている場所が、イストミア森林エリアである。セントアークの西に広がるイストミア大森林の一部の木々を許可をもらい植えさせてもらったのだ。
人工の森林エリアだが、神秘的な雰囲気が漂っている。それは魔女の森に生えているエリン草がそうさせてるのかもしれないと言われている。
すみれ「ちょっと行ってみる?」
アリス「ええ、ちょっと行ってみようかしら。私、ちょっと興味も湧いてきたし」
すみれとアリスは、パルムの丘、イストミア森林エリアに歩き出した。
イストミア森林の中は、人工的な森林だが神秘的な感じは漂っている。その中を歩いて行くと、すぐに丘の頂上に出る。丘の頂上からは、右手には日本人移民街、左手には、パルムの街が見える場所だ。すみれとアリスが頂上を訪れると先客がいたようだ。
その先客は、青色の髪の毛に片目を隠すようなヘアスタイルをしている。いやゆるキタローヘアスタイルである。服装はどこかの制服を着ている格好である。何をしているのかと言えば、日本人移民街の方を見ているような感じてある。その先客は、すみれとアリスに気がついたようで
??「おや、別のお客さんが来たようだ…うん?君達は日本の本土からきた日本人かい?」
すみれ「そうですが…。貴方は?」
??「僕かい?僕は日本本土から来た旅行者だよ。休みを使って帝国旅行をしたくなってね」
アリス「そうですか」
すみれ「日本は今、ゴールデンウィーク中ですからね」
???「君達こそ2人で帝国旅行かい?」
すみれ「まあ、そんなとこでしょうか」
???「女の子2人の帝国旅行…か。僕は良いと思うよ」
アリス「お兄さんも帝国旅行ですか?」
???「アハハ、1人で帝国旅行中さ」
すみれ「お一人で?彼女さんとか連れてないんですか?」
アリス「こ、こらっ、すみれ!」
???「アハハ、別に構わないよ。僕は彼女なんていないからね」
すみれとアリスは、この青年の容姿なら彼女ぐらいいると思っていたのだ。
???「さてと、僕はレグラムに向かうとしようかな。君達はパルムに向かうのかい?」
すみれ「え!?そちらもレグラムに?」
???「そちらもということは、君達もレグラムに?」
アリス「はい、レグラムにある遊撃士ギルドに用があるんです」
???「レグラムの遊撃士ギルドに用事か?何か困った事でもあるのかい?」
すみれ「本当は、セントアークの遊撃士ギルドでとある事を聞きたかったんです」
???「レグラム支部にいるトヴァルさんなら何かしら聞いてくれると思うよ。トヴァルさんとは知り合いだし、口利きしてあげるから」
すみれ「良いんですか?」
???「構わないよ」
すみれは何も思わなかったが、アリスが警戒心を露にしている。
アリス「すみれ、簡単に信用しすぎよ?」
すみれ「うん?どうして?」
???「そちらの女の子にはあまり良い印象ではないみたいだね」
アリス「貴方、ただの旅行者にしては、何かがおかしいのよね。この辺りは魔物が出るのになんの武器を持って無いわけないよね?」
???「なるほど、魔物は確かに出たかな。でもね…僕も武器はちゃんと持ってるよ…」
青年は太刀を背中から取り出す。
すみれ「太刀…」
???「僕の得物は太刀だよ。まあ騎士剣や導力銃も使えるけど、太刀が一番しっくり来るからね」
アリス「…………」
???「どうかしたのかな?」
アリスはずっと青年が出した太刀を見ている。それも真剣な表情で見ているのだ。
アリス「貴方…もしかして…お父様の最後の弟子の…結城理さん?」
理「君は、どうして僕の名前を?」
アリス「私の名前は十文字アリス…。十文字正義の娘…貴方の事はお父様から聞いていました。最後の弟子だと言ってました」
理「君がアリスなのかい?よく正義さんから話を聞かせてもらってたよ」
アリス「そうですか。お父様から…」
十文字正義と目の前の青年、結城理は、師匠と弟子の関係でもあった。
ーー1204・5・04・昼過ぎ・パルムの丘・イストミア森林
十文字正義と結城理は師匠と弟子の関係である。
結城理は、数年前に世界の命運を掛けた戦いに仲間と共に切り抜けた。
そんな戦いに身を置くことなったから、十文字正義の道場に入った。
十文字正義は、結城理のただならぬオーラを見抜き、彼の力を伸ばすために限られた時間で修行されたとされる。
アリス「すいません、結城さん。疑うような発言をしてしまって」
理「別に気にしていないから。それより君達は、ただ旅行に来たって感じではないよね?」
すみれとアリスは、理にある程度の事を話す。お助けチャンネルの事。ゴールド・マウンテン社の帝国支部の事を調べに帝国へ来たこと。この依頼を出された山田さんのお姉さんが自殺か他殺かどっちかを判断をするためにだが。
理「なるほど、まさか君がお助けチャンネルを作ったのか…凄いね」
すみれ「お褒めを頂きありがとうございます!あ、まだ私の自己紹介がまだでしたね。私は芳澤すみれです。よろしくお願いします、結城理さん!」
理「よろしく、芳澤さん」
アリス「改めてお願いします、結城さん」
理は、すみれとアリスと共に行動することになった。理も帝国には旅行のつもりでやって来たが、日本では流れていないゴールド・マウンテン帝国支部の問題、日本の子供達を猟兵、生体実験のために帝国支部に拉致をしていた事。その他諸々の情報が日本では報道されていないこと。獅童一派が報道関係に圧力を加えれるだけの権力を手にしていることを肌で感じてしまうほどになっていると、理はわかったのだ。
カルバードのCIDに所属している真田明彦経由で、帝国のパルム事件は聞いてはいたが、やはり自らの目で確かめたくもあった。
パルムの丘から日本人移民街の様子を伺っていたときに、すみれとアリスと出くわしたというわけだ。
理はこれも何かの力が働いた運命だと思ったのだった。
そんな時だった、理のARCUSが着信がなったのだ。すぐにホルダーから取り出して出る。
理「はい、結城理ですが…あ、はい、はい、わかりました。それでは日本人移民街にですね…はい」
理はそう答えると、ARCUSをホルダーにしまう。
すみれ「あの、どうかしましたか?」
理「レグラムのギルドから連絡があってね、どうやらトヴァルさん今、帝国にいないらしい。依頼でクロスベルに行ってるみたいだね」
すみれ「そうですか、それじゃあ、このままレグラムに行っても無駄足って事ですね」
アリス「理さん、日本人移民街がどうのって言ってませんでした?」
理「僕達の知りたいことを知ってる人物が日本人移民街に居るって教えてもらったかな」
すみれ「日本人移民街にですか」
理「そうだね」
アリス「日本人移民街…パルムの街の騒乱のきっかけになった場所…」
理「あまりそのことを気にしても仕方がないかな」
すみれ「複雑な気持ちにはなりますよ」
アリス「そうね、ゴールド・マウンテンの帝国支部が、人身売買、武器の不正輸出に関わってるのなら、大問題になるはずわ。そんなことを日本政府やマスコミが言わないわけがない」
すみれ「でも日本では、帝国支部の問題なんか何も報道はしてません。精神暴走問題や鴨志田問題とかしか」
理「うん、そうだね。意図的にゴールド・マウンテンのことの報道は避けてるみたいだね」
アリス「獅童一派とゴールド・マウンテン社が裏では繋がって可能性もあるわね」
すみれ「…それしかなさそうですね」
理「ゴールド・マウンテン社…日本では文房具用品の王手…そんな会社と獅童正義がね…」
アリス「理さん、日本人移民街に行けば、何か分かるんですよね?」
理「確証は無いけど、分かることはあると思うよ」
すみれ「それでは、日本人移民街へと行きましょう」
アリス「ええ」
理「わかった」
すみれ、アリス、理の3人は、パルムの丘から日本人移民街へと続く街道を歩いていく。