【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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芳澤すみれ編10話です。


10ー10ー5・05(08:50~)ー今、セントアークで起きてる事。

ーー1204・5・05・朝→08:50・サクラの庭園

 

サクラの庭園。

 

帝都ヘイムダルとセントアークの間に西トウキョウという日本人移民街がある。東にある日本人移民街とは、同時期に出来たが、西トウキョウの方はすぐにサザーラント州に属したが、東日本人移民街は自治が認められた。

 

サクラの庭園の話しに戻るが、日本人が帝国に移民してきた時に、サクラの樹をこの辺りに植樹したのだ。帝国に移り住んでも、日本のサクラだけは見たかったと言うことかもしれない。

 

今では、かなりの数のサクラが咲いていて、サクラの庭園とも呼ばれている。ハイアームズ侯爵家がこの辺りを整備して、庭園にしたのだ。そして帝国のライノの樹も植樹されて、春にはサクラとライノの共演が見られるのだ。

 

しかし今は5月になり、葉桜と葉だけのライノの樹になっている。

 

そんな木々の中に女の子座りでいるアルフィンがいた。

 

大賢者「告、サザーラント州、セントアーク北部のサクラの庭園に着いたようですね。予定の休憩所ではありませんが」

 

アルフィン「イタタタ…。座標移動(ムーブポイント)…ちょっと失敗しちゃったかしら?」

 

大賢者「解、座標の多少のズレが生じてますね。原因は……あ、なるほどそう言うことですか」

 

アルフィン「そう言うと事って何なのかしら?」

 

大賢者「マスター、女の子の日が近いですね」

 

アルフィン「……!?!」

 

女の子の日、月に1回は絶対に巡ってくる逃れられない日々。女の子の日になると、座標移動(ムーブポイント)の座標などの緻密な計算などの狂いが出るのだ。過去にそのせいで、計算違いな場所に来た苦い経験がある。

 

アルフィン「そんな計算はしなくてもいいのよ」

 

女の子の日を気にしているアルフィンの耳に何か不吉な音が聞こえてきた。

 

アルフィン「え?先程の音は、剣同士のぶつかり合い?」

 

大賢者「解、ここから、数百アージュ行った場所から聞こえてきます。おそらく人間同士の戦闘かと」

 

アルフィン「ふぅ……」

 

アルフィンはそっと深呼吸をしてから、音のする方へ近付いていく。

 

大賢者「告、音はどんどんと大きくなっています。それだけ近付いて、リスクも上がっています」

 

アルフィン「わかってますわ」

 

アルフィンがそう言って、サクラの庭園内を音をする方へ走る。そしてアルフィンが人影を捉えた時、平民風の男の方が、貴族風の男に剣を向けられている。平民風の男の剣は近くの地面に刺さっている。

 

???「いい加減に諦めたらどうだ、アッシュ?」

 

アッシュ「諦めるはずがないだろ!アニスは俺の恋人だ!てめえに渡すわけがないだろ!」

 

アニス「もうやめて、アッシュ!これ以上やれば、貴方は殺されちゃう!」

 

アッシュ「こんなヤツにアニスを…お前を渡してたまるものかよ!」

 

アッシュは、素手で???に向かって行くが、剣で吹き飛ばされる。???はすかさずアッシュに向かって走り出す。

 

???「終わりだな、アッシュ!」

 

???は剣を振り上げる。アッシュは動けない、アニスはアッシュの方へ駆け出す、だが間に合わない。アッシュは、目を閉じる。???に切り殺される事を覚悟した。

 

だがいつまで経っても斬られない。だからアッシュは目を開けた。するとそこにはアニスではない野球帽子を被った女の子が、???の剣を焔の刃で押さえていた。

 

 

ーー

 

大賢者「告、あの平民の男性は、あの貴族の男性に勝てません」

 

アルフィン「大賢者、勝てないなんて最初から決めつけては駄目よ」

 

大賢者「解、しかし確率では、ほとんど勝ち目がないでしょう」

 

アルフィン「人間には、驚く力を出す場合もあるのよ!」

 

大賢者「解、確かにマスターのように驚くような力を出す可能性はあります。この場合は…」

 

アッシュは???に吹き飛ばされ、喉先に剣を突き出されている。そして剣を振り上げながら、アッシュを斬ろうとしている。アルフィンは、焔の刃を出して、高速で向かう。そして、???の剣を押さえながらアッシュに向かって言う。

 

アルフィン「大丈夫ですか?」

 

アッシュ「な、なんとか大丈夫です」

 

アニス「助けてくれるんですか?」

 

アルフィン「もちろんですわ」

 

???「なんだ、お前は?」

 

アルフィン「わたくしが誰でもいいでしょう?こんな悪事を行っている貴方を許すわけにはいきませんわ」

 

???「悪事?誰が悪事を行っているというのか?」

 

アルフィン「女の子を連れ去ろうとしてる時点で、悪事ですわ!」

 

???「貴族が平民の娘をどう扱うなんて、お前には関係無いだろう?」

 

アルフィン「……フレデリック卿の行う政策の意味も分からず、まだ旧時代のやり方しか知らないかわいそうな人…」

 

???「お前、フレデリックの回し者か!ふっ、フレデリックのやって事は、貴族の特権を奪っているだけだ!平民と融合?ふざけた事をほざくな!」

 

アルフィン「ふざけた事を言ってるのは、貴方の方ですわ!」

 

アルフィンは、焔の刃で???の剣を押さえながら、右足で顔を蹴り飛ばした。蹴られた弾みでノーバンドで、サクラの庭園の看板にぶつかり、看板を粉々に壊した。アッシュとアニスも驚いている。

 

???はすぐには出てはこれない。アルフィンの蹴りが、モロに顔に入っている。何故、モロに入ったのかは、アルフィンの蹴りが顔に到達する前に、彼女のプリーツスカートの中身を見てたからだ。そうアルフィンの見せパンを。

 

???「お前、貴族の顔を蹴るとは、ただですむと思っているのか!」

 

アルフィン「…先程の蹴りは避けようとすれば、避けれるはずですわ…。でも貴方は避けれなかった。貴方の視線は、わたくしのスカートの中身を見ていらっしゃったみたいですし」

 

アルフィンは小悪魔的な表情で、???を見る。???は怒りで満ちた表情でアルフィンへ向かってくる。彼は剣を持っていない。蹴られた時に剣を手放しており、今は何も持ってない。

 

???は、アルフィンを押し倒すと、ゲスな笑みを浮かべる。

 

???「フン、女は黙って俺に抱かれれば良いんだよ!お前も誘ってんだろ?パンツを俺に見せつけてよ!」

 

アルフィン「はぁ~、ムードもへったくりもありませんわ。無理やり女の子を従わせるしか…ありませんの?」

 

???「黙れ!黙れ!おとなしく俺に抱かれろ!」

 

アルフィン「貴方のような品の欠片も微塵もない殿方に抱かれるつもりは、ありませんわ!」

 

アルフィンは、???に対して座標移動(ムーブポイント)を使用する。???は、アルフィンの上からいなくなったのだった。

 

 

ーー1204・5・05・朝→09:00・白亜の旧都セントアーク

 

すみれ、アリス、理の3人は、朝のセントアーク駅からセントアークに降り立った。

 

通勤の人々が一段落したせいか、ちょっと少なくなっている。

 

理「通勤の人々と少しかぶったからどうなるかと思ったけど、何とかなったね」

 

すみれ「通勤列車は、学校に行くときに経験してますし慣れてますよ」

 

アリス「わたしは、導力車で送ってもらってるから、ちょっとビックリしましたわ」

 

すみれ「導力車かぁ~羨ましいかな」

 

アリス「わたしは、すみれみたいに部活動をやって、放課後に食べ歩きとかしてみたいですわ」

 

すみれ「あ~あ、ちょっと前に言ってたアレね。でもアリスとやりたいけど、学校も違うしそもそも学校位置も全然違うし…」

 

アリス「そ、そうよね」

 

すみれの通う秀尽学園は、蒼山にあり、アリスの通う第1高校は、蒼山の西の方角、八王子にある。だから一緒に通うのは、不可能である。どっちかが互いのどちらかに転校すれば通えるだろうが、そんな予定はない。理が私達が言う前に

 

理「普通に無理そうだけどね」

 

苦笑いをしながら、理は言った。

 

すみれ「理さんは、学生時代は何か部活動はされてたんですか?」

 

理「おっと、それを聞くかい?」

 

アリス「運動系ですか?文化系ですか?」

 

理「さて、どちらでしょうね?」

 

すみれ「うーん、理さん、運動系、文化系?どちらなんだろう?」

 

アリス「運動系…剣道部ではないですか?理さん、太刀を使われてるし!何だってお父様のお弟子さんだったわけですし!」

 

理「そこまでの大袈裟ではないけど当たりだよ。運動系は、剣道部に入ってた。剣道の全国大会にも出場したかな」

 

すみれ「理さん、すごいじゃないですか!」

 

理「仲間に恵まれたからね。剣道部の同期の仲間や先輩、他校のライバルで親友もいたから、出来たんだと思うかな」

 

アリス「それって凄いことではないですか!」

 

理「言っておくけど、魔法を使う大会ではないからね。一般の剣道の大会だから」

 

魔法が使える者同士が戦う魔法剣術大会。魔法が使えない者同士が戦う剣道大会。2つに分かれている。もちろん理が出たのは後者の剣道大会である。

 

アリス「いえいえ、理さんは魔術大会に出ても勝てたと思いますわ」

 

理「アリス、それは言い過ぎだと思うから」

 

3人はそう言う会話をしながらセントアーク内を歩いていく。目の前には、セントアーク大聖堂があり、大聖堂の奥には、ハイアームズ侯爵家の城館もちらりと見えている。

 

そんな中でも、セントアークでは、融和政策1周年を祝う式典の準備も整えられている。

 

【七耀暦1204・5・10ー貴族平民融和政策1周年】

 

ハイアームズ侯爵家二男ーフデレリック卿による貴族平民融和政策が取られて5月10日で1周年になることが、セントアーク中央広場の掲示板には書かれている。

 

理「5月10日か…ちょっと早かったね」

 

すみれ「そうですね、式典ちょっとは見たかったですね」

 

アリス「式典っていうぐらいですから、お祭りみたいな感じなのでしょうか」

 

理「どうだろうね、僕も見たことないからね」

 

すみれ「今回は見れないけど、いつかはその式典を見てみたいですね」

 

アリス「そうね」

 

理「確かに」

 

理が導力腕時計で時間を見ると、09:25分になっていた。

 

理「そろそろ待ち合わせ時間になるし、行こうか?」

 

すみれ「待ち合わせ場所ってセントアークじゃないんですか?」

 

理「セントアークだよ。詳しくはセントアークの北側。西側の日本人移民街がある方向側かな」

 

アリス「そちら側をアルフィン殿下がご指定に?」

 

理「まあ、そう言うことかな」

 

すみれ「それじゃあ、行きましょうか。セントアークの北側の方へ」

 

すみれ、アリス、理は、セントアーク中央広場から、北側へ向かった。

 

 

 

ーー1204・5・05・09:30・休憩所

 

ここは、北サザーラント街道と西日本人街街道が交差する場所にある休憩所。

 

近くに帝国軍の軍事要塞 ドレックノールがある。西日本人街の人間は、東日本人街の人間よりも帝国への忠誠心が強く、先の戦争でも帝国軍軍人として、戦って帝国政府や帝国軍、アルノール家からも表彰されている。今でも西日本人街の人間は、帝国軍に入隊するか、ドレックノール要塞に働きに行くぐらいだ。

 

ここは春になると、南の方にあるサクラの庭園を目指す日系帝国人の人々が往来するための休憩所でもあるし、普通に旅行者のための休憩所でもある。もちろんこの休憩所にもサクラの木々はあるが、既にハザクラになっている。

 

今回、理は、ここをアルフィンに指定されたのだ。だがそのアルフィンの姿は無い。そんな中、すみれとアリスはベンチに座り、理は壁に背を向けて立っている。

 

すみれ「アルフィン様、まだ来ませんね」

 

理「そうだね、アルフィンは時間に遅れることはなかったけど…」

 

アリス「理さん、何かあったんじゃないんじゃないんでしょうか?」

 

理「うーん、それはどうだろうか」

 

理は、アルフィンが普通に公共機関を使ってくるとは思ってはいない。以前も彼女いわく、座標移動(ムーブポイント)なるもので、一瞬で待ち合わせ場所に来たからだ。

 

理「まあ、もうすぐ来るんじゃないかな?」

 

すみれ「もうすぐですか?」

 

アリス「あれ?サクラの庭園の中の方から誰か来るわよ?」

 

アリスがサクラの庭園の方を指差す。指差す方から、誰かがやって来る。その人物はすみれ達に対して腕を降っている。

 

アルフィン「皆さん、遅れてすいませんでした」

 

金髪に野球帽を被った白いブラウスとピンクのプリーツスカートという服装の人物がすみれ達に頭を下げていた。

 

理「アルフィン殿下、まさかサクラの庭園からいらっしゃるとは思いませんでしたよ」

 

アルフィン「サクラの庭園から来たのは予定外でしたし、ちょっとアクシデントにも遭遇してしまいましたね」

 

理「アクシデントって…」

 

アルフィンは先程のアッシュとアニスの事を話した。ロイヤル伯爵の息子のライトフォードがアニスに横恋慕をしていて、朝から連れ去ろうとしていた事。アッシュが何とか守ろうして怪我を負った。

 

アルフィンは、そのライトフォードを座標移動(ムーブポイント)で、どこかに飛ばしたのだ。

 

そのライトフォードはその後、セントアークの自宅であるロイヤル伯爵家の噴水でプカプカ浮いていた。

 

だが、ライトフォードの頭の中には、アルフィンの見せパンがしっかり焼き付いていた。

 

すみれ「って大丈夫なのですか、アルフィン殿下?」

 

アルフィン「硬い敬語は使わなくて良いです。わたくしはただのアルフィンですもの」

 

アリス「ですが…」

 

理「アルフィンが、敬語は無しって言ってるし、そうすれば良いと思うよ」

 

アルフィン「敬語なんかで話してたら、親しみ安さが無いでしょ?わたくしは、すみれさんやアリスさんとお友達になりたいんです」

 

すみれ「アルフィン殿下…」

 

アリス「アルフィン殿下」

 

すみれとアリスは、互いで見合ってからアルフィンを見据える。

 

すみれ「わかりました、アルフィン」

 

アリス「アルフィンとお呼びしますわ、私のことは、アリスで構いません」

 

すみれ「私のことはすみれと呼んで下さい」

 

すみれ、アリス、アルフィンは、互いに打ち解けたようになっていた。理はそれを見て微笑ましくも思えた。そしてかつての最終決戦時にアルフィンに救われた事を思い出していた。

 

そうニュクスとの戦い。

 

絶望しかなかった戦いだったが、アルフィンの参戦により、絶望から希望に変わったのだ。

 

アルフィンの魔法【キング・オブ・ジパング】

 

アルフィン曰く日本でしか使えない魔法。

 

日本自体を術式に見立てて、発動するものであり、今まで理達が築き上げた人々の絆の力、思いの力が術者とその仲間に降り注ぎ、一時期神の力と同等になる。

 

この力によりニュクスを倒すことに成功したのだ。そんなことを思い出していると、すみれ達が理の方を見て

 

すみれ「理さん、どうかしましたか?」

 

理「うん、いや、何でもないよ」

 

アルフィン「さっそくですが…お話をしても構いませんか?」

 

すみれ「ええ、でもこの休憩所でですか?」

 

理「なるほど…既にこの辺りに人払いの…アレを発動させたんだね?」

 

すみれとアリスは、理がそう言ったため、回りを見渡す。するとさっきまで人の気配を感じていたが、今はそれが感じない。

 

すみれ「人払いの魔法ですか?」

 

アルフィン「ええ、理さんやすみれ達に会う前に人払いの魔法を発動させましたわ。このお話しは、あまり人に聞かれるわけにはいきませんから」

 

アルフィンは、真剣な表情になり、すみれ達を見据えていた。

 

理「聞かれるわけにはいかないって、やはり機密情報?」

 

アルフィン「ええ、大変な機密情報ですわ。この機密情報には、すみれやアリスだって重要なことがあるわ」

 

アルフィンは、ベンチの椅子に座る。対面にすみれとアリスが座る。理は柱の側に立っている。

 

アルフィン「すみれ、アリス、貴女達はゴールド・マウンテン社…帝国支部を調べていたのでしょう?」

 

すみれ「ええ、調べていました。ミサキさんと一緒に帝国支部の幹部達共会いました」

 

アリス「特別にミサキさんが会わせてくれましたわ」

 

理「彼らはすでに帝国から日本に護送されて、日本で逮捕されたのでは?」

 

アルフィン「……帝国支部の幹部は、全員死んでしまったわ…」

 

すみれ達はアルフィンからそれを聞いて驚愕する。昨日、日本人移民街にある鉄道憲兵隊の詰所で、帝国支部の幹部達と会っていたのだ。山田真奈美の件で幹部達から話を聞き出したのだ。その幹部達がその後、日本へ護送中に東ゼムリア海海上で護送挺が墜落して海の藻屑になってしまったのだ。

 

墜落した理由は、現在検査中とのことだった。

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