すみれside
ーー1204・5・13・朝・すみれの自室。
まだまだ中間テストの最中であり、テストのことばかり考えていたのだが、親友の魔法科高校に通う十文字アリスから昨夜連絡があったのだ。
アリス【すみれ、夜遅くにごめんね。ちょっと話があるのよ】
すみれ【話したいことって何?】
アリス【貴女の学校にカウンセリングの先生を派遣することになったわ。明日から来ると思うわ】
すみれ【カウンセリングの先生?なんで急にそんなことを?】
アリス【鴨志田先生によって傷ついた生徒の心をメンタルケアをするって、十文字家宗家に学校側から頼まれたらしいわ。私も学校で従兄の克人から聞いたのだから】
すみれ【カウンセリングの先生って誰が来るのかしら?】
アリス【えーと、丸喜拓人先生だね。十文字家が支援している丸喜カウンセリング所の所長さん】
すみれ【えっ!!丸喜先生が!!】
アリス【すみれ、丸喜先生の事を知ってるの?】
すみれ【うん、知ってるわ。お父さんの先輩の息子さんで、私も以前カウンセリングを丸喜先生から受けたことあったから…。まさか丸喜先生が……】
学校側、学校のPTAやら東京都の教育委員会等から十文字家にカウンセリングの要請があったのだ。
丸喜拓人、丸喜カウンセリング所の所長であり、すみれの父親の先輩の息子である。
すみれとは、昔に何回か会った事があるが、彼女はあまり覚えていない。彼女の母親と姉を失った時、落ち込んでいた彼女をカウンセリングをしたときに再会した。その時からすみれは、丸喜にカウンセリングを受け、相談などを受けていたのだ。
実はお助けの仕事も丸喜と相談した上でやり始めたのだ。
アリス【丸喜先生が…すみれの…何だか運命的よね…】
すみれ【確かに運命的は感じるわね…】
アリス【丸喜先生の話は、一旦置いといて、すみれ、お助けチャンネルは見たの?】
すみれ【ううん、山田さんに帝国で調査した内容を説明した事、引き続き斑目の事を調査すると報告しただけ】
アリス【お助けチャンネルの、1204・4月下旬に書かれているこれを】
アリスは、すみれのARCUSにあるお助けチャンネルに書かれたデータを写真付きで送った。
ーー1204・4・下旬・23:25ーー
【平塚春雪は、学校、家族からのイジメから助けてくれ】と
【お願いします、ヴァイオレッド様…助けて下さい】
アリス【お助けチャンネルのサイトの書き込みを見ていたら、十文字家を陰ながら支援する家のトップ、平塚家の分家の春雪君の書き込みがあったの…】
すみれ【……その頃は…鴨志田問題や私自身の問題…で精一杯だった時…アリス、書き込みの彼は…彼の連絡先はわかる?】
アリス【春雪君の連絡先は、わかるわ】
アリスは、すみれのARCUSに平塚春雪のスマホの番号、通っている高校の連絡先等を送った。
【スマホの番号ー◯◯◯ー58◯6ー95◯2】
【千葉県千葉市ー◯◯◯】
【総武小→総武中→千葉高等学院】
すみれは、送られてきた情報を見る。そしてあることに気がつく。
そう【総武中】である。
すみれ【総武中…その春雪君って…総武中出身なんだね。総武中と言えば、1年ほど前に、とある男子生徒が自殺した学校じゃないの!】
アリス【そうね。1年ほど前に中3の比企谷八幡って男子生徒が自殺しているわね】
すみれ【比企谷八幡君…確か…日本海…で自殺したと推測された彼よね?】
アリス【…推測…残された彼の遺書や彼の靴からそう警察はそう判断した】
すみれ【遺体は見つかっていないのよね?】
アリス【見つかっていないわ。彼が自殺した場所は、一度落ちれば二度と浮かんでは来ない場所だからね。警察の動きも鈍いものだった。十師族の七草家を支える雪ノ下家、七宝家、葉山家が警察やマスコミ、教育委員会や文部科学省に圧力をかけていたみたいなのよ】
すみれ【……!!!な、なんのために彼の自殺を隠すつもりなの?彼の家族は、どうして何も抗議しなかったの?】
アリス【彼の家族は、雪ノ下家と取り引きして、八幡君のことに関して抗議をしないと約束してるみたい】
すみれ【……これが…この国の現状……。弱い者が強者に喰われていく…】
すみれは、ぎゅっと握りこぶしを作った。ゴールデンウィークに帝国で出会った彼らは、日本の十師族体制そのものが、強者が弱者を食い物にしていると言っていた。だから自分達が日本を解放すると。
アリス【すみれ…ごめんなさい。私達が力不足なせいで】
すみれ【アリスのせいじゃないわ。この国には、リベールのように…帝国のあのオリヴァルト皇子ように声を上げる人がいないから…】
アリス【そうね…。こんなこと中間テスト前にする話ではなかったね】
すみれ【私、中間テストが終わり次第、平塚春雪君や比企谷八幡君の調査もやっていくわ。もちろん斑目の事も】
アリス【私も手伝うわ】
すみれ【ありがとう、アリス】
アリス【仲間でしょ】
すみれ【うん、ありがとう】
すみれとアリスは、そう決意するのだった。
すみれは、アリスから丸喜が秀尽学園のカウンセリングの教師として赴任することを聞かされた話から、話が発展したわけだが。
すみれは、姿見の鏡で身支度を再度確認してから学校へ行くことに。
すみれ「今は中間テスト中、今は中間テストだけに集中よ」
すみれは、そう言って自宅を出るのだった。
すみれside
ーー1204・5・13・朝・すみれ達の教室
すみれは、色々考えながら学校に登校した。中間テストの事もあるが、アリスから聞いた1年前に自殺した【比企谷八幡】、お助けチャンネルにSOSを出した【平塚春雪】。
気になるものばかりで、中間テストに集中出来ない。
クラスにやって来て、自分の席に座ってもそれは変わらなかった。
クラスの中の雰囲気は、初めての高校での中間テストだから、幾分緊張もあるようだが、それでもピリピリとした雰囲気ではない。近くの男子生徒達は
男子生徒1「中間テスト中に全校集会とかありえなくねぇ」
男子生徒2「そうだな」
男子生徒3「この学校の教師が捕まったんだからしょうがないだろ」
男子生徒1「そうだけどよぉ、何も中間テスト中にやる必要はないだろ…」
男子生徒2「確かにオレもそう思う」
周りの男子生徒達は、中間テスト中に全校集会なんか受けたくはないと言っているようだ。
そんな男子生徒達が騒いでいる中、すみれは、今日あるテスト科目のノートを鞄から取り出し、もう一度復習をやり始める。そんな時
???「すみれ、おはよー」
???「おはよう、すみれ」
すみれ「おはよう、恵梨奈、紗綾」
すみれに話しかけてきた2人は、彼女の親友である。2人共、高校からの友達だが入学式の時、両サイドに座っていた縁で親友となったのだ。
黒髪を茶髪に髪を染めていて、ショートボブの娘が、片岡恵梨奈。彼女は純粋の日本人。中学までは真面目にしていたが、高校からのデビューを果たすため、髪を茶髪に染めた。
もう1人の娘は、綺麗な黒髪のロングヘアーであり、目の瞳がブルーである、鍋島紗綾。彼女は、父である日本人とカルバード人の母を持つハーフである。性格は、真面目のように見えるが、ミーハーである。
恵梨奈「すみれは、真面目にテスト勉強なの?」
すみれ「テスト前の最後の復習かな」
紗綾「テストだけが人生じゃないしね~」
恵梨奈「すみれはともかく、紗綾は、入学式の次の日にあった学力テストで赤点だったんでしょ?中間で赤点取ったらヤバいっしょ」
紗綾「うっ…今から間に合うかなぁ…。すみれ、ちょっと教えてほしいよぉ!」
すみれ「紗綾、別にいいけど…恵梨奈は?」
恵梨奈「私は、昨日勉強してたけど…もう1回復習するわね」
すみれ達は、中間テストの前の最後の復習をやり始めた。
限られた時間で、紗綾に教えたすみれと恵梨奈は、中間テストに挑むことになった。
テストとテストの間の休み時間にすみれのスマホが着信が鳴る。すぐにスマホを取って見る。
丸喜【ごめんね、すみれ君。中間テスト中なのにグループチャットを送って】
すみれ【丸喜先生、秀尽学園のカウンセリングの教師就任おめでとうございます】
丸喜【ありがとう、すみれ君。それで体調の方はどうかな?】
すみれ【体調の方は別に悪くありませんよ。丸喜先生は、秀尽学園の生徒のカウンセリングを?】
丸喜【そうだね、学校側から正式に頼まれたからね】
すみれ【学校側からですか…】
すみれは、ふと考えた。あの校長の話では、鴨志田をあんな風にした生徒達を捜している節がある。カウンセリングというのは、表向きで実際は犯人探しみたいなものだと考えた。
丸喜【すみれ君、何かあるのかい?】
すみれ【…え?】
丸喜【うーん、鴨志田先生の関係者の中にすみれ君の名前もあったからね】
すみれ【……】
丸喜【ごめんね、すみれ君。こんなことテスト前にする話じゃなかったね。チャットで引き留めてごめん。中間テスト頑張ってね。これから毎日…11月まではいるから、いつでも来てくれてもいいから】
丸喜のチャットでのコメントは、ここで終わった。
すみれ「…これから毎日か…。ちょっと今日、行ってみようかな」
すみれは、今日丸喜がいる保健室へ保健室に行ってみることにした。
再びすみれは、テスト前の復習をして、テストに挑むことになった。
ーー1204・5・13・午後・すみれ達の教室→体育館。
中間テストの最中だと言うのに学園の校長が、全校集会を開く事を決めた。生徒達の心のケアと断言しているが、一部の生徒達は学園の面子のためにそんなことをしているとしか思っているのだ。
そんな中、校長の説明がむなしく体育館に響く。
校長「…例の事件以来、みなさんからの不安の声は、私の耳にも届いています。早急にみなさんのメンタル面のケアが必要と感じ、担当の先生に来ていただいた次第です。それでは、先生」
校長に呼ばれて、白衣を着た眼鏡をかけた丸喜がやって来た。女子生徒達の黄色い声援が飛び交い始めた。
丸喜「初めまして…」
黄色い声援で、丸喜の声が聞こえてこない。それだけではなく、どうやらマイクのスイッチも入っていないようで、彼はマイクのスイッチをONにした。
丸喜「僕の名前は、丸喜 拓人と申します。よろしくどうぞ」
頭を下げる位置を間違えたようで、マイクに頭をぶつけ笑いが起きる。すみれもクスッと笑ってしまった。
丸喜「担当はカウンセリングです。堅苦しく構えなくて大丈夫だから。相談ならなんでも…あっ、お金(ミラ)の相談は困るかな」
校長は、無言のまま丸喜をマイクの位置からどける。
校長「ありがとうございました」
校長の話がちょっとあって、全校集会は終わった。
すみれside
ーー1204・5・13・午後・すみれ達の教室。
すみれ達の教室であっても例外ではなかった。女子生徒達の会話の主体は、丸喜の話で持ちっきりである。
まあ一部の男子生徒達の中でも、丸喜の話は出ていた。
担任の鳴沢先生は、生徒達に静かにするように言っている。担任の名前は、鳴沢澪、教師になってから、5年になる。
鳴沢「みなさん、静かにして下さい。帰る時間が遅くなっても良いですか?」
クラスの生徒達は、早く帰りたいからパッと静かになる。
鳴沢「集会で言われた事に補足説明を入れます。丸喜先生のカウンセリングは、今日の放課後から受けることができます。丸喜先生は、11月まで秀尽にいらっしゃいます。絶対にカウンセリングを受けたい人は、早めに受けて下さい」
クラスメイト達は、丸喜のカウンセリングを受けるかどうか、親友同士とかで相談している。
そんな感じで、ホールルームが終わる。
ーー1204・5・13・夕方・放課後・すみれ達の教室。
すみれが帰る支度をしていると、恵梨奈と紗綾がやって来た。
恵梨奈「すみれ、一緒に帰ろうよ」
紗綾「それとも、すみれは、カウンセリングを受けに行くのぉ?」
すみれ「そ、それは…」
恵梨奈「すみれって、丸喜先生みたいなのがタイプなんだ」
すみれ「べ、別にタイプとかじゃ…違うし…」
すみれは、恵梨奈と紗綾に違うと否定する。彼女は、自分の母親と姉を失って、病んでいた時にカウンセリングをやってくれたのが、丸喜だと2人に説明する。
紗綾「でもぉ、それで恋心を抱いてもおかしくはないと思うしぃねぇ」
恵梨奈「だよね~」
すみれ「恵梨奈と紗綾が想像してるみたいなことはないからね!」
そんな話をしながら3人でいたら、鳴沢先生がやって来る。
鳴沢「芳澤さん、貴方はカウンセリングを受けてくださいね。鴨志田先生に関係する生徒は受けさすように学校側からいわれてるのよ」
すみれ「……わかりました…」
恵梨奈「鳴沢先生、カウンセリングって本人の意思次第じゃ?」
鳴沢「私も言われても困るわ。私もそう言ったんだけど…校長の権限で強く言ってくるわ」
紗綾「でもぉ…すみれにしては嬉しい感じでしょ?」
すみれ「な、なぁ!?」
すみれが驚いた声をあげたため鳴沢先生も驚き
鳴沢「えっ!?どうしたの芳澤さん?」
すみれ「い、いやなんでもないので、鳴沢先生、私、丸喜先生にカウンセリングを受けてきます」
すみれは、そう言って保健室の早歩きで向かう。それを見て、恵梨奈と紗綾はニヤニヤしていて、鳴沢はちょっと心配な感じで見ていたのだった。
ーー1204・5・13・夕方・保健室
すみれは、保健室がある特別棟までやって来た。中間テスト中だけあって、特別棟の方は、人が少ない。
保健室の方へ歩いていると、保健室から出てくる女子生徒がいた。
杏「丸喜先生、今日はどうもありがとうございました」
丸喜「どういたしまして、何かあったらいつでも来ていいからね」
杏「はい、それでは失礼します」
杏はそう言って保健室のドアを閉めてから、すみれの方へ歩いていく。杏は、スマホを取り出しながら、すみれの横を通り過ぎて行く。彼女は、遠ざかって行く杏を見ながら
すみれ「彼女は、緋里先輩や雨宮先輩の仲間である高巻杏先輩…彼女は……」
高巻杏、鴨志田に取り入って気に入られていると一時期は噂になっていた。だがそれは、親友を守るためにやっていたのであり、彼女の本心ではなかったのだ。
今では、鴨志田の被害者の1人として認識されている。そんなことを考えながら保健室のドアをたたく。
丸喜「はい、どうぞ」
すみれ「失礼します」
何か作業をしていた丸喜は、すみれの姿を見て作業をやめて
丸喜「すみれ君、来てくれたんだね。どうぞ、そこのソファーに腰かけてくれて構わないから」
すみれ「はい、ありがとうございます」
すみれは、丸喜に言われたとおりにソファーに座る。
丸喜「すみれ君、カウンセリングを受けに来たのかな。それとも…チャットで話していたことかな?」
すみれ「もちろん、両方でお願いします」
丸喜「アハハ、そう来たか。まあ…後者の方は、学校の保健室で話すような内容ではないよね…えっとすみれ君何か飲む?」
すみれ「はい、お構い無く」
丸喜「カルバードからいいコーヒー豆が手に入ったんだ、すみれ君飲むかい?」
すみれ「……はい、コーヒーでしたら…。お言葉に甘えて」
すみれは、丸喜が淹れてくれたブラックコーヒーを飲む。
すみれ「流石、カルバード製のコーヒーですね。とてもコクが深くて、それでいて口の中に広がる味…」
丸喜「すみれ君が気に入ってくれて良かったよ」
すみれ「ありがとうございます」
すみれは、コーヒーが大好きだ。大好きな父と一緒にいることが多かったため、父の大好きなコーヒーもいつの間にか好きになっていたのだ。コーヒーに浸っているすみれに対し丸喜は
丸喜「一応のカウンセリングはやりたいから、すみれ君よろしくね」
すみれ「あ、はい、よろしくお願いします」
すみれは、丸喜にここ最近の話をした。勉強に学校のこと、親友関係などを話したのだ。そして帝国での出来事も。
丸喜「学校、親友、勉強の話はわかったけど、帝国でそんな出来事に遭遇していとはね……。それは危ない橋を渡ってことだよね?」
すみれ「確かに、危険なことにも合いました。でもお助けチャンネルで人助けをすると決意した時から、覚悟は決めています!」
丸喜「………すみれ君」
すみれ「それにあの時は、私の親友のアリス、理さんが一緒にいてくれてたし…」
丸喜「十文字アリスさんね。それはわかるが、理さんとは?」
すみれ「アリスの知り合いの結城理さん」
丸喜「……なるほど」
丸喜は、窓の外を見ながらそう言った。
すみれ「私は、帝国に行って、今の日本の現状を外から見てきました。それでわかった事があります」
丸喜「うーん、すみれ君が話そうとしてる話は保健室でするような内容ではないよね。時間もそろそろだし、続きは…そうだな…」
丸喜は自分の導力腕時計の時間を見て、期限が迫ってる事がわかった。すみれも何となくそれを察し
すみれ「私もまだ中間テストがありますので、続きはテスト明けでも良いですか?」
丸喜「中間テスト明けね。わかった、でもその時は、保健室ではなく、僕の事務所まで来てくれないかな?」
すみれ「事務所って渋谷にあるあの事務所ですよね?」
丸喜「そうだよ」
すみれ「わかりました。テストが終わればすぐに行きますね」
こうして、すみれと丸喜のカウンセリングを兼ねた話は終わった。