アルフィンside
ーー1204・5・21・朝・09:45・カルバード共和国側、ノルド高原・共和国軍基地の近く。
アルフィンは、共和国軍の基地の近くまでやって来た。共和国軍の基地の様子は何ら変わりのない感じのいつもとおりの様子である。
大賢者「告、カルバート共和国軍基地の概要は、兵士の人数は350名、軍用挺20、導力戦車40両、装甲車30両、補給車、3台」
アルフィン「細かく調べてたのですね…。別に基地には用はないのだけど…。わたくしが様子を見ると言ったからですね」
大賢者「了、まあ参考までにマスターは覚えてください」
アルフィン「参考までに、ね……もちろん、向こうからわわたくしを認識出来ないように魔法をかけてますが」
大賢者「解、光を屈折させる魔法…光井家が得意としていた魔法ですか」
アルフィン「そうね。わたくしよりも妹のほのかが得意だったですけどね」
そんな会話をしながらアルフィンは、共和国軍の基地を避けながらクレイユ村方面に歩みを進める。
共和国軍基地を難なく通りすぎるとかなり先にクレイユ村が見えていた。
アルフィン「クレイユ村、わたくしのあの世界のオランダの都市みたいな場所ですわね」
大賢者「了、そうみたいですね」
それを尻目にアルフィンは、クレイユ村の方へ歩き出す。のどかな街道を歩きながらカルバードの春から夏に変わる前の季節を噛み締めながら歩いていた。
クレイユ村は、大変外国人客やカルバード国内に置いても人気の高い観光地でもあり、この時期の観光客も多いのある。
だが、人気が高い分、犯罪もそれだけ増える。カルバード共和国内では、各地に警察署を設けてはいるが、遊撃士の手も借りる必要もある。
クレイユ村に近づくにつれて、観光客がどんどん増えてくるのが、目にわかるように増えている。事件は人間の犯罪だけではない。中には魔物が襲ってくる場合もある。
大賢者「告、この先すぐに観光客を乗せた導力観光バスが魔物に襲撃を受けている模様。マスターどうされますか?」
アルフィン「本来ならカルバードの警察官や遊撃士が対応するのでしょうが、時間が惜しいですね。わたくしが行ってやるしかないですね」
大賢者「了」
アルフィンは、魔物の襲撃を受けている導力観光バスを助けに行くために走ったのだった。
アルフィンside
ーー1204・5・21・朝・10:20・クレイユ村の途中の街道。
観光客を乗せた観光導力バスは、複数の魔物に襲撃され囲まれていた。
運転手「乗客の皆様、落ち着いてください。ただいま遊撃士及び警察に連絡を取りましたので、彼らがすぐに来てくれるでしょう。だからもうしばらくの辛抱を」
乗客1「くそっ、何て日だよ、せっかくの観光だってのに」
乗客2「全くだわ!観光気分に水を指さないでほしいわ!」
乗客3「早く、遊撃士か警察よ、来てくれよ!」
魔物達が今にも観光導力バスを襲いかかろうとしている。運転手も乗客達もダメかと諦めかけた時、颯爽と現れた者がいた。アルフィンである。クラッシュガルムの一匹が観光導力バスに突撃してきたので、アルフィンは回し蹴りでクラッシュガルムを蹴り飛ばした。導力バスの運転手や乗客達は、アルフィンの登場で助かったと安堵する。乗客の1人は、アルフィンのスカートの中身が見えて股間を熱くした。
アルフィン「その観光導力バスには、手を触れさせませんわ!」
大賢者「告、クラッシュガルムは、全部で12体。導力バスを囲むように展開しています」
アルフィン「わかりましたわ。12体ぐらい別に問題はありませんし」
アルフィンは泰斗流の構えをやる。クラッシュガルムもアルフィンを目標に変えた。彼らはアルフィンを最も危険だと判断したからだ。それは間違いではないだろう。だが彼女の回し蹴りからの2連撃の蹴りは、クラッシュガルムも大ダメージを受けて、そのまま動かなくなる。
アルフィンの2連撃、【飛燕連脚】
そんな様子を観光導力バスの中から見ている人物がいた。
???「女の子が戦っているのかな」
その人物は、クレイユ村を観光するような感じはしない。何か目的があるようには見えない。流れ者って感じである。
???「あの彼女が戦ってるみたいだし、加勢に行くまでもないか」
その人物は、アルフィンが戦っているのを眺めているだけであった。
アルフィン「はぁ~踵落としですわ!」
クラッシュガルムの脳天に踵落としをヒットさせそのまま倒した。残り10体。
アルフィン「チマチマ戦ってる場合じゃありませんわ!」
アルフィンは、拳を構えて数体のクラッシュガルムに向かって放つ。
アルフィン「衝撃波!」
衝撃波を受けた数体のクラッシュガルムは吹き飛ばされてそのまま倒れる。
アルフィン「まだまだよ、ファイアーボール!」
火炎の玉を数体のクラッシュガルムへ投げ込む。火炎の玉を受けたクラッシュガルムは、炎に焼かれながらそのまま消し炭になってしまう。残り4体。
大賢者「問、あと4体残ってますが、一気に片付けますか?」
アルフィン「あまり派手なやり方で目立ちたくはないですし、地味かつスピーディーに片付けましょう!」
大賢者「了、地味かつスピーディーですね…。わかりました」
大賢者は、アルフィンに対して、加速魔法を掛け、彼女自身は走り出して、空高く舞い上がり
アルフィン「ドラグナーハザード!!!」
アルフィンは、火龍の如く4体のクラッシュガルムに命中させた。4体のクラッシュガルムは燃えながら力尽きた。
こうして観光導力バスを襲撃をした12体のクラッシュガルムはアルフィンによって倒されたのであった。
アルフィンside
ーー1204・5・21・昼前・10:45・クレイユ村に通じる街道の途中にて。
アルフィンによってクラッシュガルムによる観光導力バスの襲撃は阻止された。その後、遊撃士やカルバード警察のクレイユ村駐在所からの警察官がやってきて、事情聴取が行われていた。
アルフィン自身は、あまり関わりたくないので、おさらばしたかったが、観光導力バスの運転手や観光客の方々からお礼を言われて、立ち去るわけにもいかなかった。
大賢者「問、このまま、事情聴取を受けるおつもりですか?」
アルフィン「まあ、仕方がないでしょう。今さら立ち去るわけにもいかないですし」
大賢者「解、万が一のために、マスターの…アルフィン・レンハイムの身分証明書を作っておきましたので、ご安心を」
アルフィン「大賢者、ありがとうございます」
アルフィンが確認すると、ちゃんと身分証明書は彼女の鞄の中にちゃんとしまわれている。
大賢者「了」
遊撃士の方々や警察官達は乗客や観光導力バスの運転手から話を一通り聞き終えるとアルフィンの元へやって来る。
警察官「それで、貴女がクラッシュガルムを1人で片付けたんですね」
アルフィン「はい」
警察官「失礼ですが、お名前と身分証明書などを提示して下さい」
アルフィン「わかりましたわ。わたくしの名前はアルフィン・レンハイム。身分証明書はこれですわ」
アルフィンは身分証明書を警察官に見せる。
警察官「……はい、帝国からの旅行ですか。……失礼ですが共和国には、どちらから入国されましたか?」
アルフィンは、心臓がドキッとしてしまう。どこから入国されたと聞かれて、ビックリしてしまう。実は密入国してきましたとは、言えない。大賢者に助けを求めようとしたら、観光客の中から助け船が出される。その人物は、スーツ姿だが、スーツを左肩に下げている。堂島さんがやっているような感じ。
???「彼女は、俺の知り合いだ。ちゃんと入国は、“ノルド側からの入国を許可”されている」
警察官「貴方は、真田情報分析官!」
真田明彦、CIDの情報分析官である。かつて日本で世界の命運をかけて戦った仲間でもあり、理の学校の先輩でもある。高校卒業後、カルバードの大学に進学した。修行や大学在籍中にCIDからの勧誘を受け情報分析室へ配属される。卒業後もめきめきと頭角を表しロックスミス大統領から情報分析室の分析官として任命された。
明彦「彼女の身分はこの俺が保証する」
警察官「真田情報分析官のお知り合いとは、いざ知らず大変失礼しました」
明彦「この場は、俺が引き継ぐ。貴殿達は、クレイユ村周辺の警戒を引き続き行ってくれ!」
警察官「わ、わかりました!」
警察官達は、明彦にそう言われると、クレイユ村の方へ向かって行った。
アルフィン「…ふっ、助かりましたわ。明彦さん」
明彦「全くの皇女様だよ。まさか、ノルド方面からの密入国とはな…」
アルフィン「わ、わかってらっしゃいました?」
アルフィンは、小悪魔な表情を浮かべながら明彦に言う。
明彦「当たり前です。俺は実はカルバード側のノルド高原にいたのだからな。まあ帝国側の監視塔なんかを見ていたからな」
アルフィン「帝国側の監視塔を見張ってたんですの?」
明彦「まあな。その時にお前さんがこちらにやって来るのが見えたからな」
アルフィン「……わたくし、密入国したってことに……」
明彦「安心しろ、ちゃんとカルバード共和国に正式入国したことにしてあるからな。まあ、前に話した後にお前さんが、いつ来ても良いように俺が根回ししたんだが」
アルフィン「明彦さん、ありがとうございます!」
明彦「まあ、お前さんが密入国までしてやって来たのは、例の斑目の件か?」
アルフィン「ええ、その件ですわ」
明彦「ったく…仕方がないな。ここではなんだが、クレイユ村まで行くぞ。そこの宿で話すとしよう」
アルフィン「わかりましたわ」
アルフィンと明彦は、クレイユ村で続きを話すことにした。
そんな2人を遠目で見ている人物がいた。先程の観光導力バスに乗っていた人物である。
???「へぇー彼は…カルバードのCIDの人間で、彼女は帝国の皇女様なのか…」
口元はニヤニヤとしているが、目が全く笑っておらず冷徹な瞳をしているその人物は、アルフィンと明彦が彼の導力車に向かって乗り込むのを見ている。
???「まあ、今は別にどうでもいいし。いずれは刃を交える時がくるから、それまでの楽しみにしてようか」
???は、そう言うと首都イーディスへ向かう臨時導力バスに乗り込んだのだった。