【凍結】帝国の緋き皇女の軌跡~七の絆と奇蹟~   作:龍造寺

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アルフィン編10話です。


10ー10ー5・22(13:45~)ー斑目一流斎。

アルフィンside

 

ーー1204・5・22・昼過ぎ・13:45・ゴールド・マウンテン社共和国支部内

 

ヴァンとアルフィンは、ダクト内を移動し共和国支部の一般向けのエリアに出てきた。ここは一般向けの場所なので、一般の見学者も来ている。

 

アルフィン「ここは、一般向けのエリアですわね」

 

ヴァン「企業紹介の場所だな。まあ、こんなとこに斑目の証拠があるわけないか」

 

アルフィンとヴァンは、共和国支部の一般エリアをキョロキョロ見ていると、斑目一流斎の絵が飾られていた。その絵には、日本の巨匠斑目一流斎の【愚かさと黄昏】という絵だと紹介文が書かれていた。

 

どうやらこの絵は、ゴールド・マウンテン社共和国支部が購入したと書かれていた。

 

アルフィン「……斑目一流斎が、ゴールド・マウンテン社を騙して購入させたとかでしょうか?」

 

ヴァン「…支部長クラスの人間が、そう簡単に騙されるか?目利きなんかあるだろう」

 

アルフィン「確かに…ですが、斑目一流斎は、カルバードの賞をもらってますわ。それで先入観が働いて、目利きなんかを狂わせるのでは?」

 

ヴァン「…確かにそれもあるだろうが…」

 

アルフィン「ヴァンさん、ちょっと待ってください」

 

アルフィンは、自身と眼で何かを見ている。

 

 

大賢者【告、この絵は、斑目一流斎画伯が描いてはいませんね。おそらく破門にした弟子の1人だと考えられます】

 

アルフィン【「やっぱりね~わたくしの眼にも弟子の1人の魂の炎が見えましたし」】

 

大賢者【「解、魂の炎…マスターにはそう見えたのですか。私は、この絵を描いた本人が見えました」】

 

アルフィン【「大賢者は、描いた本人さんが見えたのですね】」

 

大賢者【「解、破門した弟子、日本人の前田 知憲さんと言う方ですね…」】

 

アルフィン【「前田知憲さんですか。この前田さんは、日本人なの?」】

 

大賢者【「解、日本人だったようですね」】

 

大賢者の日本人だったの部分に疑問を持ったアルフィン。当然、そのことについて聞いてみる。

 

アルフィン【「日本人だったって過去形みたいだけど、今は違うのかしら?」】

 

大賢者【「解、前田知憲氏は、斑目に破門され、美術会に怨みを持ちながらしばらく生きていたようです」】

 

アルフィン【「怨みを抱きながら生きていく…斑目の仕打ちならば、致し方ないですわよね」】

 

大賢者【「解、怨みつらみが、日本人でいることをやめ、猟兵へと転職したようです」】

 

アルフィン【「猟兵にですか……。さぞ斑目一流斎に夢を潰されたことは、彼は絶望したのでしょうね…。前田さんの所属する猟兵団まではわかりませんよね?」】

 

大賢者【「解、そこまでは、わからないですね。それとマスターはお気づきですか?」】

 

アルフィン【「調べるしかなさそうですわね。それと大賢者、わたくしも気づいてますわ」】

 

 

大賢者とアルフィンが一通りのやり取りを終えると、ヴァンが話しかけてきた。アルフィンと大賢者の最後の問は、後からわかることになる。

 

ヴァン「アルフィン、何か分かったのか?」

 

アルフィン「ええ、あまり大きい声では言えませんが、この絵は斑目一流斎の絵ではありませんわ」

 

ヴァン「ほぉう…。俺は斑目の絵を見たことがなかったが、この絵から何か匂うな」

 

アルフィン「ヴァンさんの第6感の匂い…前田さんの居場所までわかれば、良いのですが」

 

アルフィンが困り顔でヴァンを見ている。

 

ヴァン「居場所までわかるか、って前田って誰だ?」

 

アルフィン「前田さんとは、この絵を本当に描かれた方ですわね。斑目にこの絵を奪われた被害者ですわね」

 

ヴァン「お前さんの眼には、そんなこともわかるのかよ」

 

アルフィン「まあ、ある程度ですけどね。それよりこれからどうしますか?」

 

ヴァン「どうするって、この共和国支部の悪態を調べるために来たんじゃないのか?」

 

アルフィン「ええ、もちろんですわ。ただ忍び込んだのは、わたくし達だけではないみたいですわ」

 

ヴァン「なんだと…」

 

ヴァンはあたりを見渡す。そして自身の十八番の匂いにも反応する。

 

ヴァン「確かに俺達以外で侵入者がいるようだな」

 

アルフィン「これは好都合かもしれませんわ。別の侵入者さんがうまく警備員の方々を引き付けてくれれば、共和国支部の機密情報を入手できるかもしれませんわ!」

 

ヴァン「そう上手くいくものか、疑問は残るが…こっちはこっちで動くとしようか」

 

アルフィン「そうですわね」

 

アルフィンとヴァンは、社員達の行動を把握しつつ内部の方へ侵入し始めた。

 

 

 

アルフィンside内

 

吹寄制理side

 

ーー1204・5・22・昼過ぎ・14:00・駅前通り・遊撃士協会イーディス支部

 

カルバードの首都イーディスの駅前通りの一角にある遊撃士協会イーディス支部。周りには若者向けの店やショッピングモールなどがある。

 

街には、ちゃんとカルバード警察の警官達がパトロールしていて治安も良い。それでも遊撃士を出動させる事案は減らないのも事実である。

 

そんな遊撃士イーディス支部の中に学生らしき女子がいる。アラミスの制服に包まれた黒髪ロングの女の子が支部内の掃除等をしていた。

 

彼女の名前は、日本名は吹寄制理。カルバード名では、セイリ・フキヨセ。アラミスの2年生で生徒会長でもある。なぜ学生である制理が支部で働いているのは、自身の将来のためである。彼女も実は遊撃士でもある。まだみらないではあるが。

 

そんな制理が憧れるのは、アラミスの先輩であるとある人物であるのだが、その人物が巡回から支部へ帰ってきた。

 

制理「お疲れ様です、エレイン先輩!」

 

エレイン・オークレール。彼女は、アラミスの先輩でもあり遊撃士の先輩でもある。彼女は、この間C級からB級にランクが上がったのだ。もちろん生徒会長でもあったのだ。

 

エレイン「制理、ありがとう。貴女も学校が忙しいのに支部のお手伝いをさせてごめんなさいね」

 

制理「学校の方は、理解のある副会長に頼んでますから。私も自分の出来る範囲の仕事はやって来ましたので」

 

エレイン「制理、無理は禁物よ。困ったことがあれば、私に言いなさい。できる範囲で協力してあげるから」

 

制理「ありがとうございます」

 

制理は、支部内のお掃除していて、綺麗にしている。本来なら遊撃士の数名は待機組もいるのだが、遊撃士の案件がここ最近増えている。支部最強と言われているジンもとある案件で不在となっている。他の遊撃士も依頼をこなすために出かけている。だから制理が受け付けもやっているのだ。ちなみに午前中は、別の受け付けがいたのだが、制理と交代し今は食事休憩に入っている。

 

エレイン「3月にクロスベル騒乱が起きてから、西ゼムリア全体が不安定になってるわね」

 

制理「その煽りを受けて共和国も軍備拡大路線を取りつつありますし、帝国も軍拡してますしね」

 

エレイン「はぁ~、お互いに戦力拡大するためにクロスベル騒乱を利用してるだけ。全く腹正しいだけね」

 

制理「共和国の移民推進派と反移民派の対立、帝国では、貴族派と革新派の対立…でしたよね…」

 

エレイン「そうね、そこに付け足すなら、クロスベルに利権を持つ連中…共和国も帝国も両方にいると言った方がいいかな…。それと…」

 

エレインは深く考え始めた。そうアルフィンと明彦が関わったクレイユ村の事件の事を考えている。支部の同性の先輩のゆかりがクレイユ村に訪れていることは、ゆかり自身や警察から聞いている。B級に成り立ての自分には、身が重いかも知れないとわかってはいるが、新人時代からお世話になったお礼も兼ねて力になりたいとも思っている。

 

制理「エレイン先輩、クレイユ村の事件が気になるんですよね?」

 

エレイン「ええ、クレイユ村は、私が新人時代にお世話になった村なの。だから今回の件、余計に自分のことのように思ってしまうものよ」

 

制理「私もそう思います。新人からほとんど変わらない私もクレイユ村は、とても良かったですしね。何だか故郷に似てるなって思いましたし」

 

エレイン「制理、貴女の故郷は、東ゼムリアの日本よね?」

 

制理「ええ、お母さんは、日系のカルバード人で、お父さんは純粋の日本人です。でも両親は離婚して、私はお母さんと一緒にカルバードへやって来ました。国籍も日本からカルバードへ変更しましたけどね」

 

エレイン「ごめんなさい、聞いてはいけない話だったかしら?」

 

制理「エレイン先輩、全然そんなことないですから。今はプライベートも学業も充実してますし、昔のことは気にならないですから」

 

エレイン「強いわね、制理は」

 

制理「先輩……!私こそごめんなさい。先輩はお父さんとは…」

 

エレイン「制理、私は大丈夫。私は私、お父さんはお父さんだから」

 

エレインは、そう言って奥の方へ行ってしまった。口ではそう言っていてもまだまだ彼女が乗り越えていないことは、制理にもわかってしまう。だからこそ力になりたいのだ。だが今の彼女には、力になれるほどの力がまだ備わっていない。

 

制理「私にもっと力があれば…」

 

握りこぶしを作って歯痒い気持ちでいっぱいであった。そんな制理も共和国や帝国の激動の流れに巻き込まれることになっていく。

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