プロローグ
人の気配が感じられない真夜中の摩天楼。長い白銀のポニーテールを振りながら僕は左手に持つ自分の身長くらいの大きさの白銀の大剣で獣と人間を足した様な「何か」の胴を引き裂く。それから噴き出した血は、近くに置いてある店の看板を赤く染めた。
僕が切り裂いた「何か」とは妖怪である。人の恐怖から生まれ、人を襲うもの……それが妖怪。かと言う僕も妖怪であるが、詳しく言えばまた少し違う。では、何故同じ妖怪を僕は殺したのだろうか?
分からない。だけどまだ目の前にそびえ立つ狼人間のような姿の5匹の妖怪を殺さなければいけないと本能が叫んでいる。
僕は先ほど斬り裂いた地面に転がる死体を上空に向けて蹴り上げた。すると妖怪達は身構えながら宙に浮かぶ死体を見て警戒していた。
「そう、それで良い」
目線が僕に向いていない一瞬で一番左にいる妖怪の懐に潜り込み、首を切り落とす。その首が地面に落ちる頃には横にいた妖怪の背後に回り込み、胴体に剣を突き刺していた。そこまでしてやっと他の3匹は僕に気がついたのか、おぞましい牙を剥き出して僕に向かって飛びかかってきた。急いで死体を蹴る事で剣を引き抜き、3m程バク転をしながら後ろに飛び引くとちょうど服が展示されているガラス窓の目の前に着地する。すると妖怪達は再度僕を目掛けて飛びかかる。
「 本当に知能が低い奴らだね」
僕は自分の身体の中に眠る妖力で身体能力を強化し、3匹の背後に目にも留まらぬ速さで回り込み、後ろから一発ずつ蹴りを放った。何故いちいち背後に回り込むのか?ただ単に格好良いから。それだけだ。
蹴られた3匹はガラス窓を突き破り、店の中で悶え苦しんでいた。僕はそれをしっかり確認してから剣を両手で持ち、それの周りに妖力を纏わせて巨大な青紫色の刃を作り上げる。そして僕は建物を支える柱を全て斬る為に、それを横一閃した。支える柱が無くなってしまった建物は崩れていく。店の中にいる妖怪を下敷きにしながら。
僕は気がつくと建物が崩れていく光景を見て涙を流していた。初めて娘に服を買ってあげた店だと思い出したからだ。自分の思い出を自分で壊す。それが何故かとても悲しい。僕は涙を堪える為に空を見上げると、そこには綺麗な満月が浮かんでいる。
「今日は満月か……そうだ月だ」
月を見て僕は月へ向かう為の方舟に乗っている人を狙いに来た妖怪達を殺していたと言う事をふと思い出す。しばらくぼーっと月を眺めていると背後から何かが羽ばたく音がした。近くにあった自動販売機の影に隠れて顔を少しだけ出して見ると、翼を生やした蝙蝠の様な妖怪が4匹程空を飛んでいた。血肉が飛び散る悲惨な状況をキョロキョロと見回しているところを見ると、幸い僕の存在にはまだ気がついていなかった様だ。
妖怪達は少し高いところで飛んでいるのであれを全て切り落とすにはビルの壁を蹴って少しずつ上に上がっていくしか無い。しかも一回で仕留め切れなかったら痛い反撃をもらう。そこで僕は一つ安全な策を思いつく。左手に持つ剣を地面に突き刺し目を閉じてから両腕を前に突き出して拳銃の構造を頭の中で想像して、それを妖力で表現するイメージをして目を開けると、二丁の銃が自分の手の中にあった。僕は何も無い手のひらから生まれた白銀の二丁の拳銃のグリップを握り、物陰から出て銃口を上空に向けて、連射した。狙って撃つなんて事はこの拳銃ではできないし、僕の技術でも無理だ。だから乱れ撃つ。因みに撃っているのは普通の弾ではなく僕の妖力なので、妖力が尽きなければ弾切れすら存在しない。
10秒間程連射すると4匹の妖怪は地面に落ちてきた。数撃ちゃ当たるとはまさにこの事かと心の中で苦笑する。僕は自分の能力を使い、この街全ての音が聞こえるようにする。
「……どうやらもう妖怪はいないみたいだね 」
拳銃を投げ捨ててから地面に刺した剣を引き抜き、腰に巻きつけているベルトにそれを引っ掛けて歩き始める。歩きながら周りを眺めていると、道は妖怪の死体で埋まり、ビルの壁には大量の血が飛び散っていた。これを全て自分でやった、とは俄かには信じ難い。実はまともな判断ができるようになったのは、ほんの数分前なのだ。それより前に自分が何をしていたのかはよく覚えていない。商店街をテクテク歩いていると箱舟が全て発射されてから数十分後に核を使うと言う重大な事を思い出す。僕は人気の無い寂しい商店街の通りを走り始めた。
◇
1分程全力で走ると片付けが全くされていない汚い研究室に到着した。数多く並んでいる本棚の一つを動かし、電子ロックがかけられた扉を見つける。能力を切らずにしていたので何かが落ちる音が聞こえていた為、核は既に投下されていると言う事は何と無く想像していた。僕は間違えない様にゆっくりと扉を開く為の4桁の数字、「8556」と入力するとパスワードを受け付けた扉のロックは解除された。僕は急いでその部屋……核シェルターの中に入った。急いで扉を閉じた後、目を瞑りながら壁に手を当てる。
「……これである程度揺れを抑えられるかな」
壁に寄りかかりながら時が過ぎるのを待った。数分後、核は地上で爆発した。ある程度の衝撃を無くすようにしたけれど、流石に全て無くす様なことは出来なかったようだ。揺れを感じながら僕は改めてシェルターの中をぱっと見渡す。
「……冷蔵庫と机と変なカプセルしかないじゃないか」
このカプセルは何だろう?と思っていると、机の上に何かぎっしりと文字が書いてある紙束があることに気がついた。僕は紙束に書いてある事をパッと目を通す。内容を要約すると、核を使った事により地上は大気が汚染されてしまっているらしい。また、問題なく人が住む事ができる状態に戻るのに何千年もかかる様だ。そこでこの謎のカプセルが役に立つ。なんとコールドスリープの状態にしてくれるようだ。
つまり、今の僕に残された道はコールドスリープをするか死ぬかしか無い。僕は剣を壁に立て掛けてから血まみれになったジャケットを脱ぎ捨て、髪を結んでいたゴムを外し、下着姿でカプセルの中に入る。すると少し眠くなってきた為、ウトウトする。遠退いていく意識の中、何故か最愛の三人の姿が見えた気がした。
「思ってた以上に一人って寂しいね……咲夜……輝夜……永琳」
そう呟いて僕、「美音 文夜」は眠りについた。
〜とある大学の研究室〜
蓮「こんにちは!私の名前は宇佐美蓮子!」
メ「私はマエリベリーハーンよ。気軽にメリーって呼んでちょうだい」
蓮「ねえメリー。このコーナーは何なの?」
メ「ここは作者が本文中に入れられなかった説明などを私がするコーナーよ」
蓮「ふむふむ……なるほど」
メ「あっ、あと質問などが来たらそれに応えるコーナーでもあるのよ」
蓮「ところでなんでメリーが作者にしかわからない事を知っているのよ」
メ「何と無く感じるのよ」
蓮「うわっ!メリーが電波ちゃんキャラを確立しようと必死だ!」
メ「そんな事はどうでも良いのよ。とりあえず今日はもう帰りましょう」
蓮「そうね。今日は特に質問も無いし……一緒に一杯どう?」
メ「じゃあ駅の近くの焼き鳥屋でどうかしら?」
蓮「私はレバーとビール頼もうかしら」
メ「レバーとはなかなか渋いわね。私はもも辺りにしようかしら」
蓮「じゃあ早速行きましょう!」
メ「ええ!」
こんばんは!
内容はあまり変わらず、地の文をより細かくしてみたのですが…どうでしょうか?
全く変わってねえ!見にくい!などあったらビシバシ言ってくださると嬉しいです!
では…次回もみてください!