東方 過去と未来のシンフォニア   作:ももんがぴょん

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10話 「例え死んで転生したとしても変えません!」

「今回は何があるの?」

 

「大漁でしたよ?ふっふっふ……」

 

 暗い路地裏には黒いフードを被っているせいで顔が見えない女性とワイシャツにスカート、黒髪のショートヘアーであり紐でカメラを首にぶら下げ肩下げのバッグを身に纏い不適に笑う女性がいる。

 

「とりあえずこれがリストです」

 

 黒髪の女性は一枚の用紙を手渡す。フードの女性はそれを受け取り、うめき声を上げる。

 

「前より高いじゃない」

 

「高いのにも理由があるのですよー?」

 

 カメラの女性はちっちっちと言いながら人差し指を振る。フードの女性は舌打ちをしながらも用紙に書かれているリストを最後まで見る。

 

「このエクストラって?」

 

「今回は三つ以上買っていただけるとおまけで付けちゃうものです。ちょっと過激な物なのであまりオススメはできませんねー」

 

  ある一箇所を指差しながら質問をしたフードの女性は何を想像したのか鼻血を出す。

 

「じゃあこれとこれとこれとエクストラを頂戴」

 

 ポケットからティッシュを取り出して鼻に詰めながらお金を渡す。カメラの女性はお金を受け取るとバッグの中に手を入れてゴソゴソと作業をする。

 

「じゃあこれがお品物です!」

 

「何時もありがとね」

 

 カメラの女性は封筒をバッグの中から取り出し両手で持って差し出すと、フードの女性はそれを受け取って頭を下げる。

 

「お金になる事なら身売りだってやってのける!それがこの私、射命丸文ですから!」

 

 そう言うと文は身体に風を纏い空へ飛んでいく。フードの女性は路地裏から出る前にフードを脱ぎ、バッグにしまう。フードの女性……咲奈は興奮したように封筒を開けて中に入っている四枚の写真を取り出し発狂する。

 

「こ、こんな隊長見たことない!」

 

 咲奈が発狂しながら見ている写真には机に突っ伏して三本の白銀の尻尾を揺らしながら気持ち良さそうに寝ている文夜の姿があった。

 

「あーもふもふしたい!えっと次のは……にゃぁぁ!?」

 

 身体をくねくねしながら次の写真を見た咲奈はジャンプして発狂する。そこには日向ぼっこをした後なのか自分の尻尾を抱き締めて顔を埋めている文夜が写っている。

 

「つ、次が最後の……」

 

 鼻息を荒くした咲奈の鼻に詰めていたティッシュは空を舞い赤い液体が宙を飛ぶ。最後の写真には白衣姿の文夜が傘を持って子供の様に大きな水溜りにジャンプして足から飛び込もうとしている姿が写っている。とても大人の男性がするような物ではない無邪気な笑顔。それが咲奈の理性を崩壊させた。

 

「エクスタシー!こんなお宝手に入るなんて思わなかった!」

 

 甲高い声でキャーと叫ぶ咲奈は最後の一枚の存在を思い出す。その一枚は赤い封筒の中に入っている。そこには「とても過激な物ですが、射命丸文は一切責任は取りません」と書かれている。この時の咲奈は有頂天であった。全てをポジティブに受け止めた彼女は封筒を開ける。中にある写真を見た彼女は悲鳴を上げ、それを投げ捨てその場から逃げるように走る。

 ヒラヒラと落ちるその写真にはたった一人の銀髪で三つ編みの女性が写っていた。今にも見ている人物を呪い殺せそうな目で両手で持つ白銀の大剣で襲いかかろうとしている生々しい姿が。

 

 

 

 

「こんにちは文夜さん!取材しても良いですか?」

 

 白衣姿の僕が提出用の書類をホルダーの作戦会議室で書いていると、何時も僕に付きまとっている文とか言う記者がドアを蹴破って入ってきた。

 

「とりあえずそのドア壊れるから次からはやさーしく入ってきてね?」

 

「あやや……それは謝らなければなりませんね」

 

 僕は苦笑いをしながら妖力でどこにでもあるパイプ椅子を文の目の前に作り出す。文は頭を下げて謝りながらパイプ椅子に座るとメモ帳とペンを取り出す。

 

「それで取材良いですか?」

 

「答えるだけだったらいいよ」

 

 僕は書類を書くのをやめて文の方に身体を向ける。文は嬉しそうにペンで書く準備をしている。

 

「じゃあまず……隊長の尻尾を触りたいお同好会って知ってますか?」

 

 それを聞いた僕は椅子から転げ落ちた。一体何なのだそれはと心の中で突っ込む。

 

「その様子だと知らない様ですね」

 

「その同好会ってなんなの?」

 

 メモ帳にスラスラ何かを書く文に質問をする。文は開いているページを変える。

 

「えーっと……文夜さんがホルダーの隊長になってから二週間後に設立された同好会です。設立者は咲奈さん。最初はホルダー内のメンバーだけだったのですが、私が噂を広めたおかげで規模は大きくなっていき今ではこの軍の九割の人が加入しています」

 

 文はスラスラとメモ帳に書かれている事を読み上げる。通りでちょっと他の部隊の隊長に挨拶しにいく度に視線を感じる訳だ。けれど自分の悪口を言われているのかと思っていたがそんな事は無かったようだ。それはそれで受け入れてもらえている様で嬉しい。

 

「主な活動内容は文夜さんの尻尾をもふもふする為にはどうすればいいのかを研究するって感じです。まあ今ではほとんど文夜さんのファンクラブになっちゃってますけど」

 

 文は苦笑をしながらメモ帳のページを変える。しかしなぜ直接僕に頼まないのだろうか?気軽に声をかけてくれれば幾らでも触らせてあげると言うのに。

 

「その顔……まさか文夜さんは気軽に頼めば良いじゃないかと思っていませんか?」

 

 文はペン先を僕の顔に向けながら目を細める。自分の心の中を読まれた様でビクッとしてしまう。

 

「甘いですよ!ジャンボチョコバナナパフェよりも甘い!」

 

 文は興奮してパイプ椅子から立ち上がったが、突然ハッとなって椅子に座る。

 

「少し取り乱しました。これ以上余計な事を話せば私の存在は消されていましたね」

 

 文は遠い目をしながら何かを思い出しているようだ。一体僕が知らないところで僕の身の回りでは何が起こっているのであろうか?

 

「ちょっと話を戻しますね。文夜さんはこの様な同好会があると言うことを知ってどう思いましたか?」

 

「どんな形であれ、嫌われてきた僕が人に受け入れてもらえている。その事がとても嬉しいって思ったよ」

 

 ニコニコしながら質問する文に僕はニコニコしながら答えると文は満足そうにペンを走らせる。

 

「じゃあ次の質問です!この椅子は何処から出したのですか?」

 

 文は一度メモ帳とペンを床に置いて立ち上がり、パイプ椅子を折り畳む。それを両手で持って僕に見せつけながら質問する。

 

「それは妖怪だけが持ってる妖力って力で作っているんだ」

 

「妖力……ですか」

 

 文は関心するようにコンコンとパイプ椅子を叩いている。

 

「まるで本物みたいですよ。あの特有の薄っすら感じる冷たさとか感じられますし」

 

「今はこうしてちゃんと再現できてるけど100年前は色も青紫色しか再現できなくて……」

 

 僕は一昔前の事を思い出す。妖力が増えて隊長を任せられたあの日からただ妖力の研究をしてきた。日常で使うもの全てを自分の妖力で作ったものにするなど結構な無茶をしてきた。しかしそのおかげか、生き物以外で僕が知っている物体ならば多分ほぼ完璧に再現することができるようになった。しかも妖力を使って少し面白い事もできるようになった。

 

「あーその辺で終わって良いですよ。書くの面倒くさいので」

 

 昔を懐かしみながらブツブツと語る僕を文は止める。彼女の書く新聞をたまに読むが、半分以上憶測や噂で成り立っているので確定した情報を多く得るのはあまり好きではないのかもしれない。

 

「じゃあ最後の質問です。しかし最初に言っておきます。これは私の個人的な質問であって仕事には全く関係ありませんけど大丈夫ですか?」

 

「うん。全然良いよ」

 

 個人的な質問とは一体何なのだろうか?僕には全く想像がつかない。しかし文はニコニコしているのでとて変な質問だろうと僕は考えていた。

 

「では……幼い文夜さんと幼馴染の永琳さんの噂が街全体に広まったのは私が書いた記事のせいですが、これを聞いてどう思いましたか?」

 

 ニコニコする文からの質問は僕の想像を遥かに超えていた。薄っすらとおかしいと思っていた僕と永琳の噂の広がり方。近所の人に噂されるくらいなら普通だと思うが、街全体の人がその噂を知ることなんてありえるだろうか?つまり、母さんが倒れた時に永琳が怖い思いをしたのはこの女性のせいなのか?立ち上がって壁に立てかけてあるアヴァランチで斬り裂いてやろうと思ったがその怒りもすぐに引いた。

 

「別になんとも思わない。君は記者でしょ?なら記事になるような事を取材しただけじゃないか」

 

「しかし私は貴方達二人の人生を狂わせたと言っても過言では無いのですよ?」

 

「それでも。僕は街の人全員に影響を与える記事を書ける君をすごいと思うだけだよ。それに嫌われていたおかげで得た物だってあるし」

 

「あややや……煽って文夜さんの怒った顔の写真を撮って帰ろうと思っていましたけどなんだか褒められちゃいました」

 

 僕は初めて永琳にキスをした時の事を思い出して微笑みながら頬をかいていると、文は顔を赤くしながら頬に手を添えてくねくねしている。

 

「私は面白そうだと思った事は記事にする、と言う方針は例え死んで転生したとしても変えません!文夜さんのおかげで決めました!!」

 

 文はまるで瞳に炎が映っているかのように目をギラギラさせている。恐らく彼女は面白くてお金になることならば良いのだろう。そのちょっと変わった感性で書く記事だからこそ人々はその記事に惹かれるのかもしれない。

 

「それでは取材のご協力ありがとうございました!」

 

 文が一礼して部屋から出ようとすると僕の右手首につけている腕時計のような形をしている電子端末から着信音にしていない音が鳴る。電子端末の画面を見るとそれは緊急時に使われる回線からの着信だと気がつく。僕は画面に表示されている物を指でスライドして通話に出る。文は何が起こっているのか分かっていなく、興味深そうに僕を見ている。

 

「隊長!よ、妖怪の群れが突然街に!」

 

 電子端末からは街と外の世界を隔てる壁の警備をしている僕の部下の声が聞こえる。

 

「今どんな感じなの?明確に教えてくれると嬉しいな」

 

 僕は白衣を脱いで椅子の背もたれにかけている黒いジャケットを着る。そして壁に立てかけてある剣を背負う。

 

「現在、その場にいる兵だけで交戦中ですがあまりに数が多いので……!!」

 

「なら一旦下がって良いよ。そして街の人を安全なところに避難させて」

 

「ではこの妖怪達はどうすれば良いのですか!」

 

「僕一人で片付ける」

 

「一人で片付けるって……すごい事しようとしますね」

 

  僕はそれだけ言って通話を切って部屋から出る。文は僕の横で写真で撮っているけれどそれにツッコミを入れる余裕が無い。僕は次に別の部隊の隊長に連絡を取る。建物の外に出る頃には指示が終わり、街にもサイレンが流れていた。

 

「文はここで残っていて。危ないよ」

 

「それでも私はついて行きますよ!良い取材のネタになりますし!」

 

 文はカメラを片手に敬礼をしている。恐らく言っても聞かないだろう。僕はため息をつきながらも全速力で走り始める。文は身体に風を纏い空を飛びながら僕についてくる。

 

 しばらく走ると、僕があんな命令を出したせいで街の中に入ってきた妖怪が民間人を襲おうとしているが、兵が必死に対抗しているところに出くわす。僕は走る速度を維持しながら背負っている剣を左手で持ち、右手に妖力でロングソードを作る。

 

「敵は14……いける!」

 

 僕は武器を持った状態でハンドスプリングをして兵を退け民間人に襲いかかろうとしている妖怪に近づく。僕は着地するのと同時に左手に持つ剣を振り下ろして妖怪を縦に真っ二つにする。その後、民間人を守るように妖力で透明なバリケードを作る。

 

「文夜さん後ろ!」

 

 上空から文の声が響く。僕は右手に持つ剣を逆手に持ち、後ろに向かって突き刺す。振り返るとロングソードが胸に刺さった妖怪の姿があった。その剣を引き抜き次にブーメランを投げる用量でロングソードを投げる。それは多くの妖怪の身体を引き裂いて飛ぶ。しかし途中で軌道がずれて兵に当たりそうになったのでその剣を消す。僕は大きな声で謝って最後の一匹を左手に持つ剣で引き裂く。その場にもう妖怪がいないのを確認してまた走り出す。僕は振動を操る能力を使ってこの街で起こっている事が全て聞こえるようにしてある。音を聞く限り苦戦しているであろう場所に僕は向かう。

 

 

 

 

「これで終わり!」

 

 僕はアヴァランチを両手で持ち、3m程の妖力の刃をつけ、その場で一回転して振り回す。その刃は僕の周りを囲んでいた妖怪達の胴体を切り裂く。

 

「パッと見てきましたけどもう妖怪はいないみたいですよ!」

 

 文は空からゆっくり降りてきて地面に立つ。文は周りを見回すと、苦笑いをしながらカメラで妖怪の死体を運んでいる兵の姿を撮る。

 

「妖怪の死体処理が大変そうですね」

 

「もう兵士全員にお願いしておいたから多分大丈夫でしょ。ほとんど僕が殺しているから体力が有り余っている人だらけだろうし」

 

 僕はアヴァランチを地面に突き刺し、それに寄り掛かりながら一息つく。文はそんな僕の写真を撮る。

 

「いやーでも本当に一人で片付けてしまうなんて流石ですよ」

 

「大いなる力を持つ者には大いなる責任がある……」

 

 僕はとある映画であった他の人には無い力を得て調子に乗った主人公に義理の父親が言ったセリフを言ってみた。

 

「ふふっ!文夜さんらしく無いですね!」

 

 それを聞いて僕は笑う。それに釣られて文も楽しそうに笑う。しかし、僕は笑うのをやめる。永琳の悲鳴が聞こえたような気がしたから。

 

「まだいたんだ……!」

 

 僕はアヴァランチを地面から引き抜いて腰に巻いてるベルトにくっつけて走り始める。

 

「あっ!待ってくださいよー!」

 

 少し遅れて文は僕を追い始めたがそれを待ってる暇は無い。僕はさらに速度を上げて悲鳴が聞こえたショッピングモールへ向かう。

 

 ショッピングモールにつくと逃げ遅れたであろう永琳が一匹の妖怪に胸ぐらを掴まれていた。

 

「永琳!!」

 

 僕は二丁の拳銃を妖力で作り、それを両手に持ち妖怪に向けて妖力で作った弾を撃つ。妖怪は永琳をその場で離して弾を避ける。どうやら永琳は気絶してしまっているようだ。今すぐに永琳の元に駆け寄りたかったが、妖怪と永琳の距離が近すぎて迂闊に動けない。

 

「……なんだお前?妖怪?」

 

 妖怪は僕の方を向いて口を開く。その妖怪の姿は何処か見覚えがあった。金髪に九本の尻尾を生やした狐の妖怪……アルバムで見た僕の父さんと同じ特徴があるのだ。

 

「父さん……なの?」

 

 僕が質問するとその妖怪は首を傾げ、目を細めて僕を見る。

 

「もしかして兄さんの子供か?まさか産まれているとは思わなかったよ糞が」

 

「兄さんって一体どう言うことなの?」

 

 僕は胸の奥が熱くなるのを感じる。もしやこの妖怪は数少ない僕の血縁者なのか?と。

 

「お前名前は?」

 

「文夜。美音文夜だよ」」

 

「俺は美音渚。人間と結ばれたと言う事で他の妖怪に殺された美音慶の弟だ」

 

  ニヤリとしながら語る妖怪の台詞を聞いて僕は昔から父さんがいなかった理由が分かった気がした。母さんを捨ててのうのうと生きているわけではない。母さんを守る為に死んでしまったのだと思った。

 

「それで、僕の叔父さんはなんでここにいるの?」

 

「俺が今回の襲撃の提案者だからだ」

 

 やはりかと心の中で思うだけで口には出さない。叔父さんの目的が一向に読めないのであまり反応をしないようにしているのだ。

 

「俺は美音一族の長……兄さんが死んでしまったからな」

 

 叔父さんは両腕を広げると大げさな振り付けをしながら瞳に涙を浮かべ語り始める。

 

「兄さんを殺したのは妖怪だ。けれどその原因を作ったのは人間だ!」

 

「だから人間に復讐したい……って事?」

 

「ああそうだとも!お前は憎く無いのか?実の父親を殺されて。復讐したく無いのか?」

 

「復讐……」

 

「お前はこの街で暮らしてきた……お前の持つ情報と俺の力があれば人間如きすぐに滅ぼせる。そして二人でなろうじゃないか。新世界の王に」

 

 僕は最後のセリフでこの人の心の闇を見た気がした。この人は人間に復讐したいのではない。ただ暴れて全てを壊してしまいたいだけだ。僕はベルトにくっつけてある剣を地面に突き刺して寄りかかる。そして右手を腰に当てて左手を突き出して言葉を紡ぐ。

 

「だけど断らせてもらう」

 

「なっ!」

 

 叔父さんは非常に驚いた顔をしている。あんな演技で僕の情に訴えられたと思っていたのだろうか?上空からシャッター音が聞こえたが気にしない。

 

「そもそもあんたが言う新世界に永琳はいないみたいだから。それに僕は妖怪じゃない。八意文夜……人間だ」

 

「お前も兄さん同様殺してやる!」

 

 叔父さんは青筋を立てて僕に殴りかかってくるのでアヴァランチを引き抜いて受け止めたが想像以上の力を持っているらしく、僕は力負けして吹き飛ぶ。僕は彼に尻尾が九本ある時点で気がつくべきであった。妖力は僕より多いと。

 

「死ね!」

 

 追い打ちをかけようとさらに走って殴りかかってきたので僕は受け身をとり、身を屈めて彼のお腹の辺りに蹴りを入れる。

 

「口は達者なのに随分弱えなぁ!」

 

 叔父さんは僕が放った蹴りではビクともせず、そのまま拳を顔に振るう。僕はその拳に頭突きをしたが、その抵抗も無意味に終わり地面に叩きつけられる。

 

「死ね!死ね!死ね!」

 

 ただひたすら顔を殴りまくる。僕は腕でそれを受け止める事しかできない。ただ一瞬でも隙があればこの状況を変えることができるのに…!!

 

「お助けしますよ!」

 

 文は上空から風を纏って急降下しながら叔父さんに蹴りを放つ。叔父さんは文の声に気がつき、僕を殴るのをやめて文を殴り飛ばす。文はお店の壁に叩きつけられて気絶してしまう。

 

「今だ!」

 

 この文が作ってくれたチャンスを無駄にしない為に妖力で足を強化して叔父さんを蹴り飛ばす。

 

「なんだこの力……!」

 

 

「見せてあげるよ……僕の本気を!」

 

 叔父さんは受け身をとり僕を睨む。僕は立ち上がって目を閉じる。すると僕の身体の周りには薄っすらと青紫色のオーラが出る。これは妖力で身体能力を強化している状態だ。妖力は身体の中にあるだけでも身体能力を上げてくれるが、筋肉を刺激して限界以上の力を与えてくれる。これは本当に偶然発見した妖力の使い方であった。

 

「せいっ!」

 

 僕はアヴァランチを両手で持ち、一瞬で距離を詰めて前に突き出している叔父さんの腕を切り落とそうとする。

 

「そんなもの!」

 

 彼は腕を引っ込めて回し蹴りをしてくるが、僕はそれを食らってもビクともしない。妖力による身体能力の強化はここまで凄いのかと改めて驚く。

 

「尻尾が九本あるって事は強いんでしょ?ほら頑張ってよ!」

 

 僕は叔父さんの胴体を思いっきり殴る。しかしこの行動はやってはいけない事であった。彼が吹き飛んで受け身を取ったところが運悪く永琳の真横であった。僕が永琳の方を見てしまったせいで彼は永琳の存在に気がつく。

 

「お前……確かこの女の事を永琳って言ったよな?」

 

 叔父さんは永琳の髪の毛を掴んで持ち上げる。そして首元に鋭利な爪を突きつける。

 

「一歩でも動いてみろ。その瞬間にこの女は死ぬぞ」

 

 ニヤニヤとしている渚の顔が余計に僕をイラつかせる。どうやって殺してやろうか?頭の中はそのことでいっぱいだ。

 

「死ぬのは永琳じゃない。お前だ」

 

 僕は右手を前に突き出し渚の足元の摩擦を全てゼロにする。その瞬間に渚はその場で転ぶ。

 

「穢れの分際で僕の妻に触れないでよ……」

 

 ゆっくりと近づき、立ち上がろうにも立ち上がれない渚の胸ぐらを掴んで持ち上げる。

 

「お願いだ!助けてくれ!」

 

「お前はゴミだ……この地上の穢れだ」

 

 残っている妖力を全て使い、渚の周りに自分でも数え切れない程の槍を作る。槍が増えていくに連れて渚の顔は恐怖に染まっていく。

 

「死んじゃえよ」

 

 僕が能力を解除するのと同時に全ての槍が渚に刺さる。僕の持つ物は最早原型をとどめてはいなかった。妖力を全て使い果たした僕はその場にゆっくり倒れた。また何時ものように同じ天井を見ることを期待して。

 

 

 

〜蓮子の部屋〜

 

メ「はろー蓮子。元気してる?」

 

蓮「私ウイルス性の風邪って言ったよね?なんでメリーは私の家に来ちゃうの?」

 

メ「蓮子は一人だと寂しいかなって思ったのよ」

 

蓮「本当はメリーの方が寂しい癖に」

 

メ「うるさいわね……帰るわよ?」

 

蓮「帰って良いわよ?」

 

メ「……まだ外は明るいしもうちょっとここにいるわね」

 

蓮「素直じゃないわね。じゃあ質問してあげるわよ」

 

メ「あげるって何よあげるって」

 

蓮「文夜の一族ってどのくらいすごいの?」

 

メ「もう美音の当主が外の世界を好き放題になんでもやれるレベルよ」

 

蓮「だから渚は慶を殺して当主になったのね」

 

メ「そう言うこと」

 

蓮「それにしても渚の訴えは小学生レベルだったわね」

 

メ「人間と妖怪の文化は結構違うってあったでしょ?妖怪の世界ならあれでハリウッドスターものなのよ」

 

蓮「自由に好き勝手に生きてる妖怪にとっては演技なんかどうでも良さそうだもんね」

 

メ「そんな感じ。他に質問は?」

 

蓮「無いわよ。だから帰って頂戴」

 

メ「……折角だから看病してあげるわよ」

 

蓮「素直じゃないわねー」

 




おはようございます!

今回出た射命丸文は天狗では無くて人間です!
まあ途中で出たセリフがヒントだったりしますけど…

あと怒って口調が少し変わった文夜君は自分でも何か結構変わってるなーとか思いました!

ここがおかしい!わからねぇ!などございましたら感想で御指摘お願いします!

では……次回も見てください!
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