東方 過去と未来のシンフォニア   作:ももんがぴょん

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今回は月の民が地上にいる頃のとあるクリスマスのお話しです!!


番外編 「メリークリスマス」

「ねえ、えーりん。サンタさんってなーに?」

 

 12月22日の夜中、八意邸のリビングで僕と永琳と咲夜と輝夜で僕が作ったピザを突ついていると、口の周りをケチャップでベタベタに汚した輝夜が向かい側に座る永琳に質問をする。

 

「あなた、輝夜に何か吹き込んだ?」

 

「僕は何もやってないよ?」

 

 永琳は隣に座る僕に耳打ちをするが、身に覚えが無いので首を横に振る。もう一枚ピザを食べようと手をテーブルの上の大きなお皿に伸ばすと、ふと輝夜の隣に座る咲夜の顔が目に入る。困った顔をしている永琳を見てニコニコしながら頷いているところを見ると、どうやら彼女が輝夜にサンタさんの存在を教えたようだ。僕は咲夜にサンタさんの事を教えた事はないので、恐らく昨日父さんと母さんのところへ遊びに行った時に母さんが入れ知恵をしたのだろう。

 サンタさん。夢と希望を子供に振りまく素敵な存在だと僕は考えている。けれども永琳が今まで子供達にサンタさんの事を教えなかったのにも理由がある。それは僕と永琳がまだ小さい頃、父さんがクリスマスの日にやった事が原因であった。余りにも昔の事なのではっきりと覚えてはいないが、サンタさんの姿をした父さんが大きな狐の人形を爆発させていた事は覚えている。つまりトラウマになっているのだ。その悲惨なクリスマス以来、永琳はサンタさんの事を嫌いになり、子供達にすら教える事をしなくなったのだ。

 

「ねえサンタさんって何なの!教えて!」

 

 痺れを切らしたのか輝夜はベタベタな手を使い机をバンバン叩き始めたので、僕は世間一般で知られているクリスマスとサンタさんの事を輝夜に説明する。あまり説明を理解できていない様であったが、サンタさんが夜中にプレゼントをくれると言う部分だけは理解できたのか目を輝かせていた。

 

「サンタさんあたしのところに来てくれるかしら?」

 

「輝夜は悪い子だから来ないと私は思うなー」

 

「そんな事言うお姉ちゃんのところには来てくれないもん!」

 

「くる!」

 

「こない!」

 

「喧嘩すると二人ともサンタさんから何ももらえないよ?」

 

 何時もの様に些細な事で喧嘩を始めそうになった二人はサンタさんと言う単語一つですぐに大人しくなった。なかなか子供は素直で面白いなどと感じていると、永琳は突然席を立ち上がった。何事かと思うと机の上にあったピザが全てなくなっている事に気がついた。どうやら永琳は僕が輝夜達に色々説明をしている間、パクパクとピザを平らげてしまったので片付けを始めた様だ。

 

「文夜がサンタさんのコスプレをして変な事をしないなら私は大丈夫だから」

 

 二人で夕飯に使った食器を洗っていると、タオルで食器を拭いている永琳はボソッと僕に語りかける。

 

「無理しなくても良いんだよ?」

 

「子供達のあんなにも楽しそうな姿を見てワガママなんか言ってられないわよ。私はもう子供じゃなくて一人の母親なんだから」

 

 そう優しく微笑みながら語る永琳の姿を見て心が苦しくなる。今の永琳は僕を見てくれていないからだ。昔と変わらず独占欲が強いままの僕は大人の振りをしている子供だな、なんて思いながら食器を全て洗って永琳の前に積み上げる。

後はよろしくねと言い残して一足先にリビングに戻ると、そこには歯磨きをしている娘達の姿があった。

 

「あれ?もう歯磨きしてるの?」

 

「かぐあがほうへはほうがひいって!」

 

「とりあえず早く歯磨きを終わらせてから教えてね」

 

 口に歯ブラシを咥えたまま僕の膝に抱きつく咲夜の癖が強い綺麗な銀髪を撫でると、咲夜は輝夜を連れて洗面台のあるところへ走って行った。一体咲夜のあの元気な性格は誰に似たのであろうとため息をつく。

1分もしない内に二人はリビングに戻ってきたので先ほどの続きを聞く。

 

「あのね!輝夜が早く寝る子の方がサンタさんは良い子って思ってくれるんじゃないかなってね!」

 

「お姉ちゃん興奮しすぎ!」

 

「確かに早く寝る子のところにサンタさんは来てくれるかもしれないけど、それを続けないとサンタさんはあげたプレゼントを取り返しに来ちゃうんだぞー」

 

 ちょっと怖がらせるつもりで言ったのだが、二人は相当真に受けてしまったのか急いで自分達が寝る部屋へ行ってしまった。その背中におやすみと言って椅子に座るとホットミルクが入ったマグカップを二つ持った永琳が僕の向かい側に座った。

 

「咲夜って一体誰に似たんだろうね」

 

「菊花さんが生きてた頃のあなたにそっくりよ」

 

「いや、何か危ない物が見えていた頃の永琳にそっくりだね」

 

「やめて……黒歴史なのよそれ」

 

 永琳から受け取ったホットミルクを啜りながら昔話に華を咲かせる。こうやって話をしていると僕達は辛い事も沢山あったけれども同じくらい楽しかった事もあったんだなあと改めて実感する。

 

「そう言えば咲夜に僕の身体的特徴が全く受け継がれていないよね」

 

「そう?目元とかすごくそっくりよ?」

 

「違う違う。これの事」

 

 僕は右手で狐耳を引っ張り、左手で狐の尻尾を持ち上げると永琳は手をポンと叩く。

 

「妖怪である事は間違いないんだけど……」

 

「まあ何時か僕みたいに何かがきっかけで増えると思うよ。あっそうだ!」

 

 僕はふと娘達にあげるプレゼントを思いついたのでそれを永琳に伝えると、永琳は少し嫌そうな顔をした。

 

「それだと明後日まで会えないんでしょ……?」

 

「まあね。でも最愛の子供達の為だし一肌脱ぐよ」

 

「じゃあ私の事は……?」

 

 僕は涙目になっている妻のおでこにデコピンをした。すると永琳はとても驚いた顔をしていた。

 

「僕だって色々我慢しているんだから永琳も我慢して?ね?」

 

「分かった……じゃあ私は美味しい料理を沢山作って待っているからちゃんと帰って来てね?」

 

「もちろん。絶対に帰ってくるから安心して」

 

 愛してるという言葉と共に永琳の頬にキスしてからリビングを出て自分の部屋に向かう。着ている白衣を脱いで黒色のジャケットを羽織った僕はベッドの上に座り、右手首に巻いてある端末を起動させて父さんに電話をかける。

 

「もしもし父さん?」

 

「どうしたの文夜君。こんな夜遅くに」

 

「父さんってまだアダマンチウムのストックを持ってたりしませんか?」

 

「アダマンタイトね。まだ残ってるけどそれがどうしたの?」

 

「12月24日の夕方までにこれからメールで送る物を作って欲しいのです」

 

「随分いきなりだね。でもちょっと私は忙しいから」

 

「実は咲夜と輝夜にクリスマスプレゼントを……」

 

「急いで作るからどんな物か早くメールで送ってね。それじゃ」

 

 孫の咲夜の名前を出した途端に父さんは一方的に電話を切った。父さんはどうやら孫の事をとても大切にしているのか少し過保護なところがある。娘である永琳よりも可愛がっているのでは無いかと思い、たまに複雑な気持ちになる。

もう出発しようと思いベッドから立ち上がって壁に立てかけてある剣を背負うと、端末にメールがきている事に気がついた。メールを開いてみると「早く早く」とだけ書かれたメールが父さんから送られてきていた。僕は家から出て目的地である街の外へ歩きながらどんな物を作って欲しいのかを書いてメールを送った。

 

 

 

 

「お父さんまだお仕事から帰ってこないの?」

 

「ねええーりん。お腹空いたからもうご飯食べて良い?」

 

「お父さんが帰ってくるまで待とうよ!」

 

 今日はクリスマスイブだ。私は七面鳥など普段食べない料理を作ってお皿に並べた。後は文夜が帰ってきたらパーティを始めるつもりであったのだが、なかなか帰ってこないので頭にピンク色のクリスマスハットを被った輝夜は目の前にある料理を見て涎を垂らしていた。

もう我慢の限界だった輝夜が目の前にあるフライドポテトに手を伸ばそうとした時、玄関から誰かがドタバタ音を立てながら走る音が聞こえてきた。その音を聞き私達がワクワクしながら待っていると、期待通り大きな紙袋と小さなビニール袋を持った文夜がリビングの中に入ってきた。

 

「お父さん遅い!」

 

「ごめんごめん。お詫びにこれをあげるから」

 

 文夜は紙袋を一旦床に置き、ビニール袋からクラッカーを一つ頬を膨らませている輝夜に渡した。輝夜はそれをもらった瞬間にすぐに紐を引いて、きゃっきゃっと笑っているので文夜は苦笑いをしながらもう一つ渡した。

 

「メリークリスマス!!」

 

 その後咲夜と私にも一つずつクラッカーを渡し、文夜が席に着くと彼は高らかにそう言ってクラッカーを鳴らした。それに続いてみんながクラッカーを鳴らした事で私達のクリスマスパーティは始まった。

 

「ねえあなた。お父さんの方は何とかなったの?」

 

「なんか時間と空間が如何の斯うの言ってたよ。何か余計な物が付いてるのは確実かも」

 

 私のお父さんは時間までも支配しようとしているのか、と考えるとため息が出る。科学者として自分の父親を尊敬することはできるがお父さんとして見るとどうにも解せないところがある。けれどもそれがあの人の個性なので認めなければいけないのは分かっているがやはり認めたくない。

 

「ねえお父さんは何処に行ってたの?」

 

「お仕事って言ってたじゃない。お姉ちゃんはえーりんが言ってたの聞いてなかったの?」

 

「ふふふ……実はお父さんはサンタさんとお話しをしていたんだよ」

 

 不敵な笑みを浮かべる文夜が放った言葉に咲夜と輝夜は「えっ」と声をあげる。

 

「どんな事話してたの!?」

 

「聞きたーい!」

 

「咲夜と輝夜はちゃんと良い子にしてたよーとかサンタさんはどんな物をプレゼントすれば良いか分からないから二人はこんな物が好きだよーとか教えてたんだよ」

 

 ご飯を食べることすら忘れて楽しそうに文夜の話を聞く娘達を眺めていると嫉妬に近い感情を覚える。子供ができると二人っきりの時間が減るというのは覚悟していたが、最近は特に我慢ができなくなる瞬間が多々ある。

 

「咲夜ちゃんは良い子だからもう歯を磨いて寝るのー」

 

「あー!私も良い子!」

 

 ぼーっとしているとご飯を食べ終わった娘達は走ってリビングから出ていく。その光景もぼーっと見ていると文夜は椅子を動かして私に近付いていた。

 

「どうしたの永琳?ぼーっとしちゃっているけど」

 

「あの子達が羨ましいなって思ってたのよ」

 

「永琳はサンタさんが嫌いだからクリスマスを祝ったりしなかったからね」

 

「違うの。あなたと触れ合う時間が多い事よ」

 

 文夜の目をしっかり見ながら自分の思っている事を伝えると、彼は一瞬驚いた顔をしてすぐににっこりと笑った。

 

「永琳は女性だから良いじゃないか」

 

「どう言うことよ?」

 

「今は甘えてくれるけど、ちょっと成長したら反抗期が来て、お父さん獣臭いとかキモいとか半径1メートル以内に入らないでとか……」

 

「やめてあなた。もう良いのよ」

 

 文夜は笑ってはいるが目から大量の涙が出ているので、私は肩に手を置いて首を横に振る。

 

「ごめんね永琳……なんか自分で言ってて悲しくなっちゃった」

 

「あなたの想いは十分伝わったわよ」

 

「まあ、子供はいずれ旅立ってしまう物だから僕は今のうちにいっぱい接しているだけだよ」

 

 黒いジャケットの裾で涙を拭いてから私に笑顔を見せる。夫の彼が我慢をしているのなら私だって我慢しようとは思うが、今はどうしてもわがままを言いたくなった。

 

「じゃあ今日だけでも一緒に寝てくれないかしら?」

 

「それくらいなら全然良いよ。ただ娘達が寝るまで一緒にどうだい?」

 

 そう言って文夜は足下に置いてある紙袋からワインボトルを取り出す。

 

「偶然静琉さんに会った時にもらったんだ。ちょっと温くなってるけど良い?」

 

「全然構わないわよ」

 

 ワイングラスを2個持ってくると、文夜はコルクを抜き、ボトルの底を鷲掴みをするように持ってワインをグラスに注いでいく。

 

「それじゃあ乾杯」

 

「なんかオシャレね。乾杯」

 

 お互い手に持つグラスで乾杯をしてからちびちびとワインを飲む。歯を磨いてからそのまま寝室に行ってしまったのか二人は戻ってこなかったので、私達は静けさに包まれながらワインを飲み続ける。お酒の力で気分が良くなっている私にとっては静かな空間で好きな人と一緒にいられるのがとても嬉しかった。

ワインを飲み始めてからどれくらいの時間が経ったかは分からないが、睡魔に襲われた私が大きな欠伸をすると文夜はもうそろそろ僕達も寝ようと言った。私はグラスをテーブルの上に置きっ放しにして立ち上がると、文夜は紙袋から赤いリボンがついた可愛いトナカイの絵が書かれた箱と、ピンク色の紙にラッピングされて黄色い花の装飾がついた縦長の箱を取り出した。

 

「それがプレゼント?」

 

「うん。喜んでもらえるといいな」

 

「浮かれているあの娘達ならどんな物でも喜ぶわよ」

 

 私達は咲夜と輝夜が寝ている寝室に音を立てないようにゆっくり扉を開けて中に入る。私は手に持つ縦長の箱を輝夜の枕元に置く。隣のベッドで寝ている咲夜の方を見ると、どうやら文夜もプレゼントを枕元に置いたらしくもう部屋の外に出ていた。急ぎながらも音を立てずに歩き、部屋の外から出た私は文夜の腕に抱き付いて文夜の部屋へ向かう。

 

「おやすみ永琳」

 

「おやすみなさい文夜」

 

 二人で同じベッドの中で横になり、私達はキスをしてから眠りについた。もしもサンタさんがいるのなら、この幸せが一生続きますようにと願いながら。

 

 

 

 

「お父さんお母さん起きて!!」

 

「サンタさんが来てくれたの!!」

 

 部屋の扉が乱暴に空き、娘達が騒ぐ声で僕は目を覚ました。

 

「サンタさん来てくれた?」

 

「うん!二つもプレゼントくれたの!」

 

「私は三つも!」

 

 重たい瞼を手で擦りながら身体を起こした僕は違和感を感じた。それは娘達がもらったプレゼントの数が、僕が用意したプレゼントの数より一つ多いのだ。僕は慌てて目をぱっちり開けて見ると、咲夜は白銀の懐中時計と白と青のメイド服を、輝夜は七色の宝石のような実をつけた枝と白色の閉じた扇子とピンク色の着物を持っていた。

 

「ねえ起きて永琳」

 

「どうしたのよ騒がしい……」

 

 今だに寝ていた永琳の身体を揺すると、彼女は身体を起こして娘達を見る。

 

「あら?あなた服も用意してあげたの?」

 

「あれ?永琳が用意してくれたんじゃないの?」

 

 僕達は話が食い違っていたので頭にクエスチョンマークを浮かばせていた。

 

「もしかして本当にサンタさんはいたのかしら」

 

「なのかな……」

 

「まるで妖怪みたいな存在ね」

 

「確かに妖怪みたいだけど、子供に恐怖じゃなくて夢と希望を与えているって考えると何方かと言うと神様なんじゃないかな」

 

「ふふっ!そっちの方が素敵ね!」

 

 僕達はベッドから降りてはしゃいでいる娘達にサンタさんがくれた服を着させてあげる。

 

「お姉ちゃん可愛いわね!」

 

「輝夜は綺麗ね!」

 

 着替えさせてあげると、娘達はお互いの服を隅々と見てい褒めあっていた。

 

「そうだ庭で写真を撮ろう!」

 

 僕は頃合いを見て大きな声で宣言をする。実は咲夜に用意してあげた懐中時計には写真を入れることができる様になっているので事前にカメラを用意していたのだ。

 

「お父さんとお母さんは着替えて行くから先に咲夜と輝夜はサンタさんからもらったプレゼントを持ってお庭に行っててくれないかな?」

 

「私は白衣姿で良いわよ」

 

「せっかくだからあの服を着て欲しいな」

 

「じゃあ急いで着替えてくるわね」

 

 皆部屋から出て行ったので、僕も着替え始める。今履いているジーパンを脱ぎ、クローゼットから新しいジーパンを取り出して履く。そしてタンクトップの上から何時も着ている黒色のジャケットを羽織りアヴァランチを左手に持つ。

 

「これでよしっと」

 

 部屋に置いてある姿鏡の前に立ち、身嗜みを整える。その後、僕は机の上に置いてある三脚がついたデジカメを右手で持って庭に出た。

 

「お父さん早く早く!」

 

 庭に出ると青と赤のツートンカラーの服を着た永琳と咲夜と輝夜が手招きをするので急いで大きな木の下にいる三人の元へ向かう。

 

「じゃあデジカメをここに置いて……」

 

「ねえあなた。弓を作ってくれないかしら?」

 

 三脚の長さなどの調整が全て終わったタイミングで永琳が声をかける。僕は剣を、咲夜はお守りのナイフを、輝夜は扇子と枝を持っているのに永琳だけ何も持っていないのは何か寂しいので、僕は言われた通り白い弓と矢を妖力で作って手渡した。

 

「じゃあ自動で撮ってくれる様に設定したから並んで!」

 

 僕はカメラに映る真ん中あたりに立ちカメラに剣先を向けると、咲夜は僕の足下に立ちナイフで同じポーズを取る。

永琳は僕の右側に立ち弓を構えると、輝夜は僕の左側に立ち扇子を広げて口を隠す様にしていた。

 数秒後、カメラのシャッターがおり無事に記念撮影は終わったと思われた。しかし、永琳が気を緩めた瞬間に彼女は矢を放ってしまい、それが玄関の扉を突き破って向かいの家の庭に生えていた木に刺さってしまったのだ。幸い怪我人はいなかったが、永琳が何度も何度も頭を下げる光景は巷でちょっとした噂になってしまったのであった。

これが僕が祝った最初で最後の幸せなクリスマスであった。

 

 

 

 

「リア充死ね……リア充なんか爆発したら良いのに」

 

 浮かれている人で賑わっている街中をベレー帽を手で持って歩きながら私はブツブツと文句を言う。

 

「だいたいイベントに欠けるから私がクリスマスなんて物を広めたのに……クリスマスはキリストの誕生日よ馬鹿」

 

 近くにあったベンチに足を組みながら座って空を見上げると、ちょうど空から雪が降ってきた。

 

「そういえば初めて出会った時もこんな雪が降ってるクリスマスだったわね……」

 

 目を細めて一体どれくらい昔かも分からない記憶を呼び覚ましてみる。その日の事だけはどんな記憶よりも鮮明に覚えている。確かクリスマスだったからから咄嗟にあんなあだ名を付けたのだった。

 

「メリークリスマス。この単語を忘れたくないからこそ、起源もないイベントを私は作ったのかしら」

 

 雪が顔に積もってきたので顔を振って雪を落としてから立ち上がる。

 

「やっぱり一人って寂しいわね……見せつけてくるリア充爆発しろ……って今の私だったら本当にやれちゃうのか」

 

 苦笑いをしながら私は人混みに消えていく。メリークリスマスと意味もなく呟き続けて。




メリークリスマス!!
本当はもう来年まで書かないつもりがつい書いちゃいました!
ただの妄想の具現化に近いのは少し多めに見てもらいたいなーなんて……
クリスマスは人によっていろんな過ごし方があるのがまた良いですよね……
では、次回も見てください!!
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