東方 過去と未来のシンフォニア   作:ももんがぴょん

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3話 二人はそんな事を気にしないで生きている

 蜜を集める為に花を探している蝶々が一匹飛んでいる。赤い花を見つけたそれは蜜を吸い始める、と言う光景をじっと見ている存在があった。それは蝶々が飛び立たないように余計な動作はしないで少しずつ近づく。

しばらくすると蜜を集め終わった蝶々は飛び立った。それを見ていた存在……青と赤のツートンカラーの服とスカートを身に纏い、うっすら青みがかかった銀髪の少女はその腰まである長い髪の毛を揺らしながら走って蝶々を追った。しかし少女は蝶々を見失ってしまうとその事がとても悔しかったのか少女の瞳に涙を貯めていた。

一方、先ほどまで蝶々が蜜を吸っていた花のそばにある大きな木の下で、まるで風で揺れる花のように黄色い狐の尻尾が揺れている。尻尾の持ち主は狐だろうか?その持ち主は狐耳を生やした金髪の少年だ。少年は気持ち良さそうに丸くなって眠っている姿はまさに子狐のようであった。少女は早歩きで眠っている少年の元までやってきて、尻尾を人形の様に抱きしめ始めた。

 

「……くすぐったいからいきなりはやめてよえーりんちゃん」

 

「ちょっと位いいじゃない。ふみやの尻尾はお人形さんより気持ちいいんだから」

 

 少年はゆっくりと瞼を開けながらえーりんと呼ばれる少女に言うが、えーりんは少年ふみやの言うことを無視して尻尾に顔を埋める。

 

「もうやめてよー!」

 

「じゃあやめるわよ?」

 

 口では嫌がっているが満更でもない表情をしているふみやに、えーりんは顔を離してニヤニヤしながら言った。実はえーりんは尻尾を抱きしめられる事をふみやが喜んでいると言うことを分かっているのだ。

 

「うんやめていいよ」

 

「え……?」

 

 しかしふみやはえーりんの予想外の答えをする。えーりんはどう対処すれば良いのか分からないのかあたふたし始める。

 

「えーりんちゃんが勝手に抱きしめてるだけでしょ?」

 

「そ、そうだけど……」

 

 先ほどとは逆にふみやがニヤニヤしながら言うとえーりんは瞳に涙を貯め始めた。恐らく彼女はとても負けず嫌いなのだろう。

 

「だ、抱きしめてても良いよ!」

 

 その事に気がついたふみやは慌てて答える。ふみやはえーりんに泣かれるのも困る、と言うよりも泣く姿をあまり見たくないと考えているのだ。

 

「本当……?」

 

「もちろんだよ!」

 

 それを聞いたえーりんは笑顔になってふみやの尻尾をまた抱きしめ始めた。ふみやはほっとしながらもまた眠りについた。

 

 

 

 

「あの二人が仲良くなってくれてよかったわね」

 

 私と柚希はリビングから八意邸の庭で眠っている文夜と永琳ちゃんを見ながら話していた。文夜と永琳ちゃんが産まれてから既に5年の年月が経つ。私と文夜は柚希の家、つまり八意邸で生活している。八意邸はとても広いけれども柚希と×××さんと永琳ちゃんしか住んでいない。なので部屋が余っていると言うことで住ませてもらっている。私は部屋が余っていてお金もあるなら使用人とかを雇ってみたら?と聞いたことがある。すると柚希は

 

「今の私は働いていないもの。せめて家事くらいは一人でこなさないとあの人の支えにならないでしょ?」

 

 って、笑顔で答えていたのは印象深い。

 

「何時も一緒にいるって理由もあるだろうけど、嫌われているって意味でどこか似た者どうしなんだみたいな感じで惹かれあったんじゃないかしら」

 

 柚希はコップに入った液体を啜りながら悲しそうな目で眠っている二人を眺めていた。嫌われている理由は文夜は半妖だからまだ分かる。

じゃあ永琳ちゃんは?彼女は普通の人間でしょ?いや、彼女は全く普通ではない。彼女は5歳にも関わらず、中学生程度の勉強ならば全てこなせてしまうとんでもない女の子だ。

きっかけは本当に些細な事だったと思う。それは柚希が間違えて中学生レベルの数学の問題集を買ってしまった事だった。それの処分に困ってリビングの机の上に置きっ放しにした状態で柚希は家の掃除を始めた。掃除を終えリビングに戻ってみると、そこには問題集に何かを書いている永琳ちゃんがいたらしい。どんな可愛らしい絵を描いているのだろうと気になって横から覗き込むと……なんと問題を解いていたそうだ。答え合わせをしてみれば全問正解。その話を聞いた×××さんが塾に通わせてみても良いのでは?と提案した。柚希はその提案を飲み、永琳を塾に通わせることにした。でもどうだろう?5歳の少女がハイレベルの勉強をしているのを見て普通の人はどう思う?気味が悪いと思うでしょう。そして永琳ちゃんの噂は広まっていき、気がつけば永琳ちゃんには誰も関わろうともしなかったと言う文夜とは違った辛い環境に置かれている。

 

「こうゆう問題は私達、親がどうにかできる問題じゃないからね。自分の無力さに嘆きたくなるわ」

 

 もしも私がこんな状況を変えられるのなら自分の命すら惜しまない、なんて自分を責めると自然とコップを持つ手に力が入ってしまう。

 

「……こんな暗い話をしても面白くないわね」

 

「親である私達が暗かったら子供まで暗くなっちゃうわよ?」

 

「ふふ!本当それよね!」

 

 私は話題を変えることにした。柚希もその意見に賛成のようだった。私達は笑いながらコップに口をつける。

 

「そう言えばこれなんて名前なの?」

 

 私はコップに入っている液体をじっと見ながら質問した。普通の紅茶と違って変な匂いがするから少し苦手なのだ。

 

「これはハーブティーってやつよ。おしゃれでしょ?」

 

 柚希はハーブティーとやらを啜ってにっこりしていた。しかし、私には何がおしゃれで何が美味しいのか全く分からない。

 

「おしゃれと言えば……今永琳が着ているあの服なんなのよ?」

 

「あれ?あれは私がデザインして仕立てた服よ。おしゃれでしょ?」

 

 私は柚希が先ほど言った様な感じで言ってみた。どうやら彼女は私のデザインのおしゃれがわからないようだ。

 

「感性が普通の人とズレなければいいんだけど……」

 

「酷いわねその言い方……あっ雨が降りそうだから二人を家の中に入れましょう」

 

「あら?さっきまですごく晴れてたのに……急ね」

 

 雲行きが怪しいことに気がついた私は二人の名前を大きな声で呼んだけれどもぐっすり眠っているせいか起きてくれない。

 

「ちょっと二人を抱っこして運んでくるわね」

 

「私もいくわよ」

 

「柚希は待ってて!私一人で大丈夫だから!」

 

 私は席を立とうとした柚希を止めて、一人で庭へ向かう。私は居候の身なのだからこれ位やってのけなければと思っていた。私が二人を抱っこして、家の中に入った瞬間に雨は降り始めた。子供二人を一気に運ぶのは女の私では辛いものだな、とその時感じたのであった。

 

 

 

 

 さらに数年の月日が経った。永琳と文夜はある程度大きくなっていたので、菊花も柚希も二人で近所の公園に行くことは許可していた。八意邸の庭でしか遊んでいなかった二人にとっては自分達の世界が広がったと、とても喜んでいた。この日も二人は今日も公園に来ている。

 

「ねえ文夜」

 

「どうしたの永琳?」

 

 二人はベンチに座っていた。この公園はとても広く、二人だけで遊ぶには広すぎるのでベンチで休憩中であった。

 

「実は私……好きな人ができたのよ」

 

「え?好きな人ができたの?」

 

 永琳は少し顔を赤らめているの対し、文夜は青ざめて何故そんな話を自分にするのか分からなく動揺していた。

 

「そうなのよ!そして明日告白しようと思うの!」

 

「お、落ち着いて永琳、顔が近いよ」

 

 文夜の顔に自分の顔を近づける永琳に文夜は落ち着けと言うが、どう見ても落ち着いていないのは文夜の方であった。

 

「ごめんなさい……ちょっと興奮しすぎたわね」

 

 永琳は咳払いをしてから目線を目の前の遊具に移した。

 

「綺麗だからぜ、絶対OKをもらえると思うな〜」

 

 それを聞いた永琳はとても嬉しそうだった。永琳は文夜の事を再び見ると、少し離れた場所から見ても分かるほど明らかに震えていた。

 

「どうしたの文夜?身体と尻尾が震えてるわよ?」

 

「そ、そうかな?」

 

「ちょっと何で泣き始めてるの!?」

 

 文夜は耐えきれなくなったのか突然涙を流していた。文夜が泣きはじめるとは思ってもいなかった永琳は酷く動揺している。永琳は昔から自分の予想外の事が起こると動揺してしまうのであった。

 

「だって……僕の友達って永琳しかいないんだよ?永琳が付き合ったりしたら僕はひとりぼっちに……」

 

「う、嘘だから!ただ文夜をからかってやろうって思っただけだから!」

 

「本当……?」

 

「本当よ!私だって友達は文夜だけなんだから!」

 

 上目遣いで自分を見つめる文夜に放った言葉。それは自分に嘘を付いている事だと気がついたが、今の永琳は文夜を宥める事に手一杯だった。

 

「よかったぁぁぁ!」

 

「…の…きな人……あな…よ?」

 

 永琳に抱きついて喜ぶ文夜に、永琳は文夜でもよく聞き取れない程の声でボソッと何かを言った。

 

「何か言った永琳?」

 

「なんでもないわよ」

 

「ふーん……ねえねえお菓子ある?なんかお腹空いちゃった」

 

「そんな事を言うかなって思って家から持ってきておいたわよ」

 

「大好き永琳!」

 

 着ているシャツの袖の部分で涙を拭きながらお腹をさすっている文夜は永琳がポケットから取り出したアメを受け取り、それを口に入れてからにっこり笑った。

 

「飴を頬張りながら言われてもあまり嬉しくないわよ!ほらせっかく公園に来たんだから体を動かしましょう」

 

 赤くなる顔をそっぽを向く事で必死に隠していた永琳はベンチから立ち上がって言った。何か気まずい雰囲気になりそうだと考えたからだ。

 

「そうだね!じゃあ鬼ごっこをしよ!鬼は永琳ね!」

 

 文夜もベンチから立ち上がり、永琳の肩をぽんっと叩き、尻尾を揺らしながら走っていった。

 

「あっ……」

 

 永琳はキョトンとしていたがそうしているうちに文夜はどんどん距離を離していく。

 

「ふふふ……私は足の速さには自信があるのよ?待ちなさーい!」

 

 永琳は長い髪を揺らし、大きな声を上げながら文夜を追いかけていった。その光景を見る者は誰もいない。文夜と永琳が遊びに来るようになってからは一人、また一人と遊びに来る人は減っていった。つまり文夜と永琳を避けていたのだ。しかし当の本人達は遊ぶスペースが増える事を逆に喜んでいた。

 周りの目線は厳しいかもしれない。けれおこの二人はそんな事を気にせず楽しく生きている。もしかしたら彼らの親の方が辛い思いをしているのかもしれない。

 

 

 

〜蓮子の部屋〜

 

蓮「昨日さ歌舞伎を見に行ったのよ」

 

メ「蓮子ってそんな趣味があったの?」

 

蓮「ちょっと興味があったのよ」

 

メ「どんな感想を持った?」

 

蓮「何か昔から師匠が弟子に伝えられてきたって考えると目に映る以上の感動を覚えるというか……」

 

メ「言葉にしにくいけど蓮子が言いたい事は分かるわよ」

 

蓮「さすがメリー!」

 

メ「親子とはまた違う……強い絆って感じが魅力的よね……」

 

蓮「子と言えば……なんでこの作品には子供が少ないの?」

 

メ「子供だけじゃ無くて老人も少ないわよ?」

 

蓮「ふーん……それでなんで?」

 

メ「そうゆう時代だからよ」

 

蓮「うわっ!面倒くさいからってそうゆう事言うんだ!」

 

メ「冗談よ冗談。多分次の回あたりに説明するから」

 

蓮「今は説明する理由がないのね」

 

メ「そうゆう事」

 

蓮「なら今日はこれ以上聞くことも話す事もないわ!帰ってちょうだい!」

 

メ「え?蓮子って酷いわね……」

 

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