東方 過去と未来のシンフォニア   作:ももんがぴょん

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8話 雪崩の如く

「そういえば文夜君って明日誕生日だっけ?」

 

「もう100歳ですよ静琉さん!」

 

 身長が低い青年は刀身だけでも2mはある太刀を両手で持ち、それで斬りかかりながら僕に語りかける。僕は左手に持つ妖力で作った刀身が青紫色で1mくらいあるバスターソードでその一撃を受け止めて静琉に蹴りを放つ。

 

「じゃあ明日は一日中奥さんと一緒ににゃんにゃんかな?」

 

「まだ結婚してません!明日は誕生日パーティーをするだけです!」

 

 静琉はニヤニヤしながら蹴りを避けて僕の鳩尾目掛けて肘打ちをする。僕は右手にも左手に持つ剣と同じものを作り、肘打ちを受け止める。

 

「俺からの誕生日プレゼントを今あげるよ」

 

「痛いのはやめてくださいよ?」

 

 静琉は3歩程後ろに下がり、太刀を構える。僕は次の攻撃に備えて警戒を強める。

 

「大丈夫大丈夫。敗北って名前のプレゼントを贈るだけだから」

 

 静琉はにっこり笑うと、僕は一瞬で間合いを詰められていた。僕は慌てて身を守る為に両手に持つ剣をデタラメに振り回そうとする。

 

「甘いよ」

 

 今静琉は何をしたのだろうか?両手に持つ剣は突然粉々になる。静琉は剣先を事態を把握できず尻餅をついている僕の首筋に突き付ける。

 

「お手上げです……」

 

 僕はしょんぼりしながら両手を上げて降参の意を示す。自分では見えないが狐耳も垂れているだろう。

 

「まだまだ文夜君には負けないよ!」

 

 静琉は太刀を地面に刺して両手を上げて喜んでいる。僕と静琉はトレーニングルームで模擬戦をしていたのだ。

 僕がホルダーに入ってから70年近く経つ。最初こそ僕は馴染む事がなかなか出来なかったが、皆能力を持っているというだけで嫌われてきたせいで同情してくれたみたいな感じであったが少しずつ部隊の人々と仲良くなることができた。ホルダーに入ってからは訓練をするか模擬戦をするかパトロールをするかという生活が続いた。まだ僕は妖怪退治もしたことが無い。平和だからこそやる事が少ない。平和な事は良いことだけど少し物足りない感じもするが、これが無い物ねだりと言うものかなんて考えたりもしていた。

 

「お疲れ文夜!」

 

 突然後ろから首に何か冷たい物を当てられ、僕は飛び上がる。後ろを振り向くとクスクス笑っている茶髪でボブヘアーの女性が右手に冷たい飲み物が入ったペットボトルを持って立っていた。

 

「あまり文夜君の事をからかっちゃダメだよ咲奈」

 

 咲奈と呼ばれる女性はペットボトルとバスタオルを僕に渡す。僕はお礼をしてから受け取った飲み物を頭からかけ、タオルで拭き始める。

 

「それオレンジジュースなんだけど……」

 

 咲奈は苦笑いをしながら指摘する。僕は飲み物を飲んでみると確かにそれはオレンジジュースであった。

 

「ただの水だと思った……」

 

「一緒にシャワーでも浴びない?汗かいちゃったし」

 

 ベタベタな髪の毛をどうしようかと思いながらその場で項垂れていると静琉は僕の肩に手を起きながらにっこり笑う。

 

「あっ!私も一緒に!」

 

「じゃあ行きますか」

 

 キャアキャア騒ぐ咲奈を無視しながら静琉とシャワールームへ向かう。

 

「冷たっ!」

 

 僕はシャワーの蛇口をひねると冷たい水が出てきたのでまた飛び上がってしまった。

 

「本当文夜君って賑やかだよね」

 

 シャワールームは板で遮られている為にいわゆる大事なところは見えない様になっているが、顔だけは見えるという不思議な構造になっている。しかし静琉は身長が低い為に頭しか見えない。

 

「それにしても文夜君はちゃんとした武器を作るべきだよ。さっきみたいに壊されちゃったらもう何もできないでしょ?」

 

 左手を顎に当て、先ほどの模擬戦を振り返りながら備え付けのシャンプーで髪の毛を洗っている静琉の助言を聞く。

 

「確かに……二つ壊されちゃうとほとんど何もできなくなっちゃうし」

 

「明日プレゼントしてあげようか?」

 

「いえ、静琉さんからのプレゼントは先ほどの敗北だけで良いですよ」

 

 苦笑いをしながら返す。静琉にはいろいろとお世話になっているのでこれ以上迷惑をかけたく無いと僕は何時も考えているのだ。

 

「じゃ、先に上がって身体拭いてるよ」

 

「今日はありがとうございました」

 

 静琉はシャワーを止め、タオルで身体を拭き始めるので僕は御礼をしてから板に寄りかかる。

 

「武器か……」

 

 兵隊には×××さんが開発したレーザーソードなど支給されるが、僕はバスターソードを使いたいのだ。静琉みたいに特製の太刀みたいに作ってみようと思った事もあったが、お金がとてつもなく掛かる。あまりお金は使ってないのである程度貯金はあるが、自分に合う物を作ろうとすれば全然足りないのだ。ここで考えてもしょうがないのでシャワーを止め、タオルで身体を拭き始める。

 

「あっ……」

 

 僕は尻尾を拭く用のタオルが無い事に気がついた。今日はなんて運が無い日だろうか。身体を拭き終わったタオルをできるだけ絞り、それで濡れた尻尾を拭く。水滴をしっかり拭うことができなかったので少し気持ち悪いけれども、それを我慢して白衣に着替える。先ほどまで着ていた兵服は畳んで手に持つ

そしてそのまま家に帰ろうとしたが……

 

「昨日って永琳の誕生日だったのに何もあげて無いじゃん……」

 

 重大な事を思い出した僕はある物を作ろうと思いデパートへ向かった。今夜は眠れない夜になりそうだ。

 

 

 

 

 今日は文夜の100回目の誕生日。私は何をプレゼントしてあげれば良いのか分からず、結局用意をする事ができていない。お母さんは文夜の好きな料理を作ると張り切っており、お父さんは起きた時からずっと不敵な笑みを浮かべている。どうせ最近作る事に成功した最強の金属、アダマンタイトをプレゼントするつもりなのだろう。アダマンタイトはお父さんにしか作る事ができない金属だ。軽くて加工もしやすく、壊すことは不可能とまで言われている。しかしなぜ私の誕生日プレゼントもこれにしたのだろうか?正直な話、いらないのだ。口に出して言いたいが、ショックで何年も寝込みそうなので自重している。

 

「ねえ永琳。もうお昼だからふーやを起こしてきてくれないかしら?」

 

 お母さんは網じゃくしを使い灰汁を取っている最中なので、リビングでぼーっとしている私に頼んだのだろう。私はてきとうに返事をしてから文夜の部屋へ向かう。文夜は何時も早起きするのに珍しい。誕生日と言うことで興奮して寝れなかったのだろうか?いや、それは私だけできっと文夜は疲れていたのだろう。

 私は文夜の部屋のドアをノックする。しかし中から返事が無いので部屋に入る。ベッドで寝ているのかと思っていたが文夜は机の上に突っ伏して寝ていた。私はその光景を見ていると何か違和感がある事に気がついた。その違和感の正体はすぐに分かった。文夜は「2本」の尻尾を揺らしながら眠っているのだ。

 

「起きて文夜。もうお昼よ」

 

 私が気にしてもしょうがないと思った私は動揺を隠してとりあえず文夜の肩を揺すって起こす。

 

「ん……おはよう……」

 

「ねえ文夜。何か変わった事は無い?」

 

 大きなあくびをしながら立ち上がって身体を伸ばす文夜に私は直接身体の変化を指摘しないで自覚があるのかどうかを確認する。

 

「変わった事?うーん……」

 

 文夜は何時もの様に左手を顎に当てている。この動作は昔からしているので恐らく癖になってしまっているのであろう。

 

「……もしかして妖力が増えてる?」

 

 文夜はそう呟くと青紫色の球体を3つ作り上げた。何時もなら3個何か作る度に倒れていたのにまだピンピンしている。

 

「おおー!妖力が増えてる!」

 

 文夜は子供の様にぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。とても愛くるしいので抱きしめたくなったがまだ朝なので我慢する。

 

「それにしても何で永琳は僕の妖力が増えてるって分かったの?寝ている時に何か薬でも飲ませた?」

 

 首を傾げながら文夜は質問する。彼は私なら寝ている間に薬を飲ませてくると思っている様だ。残念ながら私は寝込みを襲いはするが無断で薬を飲ませる事だけはしない。

 

「貴方気がついて無いの?」

 

 私は文夜の尻尾を指差す。文夜は私の指先が何処かを目で追っていると、ついに自分の身体の変化に気がついたようだ。

 

「尻尾が増えている……だと」

 

 文夜は2本の尻尾を触りながらどちらも本物である事を確認し、左手を何時もの様にしながら原因を探っている。私は今日が特別な日である事を思い出した。

 

「もしかして100歳の誕生日が関係しているのかしら?」

 

「それだよ!今まで何をしても増えなかったのにいきなり増えるって事はそれしかないよ!」

 

「妖力は年月を重ねる度に増加する……っと」

 

 私はメモ帳とペンをポケットから取り出しメモをする。

 

「そうだ永琳!ちょっと目を閉じてくれないかな」

 

 私はメモ帳をポケットにしまい、言われた通りに目を閉じる。一体文夜は何をしてくれるのだろうか?

 

「よし……じゃあ目を開けていいよ!」

 

「これは……?」

 

 目を開けると目の前には自分の顔があった。すぐに文夜が持つ鏡に映っている物だと気がつくが、何時も見ている自分の顔とは少し違う。その頭には赤色の十字が刺繍されている紺色の帽子が乗っているのだ。

 

「昨日、永琳に誕生日プレゼント上げられなかったからさ、徹夜で作ったんだ」

 

 文夜は少し顔を赤くしながら自分の頭をかいていた。私はあまりの嬉しさに文夜に抱きつく。

 

「わざわざ貴方の誕生日の日じゃなくても良かったじゃない」

 

 こうは言っているけれども、実際はただの照れ隠しだ。100年近く一緒に住んでいるが、どうしても素直になりきれない部分はある。

 

「でも……ありがとう」

 

 私は文夜の唇にキスをしようと腕を彼の頭の後ろに周したが、後ろから視線を感じたので振り向くとお母さんが私達の事を見ていた。恐らく文夜を起こしに行ってからなかなか帰ってこない私を心配して見に来たのだろう。

 

「邪魔して悪いけどご飯よ」

 

「リビングに行こっか」

 

「ええ」

 

 私は顔を赤くしながら文夜の腕に抱き付いて歩き始める。お母さんがニヤニヤしながら見ているので余計恥ずかしいけれど、今は文夜に甘えていたいのだ。

 

 

 

 

「誕生日おめでとう文夜君」

 

「……なんですかこれ?」

 

「聞いちゃう?これはアダマンタイトと言って……」

 

 ご飯を食べ終えると、×××さんから謎の金属の塊をもらった。何の用途で使うのか分からず首を傾げていると、×××さんは金属の説明をし始めたがもう何を言っているのか分からない。僕は×××さんを無視して永琳に話掛ける。

 

「これってどうすればいいの?」

 

「どうせならこれを使って貴方の武器を作ってあげましょうか?」

 

「本当!?ちょうど新しい武器が欲しいなって思ってたんだ!」

 

「今、私が研究している薬が役にたつかも……私一人だけだと大変だから手伝ってくれないかしら?」

 

「喜んで手伝うよ!」

 

 僕は新しい武器が欲しい理由を永琳に説明し、二人で武器を作ることになったので金属を持って永琳の研究室へ向かう。今だに説明を続ける×××さんを放置して。

 数時間後、僕と永琳は庭に出ていた。僕の左手には刀身だけで150cm、横幅が20cmある白銀のバスターソードがある。

 

「じゃあ……やってみるね永琳」

 

 永琳が手でOKのサインを出しているのを確認して、僕は目を閉じて剣に妖力を送り込むイメージを強くする。目を開けて確認すると、刀身を覆うように青紫色の刃が付き一回り大きくなった剣があった。横幅は3cmくらい広くなり、刀身は30cm程伸びて僕の身長よりも少し大きいものとなっていた。

 

「成功のようね」

 

 永琳はレポート用紙にペンを走らせる。僕の中にある力を最大限に活かす事をコンセプトに作られたのがこのバスターソードである。それの分かりやすい例が今やっている妖力を送り込み、リーチを伸ばし切れ味をよくすると言う物だ。他には自分の能力で振動させて単純に火力強化、相手の武器に叩きつけて強い振動で相手の手を痺れさせるなどできる。そしてこの剣には最大のオマケが付いている。それは刃こぼれをせず、粉々に砕けてしまっても元通りに戻ると言う物だ。なぜその様なオマケが付いているかと言うと永琳が興味本位で作った、使用した物体の形状変化を拒絶させるとんでもない薬の試作品をこの剣に使用しているのだ。

 

「ねえ文夜。この子に名前を付けてあげてくれないかしら?レポートにまとめる時に名前が無いと不便なのよ」

 

 顎にペンの先を当てながらこちらを見ている。インクが付いてしまうのではないかと思いながらも剣を見つめながら名前を考える。

 

「……愛情を雪崩の如く」

 

 永琳を見ながら僕は呟く。正直言ってくさいとは思う。けれど永琳に捧げる愛情とこの剣に捧げる力は形は違えど同じものでは無いだろうか?この剣に自分を認めてもらえる為に、永琳に永遠の愛を捧げる為にこの名前を与えよう。

 

「アヴァランチ!この剣の名前はアヴァランチだ!」

 

「雪崩って意味よね?由来とかあるのかしら?」

 

 次は永琳にも聞こえる程の大きさで言う。永琳はレポート用紙とペンを地面に置いて僕のそばに寄り、永琳はアヴァランチにペタペタ触りながら質問する。

 

「プロポーズの時に教えてあげるからそれまで待っててよ」

 

「一体どんなプロポーズなのかしら?楽しみにしておくわね」

 

 月明かりの下で嬉しそうに微笑む永琳の姿は再会したあの日より一層美しく感じた。幾ら年月を重ねても外見があまり変わらない僕たちは成長しているのか良く分からない。でも、僕達は確実に少しずつ成長していると信じている。

 僕は着ている白衣のポケットの中に入っている携帯端末が誰かから電話が着ているのか揺れている事に気がつく。僕は永琳に謝ってから電話に出る。

 

「あっ文夜君?」

 

「こんな時間にどうしたんですか?」

 

 どうやら静琉が電話をかけてきた人の様だ。しかし、勤務時間は既に終わっている筈だ。なのに一体何があると言うのだろうか?

 

「後で説明するからすっごく急いでホルダーの作戦会議室に来てくれない?」

 

 静琉はそう言い残すと電話を切った。どうやら僕に拒否権は無い様だ。

 

「お仕事?」

 

「ちょっと急ぎみたいなんだ」

 

 僕はアヴァランチを逆手で持つ。このサイズの物をどうやったら楽に運べるのだろうか?呑気にそんなことを考えてしまう。

 

「じゃあそれを持ち運ぶ為の何かを作っておくわね」

 

「よろしくね」

 

 永琳に御礼をしてから庭から玄関に向かい、靴を履いて作戦会議室へ少し駆け足で向かう。5分くらいで作戦会議室の目の前に着いたのでドアを開けて中に入る。そこには僕以外のホルダーのメンバーが揃っていた。

 

「奥さんとニャンニャンしているところを邪魔しちゃってごめんね」

 

 静琉は一人ソファに座って僕を出迎える。咲奈を始め、大勢の人が僕の尻尾とアヴァランチを見ているが特に気にしない。

 

「おっ!武器を用意したんだ!格好良いねー」

 

「それで一体どうしたんですか?全員居るって事は重要な事があるんですよね?」

 

 僕はドアを閉めて静琉に質問する。アヴァランチを見ていた静琉は立ち上がって周りを見渡す。

 

「文夜君が来た事で全員揃ったから重要な事を言うよ」

 

 それを聞いた人は全員息を呑み、緊張を走らせる。静琉はにっこりと笑い静かな声で語る。

 

「ホルダーができてから初の……実戦だよ」

 

 

 

〜メリーの部屋〜

 

 

蓮「お邪魔するわね」

 

メ「いらっしゃい蓮子」

 

蓮「暖かくなったり冷えたりで風邪を引いちゃいそうねー」

 

メ「何時でも上着を持っている私は準備万端よ」

 

蓮「タンクトップで外に出た時に限っていきなり冷えたりしたから大変だったわよ」

 

メ「タンクトップで外に出る時点でおかしいと思うけど……」

 

蓮「そんな事より聞きたいことがあるの」

 

メ「寿命の事かしら?」

 

蓮子「よくわかったわね」

 

メ「以前に説明するとか言っておきながら説明できてないもの」

 

蓮「あー老人とか子供が少ないって事の理由ってやつね」

 

メ「この時代の人々は寿命がとてつも無く長いの。死ぬ原因が妖怪に襲われるか交通事故か病気か殺人が殆どだもの」

 

蓮「ふむふむ」

 

メ「それで寿命が長いからこそ子孫を残す必要があまり無いのよ」

 

蓮「あーなるほどね」

 

メ「そして外見なんだけど大体20歳前後の時の容姿変化は無くなるの。太ったり痩せたりは別だけど」

 

蓮「よーく分かったわ!本当寿命が長いって羨ましいわね!」

 

メ「私は短い寿命の中でどれだけ綺麗に輝いてみせるかを探求する方が楽しいと思うわよ?」

 

蓮「その考えも分からなくも無いけどねー」

 

メ「まあ蓮子と楽しく過ごせるだけでも私は幸せよ」

 

蓮「何かそんな生活がもう終わりそうみたいなフラグを建てないで頂戴!」

 

メ「ふふっ!フラグを遥か彼方へ投げ飛ばすのも面白そうね」




こんにちは!

もう既に毎週日曜日に投稿が難しい事に気がつきました!

少しグダグダ感がありますけどこの作品の定義のような物を重点的に書いているのがこの古代編なので御理解頂けると嬉しいです
わからねえ!ここがおかしいなどありましたら是非感想で御指摘お願いします!

では…次回も見てください!
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