RE.個性【宮本武蔵】のヒーローアカデミア 作:きつねうどん食べたかった
『今日は俺のライブへようこそぉ!!』
実技受験日当日である二月二十六日、広大な講義室にやってきた最初に聞かされた言葉がそれだった。
個人的な予想では、これから行われる受験の内容が堅苦しく説明されると思ったが、このテンションの方が自分的にはありがたい。
俺が今いるのは雄英高等学校――通称、雄英と呼ばれる全国で一番有名であり人気のヒーロー科がある学校だ。
『エヴィバディセイヘイ!!!』
そんな講義室でテンションが馬鹿高い人の名、というかヒーロー名は【プレゼント・マイク】。
そのヒーロー名に恥じない声量で喋り続けるこの人は記憶違いでなければプロヒーローの筈だったし、入学前に見た資料では他にも何人かプロのヒーローが教員としているとのこと。
受験に受かるかはまだ分からないが、もしも受かった場合にその人らと手合わせできると思うと今から心が躍ってしまう。
『オーノー、誰も反応してくれないのかよ! こいつはシヴィー!』
俺個人としてはこのテンションに全然乗りたいし、何より既にあの面白いテンションの先生が既に気に入っている俺は叫びたいところなのだが、宿ってくれている二人が全力で止めている気がするのでここは自重。
そしてそれから説明されたのは今回の実技試験である【模擬市街地演習】の内容。
武器の持ち込みは自由のこの試験は、指定された演習会場で行うらしく、そこには1~3ポイントの
そして受験生の一人のおかげで微妙に気になっていたプリントに記載されていた四体目の事も知れたしこれで準備は万端と……。
そうして少し長くも楽しかった説明会が終わり、教員であるっぽいプレゼント・マイク先生が手を叩いて受験生の意識を自分に向けさせた。
『俺からは以上! そして最後、今日来てくれたリスナーには我が校の教訓をプレゼントしようじゃないか!』
そこで一度言葉を句切り、個性がないとされた時代に活躍した英雄ナポレオンの言葉を俺達に告げてくれて、そして――――。
『“Plus Ultra”!!――それでは皆良い受難を!!』
最後にその言葉を残してプレゼント・マイク先生は退出した。
『更に向こうへね、良い言葉残すじゃない。頑張るわよ一心』
『まあ一心なら余裕でしょ、とにかく頑張ってね?』
心中に宿る師匠二人に送られたその言葉で俺のやる気はマックス。
今までの頑張りを報わせるためにも、ここは絶対にミスれない――さぁ、気張れよ
説明会が終わった後やってきたのは試験会場。
自分が割り振られた会場にやってきた俺は、精神統一をしながら今か今かと試験が始まるのを待ち、呼吸を整えて刀に手をかけた時だ。
『ハイ!――スタァァァトォ!』
その声が聞こえた瞬間に俺は走り出し、この模擬市街地の中に蔓延る仮想敵を探し始めた。
俺以外が急に始まった試験で止まっているのに対し、常に戦場にいる意識を叩き込まれた俺は不意な開始でも動じることがなく順調にスタートを切った。
先陣を切ったかと思ったが、俺が走り出した直後にかなり大きい爆発音のようなものが聞こえてきて町に飛んでいく人影が一つ。
「端役が! テメェはそこで怯んでな!」
そして掌を爆発させたそいつは一番近くにいた仮想敵を破壊してこっちに投げてきたのだ……。
明らかな妨害行為、恐らく一番先に出た自分が気に食わなかったからだと思うが……それにしてもこれは、
「……よし、喧嘩売ってるんだなぶっ潰す」
キレても仕方ないよな?
そこからの俺の行動は早かった。誰かに見られないうちに自分の首を掻き切って、すぐに灰都さんの力を引き出す。後半になってからと思っていた力もキレてしまった俺からしたら出し惜しみしてる場合ではなく…………。
『ブッコロス!!』
人工音声でそんな事を言ってくる仮想敵。
今の苛立ってる俺は、只一刻も早くあの爆破男をぶっ飛ばすと決めているので、
「お前が壊れろガラクタァ!」
瞬時に細切れにしてそのまま俺は爆破男の後に続いていった。
通り道にいる仮想敵を全部細切れにしながら進んで行けば、きっとあの爆破男に再会できる。
試験を頑張るという思いで最初いた俺だったが、いつの間にかアイツをぶっ飛ばすという思考だけになっていて、敵の事を意識できなくなりながらも進んでいればいつの間にか、かなりの数の敵を倒していた。
ここら一帯の敵は俺が狩ってしまったせいで見当たらず、他の受験生が困惑している中で聞こえるのは絶え間ない破壊音と爆破音、音的に左に爆破男がいて右に行けば講義室で説明された第四の敵である0ポイントヴィランがいるだろう。
それならば俺が向かう方向は一つ。
「よぉ爆破男、元気か?」
名の知らぬ爆破男が倒そうとしていた仮想敵を細切れにした俺は、そんな風に挨拶をしてみたのだが、返ってきたのは酷い反応だった。
「おいモブ、なんなんだよお前はよぉ! さっきから俺のポイント取りやがって!」
「はぁ? 俺のポイントなんだが? というか、口悪いなお前……本当にヒーロー志望か?」
「よしてめぇぶっ殺す」
「やってみろ爆破男っと」
さっきから気付いていたが破壊音が近づいてきているのだ。
そして同時に聞こえる受験生らしき者達の悲鳴……そして視線をずらせばそこには巨大なロボットが。
「なあ爆破男今何ポイントだ?」
「……77ポイント、それと爆豪勝己だ刀女」
俺は女じゃないんだがとそうツッコみたかったが、今それを言う雰囲気ではないのでそれを受け入れ俺は言葉を続けていく。
「あいよ、そんじゃ爆豪よ俺のポイントも77。で、このままじゃ癪だよな? もうこの辺り一帯の敵はいない……で、このままだと引き分けだ」
巨大な仮想敵に目線を送りながらそう言ってみれば、すぐに爆破男兼爆豪勝己は察してくれたのか臨戦態勢に入ってくれた。
「しゃしゃり出るんじゃねえぞ刀女」
「そっちこそ前に出んなよ細切れにするからさ」
という事で話は決まり、やることは一つになった。
残り少ない時間でアイツを完全にぶっ壊した方の勝ち、単純明快な勝負方だが此奴とならそれで良いはずだ
あのロボを完全にぶっ壊すには灰都さんの力をもっと引き出す必要がある。
ならばこそ、もう一度――。
「ちょっと見るなよ、ショッキングだからな」
首を掻き切ってより濃く力を引き出して勝負に挑む。
首から舞い散るのは血潮ではなく花弁、宮本武蔵の力を引き出したことによって出てくるそれを見ながら笑みを浮かべた俺は、僅かだが動揺する彼を無視してロボへと飛び込み。
「十色屍」
本来ならこの技は対人用で、俺が持つ【白刀・腹削ぎ】を使い惑わしてから【黒刀・首刈り】での連続斬りを叩き込む技だが、ロボ相手に白刀は不要。
ただ全力で切り刻むだけだ。
放たれるは十の斬撃。
それはロボの巨大を一瞬にして傷つけていき上半身と下半身を二つに分けた。
その時点で既に行動不能になったロボ、トドメとばかりに俺はさらに二つに分けようとしたのだが、後ろから爆破音が聞こえてきて飛んでくる影が一つ。
「俺の獲物だ刀女ァ!」
その飛んできた爆破男はこれまでで一番の爆破を相手へとぶつけてロボを完全に破壊した。
壊れて落ちてくる部品、このままいけば大量の被害が出るだろう。
一応ヒーロー志望として、無視する訳にはいかず……。
「まったく後の事を考えろよな……」
と、そう愚痴りながらも落ちてくる部品を全部切り刻んで塵にした。
あれだけ暴れていた巨大ロボが一瞬にして消えてなくなるという光景に、放心する受験生達。
「これは俺の勝ちだろ」
そんな中で呑気にそう言ってみれば、
『終了ぉぉぉぉぉぉ!!!』
そのタイミングで試験が終了した。