とあるオタク女の受難(終末のワルキューレ編)。 作:SUN'S
「それがコスモスとの約束だから」
そう言って人間の女───菱木祐佳は神器錬成で得た武具と思わしきものを構えた。その美しい輝きに見惚れ、俺は攻撃を止めていた。
「私はフォスキア、ウルトラウーマンフォスキア!宇宙最強の皇帝ウルトラマンベリアルの妻だ!シヴァさん、破壊の神様だからって嘗めないでよね!」
「ハッ、そいつは楽しめそうだッ!!」
俺の不規則かつ連鎖する拳撃を真っ向から受け流し、俺の体に拳を叩きつけてくるフォスキアに魂が震える。おそらく人類側において最高の強さだ。
「ブリュンヒルデ、ゼウスのじいさんの時にコイツを出さないでくれたこと感謝するぜ!!コイツとなら神生最高の踊りが出来る!」
お互いに足を止めて拳の強さを比べる。一撃与えれば一撃返ってきて、どれだけ押し進もうと同じ分だけ押し戻される。しっかりと芯のある打撃を受け、身体が不自然に揺れる。
数千発の拳が行き交う中でカウンターを決めやがった。嬉しいなんて言葉じゃ例えられない。この人間は強い、そして慈愛の塊その物だ。
「人間、俺の傷を治すのは慈悲か?」
「それは、たぶん違う。私はシヴァさんに勝ちたいけど、貴方の奥さんや子供が泣いてるのを無視してまで、殴りたくないだけだよ。こう見えても二児の母だからね」
「は、はは、そりゃあ敵わねえな。いつの時代も母親ってヤツは頑固なくせに意地っ張りで、それなのに甘ったるいくらい優しい…」
「それが母親ってものだよ」
「テメーら、この戦いは俺が勝つ」
ゆっくりと四腕を揺らめかし、フォスキアを見据えながらニヤリと笑みをみせつける。こういうときこそ笑ってドンと構えるのが男だ。
「だからよぉ、安心して見てやがれ!」
そう叫ぶと同時に踏み込み、ひたすら殴り続ける。防御されようが攻撃されようが押し返すっ!どんだけ強かろうが今の俺は負ける気がしねぇ!!
「オラオラ!さっきの威勢はどうしたァ、俺を倒すんじゃねえのか人間ッ!!!」
「近くで、うるさい!」
俺の動きが不自然に止まる。いや、無理やり見えない何かで押さえつけられているといったほうが分かりやすい。
だが、この程度で俺を押さえられると思ってるのか?ミシミシと骨の軋む音が響く。一歩踏み出せば肉が裂け、二歩踏み出すと血が吹き出る。
「ダァラァッ!!」
俺は身体を拘束していたものを弾き飛ばし、コキリと痛む首を鳴らす。ピコンピコンと程よい音が聞こえ、フォスキアの胸元の宝石が赤く点滅し、今にも倒れそうなほどふらついている。
なんとなく理解できた。
あれは生命の危機を知らせる装置だ。たった二分ほどやり合った程度で、そうなるってことはフォスキアはダメージを回復していないということになる。
「スルーズさん、一緒に行こう」
ウルトラマンコスモス
ウルトラマンジャスティス
また、あの神器を構える。
「届いて、奇跡!」
ウルトラウーマンフォスキア
オーロラルディライト
「ハ、ハハ、ハハハ、こりゃあ驚きだ。この土壇場で神になるなんざスゲー燃えるなぁ!!」
俺さえ焼き尽くす魂の熱を受け止め、そのまま弾き返してきたフォスキアを見つめる。最高の一時だ、悔いなんぞ残っちゃいねぇ………。