とりあえずスシローに行きたくなりました。去年は新幹線を猛プッシュされていましたが、今年はスシローが謎にプッシュされていてすごく行きたさを掻き立てられます。
そしてギーツ最新話、後の不穏な要素を残しつつも綺麗に終わりましたね! 来年以降の展開も楽しみですね!
本作は……どう進んでいくんでしょうね(迷い)
※前回、オバホさんがバックルを持ってないように書いてしまっていましたが、読み直したらちゃんと手に入れていたので修正しました。
――――
――
「何故指示していないことが起きている……?」
ギロリはサロンに備え付けられた電話から“担当者”に連絡を取ろうとするも、不在なのか一向に出る気配がなかった。
ジャマトが変身することはイレギュラー中のイレギュラー、ゲームバランスを崩壊させかねない緊急事態である。
(新アイテムの実装を急がせるか? いや……そんなことをすればギーツが余計に強化されてしまう)
安易にアイテムを追加すればギーツ――エースが獲得した際に大幅な強化となってしまい、排除してゲームの健全化を図りたいギロリの思惑とは正反対の事態となってしまう。
かといってこのまま放置すれば全滅――今回のデザイアグランプリは苦い結果で終わってしまう。
「……仕方ない。ギーツに匹敵する
ギロリは巻き込まれた一般人の情報を見てほくそ笑む。
牛込 茜――元仮面ライダーバッファ。
今回は選考の結果エントリーさせなかったが、こうしてゲームに巻き込まれている以上縁があったとみるべきだろう。
彼は用意したボックスにデザイアドライバーとバッファのIDコアを収めると、参加者へ通知を行った。
――――
――
――Jya Jya Jya STRIKE!
――MAGNUM HAMMER VICTORY
ヤイバのレイズハンマーとジャマトライダーの武器がぶつかり合う。だがジャマトライダーの武器はヤイバの胸装甲を貫いてしまっている。
「っ……」
ジャマトライダーは勝利を確信し武器を持つ手に力を籠める。
だがヤイバは左足を上げ、ジャマトライダーのベルト付近へ押し当てる。脛に装着されたアーマードガンが火を噴き、無数の銃弾を放つ。
「――ジャッ!?」
ジャマトライダーは大きくのけぞり、銃撃を受けて後退していく。壁に押し付けられてもなお銃撃が治まることは無く、やがて爆散。ドライバーが地面に落下した。
「ぅ……」
しかし攻撃は確実に致命傷を与えていた。
ヤイバ――不眠の変身は解除され、その場に崩れ落ちる。
「おっさん!」
駆け寄るのは牛込。自分を守ってくれた“ヒーロー”を抱き留める。
「不眠さ――っ!」
「そんな……IDコアが」
タイクーンとナーゴもジャマトを撃退し、変身を解除して駆け寄るも、不眠のIDコアに罅が入っていることに気づく。
「……けがは、ありませんか?」
「ないっ……でも、どうしてこんなことを……! なんで、あたしなんか守って……!」
涙をにじませている牛込を見て不眠は微笑む。
「言ったでしょう。自分は――ヒーローになりたかった。誰かの貴重な時間を守れる、ヒーローに」
「だっ……だれもまもって、ほしいって……いってない!」
不眠は零れ落ちる牛込の涙を拭おうと手を伸ばす。その手は徐々に消え始めていた。
「ええ、言われてません……余計なお世話でもたすける……それがヒーロー、ってものですよ」
――MISSION FAILED...
不眠の体が消滅し、マグナムバックルとハンマーバックルが落ちる。
「――いやぁっ!!」
「お、落ち着けよミエ」
中学生カップルの片割れ――ミエは人の死を目の当たりにして悲鳴を上げる。このままではいずれ自分も不眠と同じように死んでしまうのではないか? 年頃の少女を恐怖に陥れるには十分だった。
――♪
緑谷のスパイダーフォンが鳴動する。
『――どうやら、ヤイバ――不眠 進が脱落してしまったようだね』
ゲームマスターからの通話だった。
どこか他人事のように語るゲームマスターに、緑谷は底知れぬ怒りを抱く。
「っなんで今更――
『すまない。間の悪いタイミングでの連絡となってしまったね。だが我々としてもジャマトの変身は想定外だ。故に――緊急措置としてプレイヤーの追加エントリーを行った』
ゲームマスターは表面上は申し訳なさそうにしていた。
『――牛込 茜。君は再び仮面ライダーに選ばれた。これから君のIDコアをエリアに』
「無理よ……っ!」
牛込はマグナムバックルを握り締めながら俯いている。
「仮面ライダーってのになっても、あたしはきっと暴走して迷惑かけるだけよ……!」
「牛込さん……っゲームマスター! 今僕たちに必要なのは頭数じゃなくてジャマトを撃退するアイテムだッ!」
『すまないがこれが我々のできる最大限だ。彼女がライダーとして戦えないのなら』
緑谷は言い返そうとしてスパイダーフォンを奪い取られる。
「な、なあ! その“仮面ライダー”ってのになれば、俺も戦えるのか!?」
中学生カップルの片割れの彼氏は、スパイダーフォンに向かって問いかけている。
『ああ、確かに戦うことができる。だが七宝 龍雅、君は守られるべき一般人だ』
「じゃあなんであの人は選ばれたんだよッ!? 強個性だからって贔屓してるってのか!?」
中学生カップルの片割れ――七宝は牛込を指差す。彼女はうずくまったまま動かない。
「確かに俺の個性は強くない! でもミエを守ってやりたいっ! 頼む! 俺に力をくれッ! あの人がやらないって言ってんだから、俺が代わりでもいいだろッ!?」
『…………』
沈黙が返される。
七宝の言い分も一理あると感じているのか、ゲームマスターは長考していた。
『……いいだろう。ただし――牛込 茜、彼女がエントリー権を放棄するならば、だが』
「別に……放棄しても」
「――っ!」
諦めようとする牛込の手を葉隠が取り、自分のベルトのIDコアに触れさせた。
その瞬間、彼女の脳裏にデザイアグランプリの記憶が――仮面ライダーバッファとして戦ってきた時の記憶がよみがえる。
「っいや、待って……」
全てを思い出した牛込は葉隠の手を振り払うと七宝の手からスパイダーフォンをもぎ取る。
「やるわ。早くIDコアを転送して!」
『……いいだろう。健闘を祈る』
通話を終了すると、彼女はマグナムバックルと共にスパイダーフォンを緑谷へ突き返す。
「ふん……後悔しないことね。あたしをエントリーさせたこと」
「しませんよ、後悔なんて!」
緑谷は不敵に微笑んでいる。心強い味方を得たことで、ゲームクリアへの希望を見出だしていた。
「……なんだよ。結局あんたがやるのかよ」
七宝はがっかりしたように牛込を睨み付けている。
「悪かったわね。あんたは――彼女をちゃんと守ってやんなさい」
「わ」
牛込は純情な少年の頭を撫でてやる。その顔が、退場してしまった幼馴染の顔を思い起こさせた。
「うしごっ……バッファ! これを」
緑谷はゾンビバックルを差し出す。それは――バッファのIDコアと最も相性のいいバックル。
「ん……じゃ、行ってくる!」
――――
――
――東棟の通路。
「あったたた」
聖拳は痛そうに腰をさすっている。
「ふん……」
共に行動していた治崎はいい気味だ、と言わんばかりに鼻で笑っている。
「じいちゃん、だいじょうぶか?」
ミサオが腰をさすってあげているのをエリは不安そうに見ることしかできなかった。
気が付けば手が伸びる――エリの個性、“巻き戻し”を使えば正拳の腰痛を癒してあげられるかもしれない。
だがひとたび調整を間違えれば消滅させかねない。それがエリをしり込みさせていた。
「……まさか、どうにかできると思っているんじゃないだろうな――エリ」
「っ!」
治崎はそんな彼女の様子を察知してか、鋭い目線を送る。
冷たいまなざしはエリの心を容易に締め上げる。体中を切り刻まれ、限界が来れば“リセット”させられる――そして少しでも弱音を吐こうものならば、見せしめとばかりに世話役を殺して見せる。
冷酷な瞳は、彼女の辛い記憶を次々と思い起こさせた。
「
「――そうなのか?」
ミサオはエリに問いかける。事情を知らない彼は彼女の心に巣食う恐怖に気づいていなかった。
「……ごめん、なさい」
「あやまることはないさ! よーし、じゃツボ押しで――あちょ!」
ミサオは気合を込めて聖拳の腰をつつく。
「どうだ?」
「おおっ! すっかりなお――ったたたた!」
しかし何も起こっていなかった。意気揚々と立ち上がろうとした聖拳は腰に走った激痛で再びうずくまる。
「だよな~! オレツボの位置とか知らないしな!」
「……そ、それを先に言っとくれ」
腰痛が悪化してしまったのか、聖拳は苦しそうに涙を浮かべていた。
「ふん……病気だな」
「……オレは元気だぞ?」
「十分病気さ。大した力もないくせに、個性なんてものを持ってしまったが故に自分が何かを成せると勘違いしている――お前はそういう病気さ」
治崎はドスを利かせた声を出しつつミサオを睨み付ける。
「……オレ知ってるぞ。それ、“チュウニビョウ”ってんだろ?」
「あ?」
純粋な少年には歪み切った大人の高説は染み渡らなかったようだ。ミサオの何気ない言葉に治崎の額には青筋が浮かんだ。
「何もできないからってカッコいいこといってごまかそうとしてるんだろ?」
「……このガキっ!」
治崎は怒りに任せてミサオを亡き者にしようとするも、寸前のところでゲームのルールを思い出し留まる。
「あとさ、オレ“無個性”だから!」
「何っ?」
「なんと!?」
「ぇっ……?」
あまりにも堂々とした宣言に治崎も聖拳もエリも驚きの声を上げる。
「でもオレはあきらめてねーぞ! オレはしょうらい“無個性”のヒーローになる!」
「……末期だな。英雄症候群も、ここまでくれば手の施しようがない」
治崎はゆっくりと手袋を外す。
この少年は遠くない未来、現実を知ることになるだろう。なんの能力も持たない人間が、ヒーローと言う職業を目指すことの難しさを。個性を持たない人間に吹き付ける逆風を。
ならばここで一思いに殺してあげた方が少年のためになるのではないか?
もはや個性を持たない人間にまで感染するようになってしまった病気を、ここで
ゲームと言う枷があるせいか、治崎は報復の理由を頭の中でこねくり回す。
「……いてっ」
「…………?」
顔を引っ掻かれたミサオは痛そうに顔を顰める。だが個性が発動しないため治崎は不思議そうに自分の指先を見つめる。
試しに近くの壁を引っ掻く――個性が発動し壁が分解、再構築される。
「……なんだよ。個性が病気とかいっててじぶんは使うんじゃんか」
「……何?」
「そっか、個性つかうのがへたくそだからエリで練習してたんだろ!」
ミサオはエリの包帯の撒かれた腕を指して指摘する。個性を使ったという点は間違ってはいないが、子供の想像力ではその全貌を理解することはできなかった。
「ダッセー! きめた! オレおっさんみたいにはぜったいにならん!」
「……なれない、の間違いだクソガキ」
「いいや、なれるさ! オレは
ミサオとエリの首輪が絞まり始める。ジャマトが近づいているのだ。
「……っきっと死ぬほど苦しいだろうけど、オレは死ぬ前に“ああしてればよかった”ってこうかいするような生き方は絶対にしない! でもあんたみたいなかっこつけてるだけのダセー大人には絶対にならねえ!」
ジャマトが姿を現す。一団を率いているのはジャマトライダーだった。
「……クソガキ。ここ出たら真っ先に殺してやるから覚悟しとけ」
――SET
自分をここまでこき下ろしたミサオを、治崎はもはや許していなかった。クローバックルを装填しジャマトへと立ち向かっていく。
「――安心せい。殺させやしなーったたた」
聖拳も変身しようとするも、腰痛のせいでまともに立つことすらできない。
「っなあエリ、本当に治せないのか?」
「……っううん。できる、かも……でも、しっぱいしたら」
巻き戻しの量を間違えれば聖拳は戻りすぎて消滅してしまう。腰痛を治そうとしただけでそうなれば元も子もないだろう。
「じゃあ、たのむ! じいちゃんをなおしてあげてくれ!」
「で、でも……!」
「しっぱいしちゃだめなら、しっぱいしなきゃいい! だいじょうぶ、オレがついてる!」
根拠のない自信。
失敗したらいけないのなら失敗しなければいい――それが出来たら誰も苦労しないものだ。
「……無理はせんでええ。この程度の腰痛なんぞ――気合ぃだだだだ」
聖拳は空元気を出して立ち上がろうとするも、腰痛とは気合でどうにかなるほど甘いものではなかった。
「本当はオレがじいちゃんを助けてあげたい。でもオレは個性がないから……なにもしてやれない。エリ――いまじいちゃんをたすけてあげられるのはお前しかいないんだ」
「……っ」
ミサオのまっすぐな瞳に見つめられ、エリの心は動き始める。
呪いのように刻まれたネガティブな言葉を振り払い、一筋の光のように救いの手が差し伸べられる。
エリの額にある角からエネルギーが迸る。
それは巻き戻しの力。望めば人類が進化する以前――個性が発現する以前、二足歩行で歩き始めるよりも以前の姿に戻すことのできる力だ。
「――むぅ?」
巻き戻しの力が聖拳の腰を包み込み、それはやがて全身に広がっていく。
「――あっ!」
エリは慌てて巻き戻しを止めようとするも、咄嗟の事で制御に失敗する。
光は恐ろしい早さで聖拳の体を巻き戻し始め――
「――大丈夫」
「っ」
ミサオがエリの手を掴む。すると巻き戻しの力が治まってくる。
少年――
しかし、彼には誰にもない特殊能力を秘めていた。
“触れた者の力を制御する力”
故に治崎によって分解されそうになっても、無意識のうちのその力を弱体化させることで事なきを得ていた。そして今はエリの手に触れることで巻き戻しの力にブレーキをかけている。
彼の能力は決して個性などではない。
個性と呼ばれる異能とは別系統の力――突然変異によって生じた特殊能力である。
「……おお! 体が軽い!」
光が収まると、聖拳は満面の笑みで体を動かす。その動きはとても軽やかで、先ほどまで腰を患っていたようには見えない。
「……でき、た?」
「ありがとうなぁ」
聖拳はエリの頭をなでてあげている。それはまるで孫をかわいがるおじいちゃんのようであった。
「おかげで元気100倍! ちょいと奴らを追っ払ってくるわい!」
彼はジャマトと向き直り、悠々と歩を進める。
「――グッ……ん?」
クロウ――治崎はジャマトライダーの猛攻により変身が強制解除、床を無様に転がっていく。
「情けないのぉ……所詮は
「ほざけ! てめえだって同じだろうが!」
「同じなもんかい! ワシは異能――個性なんぞもっとらんわい!」
「……は?」
聖拳の叫びに治崎の表情が固まる。
身体能力を向上させる、拳から衝撃波を放つ、その戦闘スタイルから何らかの個性を発動させていると考えていた治崎は、想定外の返答に間抜けな表情となっている。
「馬鹿な……
「ほっほっほっ! これだから最近の若いのは! お前さんとて
出水 聖拳、彼に個性は無い。しかしながら血の滲むような鍛錬の末に鉄の拳を獲得した。
「――ジャァ……」
――Jya Jya Jya STRIKE!
ジャマトライダーはバックルを起動し必殺技を放つ。
「ふぅぅ……セイッ!」
それと相対するように聖拳は正拳突きを繰り出す。
長年の鍛錬を経て硬質化した拳は音を置き去りにする。
拳は空を切り裂き、衝撃は波動のごとく駆け抜けていく。
「――ジャッ!?」
正拳突きは必殺技を打ち破り、ジャマトライダーを撃退。爆散しバックルが落ちる。
「ふむ、まずまず……」
「……どこがまずまず、だ――ジジイ、お前本当に無個性か?」
治崎は衝撃波で砕けた壁を見て顔を引きつらせている。
ジャマトライダーを打ち破ってなお威力を持て余した拳は、その余波で背後の壁を破壊したのである。
ただの正拳突きと言われるより、何らかの個性による破壊行為と言われた方がまだ納得ができるだろう。
「ほっほっ! いろいろと偉そうなこと言っておったが――まずはこのくらいやってみい!」
「できるかっ!」
聖拳の腰は完全に治癒されていた。
エリとミサオは嬉しそうにハイタッチしていた。
――――
――
――物見棟。
「――どうやら、以前もこの場所で退場した人たちがいたようですね」
ツムリは埃の被ったウォーターバックルを拾い上げる。元は水色のそれは、経年劣化も起きているのかくすんだ色になっていた。
「あーあ、困った“先輩”だよ。おかげでジャマトが変身しちゃうしさぁ!」
物間は部屋を物色し、暗号解読の手がかりを探している。
「でも――前にも参加者が居たってことは、彼らの残した手がかりがあるはずさ」
探すこと数分、物間はテーブルの上で埃をかぶっていた手帳とボイスレコーダーを発見する。
「ほら、あった――」
「――残念♪ 早い者勝ちさ♪」
彼が手を伸ばした刹那、颯爽と現れたエースが手帳を横取りする。
走ってきたのか、その息は上がっている。
「オイオイ! デザ神サマともあろう人が横取りとは感心しないねぇ!」
物間は苛立ったように顔を歪ませている。自分が見つけたヒントを横取りされたようで不愉快なのだろう。
「……ふふ。横取り? まさか。私は部屋に入ってこの手帳が目に入ったから手に取っただけさ♪ ――君から横取りしようとしたつもりはないんだけどなぁ」
エースは白々しく答える。微笑んでいたが、その目は笑っておらず、油断なく物間を見据えている。
「危ない危ない、
「っ……!」
二人の間で火花がぶつかり合う。物間はゆっくりとモンスターバックルを取り出して構える。
エースも手帳を懐へしまうとニンジャバックルを取り出す。
「えっ? なんで? 君たち仲間なんじゃ――」
エースと行動を共にしていた運転手の男は一触即発の空気に戸惑って右往左往している。
「――プレイヤー同士での戦闘は違反行為、ナビゲーターとして見逃すことはできません」
しかし、二人の間にツムリが割って入り戦闘は回避される。
「……だってさ。ここは仲良く協力して脱出しようか♪」
「仕方ない。デザ神サマがそう仰せならば」
戦闘は避けられたものの、二人の間では静かに殺気がぶつかり合っていた。
――――
――
――入口の広場。
「あった!」
牛込は広場に放置されていたボックスを手に取り、蓋を外す。片方はドライバーとIDコア、もう片方にはブーストバックルが収められていた。
彼女は素早くコアをドライバーに装填、ベルトを装着する。
「ジャ?」
付近を徘徊していたジャマトが牛込の存在に気づく。
「……肩慣らし、させてもらおうかしら!」
――SET
「変身っ!」
――ZOMBIE...
牛込――バッファはゾンビブレーカーを肩に担ぎつつ、悠々と歩を進める。
ジャマトは仲間を呼び寄せ、ジャマト達は広場へ集結し始める。
「――はっ!」
バッファはジャマトへ突撃する。
ゾンビブレーカーを振り回し、迫りくるジャマトを次から次へと撃破していく。
(やっぱり、集まってきた……!)
騒ぎを聞きつけたか、そういう習性があるのか、ジャマト達が続々と入り口前の広場へ集まっている。
城の中では緑谷たち他の参加者による暗号解読が行われていることだろう。
(あたしはそういうの、苦手だから――少しでもあいつらの負担を減らすッ!)
「――ジュラピラ、ヘンシン」
――Jyamato
やがてドライバーを手にしたジャマトが姿を現し、変身して襲い掛かる。
「好都合!」
バッファはゾンビブレーカーをジャマトへ振り下ろす。武器がぶつかり合い、鍔迫り合いとなる。
――POISON CHARGE!
仮面でスライドを操作、密着状態から必殺技を放つ。
「――ジャァ……」
「っしぶ、とい」
ジャマトライダーは必殺技を受けてなお復活する。生半可な攻撃では撃退することも難しいだろう。
「っならもう一度――」
――TACTICAL SLASH!
構わずもう一度必殺技を放とうとしたバッファだったが、横やりが入り攻撃を中断する。
「――ふふっ♪ 手を貸してあげようか?」
煙幕と共に姿を現したのはギーツ。続けてパンクジャックも姿を現し、周囲の雑魚ジャマトと戦っている。
「別に……助けなんて要らなかったし」
「素直じゃないなぁ――おっと」
2体目のジャマトライダーが姿を現し、ギーツに攻撃する。
その隙に落ちていたバックルをジャマトの一体が拾い、再び変身する。
「キリがない、ねえ!」
ギーツはため息をつきながらベルトのロックを解除、反転させフィーバースロットバックルを装填する。
――SET FEVER!
「――ねえ、こんなところで戦ってて大丈夫なの!? 暗号の解読は!?」
「大丈夫――こういうのは適材適所、得意な人間に任せればいいのさっ!」
ギーツ――エースは広場へ来る前に緑谷組と合流、暗号の手がかりの記された手帳を彼に託してきていた。
「私たちの仕事は――ここでジャマトを引き付けることさ」
――MAGNUM
ヒットした絵柄はマグナム。
――HIT! FEVER MAGNUM
マグナムバックルの装甲が展開され、ギーツに装着される。
「これも嬉しいけど! ――引き直し、かな!」
ギーツはマグナムシューターでジャマトをけん制しつつ、再びフィーバースロットバックルを装填、起動させる。
――NINJA
続けて出たのはニンジャの絵柄。
「よしっ!」
――HIT! FEVER NINJA
フィーバーニンジャとなったギーツは無数の分身を生成、ジャマトと交戦する。大型のバックルは本来1つきりしか存在しないレアアイテム、上下ともに同じバックルを装填することは不可能となっている。
しかしフィーバースロットバックルはランダムで大型バックルの能力を行使することができる。
無論、運に左右されるが上下共に同じバックルの能力を使用することも可能なのだ。
ニンジャバックルは本来、敏捷性に優れた機動力のあるバックル。
そしてニンジャのごとくトリッキーに戦うことが可能なのだ。
「――セイッ!」
掛け声とともにジャマトの軍団が吹き飛ぶ。
――CRAW STRIKE!
続けて鋭い爪の攻撃が吹き飛んだジャマト達に追い打ちをかける。
「ほっほっほっ! 盛り上がっとるのお!」
「言ってる場合かッ! とっととずらかるぞ!」
聖拳と治崎――クロウが姿を現す。
「あんたら――暗号は解けたのか!?」
「ん? お前さん見覚えはないが……?」
「あたしのことはいい! 出れるかどうか教えてっ!」
「……おお、ばっちりじゃ!」
聖拳はジャマトをさばきつつ、バッファの質問に答える。
「入口の暗号は城の中にあった絵の記号と同じ。でもって絵の内容と照らし合わせると――答えは“ひらけ”、じゃ!」
「ふん。あんなもの
「……」
子供でも解ける、と言われた暗号を解けなかったエースは拗ねたように近くのジャマトを斬り伏せた。
「――まってくださいっ! それじゃ開かないっ!」
ジャマトに追われながら姿を現したのはタイクーンとナーゴ。
二人はジャマトの攻撃を凌ぎつつ中学生カップルを連れて広場へと駆けてくる。
「僕たちの使う日本語とジャマトの使う言葉は音韻が違うんです! だから答えは“ひらけ”だけど読み方が違いますっ!」
「そう! だから答えは――」
――TACTICAL BLIZZARD
ナーゴの放った必殺技がジャマトの足元を凍り付かせる。
そしてタイクーンとナーゴは入り口の石板――その下に備え付けられたスピーカーにまでかけていき答えを叫ぶ。
「「
扉が合言葉を認識し、鍵を開く。
「ふふ。ゲームクリアだね♪」
――GOLDEN FEVER VICTORY!!
ギーツの放った攻撃がジャマトを一掃する。
プレイヤーたちは一般人を抱えると次々に門をくぐっていく。
ジャマト達は逃がすまいと手を伸ばすも、その手が届くことは無かった。
――――
――
ゲームはクリアされ、一般人たちは解放される。
「――壊理、帰るぞ」
「おっと、お前さんに預けるわけにはいかんの」
エリを連れて帰ろうとする治崎だったが、聖拳がさりげなくその手を阻む。
「他所の教育方針に口を出すな、と言ったはずだが?」
「子供を傷つける外道に何言われようと知ったことじゃないわい。この子はワシが面倒を見よう。しばらく頭を冷やしとけ!」
エリは縋る様に聖拳の足を掴み、ミサオはそんなエリを守る様に前に出る。
「オレはエリの味方だからな!」
「……チッ。あくまで邪魔をするってならこっちにも考えがある」
「ほほう。それは怖いの。姪っ子にしっかりと警備してもらうとするかの」
手袋を外そうとした治崎はピタリと動きを止める。
「姪っ子?」
「実はワシの姪っ子がヒーローをしていてな、そっちがその気なら――」
「……やめておこう。ヒーローを出されたんじゃ、こっちは下手に動けない」
聖拳の気迫に押されたか、それともヒーローに対して強く出れない
「……せいぜい、エリに消されないように気を付けるんだな」
「エリがそんなことするかよバーカ!!」
去り際にミサオから罵倒され殺意が再び湧き上がるも、戦うとなれば敵わないため諦めて引き下がるのだった。
――――
「――ん」
「え、これは……」
牛込からブーストバックルを渡され緑谷は困惑する。
「ゾンビバックル、渡してくれたお礼。あたし、借りは作りっぱなしにしたくないから」
「っ……!」
緑谷はブーストバックルを前に興奮を抑えられなかった。前回のデザイアグランプリでは引き当てながらもなんだかんだで使うことのできなかったブーストバックル。一度使えば無双の活躍ができるそれを手にした以上、彼が優勝候補の筆頭ともいえるだろう。
「――牛込 茜様。こちらに願いをご記入ください」
ツムリはデザイアカードを差し出す。
「うしっ……バッファの理想の世界って、確か」
――『あんたら“ライダー”をぶっ潰す、事よッ』
緑谷はかつて、牛込から聞いていた理想の世界の言葉を思い出す。
全てのライダーをぶっ潰す、それが彼女の抱く理想の世界。
「……別に名前で呼んでもいいわよ。あたしの理想は――あ」
牛込は何かを思い出したかのように赤面する。
「……ごめん、なさい。嘘ついてたわ」
「えっ……」
「あたしは――デザグラで退場した幼馴染を復活させたかったの」
ヒーローになる道を閉ざしてしまった幼馴染をヒーローにするためデザイアグランプリに参加した幼馴染――後藤 睦月。卑劣な参加者により退場させられてしまった彼を蘇らせるのが牛込の望みだった。
「でも、もう一人、復活させたい人が出来たの。だから――」
牛込はデザイアカードを緑谷へ見せる。
内容は――“デザイアグランプリで退場したすべての人がよみがえった世界”。
奇しくも、緑谷と同じ理想の世界だった。
「あたしの幼馴染も、あたしを助けて退場したあのおっさんも、二人とも助けたい。他の人は……そのついでね」
デザイアカードをツムリへと渡した牛込は、恥ずかしそうに頬を赤くする。
「……馬鹿馬鹿しいわよね。こんな途方もない願い」
「そんなことないですよ! だって……僕の
「……そ」
牛込は緩む顔を見られたくなかったからか、咄嗟にそっぽを向いた。
その胸は、静かに高鳴っているのだった。
――――
――
「――今の話、本当ですか?」
内容を聞いたマンダレイは、万が一にも話が洸汰に聞かれないよう咄嗟に声を潜める。
『はい。最近相次いでいる“ヴィラン変死事件”の被害者に――』
ヴィラン変死事件。
それはここ最近起きている変死事件だ。人気のない建物や路地裏などでヴィランとしてマークされている人物が遺体として発見される事件。
当初は抗争に巻き込まれそのまま亡くなったと考えられていたが、調査の結果そのような抗争はどこでも起きていないことが判明する。
事件の特徴として、被害者は全員ヴィランとして名をはせている事、個性が強力でヒーローも捕らえあぐねている事、そして――亡骸からは
「……ええ、わかりました」
マンダレイは電話を切ると、胸がざわついているのを感じる。
ヴィラン変死事件にマンダレイの所属するチーム“ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ”はその事件に関わっているわけではない。
「――な、なあ!」
「っ洸汰」
慌てた様子の洸汰に、マンダレイはなぜだかとてつもなく嫌な予感を抱いていた。
「なあ……今、ニュースでやってたんだけどさ」
話し終わる前にマンダレイは飛び出し、テレビの前に直行する。
『――繰り返しお伝えします。変死した遺体の身元が判明しました。ヴィラン名:“血狂い”マスキュラ―、本名:今筋 強斗、ウォーターホース夫妻を殺害したヴィランであり――』
マンダレイの下にヴィラン変死事件の情報が伝わった理由、それは彼女の従兄、ウォーターホースを殺害したヴィラン、マスキュラ―が殺害されていたからであった。
迷宮編はこの辺で完結です。
ヒーロー殺し編は恐らく挟まず、そのまま期末試験編――ももしかしたらダイジェストで一気に合宿編に進むかもです。
まあ、ヴィラン連合もいなくなっているので、平和な強化合宿になると思います!(フラグ)