【完結】僕のデザイアグランプリ   作:鮫田鎮元斎

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大変お待たせしました。南米異聞帯でマスター業務を遂行していたら遅くなってしまいました。

ギーツ最新話ではプロデューサーが変身したりジャマト側の目的が分かったりと大きく話が動きましたね!
本作はオリジナル方向へ舵を切っているので、どこまで反映させるかは未定です。
一応、最終話までの道筋は出来たので、あとはどれだけ取り込めるかってところです! 中間フォームまでは取り込めるかな……?

今回は宣言通り、オリキャラ周さんのオリジン回です。想像以上に分量が増えてしまいましたが、最後までお付き合いいただけると幸いです。















32 逆境Ⅶ/周 隼人:オリジン

――――

――

 

 ――10年前。

 

 雄英体育祭、決勝戦、3年生の部。

 この年の競技は1vs1のタイマンバトル。当然ここまで勝ち進んできたのはヒーロー科が主で、3年間の集大成を披露するまたとない舞台となっていた。

 

『――決勝戦! ここまで順調に勝ち上がってきたヒーロー科――』

 

 実況を担当するのは()()教師のプレゼント・マイク。

 当時から変わらず軽妙な語り口の実況で人気を博していた。

 

『――バーサス! まさかの大番狂わせ! このまま優勝なるか!? サポート科、周 隼人ォッ!』

 

 体操服の下に戦闘支援服を着こみ、近未来的なウェアラブルグラスを装着した周は、対戦相手をつぶさに観察する。

 鍛え上げられた肉体、三年間の試練を超え成熟した精神、そして潜り抜けてきた数多の修羅場、それらがヒーローの卵を羽化寸前まで育て上げていた。

 

『あんた、すごいな。今度俺のサポートアイテム改修してくれよな』

『……まあ、気が向いたらな』

 

 対戦相手は周を見上げるようにして対峙する。相手の身長は半分ほどしかなく、まさに巨人と小人だった。

 

『へっ! ここまでこれたのは俺と当たらなかったからさ。そのでっけー体に刻み付けてやるぜ、この俺――』

『――決勝戦、スタートッッ!!』

『――の名をなッ!』

 

 対戦相手の名乗りは試合開始の合図にかき消されてしまった。

 周は絞まらない始まりに苦笑しつつ、グラスの電源を入れた。

 

『あんたの強さのタネは見当がついてる。悪いが俺の圧勝だぜッ!』

 

 対戦相手が個性を発動させるとその姿がかき消える。彼の個性は“超加速”、一定時間100倍の速さで動くことができる能力を持っていた。

 入学当初はその持続時間は10秒程度だったが、3年間の鍛錬で1分程度にまで時間が伸びていた。

 

『……そうか、悪いがお前の動きは――』

『なッ!?』

 

 周は対戦相手の拳を危なげなく受け止める。グラスには対戦相手の動きの予測が表示されており、彼はAIの出した指示に従って動いていた。

 

『全て予測済みだ』

 

 対戦相手は冷や汗をかいているも、即座に次の手に移る。

 

『予測できるのはすげぇな! でも予測しても()()()()()()()意味ねぇだろっ!』

 

 続けて繰り出されるのは高速のラッシュ。傍から見れば腕が増殖しているかのように見えるだろう。

 観客から悲鳴のような歓声が上がるも、それは惨事を目にしたからではなかった。

 

『……言ったはずだ。お前の動きは()()予測済みだ、と』

 

 周はラッシュを全て躱している。

 時に避け、時に腕で弾き、全てさばききっている。

 彼の装着しているグラスには相手の腕の動きが予測され、その都度最適な回避方法が提示されている。周はAIの出す指示に寸分の狂いなく従い続けていた。

 

『ッ!』

 

 無論、少しでも動きが遅れればAIの指示との齟齬が起き、そこからドミノ倒しのように動きが破綻してしまう。

 だが周は自身の()()を用い動きをカバーしていた。

 彼の個性は“完全操作(パーフェクトコントロール)”、己の肉体を()()()()()()動かすことのできる個性だ。

 人間は思っている以上に自分の体を精密にコントロールできていない。最も精密な操作ができる指先でさえ、思った通りの力を瞬時に引き出すことは難しい。

 しかし彼の個性はそれを可能にする。肉体を寸分の狂いなく、思い描いたとおりに動かすことができるのである。

 それはさながら精密機械。文字通り肉体を()()()()()()()()()()()()()()()()動かすことができるのである。

 

『……そろそろ、時間切れか?』

 

 周の言葉に対戦相手ははっと息を呑む。超加速できる時間はとっくに限界だった。

 加速が切れれば、次に超加速ができるまでインターバルを要する。彼のスタイルは速攻、超加速できる1分で全てのケリをつける短期決戦型だったのだ。

 

『っ確かに個性はしばらく使えねぇが――一芸だけじゃヒーローは務まんねぇよッ!』

『……悪いが、もうお前の見せ場は終わっている』

 

 対戦相手はカンフーを思わせる型で構えているも、周は即座に動きに対応し対戦相手を追い詰める。

 

『ぁぅっ』

 

 やがてフィールドの端へ追いやられ、当て身を喰らって気絶する。

 周はグラスの電源を消すと戦闘を終了させた。

 

『――お、起きちまったぜジャイアントキリングッ! 雄英体育祭、3年の部の優勝は――今大会きってのダークホース、サポート科、周 隼人だァッ!!』

 

 大歓声を受け周は嬉しそうに微笑んでいた。

 優勝をすれば自分の“発明品”を使いたいと飛びついてくる会社も数多くあるだろう。

 そうすれば――自分の夢に一歩近づける。

 彼はグラスを外しながら、来るその瞬間に備え心の準備を始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 しかし状況は周の想定とは大きく異なっていた。

 どこの会社からもオファーが来なかったのである。

 

『……何故だ』

『そりゃそうだ。あれが出回れば()()()()()()()()()

 

 工房でうなだれる周をパワーローダーが励ます。

 

『“AIが判断した()()()を装着者に指示し、その動きの支援をする”。そもそも扱うための難易度が高い上に、使えたら使えたで()()()()()()()()()()()()強くなる』

 

 “AIが判断した()()()動きを着用者に指示し、その動きの支援をする”

 AIが“回避が最適解”と判断したら回避を、“攻撃が最適解”と判断したら攻撃を、着用者の得手不得手に関わらず強制するのである。

 いわば二つの頭脳で一つの体を動かそうとしているようなものである。

 しかし息が合えば無類の戦闘能力を発揮できる。

 周が体育祭で披露したように、訓練を詰んだセミプロであっても容易に圧倒できてしまう。

 理論上でいうならば、例え相手がオールマイトであったとしても斃せてしまえるポテンシャルを秘めているのである。

 

『仮に警察に配備すりゃ、個性要らずの制圧部隊の完成。ヒーローなんていなくても警察だけでヴィランの対処が可能になる』

 

 超常黎明期、警察では個性犯罪を鎮圧するための特殊スーツを配備する計画がされていたという。

 無論、様々な理由で計画はとん挫したが、実現していれば今の社会にヒーローは存在していないだろう。

 

『……別に誰も困ることはない。ヒーローがいなくてもヴィラン犯罪に対処できるなら』

『いるから、連絡が来ないんだろう?』

『……』

 

 職業としてのヒーローが不要となれば、連鎖的に職を失う人間が多発するだろう。

 ヒーロー事務所に勤めるサイドキックはもちろん、コスチュームを作る会社とそのデザインをするデザイナー、サポートアイテムを作る会社、その会社の下請け会社……社会の根本から崩れかねない連鎖が起きるだろう。

 周はそうなることを理解しているがゆえに、何も言い返すことができなかった。

 

『ま、サポート科の本番は文化祭だ。そう気を落とすな』

 

 パワーローダーの言葉に周は大きなため息をつく。

 

『――話は聞かせてもらったわ!』

 

 その時、工房の扉が大きく開け放たれる。

 逆光の中姿を現したのは黄金色のツインテールが特徴的な女子生徒。腰に手を当てて精一杯胸を張っているも、小柄な体格のせいかかわいらしさが先行した。

 

『……誰だお前』

『あら、未来のスポンサー様に向かってその口の聞き方はないんじゃないかしら?』

 

 周の問いかけに女子生徒は指を振ることで応える。

 

『ま、少しの非礼は水に流してあげる。アンタは金の卵を産むガチョウ、少しぐらい大目に見てあげるわ』

 

 困惑する周を置き去りにし、女子生徒は勝手に話を進めていく。

 

『アタシは小金(こがね) メグミ。アンタの才能、アタシが買うわ!』

 

 ビシッと周を指差し、どや顔を決める女子生徒――小金。

 

『……は?』

 

 そんな彼女の言葉を受けた周は間抜けな声を上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

 ――現在

 

「――さあ、かかってこい。俺はお前の仲間を退場させた――敵だ

 

 ナッジスパロウは拳をタイクーンに突きつけて挑発する。

 だがタイクーンは目の前の事態を見てなお、ナッジスパロウが仲間(うしごめ)を退場させたとは思えなかった。

 

「待ってください……あなたが、敵だなんて」

「……相当お人よしだな。初対面の時の警戒心はどこへ行った?」

 

 躊躇うタイクーンをナッジスパロウは鼻で笑い飛ばす。

 

「構えろ。構えないなら――死ぬぞ」

「ッ!」

 

 ナッジスパロウは一歩踏み込む。

 ただそれだけで距離が一気に縮まる。3mに迫る身長の歩幅はとても大きく、間合など簡単に埋められるのだ。

 

(っ戦うなら――ゾンビバックルを)

 

 タイクーンはナッジスパロウの背後にあるゾンビバックルに意識を向ける。

 ニンジャフォームはタイクーンと最も相性のよいニンジャバックルを使用した形態だ。本領を発揮するのにまたとない装備だ。

 しかしその本領は機動力を生かした奇襲戦、正面切ってタイマンを張るには心もとない武装だ。

 その上相手は純粋なパワータイプのナッジスパロウ。有効打を与えるためにはどうしてもパワーが必要となる。

 

「……まあ、そう考えるよな」

「うっ」

 

 タイクーンの動きを予測してか、ナッジスパロウはバックステップをしつつベルトのロックを外す。

 

 ――REVOLVE ON

 

 ベルトを反転させ、サマーソルトキックでタイクーンをけん制しつつ背後に落ちていたゾンビバックルを手に入れる。

 

「……知っているか? バックルによっては使い続けると副作用があるらしい。俺も、ゾンビのタフネスにあやかるとするか」

 

 ――DUAL ON

 

 ナッジスパロウは独り言のようにつぶやくとゾンビバックルを装填、起動させる。

 

 ――ZOMBIE...&MONSTER!!

 

 召喚されたゾンビブレーカーを肩に担ぎ、左手の爪をタイクーンに向ける。

 

「ッ……!」

 

 ――SINGLE BLADE

 

 タイクーンはそれに対しニンジャデュアラーをシングルブレードに切り替えて構える。

 だが下手に仕掛ければ返り討ちに遭うのは自明、冷静に機会をうかがっている。

 

 ――一陣の風が吹く。

 

「――ッ!」

 

 先に仕掛けたのはナッジスパロウだった。

 再び一足で距離を詰めゾンビブレーカーを振り下ろす。

 タイクーンは機動力を生かして回避、カウンター気味にニンジャデュアラーを突き出す。

 ナッジスパロウは左手のカギヅメでニンジャデュアラーを防ぐ。

 

 ――ROUND 1

 

 タイクーンはすかさずシュリケンラウンダーを回転させトリガーを引く。

 

「――くっ!?」

 

 ――TACTICAL SLASH!

 

 至近距離の衝撃波にナッジスパロウは大きく吹き飛ばされ、ゾンビブレーカーを取り落としてしまう。

 

「何か、理由があるんですよね……? あなたが理由もなく人を傷つけるとは思えない」

 

 タイクーンは残心しつつ問いかける。

 ナッジスパロウ――周が敵であるはずはない、敵であってほしくない。そんな願望が出ているようだった。

 

「……まだ躊躇っているのか? 言ったはずだ。お前らに協力したのは、俺の目的を()()()叶えるためだ、と」

 

 ナッジスパロウは体を起こしつつ、ため息をついた。

 

「どの道俺を斃せないようじゃデザ神など到底不可能だ。本気で優勝したいなら――俺を斃してみせろ」

 

 その瞬間、目の前にいる者が“元デザ神”であることを思い出す。

 この男を超えることができなければ、絶対に勝ち残れはしない。

 

「言われ、なくてもっ!」

 

 ――NINJA STRIKE!

 

 タイクーンはバックルを起動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

 ――10年前。

 

 周は理解力には自信があった。サポート科の入試は首席で合格しているし、定期試験でも毎回1位の成績を取っていた。

 難点があるとすれば、相手の話そうとすることを先読みしすぎて会話にずれが生じてしまうことである。

 

『……聞こえなかったの? アタシはアンタをスカウトするって言ってんのよ』

『…………悪い、俺は忙しいんだ。冗談なら他の奴にしてくれ』

 

 そんな彼でも今の状況は理解ができなかった。

 急に現れ自分のスポンサーになると宣言した少女――小金。

 周は彼女の制服の真新しさから1年生であると判断し、話の内容から経営科に所属していることを導き出した。

 

『あら、スカウトが一切来ていないのにそんなに忙しいのかしら?』

『……』

 

 小金の挑発に周は青筋を浮かべる。

 

『……第一、経営科のお株はヒーローのプロデュースだろう? なぜサポート科の俺をスカウトする』

『えっ……なんでアタシが経営科だってわかるのよ』

 

 周はため息をつきながら顎をさする。

 

『……簡単な推理だ。スカウトだの金だの言っているということは経営科の可能性が一番高い。普通科の可能性もなくはなかったが、反応を見る限り間違ってはいないようだな』

『ぅ……やるじゃない! さすがはアタシが見込んだだけはあるわね』

 

 小金は深く頷きつつも、額に冷や汗を浮かべている。

 

『話がそれたわね。アタシがアンタをスカウトしたい理由は一つ、アンタの才能に()()()を感じたからよ』

 

 と、彼女はブレザーの内側から小切手を取り出す。

 

『もちろん、報酬はそれなりに支払うわよ――どうかしら? 話だけでも聞く気になったかしら?』

『……場所を変えるぞ』

 

 断れば大騒ぎされそうだと推測した周は、小金を連れて食堂へ向かう。

 昼時は賑わっている食堂も、放課後は人がまばらだ。

 人気の少ない端の席を陣取ると、二人は向かい合うように座る。

 

『アタシが依頼するのはこれよ――』

 

 “ヒーローのバックアップシステム”

 それが小金の欲している物だった。

 登録されたヒーローの個性や得意分野、性格、学生の時の活躍度合いなど様々なデータから最適な活動内容を算出し、それを提案するシステムだ。

 適正に合っていない仕事をしているせいで困窮しているヒーロー、身の丈に合わない事件に対処して殉職するヒーロー、実力がありながらもめぐりあわせが悪く活躍できないヒーロー――そういった者達へ救いの手を差し伸べられるようにするシステムである。

 

『――実現すれば第2、第3のヒーローのカリスマ(オールマイト)だって生まれ得るわ。どう? アンタにとっても悪い話じゃ無いハズよ』

 

 周は困ったように顎をさする。

 確かに、彼女の提案に心が動かされなかったわけではない。彼自身、今のオールマイト一強な社会には思うところがあるのである。

 平和の象徴(オールマイト)とて万能の存在ではない。いずれ老いて引退し、そのヒーロー活動に終止符を打つ日が来るはずだ。

 そうなれば現No.2のエンデヴァーが繰り上がりでNo.1になる。だがエンデヴァーにはオールマイトほどのカリスマはない。少なくとも、オールマイトの威光で成り立っている平和は終わってしまうだろう。

 必要なのは第2、第3のオールマイト――存在そのものが犯罪の抑止力となるヒーローの存在である。

 

『……断る』

 

 しかし周の返答はNoだった。

 

『…………報酬ならいくらでも払うわ』

 

 小金は負けじと小切手とペンを差し出す。

 

『好きなだけ書いていいわ――待って、8桁までの好きな額ね、そこまでなら払えるわ。悪い話じゃないでしょ?』

『……金の問題じゃない。お前の提案は俺の夢と似て非なるところにある。だから断る』

『へえ、アンタの夢?』

『……“ヴィランのいない世界”』

 

 周もまた、今のオールマイトありきのヒーロー社会に危機感を募らせていた。

 たった一人のカリスマに依存しきった社会の末路は没落と相場が決まっている。遠くない将来、オールマイトが現役を退いたとき、その生涯を全うした時に訪れる()()に今の超常社会は耐えられるはずもない。

 ずっと押さえつけられていた悪たちは、押さえつける平和の象徴(オールマイト)を失い反動の様に暴れだすだろう。

 必要なのは未来永劫失われない“悪を抑制するシステム”。国民全員のデータをインプットすることでその人物が将来“犯罪を犯す可能性”を算出、事を起こす前からそれを阻止するのである。

 完成すれば悪は可能性から排除される。ヒーローと言う“人間”に頼ることなく社会の平和は保たれる。

 

『確かに、アタシとは逆の考えね』

 

 小金は“オールマイトの次代をプロデュースする”という考えに対し、周は“オールマイトがいなくとも成り立つ平和”という考えだ。

 二人の考えの根本は同じでも、見据える未来は違うのである。

 

『ま、()()としては立派かもしれないわね』

『……今、なんて言った?』

 

 嘲るような小金の物言いに周の目つきが鋭くなる。

 

『妄想だ、って言ったわ。謝罪するつもりわないわよ』

『……話はこれで終わりだ。二度と来るなよ』

 

 彼は苛立ちを隠すこともせず席を立つ。声を荒げてこそいないが、怒り心頭なのははた目から見ても明らかだ。

 

『“金なき夢はただの妄想”よ。アンタの()は立派ね。実現すれば世の中は確実に変わるわ――でも、どうやって実現するのかしら?』

 

 小金の挑発するような言葉に周は動きを止める。

 ゆっくりと振り返れば、ニヤニヤと笑っている彼女の顔が目に入る。

 

『まさか、努力し続ければ夢が叶うと思ってるの? 見た目に似合わず可愛らしい考えですこと』

『……っ!』

 

 周はその推察力で彼女の言わんとしていることを理解した。

 

『アタシに言わせてみれば、そんな夢はただの妄想よ。宝くじを買って“億万長者になったらどうしよう”って言うのと何ら変わりがないわ』

 

 努力をすれば夢は叶うかもしれない。

 叶うかもしれないが、それがいつなのかは誰もわからない。明日、明後日、1週間後、1か月後、1年後……来る日も来る日も努力をし続ければ、いつか叶う日が来るかも知れない。

 だが一生叶わないかもしれない。

 諦めなければ夢は叶う。が、いつ叶うかまでは誰も保証してくれないのだ。

 

『でも、お金があれば夢は実現可能な“目標”に変わるわ。夢を叶えるための道筋が生まれるのよ』

『……金があれば、俺の夢は叶うって言いたいのか?』

 

 周はテーブルの上に置かれている小切手に視線をやる。

 数字の書かれた紙きれ。

 こんなもので夢が叶うと、目の前の少女は言い放っているのである。

 

『アタシの夢もそうよ。アタシの夢はアンタの腕を買うことで叶う。アンタはアタシのお金で開発資金を得られる――いつまでも妄想をしていたいのなら自由よ』

 

 小金は試すような目で周を見つめる。

 ここで彼が断われば、彼女は別の者に同じ提案をしに行くことだろう。彼女が欲しているのは彼と同等の技術力を持つ技術者だ。その資金力があれば、代わりを見つけようと思えばいくらでも見つけられるはずだ。

 

『……まずはサンプルを作ろう。文化祭の展示に間に合わせるぞ』

『ふふ、決まりね』

 

 小金は安心するようにほっと息をついていた。

 まんまと口車に乗せられてしまったことを知り、周は苦笑するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 それからは忙しくも充実した日々だった。

 周がシステムの試作品を作り、小金がそれのダメ出しをする。

 あまりに無茶な要求に周が怒り、そのたびに小金が挑発してその気にさせて問題を解決させる。やがて二人は言葉をほとんど交わさずとも互いの考えていることを察することができるまでに仲を深めていた。

 

 そして来る文化祭、周の開発したバックアップシステムの試作品は大手サポートアイテム会社のお眼鏡にかない、製品化への打診が来ていた。

 ――“ヒーロー社会のため、このシステムを世に広めていきたい”、担当者――髪が薄く、目元にあざのある男だった――はにこやかに語っていた。

 二人の努力が報われた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 文化祭が終わり、誰も居なくなった教室で二人は余韻に浸っていた。

 

『――アタシのお兄ちゃん、ヒーローだったんだよね』

 

 小金は静かに語りだす。

 

『そんな有名じゃなかったけど、地元じゃ知らない人はいなかったわ』

『……初耳だな』

『そうね。正直言うつもりもなかったの』

 

 夕日が小金の横顔を照らしている。

 初めて会った日に比べると、少しだけやつれて見えた。

 

『だって――もう死んじゃったからさ』

『……成程、それが原点(オリジン)ってことか』

 

 周の言葉に小金は静かにうなずいた。

 彼女の兄は身の丈に合わない事件に遭遇し殉職してしまったヒーローの一人。その命と引き換えに多くの命を救った“英雄”であったが、残された家族にとってはたまったものではない。

 

『ありがと。ハヤトのおかげでアタシの夢が叶うわ』

『……それはお互い様、だ』

 

 にやり、と笑いつつ周は何も書かれていない小切手を取り出す。

 

『8桁までなら、好きな額を書いていい、だったな』

『もちろん! 好きなだけ書いて頂戴!』

 

 周はペンを走らせ、小切手に金額を記入する。

 

『……これが、俺の答えだ』

『ぅ……大丈夫、お兄ちゃんの残してくれたお金で――って、何よこれ』

 

 小金は怪訝な顔で小切手を突き返す。

 そこには“0”と書かれていた。

 

『……ここで金を受け取れば、俺とお前の関係は終わりだ。だが俺は――()()()()()()()()()()()()。お前の金で俺の夢を実現してくれるっていうなら、俺の夢に付き合ってくれないか?』

『……本気?』

『冗談に見えるか?』

 

 小金は緩みそうになる頬を押さえようとして変な表情になっていた。

 

『もう! 仕方ないわね』

 

 彼女は嬉しさを隠そうともせず、小切手をぎゅっと胸に抱き寄せる。

 

『そこまで言うなら、付き合って、あげ……る――』

 

 ふらり、と小金の体が崩れ落ちる。周は咄嗟に彼女の体を受け止める。

 

『おい、どうしたッ!? 大丈夫かッ!?』

『おおげさ、ね……ちょっとめまいが、した、だけ』

 

 彼女はとぎれとぎれにつぶやくと、意識を手放してしまう。

 周は大慌てで彼女を保健室へ連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 結論から言えば、小金は軽い貧血で倒れてしまっただけだった。

 しかし周はそこで彼女に待ち受けている運命を知ってしまう。

 小金 メグミの個性は“幸運”、普通では起こりえない“確率の低い”ことが自動でやってくる幸運を発揮する個性である。

 だがその名に反して重大なデメリットを抱えている。

 普通では起こりえない低確率な事象――例えば()()()()()()()しか発症しない不治の病すら彼女の個性の対象である。

 確かに、めったにかからない病気なのだから()()ともいえるのかもしれない。だがそれは医学界にとっての幸運であり、彼女にとっての幸運ではない。

 

『気にすることないわよ。この世の中に絶対はない。だからアタシはそう簡単に死なないわ』

 

 小金の言葉が周の心を晴らすことは無かった。

 いつか彼女に訪れるかもしれない“最低な幸運”をどうにかして避けることができないかを必死で考えた。

 月日は流れ、周は雄英高校を卒業する。

 自然と二人の会う時間は減ってしまうが、その分彼は彼女の運命を変える方法を模索した。

 

 

『――おめでとうございます! ()()()()()()()()()、貴方は選ばれました!』

 

 

 そんな時だった。周の下にデザイアドライバーとIDコアが届けられる。

 理想の世界を叶えるゲーム、デザイアグランプリ。その招待状だった。

 

『……どんな理想も、叶うのか』

 

 周は躊躇いつつもデザイアグランプリにエントリーする。

 デザイアカードが配られ、彼は何を願うか逡巡する。

 

 ――『“金なき夢はただの妄想”よ』

 

 そこで思い返されるのは小金の言葉。

 金なき夢はただの妄想、夢は金を得ることで初めて実現可能な“目標”となる。

 この世界にはそんな実現不可能な妄想(ゆめ)を抱いている者がいるのではないのだろうか?

 現代の医学では治せない不治の病の治療法の研究、治療の難しい病の画期的な治療法の研究、そういった方面で叶わぬ理想(ゆめ)を追いかけている者は数多くいるのではないか。

 いつの日か、小金に訪れるかもしれない“最悪な幸運”を乗り越えるための手段を確立する。

 そのための資金を自分が持っていたら?

 周はデザイアカードに願いを記入した。

 

 ――“巨万の富。俺が一生かかっても使いきれないほどの金”

 

 いつか、大切な人に訪れるかもしれない“最悪の幸運”を解決するための資金。

 共に夢を叶えるために必要な資金。

 一見すれば彼の理想は欲にまみれた薄汚い物に見えるだろう。

 だがその原点(オリジン)は純粋で、とても非難できるようなものではなかった。

 

 こうして周――ナッジスパロウはデザイアグランプリの戦いに身を投じることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 デザイアグランプリ最終戦――“戦艦ゲーム”

 当時、勝ち残っていたプレイヤーはナッジスパロウを含め三人。

 熾烈な争いを勝ち抜いてきたプレイヤーは街の防衛に努めつつ、己の理想の世界を叶えるべく必死に戦っていた。

 

『――ふぅ……やるしか、ないよな』

 

 ――DUAL ON

 

 ナッジスパロウは空中を我が物顔で遊泳するラスボス――ラフレシアフォートレスジャマトへ狙いを定めた。

 

『ややっ! ナッジスパロウ氏、城を落とすのは無茶ですぞ!』

 

 カメレオンのような仮面のプレイヤー――メレオは眼鏡を上げるような仕草で無茶をしようとしているナッジスパロウを諫める。

 

『……だが、あれを野放しにすれば――街に平和は訪れないだろう?』

 

 ――GET READY FOR "BOOST & MAGNUM"!!

 

 マグナムブーストフォームとなったナッジスパロウはマグナムシューターをライフルモードへ切り替え空中のラフレシアフォートレスジャマトへ銃撃を繰り出す。

 触手を的確に撃ち落し、洋城の攻撃手段を奪っていく。

 だがその装甲は非情に堅く、弾丸をいとも簡単に弾いてしまう。

 

『ほ、ほら見たことか! だから無茶だと』

 

 メレオはレイズアローでジャマトを貫きつつナッジスパロウを連れて引き下がろうとする。

 

『……確かに、外からは無理だな』

 

 ナッジスパロウは即座にブーストライカーを召喚、メレオを振り払うとそれにまたがりラフレシアフォートレスジャマトへ特攻を仕掛ける。

 

『内部まで堅牢な城は――存在しないものだ』

 

 スロットルを吹かし、ナッジスパロウはラフレシアフォートレスジャマトの口へ飛び込んでいく。

 耐え難い悪臭につつまれている城内をブーストライカーで駆け抜けつつ、マグナムシューターを乱射し城を内部から破壊していく。

 

『――――!』

 

 致命的な損傷を負ったラフレシアフォートレスジャマトは悲鳴のようなものを上げながら墜落していく。

 

『……悪いがお前の攻略法は――既に確立済みだ!』

 

 ――BOOST TIME!!

 

 ラフレシアフォートレスジャマトは残った触手を展開しナッジスパロウを撃ち落そうともがく。

 彼はその触手の軌道を知っているかのように見切り、アーマードガンを展開して全て防ぎきる。

 

 ――MAGNUM BOOST GRAND VICTORY

 

 ナッジスパロウの必殺技はラフレシアフォートレスジャマトを貫き、その体を全壊させた。

 ラスボスが討伐されたことでゲームのクリア条件を達成しゲームは終了する。

 

『……俺が、勝ったのか』

 

 鐘の音が響き渡り、デザ神の“理想の世界”を作り上げていく。

 やがて、鐘の音が収まると彼は自分の部屋のベッドの上に寝転がっていることに気づく。

 

『っ夢――じゃ、ないよな』

 

 周は咄嗟に自分の銀行口座の預金を確認する。

 そこには桁も数えられないほどの金額が刻まれていた。

 

『よし、これさえあれば――』

 

 彼はすぐさま小金へと連絡する。

 しかしいつまで経っても返信は来ない。

 きっと忙しいのだろう、としばらく返事を待ってみるも、音沙汰はない。

 

『……まさか』

 

 どうしようもないくらい“嫌な予感”がした。

 もしかしたら“最低な幸運”がもう起きてしまったのではないか、そんな気がしてならなかった。

 

 ――♪

 

 永遠とも思える時間が過ぎ去り、スマホが鳴動する。

 小金からの着信だった。

 

『――――』

 

 だがその向こうにいたのは、彼女ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 ――時は現在に戻る。

 

「――言われ、なくてもっ!」

 

 ――NINJA STRIKE!

 

 タイクーンはバックルを起動させ、必殺技を放つ。

 

 ―― ZOMBIE MONSTER!! VICTORY

 

 ナッジスパロウもすかさずバックルを起動させ必殺技を放った。

 

「ふんっ!」

 

 タイクーンのライダーキックとナッジスパロウの回し蹴りがぶつかり合い、火花の様に衝撃波が放たれる。

 威力は拮抗し、空中での鍔迫り合いが起きる。

 

「――ッッ!」

 

 しかし運はタイクーンに味方した。

 辛うじてタイクーンのキックが上回り、ナッジスパロウは大きく体勢を崩して倒れ込む。

 

「うっ……!」

 

 だが彼は反動で大きく弾き飛ばされる。

 

「……勝負、あったな」

 

 ナッジスパロウはふらつきつつもゆっくりと起き上がる。当たりどころがよかったのか、大きなダメージは負っていないようだ。

 反対にタイクーンは動けずにいる。必殺技の打ち合いを制したはいいが、そこで力を使い果たしてしまったのだ。

「ッ……!」

 

 タイクーンは逃げようと這いずる。

 

(っ何か、何か手はないのか……? ここから、逆転する手は――)

 

 這いずりながらもその思考は勝利のために働かせていた。

 最後の最後まで――IDコアの砕けるその時まで、勝利は絶対にあきらめない。

 

「ぇっ」

 

 彼の手が()()()()()()()()に触れる。それは、ナッジスパロウが取り落としてしまっていた物だった。

 

「……これで、俺の目的は果たせる」

(気づいてない……? 気づいててわざと泳がせてる?)

 

 ゆっくりと迫ってくるナッジスパロウを視界の端で捉えつつ、タイクーンはゾンビブレーカーを握りこむ。

 もしゾンビブレーカーに気づいているのなら、これは決して逆転の一手ではない。とどめを誘発するための罠だ。

 もし気づいていないのなら――これは逆転のためのまたとないチャンスだ。

 

「ッ!」

(でも――やるしか、ない!)

 

 ――POISON CHARGE!

 

 一か八か、タイクーンはスライドカバーを引き上げつつゾンビブレーカーを振り上げる。

 

「――そうだ」

 

 それはナッジスパロウのドライバーに命中する。

 すぐさまトリガーを引き、必殺技を発動する。

 

 ――TACTICAL BREAK!

 

「それでいい」

 

 ナッジスパロウは、その必殺技を抵抗することなく受け止めた。

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 ――8年前。

 

 周がデザ神となったその日、小金 メグミは事故によってその命を落とした。

 ヴィランの運転する暴走車に轢かれそうになった子供を庇って自分が轢かれ、暴走車によって乱れた交通網は彼女の搬送を致命的なまでに遅れさせ、そのまま治療も間に合わずに亡くなってしまった。

 交通事故に遭ってしまっただけでなく、治療まで遅れてしまう――そんな低確率、“最低な幸運”を引き寄せてしまったのである。

 

(どうして思いつかなかった……病気だけが“最低な幸運”じゃないだろ)

 

 例えば、小金が飛行機に乗ればその飛行機は必ず事故を起こしてしまうだろう。

 飛行機が事故を起こす確率は限りなく低く、彼女の個性はそんな低確率な“幸運”を必ず引き寄せてしまう。

 交通事故となれば事前に防ぎようがなかった。

 

『……いや、防げたはずだ』

 

 彼は薄暗い自分の部屋で一人、つぶやく。

 小金の父親から渡された遺品――“0”の数字だけがかかれた小切手。

 彼女はいつ自分が“最低な幸運”で命を落とすかわからないため、遺書のようなものを残していた。一番新しいそれには、周への想いがつづられていたのだという。

 二人は互いに想い合っていたのだ。

 

『……俺があんなゲームにうつつを抜かさず、ちゃんと俺の“夢”を叶えていれば……!』

 

 電源の入っていないPC。

 デザイアグランプリにかまけて開発を疎かにしていた“犯罪予測システム”。

 ある程度完成していれば、今回の事故は防げていたかもしれない。なぜなら、事故の原因は逃走中の強盗犯――ヴィランによって引き起こされたものだったのだから。

 

『……何のための、金なんだ』

 

 小金に訪れるであろう“最悪の幸運”を回避するための資金、そのために費やそうと思っていた巨万の富。

 当の本人がいなくなってしまった以上、彼にはこの富の使い道は見いだせなかった。

 

 ――『いつまでいじけてんのよ、バカ』

 

『……はぁ……ついに幻覚が聞こえてきたか』

 

 周は苦笑しつつ、スマホに通知が来ていることに気づく。

 それは小金から送られてきたメールだった。

 

『……?』

 

 疑問に思いつつメールを開く。どうやら予約送信で送られてきたもののようで、彼女が亡くなってから送信日時の更新がされなくなったため、彼の下へ届いたようだ。

 

『……ったく、お前は死んでからも口出しするのか』

 

 メールの内容は、自分が死んだことで失意に陥っているであろう周に発破をかけるものだった。

 いつまでもくよくよするな、その時間がもったいない。時間はお金以上に価値のある大切なもの、そんな大切なものをいつまでも死人のために使うな。

 夢は金を得ることで初めて実現可能な“目標”になる。

 落ち込んでいる暇があったら、金を稼いで夢を目標に変えろ。

 いつもと変わらぬ口調の文章は、彼の心に火をつけた。

 

『……やってやるよ。俺の夢、叶えてやる』

 

 巨万の富のもう一つの使い道――自分の夢を叶えるための資金。

 彼の夢は、もはや叶うことのない妄想ではない――実現可能な“目標”となったのだ。

 周はPCの電源を入れると、開発に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 ――現在。

 

 必殺技を受けたことでナッジスパロウのIDコアは破損し、変身が解除される。

 

「どうして……?」

 

 タイクーン――緑谷は変身を解除し、周へ問いかける。

 

「……すまない。これしか方法がなかった」

 

 周は力なく笑いつつ、膝をついた。

 

「“この世界は原因不明の理由によって滅びる”、俺の作ったAIが下した結論だ」

 

 大切な人の死を乗り越え、周は“犯罪予測システム”を完成させた。

 巨万の富によって得たデータを入力(インプット)し、いざシステムを起動させるとAIは一つの結論を下す。

 

 ――“世界の滅亡”、である。

 

 同時に、それを回避する方法も提示していた。

 

「何パターンもある回避方法の中で、()()()()()()の方法だと判断した」

「本当に最良なんですかっ!? 理由はなんであれあなたは牛込さんの命を奪ったのにっ!」

「……いいや、牛込 茜は――バッファは死んで無いハズだ」

 

 周の体が揺らぎ始める。

 

「……いいか、この気持ちを決して忘れるな。人を殺めるということは、こういうことだ」

「……っ!」

 

 消えゆく周の体を見て緑谷は初めて自分のしてしまったことに気づく。

 ライダーを退場させるということは、その命を奪うということである。

 遂に一線を踏み越えてしまい、嫌悪感と罪悪感に襲われる。

 

「……だいじょうぶだ、おまえが……せかいをすくえ……!」

 

 罪悪感と嫌悪感で目の前が真っ暗になっていた緑谷は、周に肩を叩かれて正気を取り戻す。

 

「……たのんだぞ……()()()()()()()()()!」

 

 ――MISSION FAILED...

 

 周の体が消滅し、二つのバックルが地面に落ちる。

 

 ――MISSION CLEAR!

 

 そして他のプレイヤーを退場させたことで、緑谷の持っていたミッションが達成され、報酬が配布される。

 出現したボックスの中身は――ブーストバックルだった。

 

オールマイト()の名前を出すのは、反則ですよ……!」

 

 緑谷はバックルを拾うと、決意を新たにする。

 周の命を奪ってしまった以上、もう後戻りすることはできなくなってしまった。

 なんとしてもゲームに勝ち抜いて、世界を救う。

 元凶を斃し、すべての命を救い、世界に平穏を取り戻すのだ。

 

「……やりますよ。僕が、世界を救って見せます……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


















実は周さんの過去、書いていて二転三転しています。
最初のプロットだと彼の思い人、小金さんが寝取られてしまい、金の力で復讐を果たそうとするものでした。
それだと今一つキャラの整合性取れないな~と思ったので変更して、こんな感じになりました。
周さんの立ち位置としては、“願いを叶えたけど叶えた意味がなくなってしまった”、と言ったところになります。
次回はオリキャラシーカーと八百万ロポが戦います!(予定) 次は更新に間が開かないよう努力します……
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