【完結】僕のデザイアグランプリ   作:鮫田鎮元斎

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ギーツ本編、平成一期をほうふつとさせる鬱展開でしたね……
偽物の娘だから人工のあかり→ネオン とか脚本も容赦ないっすね。でも散々キモいと言われてきたキューンの見せ場なので個人的にはテンションが上がっています。
英寿の中の人も30話がお気に入りとのことなので、楽しみですね。

……これ、景和にもなんかデカい秘密があるパターンだったりする?
ifルートは拾いきれなかった原作要素は拾っていく予定ですが、ほのぼのと明るいストーリーにしたいので、今回のような鬱要素はスルーします。本編でさんざんやったからね!
















Ex3 仮想Ⅲ/事件発生

――――

――

 

「――まさかエースさんまでいるなんて」

 

 峰田のセクハラ事件後、兄の代理で来ていた飯田と合流。

 その後ヴィランチャレンジのブースではエースと出くわしていた。

 雄英体育祭、わずかな差で判定勝ちしていたエースにはI・エキスポの招待状が送られていたのだ。

 更にさらに父親の代理で来ていた轟とも合流、緑谷はエースに促されてヴィランチャレンジを参加したのち、レセプションパーティの支度のため一時的に解散となっていた。

 

「――ここが私の研究室!」

 

 解散したのち、緑谷はメリッサに呼び出されていた。

 

「さ、中に入って! ごめんね、ちょっと散らかってるけど」

「わぁ……!」

 

 メリッサの研究室には最新の機材が一式揃っており、なんとも男心をくすぐるレイアウトとなっていた。

 散らかっているという割には部屋は全体的に小ぎれいで、所々にトロフィーや家族写真などの私物が飾られていた。

 

「……この写真」

 

 緑谷はメリッサの家族写真のうち、目つきの悪い少年の映っている物に気づく。

 写真の中の少年はどこかませているようにも見え、写真が嫌いなのか不機嫌そうに写っている。対照的に写真の中のメリッサは満面の笑顔で写っており、中には少年に抱き着いたところを撮影されているものもあった。

 だが写真の年代が新しくになるにつれ、少年とメリッサが一緒に写っている物は少なくなり、次第にメリッサとデヴィットの写真しかなくなっている。

 

「――お待たせ……って、どうしたの?」

 

 探し物を見つけたのか、メリッサは小箱を手に奥の部屋から戻ってくる。

 

「あの、この写真の男の子って」

「……そうよ。昼間あったアイツ」

 

 メリッサは何かを懐かしむように写真を手に取る。子供の頃のメリッサと少年――ケイが写っている物だ。

 

「アイツ……ケイは昔から頭が良くて、とても大人びてる奴だったわ。そのくせ人付き合いが苦手で、いっつも一人でいて……そんなケイを私はよく遊びに誘ったの」

 

 メリッサとケイは所謂幼馴染だ。たまたま家が近所で、よく一緒に遊ぶ程度の間柄だった。だが精神の成熟は女性の方が早いと言われる例にもれず、メリッサは幼いながらもケイに好意を抱いていた。

 それはもしかすると彼女にとっての初恋なのかもしれないが、それは彼女のみぞ知るところだ。

 

「でもね、私はには個性がなかったの。いつまで経っても発現しなくて調べてもらったの――そしたら発現しないタイプだって」

「えっ……」

 

 世界総人口の2割が個性を宿さないとはいえ、緑谷たちの世代において“無個性”の割合は極端に少ない。

 だが無個性の割合が0となるわけではない。

 現に、緑谷自身もかつては無個性だった。

 

「そしてケイには個性が発現した。アイツ、脳みそが4つもあるの」

「4つ!?」

 

 緑谷は思わず目を丸くする。外見は普通の人間と全く同じだったため、まさかその頭の中に脳みそが4つも詰まっているなど考えもしなかったのだ。

 

「……アイツはどんどん先に進んでいったわ。学校も飛び級ですぐに卒業しちゃって、今じゃパパの一番弟子って言われるくらいの研究者になってる……なんだか、私の事を置いてこのままどこかへ行ってしまうんじゃないかって、そんな気がしちゃうの」

「メリッサさん……もしかして、彼の事――」

 

 好きなのではないか、と問いかけようとするも、メリッサは緑谷の唇に指を当てて阻止する。

 

「言わないで……アイツの前だと、どうしてもひねくれちゃうってのは間違ってないけど」

 

 彼女は照れくささを隠すかのように笑っている。

 

「さ! あんな奴の話はこれでお終い! 緑谷クンに試してもらいたいアイテムがあるの」

 

 緑谷はメリッサからサポートアイテムを受け取る。

 その名も“フルガントレット”――ワン・フォー・オールの全力にも耐えうるサポートアイテムだった。

 

「……ありがとう、ございます!」

 

 初めてのアイテムに胸を躍らせる緑谷だったが、飯田からお叱りの電話がかかってきたため大慌てで研究室を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

「――ごめん! 遅くなっちゃって」

 

 スーツに着替えた緑谷はセントラルタワーのロビーへとたどり着くも、間に合っていたのは飯田、轟、上鳴、峰田の4人だけだ。

 アルバイトで来ていた上鳴と峰田は本来レセプションパーティには参加できないが、メリッサの好意でチケットをおすそ分けしてもらっており、こうしてパーティに参加できることになったのだ。

 

「ってあれ、これだけ?」

「全く……あれほど時間厳守と言ったのに!」

 

 真面目な飯田は全員集まらないことに憤りを覚えていた。

 

「――ごめーん! 遅くなっちゃった」

 

 緑谷が到着して間もなく葉隠の声が響く。

 八百万に借りたドレスを身にまとい、肩を大きく露出しているデザインは彼女のプロポーションと相まってとても魅力的だ。髪もアップでまとめており、かわいらしさも普段以上に割り増しだった。

 あまりのかわいらしさに上鳴と峰田は大きな声ではやし立てている。

 続けて八百万と耳郎も到着し、男だらけのむさくるしい空間が一気に華やぐ。

 

「どう? 似合ってるかな?」

「う、うん……! とても!」

「えへへ……」

 

 葉隠は早速緑谷にドレスを見せびらかす。

 

「ヤオモモに借りたんだぁ……髪もセットしてもらってさ。なんだか、今日人生で一番幸せかも」

 

 思わぬアクシデントで個性が使えなくなってしまったものの、彼女にとっては良いことだったのかもしれない。

 そんな葉隠の姿を見て、緑谷は胸をときめかせていた。

 

「――や、お待たせ」

 

 続けてやってきたのはエースだった。

 タキシードに白のストールを首に巻いてる――かつて彼女(?)がスターだった世界の時に着ていた衣装だった。

 

「と”う”し”て”た”よ”ぉぉっ!!」

 

 その姿に血涙を流しているのは峰田だった。

 

「どうして男装なんだよぉ! もっと目の保養をさせてくれよぉッ!」

「……服ぐらい私の好きにさせて欲しいな」

 

 がくりと膝をついている峰田を軽蔑したような目で見るエース。その狐の尾は不機嫌そうに揺れていた。

 

「――何、またこいつセクハラしたの?」

 

 ため息をつきながら現れるのは牛込。彼女もまたメリッサからパーティのチケットを譲り受けていた。

 パーティ用の正装を持参していなかった彼女は上鳴と峰田同様、カフェの制服姿だった。

 

「…………」

「……な、なによ」

 

 そんな牛込を凝視している峰田。特に視線は彼女の臀部に注がれており、まるで嘗め回すかのようなスケベな目線だった。

 

「センパイ、胸はねぇけど結構お尻は引き締まっ――!!」

 

 懲りずにセクハラした峰田は案の定、アイアンクローによる制裁を受けていた。なお牛込の握力をもってすれば峰田の頭など簡単に握りつぶせてしまうのだが、それをしない以上は手加減しているのだろう。

 

「あら、言ってくださればわたくしの予備をお貸ししましたのに」

 

 八百万と牛込の背丈は同じくらいだったが、胸部は絶望的なまでに差があった。

 そのことに気づいてしまった八百万は申し訳なさそうに顔を伏せる。

 

「あっ……も、申し訳ございません」

「……あんたの乳もぎ取るわよ」

 

 普段気にしていなくとも立て続けに指摘されればいら立ちも覚えるというもの。牛込はため息をつきながら峰田を解放した。

 

「――あら? みんなまだここにいたのね。もうパーティ始まってるわよ?」

 

 最後に到着したのはメリッサだった。ばっちりとメイクを決め、眼鏡を外したことで美人さは割り増しだった。

 そんな彼女に上鳴と峰田が色めき立つ中、事件は起きた。

 

『――I・アイランド警備システムよりお知らせです――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 ――数分前。

 

『――それでは開会のあいさつを日本から来たNo.1ヒーロー、オールマイトさんよりお願いします』

「えっ? ……HAHAHA」

 

 突如指名され戸惑うオールマイト。どうやら事前に通達されていなかったようで戸惑いを隠せていなかった。

 

「……聞いてないぞデイブ」

「ははは! そりゃ君が来るとなればこうなるだろう。さ、行ってこい」

 

 オールマイトは大慌てで挨拶を考えつつ登壇する。

 会場に集った参加者の視線が突き刺さる。彼は無いハズの胃がキリキリと痛むのを感じた。

 

「えー……ごしょ」

『――I・アイランド警備システムよりお知らせです――』

「っ!?」

 

 挨拶を始めようとした瞬間、会場のモニターにアラートが表示される。

 警備システムが不審物を検知した結果、島全域に警報を発しているのだ。

 どうやら島のどこかに爆発物が仕掛けられているようで、住民たちに避難を呼びかけていた。

 

『――ごきげんよう諸君!』

 

 警備システムによってセントラルタワーも封鎖される中、仮面をつけた男が会場に侵入する。三つ揃えのスーツに赤と白を基調とした仮面、頭はフードをかぶって覆い隠している。その仮面は知る者が見ればデザイアグランプリのゲームマスターが装着するものであると気づいただろう。

 仮面の男は数人の手下を引き連れつつパーティ会場へ押し入ると、我が物顔でステージまで突き進む。

 

『お察しの通り、警備システムは我々が掌握した。抵抗はしないことを薦める』

 

 男は指を鳴らし非常用捕縛装置を起動させ会場のプロヒーローを拘束する。

 

『なお警備ロボには細工を仕込んでおいた。近くの人間の“生命エネルギー”を吸い取る機能だ。信じられんのなら実演するが……』

 

 生命エネルギー、それは創作の世界で登場する仮想のエネルギーであり、この島の科学者たちはそんなエネルギーは机上の空論であることを知っている。

 だが仮面の男が嘘を言っているようには感じられず、何も言い返せなかった。

 

『必要はないようだな』

「……っ何が、目的だッ!」

『ほう。平和の象徴とも言われたオールマイトと言えど、拘束されてしまえば無力か』

「ッShit!」

 

 拘束された状態でオールマイトは転がされてしまう。拘束を引きちぎれないのは、人質の存在を示唆されたことだけが原因ではなかった。

 

『俺の目的は――フッ。デヴィット・シールド、お前にはわかるはずだ』

「ッそのサポートアイテムは!?」

 

 仮面の男はスーツの懐からベルトのバックルのようなものを取り出す。

 紫を基調としており、正面部分には黒のディスプレイ、側面には指紋認証装置――それはデザイアグランプリのゲームマスター専用のドライバー、ヴィジョンドライバーと瓜二つのアイテムだった。

 

 ――VISION DRIVER ...

 

 仮面の男がそれを腰にあてがうと、自動でベルト部分が伸展し腰に装着される。

 

「……それは私の弟子が――ケイが開発し、破棄したはずのものだッ! どうしてお前が持っているんだッ!?」

『随分と幼稚な問いだ。あんたも衰えたな』

 

 男はデヴィットの問いを鼻で笑うと、右手の手袋を外しドライバーの認証装置に親指をかざす。

 

 ――GLARE2:LOG IN

 

 変身が認証され待機音が鳴り響く。

 

『廃(・)棄(・)し(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)か(・)ら(・)ここにあるんだろ?』

「ッ!?」

 

 仮面の男は右腰のホルダーに装填されているカード――プロビデンスカードにそっくりなカードだ――を取り出すと、ベルトに読み込ませる。

 

 ――INSTALL ...

 

『ヘンシン、ってね』

 

 ――I HAVE FULL CONTROL OVER:GLARE2

 

 仮面の男の姿が変化する。

 それはデザイアグランプリのゲームマスターが変身するグレアと似通っていたが、体の一部に赤いノイズのようなラインが入っており、似て非なる存在であることが分かる。

 仮面の男がグレア2に変身したのに倣い、彼の部下たちもまたデザイアドライバーのようなものを取り出して装着、それぞれバックルを装填しその姿を変える。

 

『察してもらえなかったから直接的に言おう――俺の目的は、最上階(うえ)だ』

 

 グレア2は上を指差す。

 セントラルタワーの最上階にはI・アイランドで開発された“危険な発明品”が収められた保管施設があった。

 

『さあ、俺と一緒に来い。デヴィット・シールド』

 

 グレア2は手をくるくると回転させ、デヴィットを指差す。彼の部下はデヴィットを拘束すると、共に最上階へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

「――そんな……!」

 

 会場で起こっていることを聞いたメリッサは顔面蒼白となる。

 

「間違いないです……あれは昼間、パビリオンで見たケイさんの発明品です」

 

 偵察から戻ってきた緑谷と耳郎はパーティ会場の様子を簡単に説明する。

 会場は謎の一団――ヴィランによって占拠されており、プロヒーローたちは捕縛システムによって拘束されてしまっている事。ヴィランは警備システムを乗っ取り島中の人間を人質に取っている事。そして――

 

「奴らのリーダーはデヴィット博士を最上階に連れてってるみたい。オールマイトは――保管庫の発明品を狙っているかも、って」

「……ええ、確かに最上階には保管庫があるわ」

 

 メリッサは犯人の狙いに気づき冷や汗を浮かべる。

 

「前にケイ――私の幼馴染が自慢してたわ。保管庫にはオールマイト並みのパワーを出せるようになるパワードスーツの試作品が収められてるって」

「そっそんなモン奪われたらやべーじゃん!」

 

 次に恐怖したのは峰田だった。ただでさえ厳戒態勢でナーバスになっていた彼は今にも発狂してしまいそうだった。

 

「……それで? こんなところでああだこうだ言ってても事態は何一つ進展しないだろう?」

 

 しびれを切らしたエースが切り出した。その顔には早く犯人を斃しに行こうと書かれていた。

 

「俺はオールマイトの指示に従い、ここから脱出することを提案する」

 

 飯田はタワーからの脱出を提案する。

 あくまで彼らは一学生、ヴィランに立ち向かおうとしたところでなんの戦力にもならず、むしろ捕まって人質を増やすだけの結果につながりかねない。

 

「わたくしは飯田さんの意見に賛成ですわ……わたくしたちはまだ免許も持たないただの学生ですもの」

「ならさ、脱出して外のヒーローを呼ぶってのは?」

 

 飯田の意見に八百万が賛同し、上鳴が改善案を出す。

 パーティ会場のヒーローは確かに拘束されてしまっているが、外にいるヒーローはその限りではない。

 

「……脱出は困難よ。ここはタルタロス並みの防災設計で建てられているから」

「っ……あ、そうだ! 狐火、お前の個性でどうにかならないか?」

 

 上鳴は名案を閃いたとばかり手を叩く。頭からはわずかに電流が迸っている。

 

「ふふっ。頼ってくれるのは嬉しいけど、私の個性は機械相手には無力さ」

 

 エースは残念そうに肩をすくめる。

 彼女(?)は個性で幻覚を見せ、相手を化かすことができる。だがそれはあくまで強力な催眠術を書けているようなもの、機械のセンサーまでは誤魔化すことはできないのだ。

 

「そ、そっか……じゃあここで待つしかないのか……?」

 

 上鳴が出した結論は待機だった。

 何もできない以上は下手に動かず、この場で救援が来るのを待つのが得策だろう。

 

「……さっきから聞いてれば、雄英ってのは真面目な優等生ばかりなのね」

 

 消極的な提案ばかりの彼らに物申したのは牛込だ。この中で唯一、雄英とは無関係な一般人だ。

 

「自分たちで助けに行こうって思わないワケ?」

「……ウチも同じこと思ってた」

 

 牛込の意見に賛同したのは耳郎だった。

 

「ホントにここでずっと待つつもり? 助けに行こうって、みんな思わないの?」

「……確かに、俺もそう思う。ヒーローを志してる以上、何もせずにいていいのか?」

 

 続けて轟も賛成意見を出す。

 

「ですからわたくしたちにはその資格が」

「資格なんて必要かな……?」

 

 止めようとする八百万に対し葉隠が反論する。

 

「ヒーローを目指すとか以前にさ、できることがあるのに何もしないのは、違うと思う」

「それは……」

 

 ヒーローとして個性を使うことを許されているのはヒーロー免許を持ったプロヒーローのみ。自然と個性が必要となるヒーロー活動は資格がないと許されないという風潮がはびこっている。

 だがしかし、ヒーロー活動の本質は余(・)計(・)な(・)お(・)節(・)介(・)ともいえる。

 誰かのために自分のできることをする、それはヒーロー以前に人としてなすべき行為であるともいえる。

 

「……戦わなきゃ、何も変わらない」

 

 緑谷は思わずつぶやいていた。

 

「ここでじっとしているよりは、戦った方が状況は確実に良くなる」

「なっなな何言ってんだよぉ! オールマイトだって捕まってるのに戦うなんて無茶だって!」

 

 強気な緑谷の発言に猛反対するのは峰田だ。彼は今にも泣きだしそうなほど取り乱していた。

 

「違うよ峰田君。僕がいいたいのは――状況を変えるために動くべきだってこと」

「ふふっ。私はミドリヤに賛成。待ってたって状況はよくならないよ」

 

 エースの賛成によって“状況を変えるために何かをすべき”派が過半数となる。

 

「ねえメリッサ。警備システムはどこで管理しているんだい?」

「セントラルタワーの最上階よ……っ! そうよ、ヴィランたちが乗っ取ったってことは警備システムのプロテクトは解除されてるはず」

 

 メリッサは質問の意図を理解しはっと息を呑む。

 乗っ取られたということは、誰でも設定を変更できるようにプロテクトが解除されていることを意味する。

 つまり、誰かが最上階へ行きヴィランから警備システムを奪い返せば――

 

「――捕まってる人たちも解放できる、かも」

「決まりだね」

 

 見つからないように最上階まで向かい、警備システムを取り返す。

 ヴィランとの戦闘は可能な限り回避し、拘束されているヒーローたちを解放し人質となっている人たちも助ける。それがヒーローの卵にできる最大限の活動だった。

 臆病な峰田は最後まで嫌がっていたが、自分以外の全員が参加する結果をうけやけくそ気味に参加を表明した。

 

「……ねえ、緑谷クン」

 

 出発する段になってメリッサはミドリヤへ問いかけた。

 

「パーティ会場に、ケイはいた?」

「っ……いえ」

 

 ヴィランが使っているサポートアイテムはケイの発明品であり、パビリオンに出展していたことから管理体制は万全だったはずだ。

 それが奪われているということは、すなわち――

 

「ケイさんのためにも、一刻も早く警備システムを取り戻しましょう……!」

「ええっ!」

 

 こうして、警備システム奪還作戦が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 エレベーターは当然使えず、最上階である200階までは階段で登らざるを得ない状況だった。

 そんな中、峰田の凡ミスが原因でヴィランに存在を知られてしまう。

 警備システムを掌握しているヴィランによって移動先を誘導されてしまい、ヒーローの卵たちは80階の植物プラントへと追い込まれてしまう。

 

「――隠れてやり過ごそう!」

 

 ヴィランがエレベーターで迫る中、緑谷たちは茂みの中に身を隠す。

 

「――ガキはここにいるらしい。面倒な所に隠れやがって……」

「――だが、このアイテム(おもちゃ)を試すにゃちょうどいいフィールドかもな」

 

 エレベーターから細身のヴィランと太ったヴィランがおりてくる。彼らの腰にはデザイアドライバーのようなサポートアイテムが装着されていた。

 

「そうだな。探すついでに――ひと暴れしてみるか」

 

 ――ppp

 

 細身のヴィランはマグナムバックルのようなものを、太ったヴィランの方はゾンビバックルのようなものを取り出しドライバーに装填する。

 本物のデザイアドライバーと違い簡素な電子音が鳴るのみだった。

 

「クソガキども! 隠れてないで出て来いッ!」

 

 マグナムフォーム(?)に変身した細身のヴィランはマグナムシューター(?)を乱射し威嚇する。

 

「へへへっ! 試しにここらを丸坊主にしてもいいんだぜ?」

 

 ゾンビフォーム(?)に変身した太ったヴィランはゾンビブレーカー(?)を振り回しあたりの植物を伐採する。

 

「……っ」

 

 茂みに隠れるエースは自分の判断の遅さに内心舌打ちする。変身前であれば相手を化かし、この場を切り抜けることが出来たかもしれない。

 

「クソッ」

「待って! 無茶だよッ!」

 

 反撃しようとする轟だったが、葉隠はそれを全力で阻止する。

 変(・)身(・)の強さを十分知っている彼女だからこそ、戦うことの無謀さを理解できていた。

 

「あたしが奴らの気を引くから、その隙に」

「ダメっすよセンパイ! センパイに無茶させるわけにはいかねぇっすよ!」

 

 上鳴は囮になろうとしている牛込を引き留めるべく全力で彼女にしがみついている。

 

「ッ……! ドライバーさえあれば……!」

 

 メリッサと共に息を殺す緑谷は、変身して戦えないことに歯噛みしている。

 

「――お! 熱源みれんじゃん! 隠れてても――丸見えだぜ?」

 

 マグナムフォーム(?)のヴィランは緑谷とメリッサの隠れている方へ銃口を向け引き金を引く。

 弾丸は弧を描きながらも吸い込まれるように二人の下へ飛翔し、着弾する手前で何かに防がれる。

 

「あ?」

 

 続けて二人のヴィランを銃弾が襲う。

 

「――推しのためならたとえ火の中水の中森の中、馳せ参ずるのがこの私」

「――こんなところで俺のお気に入りは殺らせやしねぇよ」

 

 ゆるりと姿を現すのは二人の男女。

 銀灰色のロングヘアにタヌキを思わせる顔つきの女性――セセラ。

 スーツをヤクザの様に着こなすダンディな男性――ケケラ。

 二人は銃のようなアイテム――レーザーレイズライザーを構えつつヴィランと対峙する。

 

「なんだぁ? てめぇら」

「パクリ野郎どもに名乗る名はない」

 

 ――LASER RAISE RISER ...

 

「ふっ。リアリティショーが趣味の未来人さ」

 

 ――LASER RAISE RISER ...

 

 セセラとケケラはレイズライザーからカートリッジを取り外すと腰にあてがう。

 

「私の推し活を邪魔する奴は万死に値する。すなわちお前らは一万回死ね」

 

 ――SESERA:SET

 

「俺はアイツが無事ならそれでいい」

 

 ――KEKERA:SET

 

 セセラは女騎士の様にレイズライザーの銃口を床に向けて構え、ケケラはそのまま体の前にレイズライザーを掲げる。

 

「「変身」」

 

 ――LASER ON ...

 

 彼らの“デザイン力”を読み取ったレイズライザーが装甲を形成、それぞれの“理想の姿”を作り上げている。

 

 ――SESERA:LOADING ...

 

 セセラはタヌキのような仮面に女騎士を思わせるアーマーを纏った戦士。

 

 ――KEKERA:LOADING ...

 

 ケケラは巨大なカエル。

 二人はそれぞれが抱く“戦う姿”へと変身を遂げる。

 

「いざ参らん。主(おし)のために!」

「久々の変身だ。少しは楽しませてくれよ?」

 

 ――READY FIGHT ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
















【分岐要素】
・体育祭での優勝がエース
 → 本編ルートではかっちゃんが判定勝ちしましたが、こちらではエースが判定勝ち
   なのでエースがI・アイランドに招待される
・牛込さんがレセプションパーティに参加
 → 本編ルートでは顔なじみが緑谷しかいなかったので丁重にお断りしていた
   バイト自体は本編ルートでも参加している
・襲撃犯がグレア2
 → 本編ルートでは原作同様金属を操る人が襲撃犯
   まさか犯人はチラミ!? なら楽勝だな(フラグ)
・襲撃犯の下っ端がデザイアドライバーのイミテーションを使う
 → オリキャラのケイが開発したアイテム
   使われているということはつまり……


と言うわけでサポーターズが変身して戦います。デクくんたちはI・アイランドに変身道具一式を持ってこれてないので、代わりに変身する人が必要という寸法です。
まあ個性でも戦えなくはないですが、生身で戦わすのも気が引けますし……
オリキャラのセセラはジーンと同様人型に変身します。彼女はより推しを感じるために人型になってる、って感じですね。スペック等は次回の前書きかあとがきに書こうと思います。
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