盲目なきりたんのお話【完結】   作:ずんたんぽ。

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6話

あれからマスターは電話をしていない。

この前私に聞かれた事に気付いたからなのか、そもそも電話する必要が無くなったのか。わからないけど、今まで通りのマスターに戻ったように感じる。

でも、あの時テレビに映っていた顔は、マスターと同じ顔だった。間違えるはずが無い。

 

こうなったら、直接聞いて確かめてみるしか…

 

「マスター。少し質問があります」

「どんな質問?」

「…マスターは、活動家…なんですか?」

 

マスターの表情が一瞬曇る。

聞かなかったら良かったと、後悔する。

 

「なんで、そう思ったの?」

「…テレビに、映っていたので…」

「そういう事か…」

 

マスターが深いため息をつく。

 

「そう、僕は活動家だ。隠していてごめんよ」

「…はい」

「きりたんを怖がらせると思って黙っていたけど…。逆効果だったか」

「…じゃあ、あの時の電話は…?」

「電話?」

「…はい」

「あぁ、あの時か。あれは、きりたんのことが直せるかと思ってね、色々電話してたんだよ」

「…そうだったんですね…。ありがとうございます。…だけど、"もういいだろう"っていうは…なんだったんですか…?」

「それは、ここにきてすぐによく分からない場所に連れていかれたら怖いだろ?だから、しばらくここで暮らして、ちょっとでも安心して欲しいと思ったんだ」

「じ、じゃあ…私に目をくれたのは…!」

「いきなり目が見えても困惑するだろ?だから少しづつ慣れて欲しいと思ってね」

「マスターは…マスターは、私の事をどうするつもりだったんですか…!?」

「どうするも何も、良くなって貰いたいだけだよ」

「私は…!あの時、マスターが電話してるのを聞いてしまって、また売られちゃうのかと…また!捨てられちゃうのかと…!!」

「…それでここ最近ずっと元気がなかったんだね。ごめんよ」

「じゃあマスターは…!私を捨てる気なんて…!!」

「思った事も、考えたこともないよ」

 

マスターに質問していくうちに、自分の思ってたこと、不安だったこと、怖かったこと。全部話していた。

私自身、何を話したのか覚えてないし、めちゃくちゃな話だったと思う。だけど、マスターはしっかり聞いてくれていた。

私を安心させる為に一つ一つ聞いて、慰めてくれた。私が今までしていた心配は、何一つ要らないものだった。私の話を聞いたあとは、マスター自身の話をしてくれた。活動家についても話してくれた。

思い違いなんかじゃなく、ほんとに優しい人だった。そして、すごい人だった。

マスターがやっている活動家は何人かのグループで、私のような行くあてのないVOICEROIDや、法外な改造をされたVOICEROID、記憶を消され、不法投棄されたVOICEROIDを保護しているらしい。

今もVOICEROID関連の犯罪は多くはないが無くなっていない。それらを無くすのが僕たちの仕事だ。マスターはそう言っていた。

今までに保護したVOICEROIDは20を超え、マスターのグループや他のグループによって、犯罪もかなり減ったそうだ。今回テレビに出られたのも、そのおかげと言っていた。

でも、マスターは保護して、その後に別の買い手を探して譲る。つまり、捨て猫の里親募集のような事だ。

つまり、私だって、引き取られる対象。ここにいて、この目が治ったら、きっと私も別の人の所へ行かなきゃならなくなるはずだ。

マスターは、そういう活動をしてる人だから…。

 

「でもきりたん、安心してくれ」

「…?」

「僕がきりたんを引き取ったのは、活動家としてではなく、僕自身の気持ちで引き取ったんだ。だから、君に対する行動は、全部僕の気持ちだと思ってくれ」

「…じゃあ、私はほかの人に引き取られたりはしないんですか…?」

「僕のところじゃ嫌かな?それなら募集をかけるが…」

「いや!嫌じゃないです!マスターの所にいたいんです!」

「それは良かったよ。もし別のところに行きたいとか言われたらどうしようかと」

「そんなこと言いませんよ…!」

 

マスターの優しさは私の為だけに向けたもの。私はマスターのもとにずっとらいられる。マスターは、私の味方。

今までの不安が嘘のようだった。

 

 

「マスター。私の目を直すのって、いつなんですか?」

「特に決めてないな。向こうからの連絡待ちなんだが…。今度行ってみるか」

「私も一緒に行っていいですか?」

「あぁ。一緒に行こう」

「ありがとうございます!」

 

マスターに拾ってもらったきっかけになったこの目も、もう見えるようになってしまう。そう思うと、少し寂しいような気もする。

あとの時初めて一緒にお風呂に入ったのも、目が見えていたら到底出来たことじゃないし、目が見えていなかったからこそ、出来たことも多かったから。

だけど、見えるようになっても、マスターは私をどこかにやったりはしない。マスターがそう言ってくれた。だから、目が見えるようになるのも怖くない。

 

「楽しみですね!マスター!」




ここまで読んでいただきありがとうございます!!
盲目きりたんももう終盤。あと3話ほどで完結させる予定です。
…できるかわかんないですけど((
既に盲目じゃないじゃん!!ってのは心の中に閉まっておいてくださいね(?

というわけで、エンディング、どちらがいいか投票お願いします!
どちらとも表が多ければ、両方書こうかと思います!!

エンディングはどちらがいいですか?

  • 悲しいエンディング
  • 幸せなエンディング
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