影の獣in 5歳   作:水道館

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どうしてUA数とお気に入り数が昨日の2倍以上になってるんですか?(現場猫)


旅立ち

「…どうだ?出られそうか?」

「うん、無理っすね。マジ無理。ほんと無理。無理無理かたつむり」

「その言い方何よ」

「いや冗談抜きで無理やでほんま。ワイらのレベルじゃ逆立ちしながら空飛んでも無理や」

「どんな状態なのよそれ」

 

【銀狼】に意識を奪われたオレ達は意識を取り戻すと結界魔法によって閉じ込められていた。時間にして既に1日経過しているだろう。

 

「まぁでも1日少しで解除されるみたいやな。つまりは…」

「こっちが移動するまで大人しくしていろ…てことか」

「もー!なんで捜索しに来てあげたのに本人にボコられなきゃいけないのー!?」

「いやまぁギルドとしては捜索というよりは【銀狼】が受けた依頼報告早くしてくれって言う意味合いの方が大きいと思うが…」

「だいぶ【銀狼】に頼ってるからねーギルドの連中」

「それを受ける【銀狼】も【銀狼】やけどな」

「俺の…鎧…まだローンあるのに…」

「ていうかタートル、あんたいつまでそうやってんのよ。切り替えなさい」

 

カニーがそういうと幽鬼の様な表情のタートルが振り返ってきた。

怖い。

 

「お前ふざけんなよ!?これ特注でやっと作ってもらったやつなんだぞ!しかも卸して1ヶ月!それで2年ローンだぞ!やってられっか!」

「装備なんざ消耗品なんやからそんな金かけるの理解できんなぁ」

「そりゃお前が後衛だからだろうがぁぁぁ!!!」

「落ち着けタートル。新しい鎧の代金なら俺も出す。それで納めてくれ」

「畜生…畜生…」

「こりゃ重症だ。1週間は引きずるね」

 

会話している仲間を尻目に荷物を漁る。小袋に入れてあった通信水晶を取り出してみる。

 

「…うん、通信水晶は使えそうだな」

「ギルドに連絡するの?」

「あぁ、それだけ緊急性が高いからな」

「まさか英雄がシャドービースト助けるなんてね。魔物側に寝返ったのかしら」

 

カニーは寝返ったと思っているかも知れないがオレは違った。

あの時見た【銀狼】の怒りの表情。あれはどう見ても─。

 

「…どうだろうな。オレは大切な人を傷つけられて怒り狂ってる様に見えたが」

「大切な人…って、シャドービーストよ?」

「それほんまかイカルガ?」

「さぁな」

 

そうこうしているうちに通信水晶が繋がる時間が来た。

 

「なんて言うの?」

「信用に関わるからな。ありのままさ」

「信じるかねぇギルドの連中」

「信じるさ。オレ達程のパーティーが言っていればな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憂鬱じゃ。まさか緊急の会議が開かれるとは。

つーか辺境伯の麻呂まで呼んでやることか?

絶対麻呂要らないじゃろ。こんな事よりイッチをどこに逃すか考えねばならんと言うのに。

 

自分の決められた席に座る。既に主要メンツは出揃っている様子だ。

…やたら豪華じゃな。 つーか国の運営に関わってる連中全員ではないか。何があったし。

 

そうこうしてるうちに司会が席を立ち、前に出る。

 

「緊急の会議、誠に申し訳ありません。来て頂きありがとうございます。それではこれから【城塞都市ギラテル】の行く末を決める話し合いを始めましょう」

 

やたら神妙な顔をして言う司会。…え?なにその行く末って。

なんかやばいのあったっけ。

 

「今回の議題は今日未明、ギルドの方から報告されたものです。お手元の資料をお開きください」

 

言われるがまま資料を開く。そこには─。

 

「英雄【銀狼】が水精の樹海でシャドービーストを守り、共に失踪しました。それに対する対応を決めなければなりません」

 

イッチを救った英雄【銀狼】の情報が載っていた。

 

…あれ?やばくね?これ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

210 : 名無しの転生者

 結局移動するなら特定無駄だったな

 

211 : 特定ニキ

 悲しいなぁ…

 

212 : 名無しの転生者

 ドンマイ

 

213 : 名無しの転生者

 でもまぁ【銀狼】の言う事はその通りだしな

 

214 : 名無しの転生者

 イッチが平穏に暮らせる場所か…

 

215 : 名無しの転生者

 あるのかねぇそんなとこ

 

216 : 名無しの転生者

 まぁそこはほら 俺らも協力して探せば何とかなる説

 

217 : 名無しの転生者

 なんかそう言うチート持ってるやつおらんのか ぜったいあんぜんカプセル的な

 

218 : 名無しの転生者

 二度と出て来れないじゃんそれ

 

219 : 名無しの転生者

 それやるくらいだったら刃向かってくる奴ら全員【銀狼】が皆殺しにした方が速いと思う

 

220 : 名無しの転生者

 冗談でも何でも無いのがやばい

 

221 : 名無しの転生者

 やろうと思えばほんとに出来るのがなぁ

 

222 : 名無しの転生者

 でもまぁ別に【銀狼】ってそんな過激じゃ無いでしょ

 他と違って

 

223 : 名無しの転生者

 そうだな わりかし穏便な方だし

 

224 : 名無しの転生者

 …あのさ ふと思ったんだけど

 

225 : 名無しの転生者

 どうした?

 

226 : 名無しの転生者

 【銀狼】はもう次元が違うほど強いけどイッチはそうじゃないよな

 もしイッチが万が一死ぬようなことになったら…

 

227 : 名無しの転生者

 …

 

228 : 名無しの転生者

 …

 

229 : 名無しの転生者

 あ、そっかぁ…

 

230 : 名無しの転生者

 …普通に世界滅びそう

 

231 : 名無しの転生者

 なんなら他の英雄も便乗しそう いやする(確信)

 

232 : 名無しの転生者

 もしかして…イッチって終末の笛吹きなの!?

 

233 : 名無しの転生者

 なんか唐突に世界の命運が俺たちにまで巻き添えでのしかかってきて草

 

234 : 名無しの転生者

 ごめんちょっと人生の具合が

 

235 : 名無しの転生者

 持病の頭痛が

 

236 : 名無しの転生者

 妹の結婚式があるので…代わりに親友置いてきます

 

237 : 名無しの転生者

 1人メロス居るけど

 

238 : 名無しの転生者

 別に降りてもいいけどそうなったら世界が終わるのを眺めてるだけになるぞ

 

239 : 名無しの転生者

 救いは無いんですか…?

 

240 : 名無しの転生者

 あるじゃん 死は救済って言うだろ

 

241 : 名無しの転生者

 ち〜ん(笑)

 

242 : 名無しの転生者

 笑ってる場合ではない

 

243 : 名無しの転生者

 そういや今日麻呂来ないな

 

244 : 名無しの転生者

 忙しいんじゃない?

 

245 : 名無しの転生者

 案外ピンチだったり

 

246 : 名無しの転生者

 まさかーw

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつものように複数依頼を掛け持ちしていた【銀狼】と連絡が途絶えて1週間。ギルドは万が一を考え、【銀狼】捜索の依頼を高レベル冒険者パーティーに出しました」

 

「水精の樹海を探索中、川でシャドービーストと遭遇。そのまま交戦。何故かシャドービーストは防御行動のみで反撃はしなかったとのこと。しかもなんとはっきりと人語を喋ったそうです。シャドービーストが言葉を発した瞬間に【銀狼】が冒険者達を襲撃。全員を無力化した後、結界魔法で閉じ込めてシャドービーストと共に去っていった…これが今回発生した事件です」

 

「脅威度が上限に達しているシャドービーストでさえ一大事なのに英雄がそちらに寝返る…。ハッキリ言います。世界の危機です」

 

「この一大事に我が国はどのような対応を取るべきか、それが議題となります」

 

「それでは会議を開始します。意見のある方はどうぞ」

 

司会がそう言い放った瞬間、会議室が怒号と悲鳴で溢れる。

やれどうして裏切ったんだとかやれ世界の終わりだとか。

 

何が世界の終わりじゃ。麻呂の胃は既に終わりを告げおったわ。

どうするべきか悩んでいると隣の交流があった議員から話しかけられた。

 

「麻呂辺境伯。随分と落ち着かれてる様子ですが…どうしてそんな余裕が?」

 

は?こいつの目は節穴か?それともみかん詰めとるのか?今すぐ写輪眼に変えてこいボケナス。

なーにが落ち着いてる様子じゃ。キャパオーバーしてフリーズしとるだけだ!!!その頭の薄いバーコードと言う名の貴様の希望を刈り取ってやろうか!?

 

しかしここでそんな事言えないので何とか取り繕う。

 

「ほっほっほ。麻呂個人の考えではあるが…そこまで危機感を覚える必要は無いと考えるでおじゃる」

「なんと!?そ、それはどう言う事…」

「なに!?麻呂辺境伯。その言葉は誠か!?」

「麻呂辺境伯!」

「ほんとですか?!」

 

やっべぇぇぇ周りにがっつり聞かれてたぁぁぁ!!!

こ、こうなったら…何とかうまいこと言って、イッチの負担を減らさねば!

 

「うむ、麻呂が気になっているのはシャドービーストが人語を話したと言う事でおじゃる」

「確かにそれは私も聞いたことありませんが…それは関係あるのですか?」

「無論。考えてもみよ。人語を話せると言うことは会話が出来るという事。それは何故か…そう!それはつまり!」

「つまり…!?」

 

 

 

「シャドービーストは【銀狼】のペット!自分のペット殺されそうになったらそりゃぶん殴るに決まっておる!」

 

 

 

 

 

。。。

 

 

 

 

「な、なるほど…。確かにそれなら説明がつく!」

「確か英雄の1人に魔物を飼い慣らしている者が居たな」

「【支配者】ですね。他の英雄に影響を受けたと言うことか!」

「ならば我が国の対応は!」

 

 

 

 

「無論!様子見でおじゃる!」

 

 

 

会議室全体が賛成ムードに流れていく。歓声を受ける麻呂。

なんて有能なのだろうか。流石麻呂。さす麻呂でおじゃるな!

 

 

あっはっはっはっはっはっは!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わりだよこの国。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「忘れ物は大丈夫?」

「うん!あまりものもってない!」

「それもそっか。それじゃ行こうか」

「しゅっぱーつ!」

 

冒険者達に使用した結界魔法が切れる前に今まで住んでいた棲家に別れを告げる。1週間ほどしか居なかったけど、ハルとの思い出を思うと少し名残惜しい。

 

だがそうも言ってられない。何時ハルを追ってくる者が現れるか分からない。遅れを取るつもりは無いが、万が一を考えると移動しなければ。

 

ハルと手を繋ぎ、一緒に歩く。

きっと、2人で安心して住める場所が見つかると信じて。

 

 

 

 

 

私たちの逃避行が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇシル。ちょっといい?」

「どうしたの?」

「ぼくがぷれぜんとしたよつばのくろーばー。ちゃんとシルをしあわせにしたかなって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勿論。幸せすぎて溺れてしまいそう」

 

 

 

 

邂逅編 終わり




プロローグこと邂逅編、以上になります。
邂逅編で出たキャラや世界観の設定を投稿してから次の章になります。
どうぞよろしくお願いします。
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