影の獣in 5歳   作:水道館

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寝具

920:ハル

 ついたよ

 

921:名無しの転生者

 お

 

922:名無しの転生者

 オツカーレ!

 

923:名無しの転生者

 長旅ご苦労さん

 

924:名無しの転生者

 今どこにおるん?

 

925:ハル

 きょーだんのほんぶ

 

926:名無しの転生者

 教団…【聖人】のか

 

927:名無しの転生者

 まぁそれくらいしか教団なんて無いしな

 

928:聖都ニキ

 本部ってことは中央区か

 近いから行けるな

 

929:名無しの転生者

 どこで待ち合わせするん?

 

930:名無しの転生者

 まだ外には出れないんじゃないの?

 

931:名無しの転生者

 【聖人】が連絡回すだろうけど…それでも今すぐはアレだよな

 

932:名無しの転生者

 明日でいいでしょ

 

933:名無しの転生者

 今から回状出るなら明日には回ってるだろうしな

 

934:名無しの転生者

 それもそうか

 

935:聖都ニキ

 じゃあそうだな…本部近くに公園があるからそこで

 

936:ハル

 こうえんにあしたいくね

 

937:名無しの転生者

 頼むで〜

 

938:名無しの転生者

 イッチ1人で来させるんか?

 

939:聖都ニキ

 そりゃ…そうでしょ

 

940:名無しの転生者

 すっ飛んでこないか?【銀狼】

 

941:名無しの転生者

 イッチは伴侶だからな!

 

942:名無しの転生者

 伴侶に何かあれば誰が犠牲になると思う

 聖都ニキだ

 

943:名無しの転生者

 実質万丈

 

944:名無しの転生者

 すぐ万丈に押し付ける

 

945:ハル

 うん ひとりで  いくね

 

946:名無しの転生者

 聖都内なら危険はないだろうし…

 

947:名無しの転生者

 公園だしな 公園で遊びに行きたいとでも言えば大丈夫でしょ

 

948:名無しの転生者

 それくらいならな

 

949:聖都ニキ

 それじゃ明日の10時にでも

 

950:ハル

 うん    またね

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…明日、か」

 

椅子に座ったまま掲示板から意識を離して、椅子にもたれかかる。

 

「…イッチの見た目、ちゃんと見るのは私が初めてなのか」

 

手の画像は最初に載せてくれたが自分の全身はイッチは載せていない。

まぁ鏡なんて無かったから仕方ないとは思うけど。

 

「取り敢えず、前進なのかな」

 

ぼやきながら思いに耽る。

耐えられる年齢じゃないのに転生させられ、記憶も無く、挙句の果てにはシャドービーストになってしまう。

…何度見返しても酷すぎる。5歳の子供が背負っていいものではない。

 

「…私がもっと強かったらなぁ」

 

弱い訳ではない。それくらいの自覚はある。

だとしても思ってしまう。私がもっと強かったら、何日も1人で樹海に放置なんてさせなくて済んだかもしれないのに。

 

前世、私には弟が居た。

7つも離れていたが当時私はそりゃもう可愛がった。

弟も私によく懐いてくれて、あの頃は楽しかった。

純粋でいつも笑っていて─。

 

イッチは弟にそっくりだった。

優しくて、でも絶対に譲れない所は譲らない。そんなところ。

そんな優しい子が、世界から敵視される。

何も悪くないのに。只の被害者なのに。

 

それはダメだ。多分他のスレ民も同じ考えだろ。

それは余りにも可哀想すぎると。

 

だから少しでも力を貸したい。英雄が居る以上大したことは出来ないかも知れないが…。

 

「でも、やらない理由にはならないよね」

 

気分を改めて椅子から立ち上がり、部屋から出る。

 

「何かお土産でも持ってってあげよ!」

 

そう思いたって、私は家を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺とツブローはハサイに連れられて、聖都の学校とやらに居た。

流石は聖都と言うべきか、かなり立派な学舎だった。

ただひとつ、言うとするならば…。

 

「き、教材が何も置いてねぇ…」

「ここ本当に学校なんすか?」

 

そう、教材が無かったのだ。教科書などは新品であるのだが…それ以外がまるでない。まるで開校準備中みたいな状態だった。

 

「言ったじゃないですか、教員が居なさすぎるって。本当に居ないんで暫く使われてなかったんです」

「だとしても教材が無いのはおかしいだろ!?」

「前の連中は教科書だけでやっていたみたいですね」

「舐めてるっすね」

「私自身、学歴は皆無なので…学校というのがどういう物なのか分からないんです。なので手を付けれなかったと言いますか」

「教団の他の連中は…」

「基本、教団員は聖都出身なんですけどちょっと前までマジで教育関連が腐敗してて…だから教団員もまともな学校が分からないんですよね」

「予想の100倍酷かった…!」

 

つーことはアレか!?聖都って発展はしてるけど学力自体はめちゃめちゃ酷いってことなのか!?どんだけ歪なんだよ!普通発展しないぞ!

 

「これは私の考えなんですけど…土地が豊富で且つ豊か、それで私が居るから悪人が悉く逃げて行く。私が居るから他国も聖都に有利な契約を結ぶ。これらが全部重なった結果一気に発展したんじゃ無いかと…」

「…アンタが聖都のトップになったのって何年前だよ」

「16年前です。4歳の時ですね」

「16年でこれだけ発展って最早神の所業っすよ」

「アッハッハ!何言ってるんですか。神なんてとうの昔に死んだじゃ無いですか」

「いやそれはそうなんだが…」

 

ハサイはそう言うと書類の束を手渡してきた。

 

「まぁいきなり教えろなんて言ってもアレだったんでまずは学校をちゃんとした設備にする事から始めましょうか。今渡したのはこの学校の予算の内訳です。確認しておいてください」

「…一応聞いておくが俺たち以外の教師は…」

「別の学校には居ますよ?ここじゃないしここに来る余裕も無いですけど」

 

なんてこった 俺ら早まったかもしれん。

待遇に釣られてとんでもないパンドラの箱開けちまった

 

「私も勿論協力します。一緒に頑張りましょう!」

「兄貴、もう遅いっす。こうなったらやるしかないっすよ」

「そうだな…住めば都って言うし…やるしかないか…」

 

 

 

「取り敢えず他国からでもいいから、一般的な教材を片っ端から買ってくる事から始めるか…」

 

前途多難って、こう言う時に使うんだな。

俺はどこまでも青い空を眺めながら、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし…シャドービーストのハル…か」

「どうしたんだよいきなり」

 

同僚が仕事中にいきなり喋るから驚いた。勘弁して欲しい。

 

「書類仕事してる時にいきなり声出されるとミスるだろ。やめてくれ」

「ああ、すまん。でもついな…」

「まぁ気持ちはわかるけどよ…」

 

ハサイ様が連れてきた英雄【銀狼】の大切な存在─シャドービーストのハル。

人類どころか魔物からも多くの恨みを買っている種族だ。

会話が成立している時点で驚きを隠せないが…。

 

「だがハサイ様が連れてきたんだぞ。なら問題無いはずだ。あの方は他者の罪を確認できるからな。そんなハサイ様が何もしないと言うことは…」

「あのシャドービーストは他者の幸福を奪うような存在では無い…という事」

「そうそう。だから大丈夫さ。あの人の悪への容赦の無さは俺らが一番知っているだろ?」

「…それもそうか」

 

同僚は同意を返してそのまま仕事に戻る。

と言っても内容は回状─。

 

英雄【銀狼】に付き従うシャドービーストがハサイ様の許可で聖都に滞在する。

決して差別や迫害など、愚かな事はするべからず。

 

文としてはこんなものだ。愚かな事はするなって書かなくても別にいいと思う。だってやったら死ぬんだし。

 

「まぁ後は都市部からこれを回して行くだけだし…大した仕事では無いから終わったら休憩しようぜ」

「昼の休憩まだ取ってなかったしな…そうするか」

 

そんな話をしていると廊下からバタバタと音が聞こえる。

何やら重い物を運んでいるような音だ。

同僚と顔を見合わせた後、廊下に頭だけ出して様子を伺う。

そこにはキングサイズのクソでかいベットを運んでる連中が居た。

 

「おいおいどうしたんだよそのベット」

「え、これですか?ハサイ様から【銀狼】様にベットを変えてくれと言われたと伺ったので…」

「はぁ…でも確か来賓用のベットって元からだいぶデカかったと思うが…もしかして【銀狼】ってセレブとかそんな感じか?」

「いいえ、なんでもシャドービーストと共に寝られないからと…」

「…え?」

「ですから、【銀狼】様はいつも寝る時はシャドービーストと抱き合って寝るそうで…2m超えのシャドービーストでは、シングルでは小さいので…」

「だきあって」

「ねる」

「もういいでしょうか?仕事が詰まってるのでそれでは」

 

そう言ってベットを運んでる連中は行ってしまった。

…確かに大切な人とか言ってたけども。

 

「…もしかして大切な人って」

「恋人とか…伴侶とかって…事なのか?」

 

 

…人狼族ってシャドービーストがタイプなのだろうか。

俺と同僚は2人して暫くアホ面を晒していた。




ネット上の性別を軽々と信じてはいけない
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