影の獣in 5歳   作:水道館

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前話の感想ハサイの自害ネタしか無い!これは孔明の罠…?

あ、感想返しなんですがネタバレ防止の為お返し出来なくなります。
全部読んではいます。いつもありがとナス!


朝食

目覚めると私はベットの上だった。

視界に最初に入ってきたのは、私を抱きしめながら寝るハルの胸。

いつもならすぐに起きて身支度をしているだろう。

だけど今日に限っては、もう少し寝ていたかった。

 

二度寝なんていつぶりだろうと思いながらも顔を彼の胸に沈め、微睡に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二度寝から覚めてハルと起きた後、ハサイを探していた。

教団員に聞くと中庭にいるらしいので向かうと─。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

十字に縛った丸太に磔になって火で炙られてるハサイが居た。

 

「…何してるの?」

「ああ、起きたんですね。おはようございます。これは自分への戒めです。そろそろ足が炭化してきたかな?」

「取り敢えずその訳わかんない自傷行為やめてくれない?ハルが見たら困るから」

「分かりました」

 

そう言うと縛られていた丸太を粉砕して降り立つハサイ。

足はその瞬間に治っていた。

 

「それで?何か御用ですか?」

「…昨日、見てた?」

「はい」

「どこから?」

「全部」

「………そっか…」

 

普通に恥ずかしい。多分人生で一番泣いていたから。挙句の果てには疲れて眠る程だ。子供か。

 

「別に大丈夫ですよ。泣きたい時くらい泣いたって。犯罪でもあるまいし」

「羞恥心という感情持ってないの?」

「どうやら生まれる際に胎内に置いてきてしまったようです」

「常識も置いてきたんだね」

「え?ひどくない?」

 

どこがだ。自分で火炙りになるような奴なんだから正論だと思うが。

 

「まぁ…私が悪いんだし見られる分には仕方ないか…」

「ああ、それなんですが私もシルさんに言わないといけないことが」

「言わないといけない?」

 

ハサイが姿勢を正して頭を下げてきた。

 

「申し訳ありませんでした。あなたを追い詰める原因となっておきながら聖都に招く事をして。如何なる罰も受けます」

 

真摯な謝罪だった。ケチをつける所がない程に。

 

「…遅かれ早かれ、私はああなっていた。断言してもいい。早めに自覚出来たのはいい事だから、気にしなくていいよ」

「そうはいきません。貴方とハルさんの関係にヒビが入る可能性もあった。今の私はとんでもない大罪人です」

「そうかな…ハルなら、ヒビ入る前にちゃんと嫌がるよ。シル、だめだよって、止めてくれる」

 

頭を下げ続けるハサイを見つめながら、中庭のベンチに座る。

…ハサイがさっきまで火炙りしてたせいで煤が付いてた。

 

「それでもって言うなら、私とハルの言うことを暫く聞いて欲しいかな」

「なるほど、理解しました!取り敢えず300年程でどうでしょう!?」

「エルフ特有の雑な年数やめて」

 

私達が寿命で死んだ後も言うこと聞く気なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、シル。おかえり」

「ただいま。待たせてごめん」

「ううん。いいよ」

「じゃあご飯食べに行こうか」

「うん!」

 

ハルと共に食堂の方に移動する。ハサイは中庭の片付けだ。よく見たら辺り一面煤だらけだった。何時間炙られてたんだあいつ。

 

離しながら食堂に着いた。だが誰も居なかった。

時間帯は確かに8時過ぎではあるがそれでも誰も居ないのはおかしい。

 

何かあったのだろうかと考えていると─

 

 

「だぁぁぁぁぁ!!!仕事おわらねぇぇぇ!」

「先輩!中央区からまでシャドービーストが暴れているから助けてくれとか言う嘆願が来てます!」

「ざけんな!回状回ってただろ!後暴れては無いだろ!走ってただけじゃん!」

「先輩!いくら走ってただけでも走った余波で周辺の物が吹き飛んでたら暴れてると思われると思います!」

「畜生反論できなぁい!!!」

 

…そんな声が聞こえてきた。

 

「…ハル。私を探す時に何か壊しちゃった?」

「えっと…ぼくシルさがすことばかりかんがえてて…そのときいっぱいぶつかっちゃって…」

「そっか。怪我は無い?」

「うん」

「なら…いいか」

 

なんかハサイは罪悪感感じてるみたいだし丁度いい。

これの対応でトントンと言うことにしよう。うん。

 

「ご飯作る人も居ないみたいだから…何か作るね。何か食べたいのある?」

「シルがつくってくれるならなんでもおいしいよ!」

「うーん…すごく嬉しいけどすごく困るの来たなぁ」

 

何でもが一番困ると言うのはどうやら本当だったようだ。

調理場に入って食材を見ながら、ぼんやりそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…朝か」

 

自室で目が覚める。昨日夜までバタバタしてたせいか、身体が怠い。

顔を洗って作り置きしているピクルスとハムで作ったサンドイッチを食べた後身支度を始める。

 

「確か…中央区東の宿だっけ。みんなが泊まってるところ」

 

麻呂から大切な話があるからと言われているので遅刻は出来ない。

早めに家を出ることにする。

家を出て見る街並みはいつもと違っていた。

 

「…ホントに違ってるからなぁ…」

 

ちょいちょい道路が割れてたり看板がひっくり返っている。

昨日ハルくんが誤ってやってしまったものだ。

 

「まだ全然、体の使い方わかってないんだね…」

 

あの優しい子がワザと壊すなんてことは無い。

これはシルさんを探す際に走り回ったり、高い所から見渡した後にそのまま飛び降りて着地した時になったものだ。

 

ハルくんはまだ自分の体がとてつもなく強いものという認識が出来てない。

まぁ当たり前だと思う。目が覚めたら体がシャドービーストなのだ。分かった方おかしい。

それでも今までとてつもなく加減していたので大丈夫だったが…シルさんの事で頭がいっぱいだったハルくんはそれを忘れていたのだ。

…5歳だから大目に見て欲しいけどなぁ。ダメなんだろうなぁ…。

 

そんな風に考えながら歩いていたらもう着いてしまった。

時間的にはもうみんな起きてるだろう。宿の扉を開く。目に写って来たのは─。

 

 

 

「だぁぁぁぁぁ!!!お前お前お前ぇぇぇ!!!ビッフェ形式だからってソーセージ独占してんじゃねーよ!スクランブルエッグしか残ってねーじゃねぇか!!!」

「うるさい!こういうタイプで飯食う時はソーセージとスクランブルエッグと米を死ぬほど食うって決まってんだよ!ワイのモーニングを邪魔すんな!少し待てば追加来るんだし店員にもいいって言われたんだからセーフや!」

「どう考えても面倒臭い客相手したくなかっただけだね!いいから5本くらいよこせ!善人かそれでも!」

「食欲に善悪持ち出すな!この極論論者め!願いの杖でしばくぞ!」

 

「カレー食ってる俺勝ち組では?」

「取り敢えず置いてある奴全種類取って食べるよね」

「それで多くて後悔するやつね」

「あるあるすぎる」

 

「朝からケーキ置いてんのかここ…」

「しかもチーズケーキとか普通に重くて草生える」

 

「焼きたてのパンって何でこんなにそそられるんだろうね」

「小麦の香りがね…」

 

朝っぱらから騒がしいスレ民達がいた。

 

「ん?聖都ニキ…いやネキか」

「もう栞でいいよ…」

「てかなんで男のふりしてたん」

「前世で面倒臭い人に絡まれたから…」

「ネットリテラシーって大事よね」

 

入り口で立ってたら特定ニキが話しかけて来た。

様子を見るに食事はもう終わったみたいだ。

 

「まだ時間には早かったはずだが…」

「遅れるよりは、ね?」

「前世の社会人の癖抜けて無いのでは?」

「あ、あはは…」

 

過労死で死んだ身としては中々に耳が痛い。割と改善した方ではあるんだけど…。

 

「やれやれ…食事程度で喚き散らすとは…それでもいい歳した大人かお主ら」

「あ、麻呂さん」

 

麻呂さんが話しかけて来た。

…ソーセージを沢山乗せたお盆を持って。

 

「あれ!?追加されたはずのソーセージが無い!?」

「麻呂ぉぉぉぉぉ!!!やりやがったなお前ぇぇぇ!!!」

「やかましい。そろそろ朝食時間も終わるぞ。これは食べ物を無駄にしてはいけないという前世のお婆ちゃんの教えを実践してるだけでおじゃる」

「お婆ちゃんは人の分のソーセージも食えってお前に教えたか?」

「お婆ちゃんが言っていた…食える時に、食っとかないとね!」

「天道総司なのか武蔵っぽい人なのかハッキリしろよ」

 

…なんか、修学旅行みたいな雰囲気だ。

みんなテンションが高い。

 

「まぁ…なんだかんだで転生者同士が交流するのって無かったからな…」

「何でなかったんだろうね」

「活動場所が離れてたってのもあったんだろうけど…キッカケが無かったからな。今までは」

「…ハルくんがキッカケになったんだね」

「色々大変だったけど…取り敢えず落ち着いたしな。みんな嬉しいんだろ。高級ホテルタダで泊まらせて貰えたし」

「交通費も全部出すって言ってたよ」

「マジかよ前世の職場に爪の垢飲ませてやりてぇ」

 

「ああ、そうだ。昨日言っていた大事な話。この後やるでな」

 

雑談していると麻呂さんがソーセージを頬張りながら言う。

 

「大事な話って言っても…なによ?」

「まだ厄ネタあるやろ。成り代わりの」

「それとは別件でおじゃる。なに、別に難しい話では無い」

「と言うと?」

 

 

 

 

 

 

 

「ハルを世間に馴染ませる、その第一歩と言ったところか」

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